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名古屋COP10 NGO・市民・農民が多様な対抗企画
環境・平和・人権を破壊するのはカネ儲けのための資本の論理                                   
かけはし2010.11.8号

生物多様性維持は新自由主義的成長・競争戦略と両立せず

「食糧主権が生物多様性を守る」
ビア・カンペシーナ代表と共に農業のあり方を問う

 【愛知】十月十八日から二十九日まで愛知県名古屋市で開催されているCOP10(生物多様性条約第10回締約国会議)とMOP5(カルタヘナ議定書第5回締約国会議)に対する様ざまな対抗フォーラムが行われている。
 十月二十二日には愛知労働会館で、COP10・MOP5監視行動国際フォーラム「食糧主権が生物多様性を守る」が共産党の影響力の強い、「農民運動全国連合会」と「全国食健連(国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会)」に「ビア・カンペシーナ(農民の道)」が加わり三団体共催で行われ百十二人が参加して成功した。
 なお、このフォーラムにビア・カンペシーナのメンバーが各国から九人が来日して参加した。
 最初に、農民連の真嶋良隆副会長が、主催者を代表して「COP10・MOP5は世界のNGOから歓迎されているわけではない。生物多様性条約にアメリカは加盟していないがその国の代弁を最もしていたのが日本だ」と日本政府の姿勢を批判し「現政権、民主党がFTAと農業の自由化に熱中している。日本の食料自給率は、四〇%だがアジア・ヨーロッパから自由化すると一二%まで下がると農水省は発表している。これは地球温暖化と異常気象に対する最悪の挑戦だ。今日は議論しあいながら共感と連帯を深め、闘いと希望をグローバル化しフォーラムを成功させよう」と開会あいさつをした。
 次に海外代表挨拶をビア・カンペシーナ海外調整委員のヘンリー・サラギさんが行った。
 「たくさんの生物が絶滅した。五十年前に比べて日本からもどれくらいの生物がいなくなったかは皆さんもご存知かと思う。そして今、どれだけの生物が生き残っているのか」。
 「食料危機に関して言えば、今十億人が飢餓に瀕していると言われている。十五年前、世界食料サミットが行われた際には八億五千万人と報告されたがそれより増えている。そして同時に世界の貧困層の数も増えている。同じように気候の問題も悪化する一方だ。ビア・カンペシーナは本当の対策が政府や多国籍企業から全く示されていないと思う」。
 「この後、韓国、フランスなどからの発言があるが、ビア・カンペシーナは、実際に代替案をもっていることがわかると思う。ここでの議論を通してもっと私たちの闘いを私たちの声を広めていきたい」。

世界と日本で何がおきているか?

 午前の部は、第一セッション「世界と日本で何がおきているか」と題して報告と討論が行われた。
 最初にフランスのギ・カストレルさんが海外代表報告を行った。彼はフランス南部の農民で農場種子ネットワークの議長でありフランス農民組合の種子・GMO・生物多様性問題の責任者。ビア・カンペシーナ生物多様性委員会のヨーロッパ代表でもある。
 ギ・カストレルさんは主に種子の保存について語った。
 「遺伝子組み換えでできた作物の伐採を破壊する活動を行い、破壊した人のリストを作り警察に届け、裁判で闘っている」と独自の闘いを紹介し、「支援は広がり裁判官も理解をしめしてくれた」と成果を報告した。
 さらに、「被害は遺伝子組み換え作物を使用していない農家に広がっている。汚染によってこれをつくった企業モンサント社などから訴えられている。生物多様性は遺伝子組み換えによって作られているわけではない。これにより種子の多様性も失われている。また生物の多様性にも大きな影響を与えている。企業による種子の支配に対抗することを呼びかけている」と報告した。

