かけはし重要記事

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                          かけはし2002.11.4号より

韓総連への弾圧と民主主義

法的暴力をこれ以上、黙認できない

 今年7月、警察から召喚状が届いたソウル地域の韓総連の代議員70余人が一挙にソウル警察庁に自主出頭するという珍風景が繰り広げられた。褒賞や特別昇進の機会がなくなっているのを憂慮したのだろうか。警察は「一人ずつ、やって来い」と言って彼らを押し返してしまった。学生らを検挙するのが社会の安全保障のために緊要なものではないことを警察自らが暴露したわけだ。
 キム・デジュン政府の発足以来、825人の大学生が国家保安法違反で拘束され、このうち90%が韓総連の関係者たちだ。そして毎年500〜600人の韓総連関連の手配者が新たに量産されている。釜山の空の下に北の国旗がなびき、北韓の共同応援団の公式のファンクラブが堂々と活動しているいま、韓総連を利敵団体としてひとくくりに取り締まろうとする公安当局の時計は、いったい何時を指しているのか。この巨大な不条理現象はいつまで続くのか。(「ハンギョレ21」第430号より)

 この9月、光州裁判所で韓総連(韓国大学学生会総連合)の利敵性をめぐって証言するまでは私は、韓総連内の一部に主思(主体思想)派もいるし、96年の延世大での事態のように激烈な闘争もするので、当然にもそのように韓総連は利敵団体と規定されたのだろうと考えていた。しかも私が韓総連の路線にいささか批判的でさえあって、このような考えは無意識のうちに私の中に存在していた。
 だが詳しいことをうかがい知るに及んで、私は韓総連の問題は「民主主義の問題だ」との判断をするに至った。

民労党綱領の方がより急進的だ

 まず、韓総連は一部の主導グループが理念的傾向を持っていたにもかかわらず毎年、再構成される全国の大学生または学生会の代表機構だ。これは「結社の自由」に関する問題だ。ところで毎年、再構成される韓総連が前もって利敵団体と規定されており、ある学生が総学生会長や学生会長に当選して加入を承認されれば直ちに利敵団体の構成員となり手配されるのは、「反民主的」だというよりは「法的暴力」だと判断した。
 これは社会の不正や暴力組織を一掃するとの名において、イレズミを彫ったすべての人々を突然サムチョン教育隊に引っ張って行ったチョン・ドゥファンの浄化措置とほとんど変わらない。このような状況を、法に携わっている人々がどうして黙認・承服しているのか到底、納得できなかったというのが私の率直な心情だった。
 第2に、韓総連の綱領が急進的なので利敵団体として残しておくべきだとの論理のあることも承知している。韓総連の綱領の核心である「自主・民主・統一」は80年代を経過するとともに批判的、進歩的学界や社会運動陣営の最大公約数となったために、それが不穏でないと語るのは常識のうちだ。
 合法政党である民主労働党のホームページで見た綱領は韓総連よりも、少なくとも言葉の上においては、より急進的だった。「労働者と民衆が主体の自主的民主政府を樹立し、民族の統一に反対して自主権を抑圧する米国を含むすべての外勢との不平等な条約ならびに協定を無効化」し、「最小限、国家連合や連邦制方式の統一でも実現」しなければならないという民主労働党の主張よりも、少なくとも言葉の上では韓総連の綱領がより急進的だと主張する根拠はない。検察は言葉よりも事実において「韓総連は親北的だ」と言うのだろう。
 だが検察の言葉通り、仮に一部の主導グループが親北だとしても、それが韓総連という大衆組織を親北的だと規定すべき根拠となりはしない。「結社の自由を悪用するから、結社の自由を許容しないようにしなければならない」というのは独裁時代に聞いてきた論理だ。
 反政府集会でない場合にのみ集会の自由を保障し、反政府の理念サークルを作るのでない場合にのみ、学内で自由なサークル活動を許容するというのであれば、いったいそれは民主主義なのか。

わが時代の判事たちの生存方式?