遺伝子組み換え
ナタネ調査報告

 次に実践報告として八田純人さん(農民連食品文化センター)が遺伝子組み換えナタネ調査の報告をスライド上映を写しながら報告した。
 スライドでは三重県四日市港の周辺の船から港湾にトラックに運ばれる際に、こぼれ落ちたであろうと思われる種から発芽したナタネが道路の割れ目や空き地、線路脇に生えているものが映し出され、また線路では周辺の草を取るために除草剤をまいた場所が他の草は枯れているのに遺伝子組み換えのナタネだけは枯れることもなく、しっかり生えている姿が映し出され、見る者を驚かせた。
 八田さんの調査は二〇〇五年から九県十港、財務省貿易統計に「菜種」の陸揚げ実績がある港湾地域、日本植物油脂協会会員でナタネ搾油工場があると考えられる地域で行われた。この調査で陸揚げ実績のある港湾では、ほぼ間違いなく自生がおきている事が報告された。
 また「最近の試験では交雑種と考えられる固体の存在や、判定方法が困難な固体が存在することがわかり、特に簡易試験紙法には陰性の反応を示すにも関わらず、PCR法では遺伝子組み換え配列が検出される、『隠れ遺伝子組み換え固体』が目立ち始めている。農地への侵入や在来種との交雑も見つかっており今後も調査を続ける必要がある」と報告した。

食と農を守る
国際的連帯を

 最後に斉藤敏之さん(農民連COP10チーム責任者)はCOP10、MOP5に向けた農民連のポジションペーパーについて説明し、農民連の立場は「多くの生物に支えられ成り立っている農民にとってWTO体制下で、食料輸出国と多国籍企業による食料支配、バイオテクノロジーをテコにした遺伝子資源の独占を許さないことだ」と提起した。
 そして、第一に、「日本人は世界一遺伝子組み換え食料を食べさせられている国民であり、日本国内での汚染も広がっている。責任と修復(救済)の方法を確立した国内法の見直しを求める」。第二に遺伝資源の提供国に利益を公正に配分することを求める法的拘束力をもったルール、名古屋議定書の策定のために議長国としての責任を果たすことを要求する」。
 第三に「ターミネーター種子の解禁阻止」、第四に「バイオエンジニアリングで地球温暖化に対処することに反対」、第五に「農と食を守るため地域的、国内的、国際的な連帯を強めたたかいを呼びかける」と提起した。

何をしようとしているのか

 後半の第二セッションでは初めにカナダの農民コリーン・ロスさんが報告した。
 「私は、午前中、COP10の会場内で行われているが市民グループ、NGOなどが連合を組んでいて行っている会議に参加した。第五回ビア・カンペシーナ国際会議がモザンビークで開催されたが、その最終日にビアカンペシーナの加盟組織は他団体と協力して活動していくことが確認された。今回、名古屋に参加して思ったことは、ここに参加しているNGOの多くが私たちと同じような考え方を持っているということだ。私たちはこういうNGOの会議に参加することによって、お互いの意見を交換し、ビアカンペシーナの立場を彼らに伝えていく。彼ら自身もビア・カンペシーナの意見を必要としているからだ」。
 「NGOの会議の中で議論されていることが二つの部分に分けられている。前半では、これまでの生物多様性会議の中でなにが議論されてきたのか、そしてとくにどういう点が重要な点であるのか? という点。後半では今日、当日にどんな会議の中で議論がおこなわれているのか? そして、それに対して私たちNGO組織としてはどのような対応、戦略をねっていくのか、を議論した」。
 「カナダは先住民の権利を全く認めない国だ。さらに魚の乱獲、破壊的な漁業が行われているという点についての議論でもカナダは合意できず、この乱獲漁業制限にも反対している」。
 ロスさんはCOP10への介入とカナダでの取り組みを説明し、最後に「これから私たちは何をしなければならないか、食糧主権を勝ち取るために連帯して行動することも大事だが、まず、自分のやっている農地に生物多様性の場所を作り、そして、地域の経済を支える、気候の変動に耐えうるような地域のシステムを構築していく必要がある」と提起した。

農業と食物連鎖
の仕組みを解明

 続いて日本からは実践報告として、田中淀さん(兵庫県豊岡市・エコファーマーズ)が「コウノトリ米」と題して、渡沢寿さん(山形県・置賜農民青年部)は「田んぼの生き物調査」と題して、竹上一彦さん(長野県農民連・上伊那産直センター)は「白毛餅」と題して、それぞれ田畑における様ざまな生物の存在や食物連鎖のしくみを解明することによって、米や農産物の生産だけではない、生物多様性に必要な存在として報告した。
 そして、農薬をつかうことなく様々な方法で農業を行っていることが報告された。

種子の保存と
河川の乱開発

 休憩をはさんで最後に韓国からシン・ウォンさんが「種子の保存」と「河川の乱開発」について報告した。(シン・ウォンさんはKWPA【韓国女性農民連合】の事務部長)
 「河川の乱開発」については、「川とは命の源だ。だから公共で守るものだ。しかし、イ・ミョンバク政府は韓国の四大河川にダムを作ろうとしている。この事業に対して国民は反対している。以前は整備するためだと言い、今は河川を生き返らせるためだと言うが、流れている河にセメントの壁を築き、どう見ても生態系を破壊している。それを見て怒りを感じます。また、この事業で観光開発の利権争いが始まっている」。
 「この事業のために二万人以上が強制移住され、湿地帯も減少した。水質の問題もあり工事現場ではもう、汚染の問題が広がっています。ダムができてしまえば霧が発生し、日照量が減り悪影響が出るでしょう。この事業の費用は二十二兆ウォン、国民の福祉を減らし事業に取り組んでいるのがイ・ミョンバクだ。私たちの要求は川をそのままにしておいてほしい。今までどおり農業をさせてほしいということだ」と、報告した。
 種子の保存については農業の基礎であり、アグリビジネスの支配から守るための様ざまな取り組みを紹介した。
 各発言が終わり討論では、地元愛知県でナタネの無農薬栽培に取り組んでいる報告や今後の取り組みについての活発な議論が行われ、フォーラムは成功裡に終了した。(越中)


市民の側からの生物多様性シンポ
基地・戦争・開発で破壊された沖縄の現実を告発

 【愛知】十月二十二日、名古屋市の天白文化小劇場で「生物多様性シンポジウム&歌と踊り・沖縄の豊かな生物多様性を守るため、未来に繋げるため−沖縄の環境・平和・人権の現状と課題」が行われ、約三百人が参加した。
 主催は沖縄・生物多様性市民ネットワーク沖縄地域作業部会。愛知沖縄県人会、中日新聞社、生物多様性市民ネットワーク、沖縄県名古屋情報センター、名古屋YWCA、名古屋市立大学人間文化研究所、の六団体が後援して行われた。主催団体の沖縄生物多様性市民ネットワークは二〇〇九年七月二十五日に結成され現在約百二十人の会員と十三の団体で構成されている。「環境」「平和」「人権」の三つを基本にすえ沖縄の生物多様性を守るため、様ざまな取り組みを行うと共に、環境が守られなければ人権も平和も守れない事を明らかにしている。
 第一部では司会者があいさつを行った後、沖縄の歌と踊りが披露された。そしてこれらの文化は、その地、それぞれの環境と共に生きてきた人々が自然からの恵みを享受してきたことによって生み出されたものであることが説明された。
 続く第二部のシンポジウムでは、沖縄から三つの報告が行われた。一つめは真喜志好一さんが沖縄の基地問題について報告した

米軍基地がもた
らす環境破壊

 「沖縄は亜熱帯海洋性気候に位置し、希少な固有種が多く生息する、豊かで独特の生物多様性をもつ島嶼だ。沖縄戦が終わった後、米軍は住民の集落や畑に基地を作った。それが普天間飛行場だ。一九五五年には海兵隊が本土から沖縄に移駐してきた」。
 「収容所に入れている間のことだった。終戦後、収容所からの移動が許可された住民は金網の周辺に住むか新たに割り当てられた居住地に住むしかなかった。普天間基地を閉鎖して故郷の土地を返せという住民の要求に対して移設先を求める米軍は盗人たけだけしいというほかありえない」。
 「米軍による環境破壊、汚染があっても、日米地位協定では米軍に環境回復義務を課してはいない。実弾射爆場には不発弾が放置され、劣化ウラン弾も放置されて植林もままならない。そして、東村高江にヘリパッド基地を建設しようとしている。辺野古の基地建設は海の生物多様性を脅かし、東村高江の基地建設は森の生物多様性を脅かすものだ」。
 「日本政府は、COP10での『ビジョン(中期目標2050年)』として《この戦略計画のビジョンは、『自然と共生する』世界であり、すなわち『二〇五〇年までに生物多様性自然資本が評価され、保全され、回復されそして賢明に利用され、それによって健全な地球が維持され、全ての人々に不可欠な恩恵が与えられる』世界である。》と記してある。日本政府の進める基地建設はこのビジョンに逆行するものだ。普天間飛行場を閉鎖し、新たな基地建設を中止することが人々の安全と生物多様性とを担保することになる」。