 第3に、実定法がそうであるがゆえにどうすることもできないというのは、わが時代の判事たちがどのように生存しているのかを語っているにすぎない。5・16以後、民族日報の社長に死刑を判決した判事たち、そして74年の第2次人革党事件の担当判事たちも当時の政治の現実と実定法的現実で自らを弁護し、「司法殺人」を下したのだろう。
 私はいま、その判事たちが、どんな言葉で自身の行為を正当化するのかを考えてみる。幸いにも勇気ある判事たちがいて、大田地裁1審判決でこれまでにない判決を下し、韓総連合法化の道を――もちろん高裁では逆転されたが――開いた。判事たちのこのような、かつてない諸努力が、かろうじて司法部に対するわれわれの一抹の期待をつなぎとめている根拠だと思う。それでも希望を持ってみよう、非常識が常識化した現実にあって、それでも希望を持とう、と自らに語り聞かせるのだ。(「ハンギョレ21」第430号、02年10月24日付、チョ・ヒヨン/聖公会大教授・社会学)


大衆的学生組織への脱皮をめざす韓総連

 利敵規定から5年目、韓総連が変化している。公安当局が利敵団体とらく印をおした主要な根拠となった連邦制の綱領は、すでに昨年の「6・15南北共同宣言支持」へと変わった。96年の延世大の事態や97年の韓総連発足式の過程で発生した「暴力的闘争方式」もまた、散発的占拠デモなどを除いては、なくなってから久しい。
 最近では10期議長キム・ヒョンジュ氏(全南大総学生会長)が裁判の過程で「吸収統一にも反対するが、赤化統一にも反対する」という内容を初めて明示的に明らかにまでした。

特定政派だけの組織を脱皮する

 一部では依然として、このような変化の身振りもまた「北韓の指令に沿ったもの」とけなしている。10月20日の結審公判を前にしたキム・ヒョンジュ氏に対する検察の起訴内容にも「北韓の主体思想を指導理念として設定し、北韓の対南事業部署である統一戦線部の事実上の指揮・調整を受けており、南韓社会を転覆させようと試図し、自由民主主義体制を根本的に否定している」などの内容で充たされている。
 だが、このような公安当局の認識は10期韓総連の過去10カ月間の活動内容を見れば受けいれがたい。全国民の関心を集めたF―15K導入反対運動をはじめ、b米軍キャタピラ車による議政府の女子中学生死亡事件b農村および水害地域での奉仕活動b代議員大会および発足式などが韓総連の今年の主要事業だったからだ。
 綱領改正とともに韓総連の古い構造を変えるための改革作業も始められた。韓総連が「特定理念を具現するための政治組織ではなく、大衆的学生自治団体連合だとの本来の役割にふさわしく再組織されなければならない」との主張が韓総連内部から出てきている。このような動きは利敵規定後、孤立したまま特定系列の機構がなるようにした韓総連の現実認識から始まった。
 93年4月、全国大学生代表者協議会(全大協)に続き、全国183大学の総学生会長・単科大学(学部)学生会長1600余人が集まり創立代議員大会を開き公式発足した韓総連は97年に利敵団体と規定されるまでは、いわゆる民族解放(NL)系列と民衆民主(PD)系列など学生運動圏の左派・右派が参加した競選を通じて議長を選出した。だが97年の5期議長選出後は事実上、競選が中断され、民族解放系列が議長を相次いで輩出するとともに韓総連の大衆性は急激に弱まった。

韓総連の再生は利敵規定の撤回から

 古く秘密めいた「80年代式」組織体制に対する変化を要求する声も出てきている。現在、学生らの直接投票によって選出される代議員たちとは違って事実上、韓総連の活動方向を決定している中央執行委員会・常務執行委員会など中央執行局の幹部は前年度の執行部によって前もって任命される。大法院(最高裁)の利敵規定後、この5年余の間、韓総連中央幹部数十人が懲戒または除名され、幹部の人選をめぐる摩擦が断えない背後には、このような構造的硬直性が位置している。
 10期議長に当選したキム・ヒョンジュ氏が仮称「韓国民主学生連合」(民学連)という学生運動圏の新たな連帯体建設など改革の公約を掲げたのも、このような苦悩を反映している。
 韓総連5期議長を担ったカン・ウィウォン氏(31)は「綱領・規約の改正とともに、韓総連が時代の変化に応える学生の自治機構として再生するための内部努力を活発に展開している。韓総連に対する利敵規定の撤回は学生運動圏の合理的再編や韓総連があるべき位置を取り戻すための出発点となるだろう」と強調した。(「ハンギョレ21」第430号、02年10月24日付、チョン・インファン記者)


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