やんばるの森と
高江ヘリパッド

 第二番目に伊波義安さんが、やんばるの森と高江のヘリパッド問題について報告した。
 「沖縄は自然がとても特異で多様性に富んでいる。特に北部の三村(大宜味村・東村・国頭村)をやんばる(山原)といい、そこではイタジイやオキナワウラジロガシなどの亜熱帯照葉樹林が大部分を占め、温暖で沢も多く、雪も降らず、霜も降らず、生息している動植物の数は日本本土に比べ植物が四十五倍以上、動物が五十一倍以上といわれている。しかし、沖縄の日本復帰後、やんばるの森に米軍基地を作る見返りとして投入された多額の高率補助金による林道建設、森林伐採、ダム建設、農地造成等で自然破壊は急激に進行した」。
 「ヘリパッド基地が建設されようとしている高江は東村のはずれにある、人口約百五十人の集落だ。この高江と北部訓練場(ジャングル戦闘訓練センター)は隣り合わせであり現在、北部訓練場は世界で唯一のジャングル戦闘訓練場だ。この基地建設計画は高江集落を取り囲むようにして六カ所のヘリパッドを建設する計画だ。一番近い民家から四百メートルしか離れていない。そこへ非常に操作が難しく、過去に大事故をおこし隊員二十数人を死亡させたオスプレイを配備するというのだ。基地が建設されれば爆音や墜落により住民の生活環境が破壊され、生命が脅かされ、森が破壊される」。
 「高江住民は説明と中止を求めて二年以上にわたって座り込みを続けている。豊かな自然を守ることで私たちの暮らしと生命が守られる。これは先人たちが信仰や経験として後世に伝え残した知恵だ。豊かな自然を守り、平和をつくろう」。

泡瀬干潟の埋め
立てを中止せよ

 三番目に埋め立て工事によって自然破壊の著しい泡瀬干潟の報告が小橋川共男さんから行われた。
 「沖縄県の中部にある第二の都市、沖縄市の東に広がる約二百六十五ヘクタールの泡瀬干潟は沖縄諸島最大の干潟だ。復帰以降、急速に進められた振興開発で多くの自然が破壊されたが奇跡的に泡瀬干潟は残った」。
 「泡瀬干潟の特徴は、泥干潟、磔干潟、砂干潟、藻場干潟、砂州、浅海域、サンゴ群生域など多様な環境に合わせて生物たちが住み分けている点だ。まさに生物多様性の世界だ。ここには多くの固有種のカニ、貝、魚、海草がいる。最近発見された新種のものも多くある。また、世界でも三千羽位しかいないといわれるクロツラヘラサギが毎年五〜六羽飛来するが、これも絶滅危惧種だ」。
 「泡瀬干潟は環境省が重要湿地に選んだ一つだ。沖縄県も『厳正に保全』すべき評価ランク一に指定した海域だ。なぜそのような所を埋め立てるのか? それは、うるま市の東埠頭整備のさいに出る土砂の処分場として、そして埋め立てた地に新たなリゾートを作ることにある」。
 「生物多様性の高い泡瀬干潟。沖縄の真の自立発展のためにも保全として未来につなげていかなければならない。泡瀬干潟の埋め立てを中止させ、ラムサール条約へ登録させまよう」。

ヤマトの人びと
への期待とは

 三つの報告を受けた後に質疑討論が行われた。
 基地の中の汚染はどうなのかと言う質問に対しては、「実情では調査することができない。米軍の発表ではダイオキシンをドラム缶に入れて自衛隊や民間の業者に預けたことがあるというが、その後の調査は行われていない。嘉手納基地ではジェット燃料が流れ出た事もあるが私たちにはそれを調査する権利がない。予測できることはいろんな化学薬品によって基地周辺は汚染されているのではないかと思う」と米軍のずさんさを説明した。
 また、沖縄の人々は名古屋の人々にどのようなことを期待しますか? という質問に対して真喜志さんは「名古屋の人々だけでなく、ヤマトの人々に希望がある。学校での歴史は明治以降のことを詳しく教えていない。朝鮮・中国・台湾・沖縄を侵略したことをぜひ学校で教えてほしい。若いマスコミの記者も知らないだろう。マスコミは安保によってアメリカに守ってもらっているというが錯覚だ」と答えた。  (青木)


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