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大阪                          かけはし2010.2.15号

経営者側の横やりを認めるな
労働者の使い捨てを許すな!

派遣法抜本改正緊急集会

 【大阪】一月二十九日、十一の法律家団体呼びかけによる派遣法抜本改正緊急大集会が、大阪市のいきいきエイジングセンターで開かれ、四百人を超える労働者が参加した。
 大川一夫弁護士(大阪労働者弁護団)が開会のあいさつをした。「三党合意の後、その三党が与党になったのだから、すぐにでも抜本改正が実現すると思っていたがそうではなかった。答申を受けて与党審議が行われている今、我々の声を審議に反映させなければならない」と述べた。十一すべての法律家団体の共催による集会が開かれたのは今回が初めてとのことである。
 脇田 滋さん(龍谷大教授)が「派遣労働は労働者のためにならない!本当に必要な改正と財界からの俗論批判」と題して講演をした。

労政審答申の
多くの問題点

 脇田さんは、二〇〇九年六月野党(現与党)三党合意案と〇九年十二月二十八日に出された労政審答申と比較すると、項目は同じでもさまざまの例外規定を設けられ、その内容が三党合意より経営側に近くなっていて、労政審答申は期待はずれであったと述べた。例えば、製造業派遣は原則禁止だが常用雇用は例外。登録型派遣は原則禁止だが二十六業務などは例外。法の施行を三年猶予する(登録型については5年の可能性)。派遣先が直接雇用する場合でも、派遣元での労働条件と同一契約とする、日雇い派遣は禁止だが一定業務は例外、などである。
 労働者派遣の規制強化に反対する経営者側の論理は、派遣労働には労働者側にもニーズがある、規制するとかえって失業が増える、常用型派遣で雇用は安定する、中小企業では人材確保が困難だ、派遣先企業には雇用責任はない、規制すると製造業が海外に流出する、外国との比較は不適当だ、失業にはセーフティーネットで対応すべきだ(公的支援)というもの。

憲法・労働法から
逸脱した派遣法

 しかし、ILOでは「労働は商品ではない」し、日本国憲法、職安法・労基法・労組法等の労働法による基本原則、つまり「就労実態に基づく労働者保護」、「均等待遇(同一労働同一賃金)」、「常用雇用(解雇、有期雇用制限)」、「良好で公正な労働条件」、「直接雇用(間接雇用禁止)」、「団結権」から見れば、派遣法は大きく逸脱している。雇用契約は派遣元との間にあるが、派遣法を媒介して労働者は派遣先企業で働く。ここに偽装請負のからくりがある。あくまでも派遣労働(間接雇用)は例外であるべきだった。労働者派遣法には四つのねらいがある。偽装請け合いの合法化・性差別の雇用形態・中間労働市場・労働組合の弱体化である。
労働者派遣法は一九八五年中曽根内閣の時につくられ、十六業務で派遣解禁された。これが、九六年に「改正」され二十六業務に拡大、九九年原則自由化、〇三年には製造業への派遣解禁となり、派遣受け入れ期間の制限がなくなった。脇田さんは、日本の派遣法の虚構を六点あげてこれを批判した。

簡単に派遣元が
雇用主になれる

@派遣元(派遣会社)が雇用主。これなら、机と電話があれば派遣元になれる。こんな形骸的存在に、仕事ができなくても賃金の六割保障・年休代替の用意などできる雇用主としての実態がないことは明確だ。
A「派遣労働」という意図的な誤訳。八五年当時の政府・労働省は、一時的労働(temporary work)を派遣労働(dispatch work)と意図的に翻訳。派遣期間の一時的な労働を請負形式の長期間労務にすりかえをした。ドイツなどでは、一時的労働が三カ月以上になれば常用雇用に変更される。

今日均等待遇は
世界の常識だ

B同一労働差別待遇。EU諸国では、全国協約で仕事別に同一労働同一賃金が確立している。韓国でも〇六年、差別禁止と是正措置が導入された。同一労働差別待遇が当然とされる日本は、世界に類例がない異常さである。派遣先の多くは大企業であるが、派遣元は中小零細企業レベルの待遇だ。不安定な派遣労働の待遇は、本来正社員より上にしてやっとバランスがとれる。
C男女差別隠蔽。同じ派遣先企業で働いていても、男性は派遣先の正社員で、女性は派遣元の派遣社員にする。企業が違えば賃金は違うのは当然、これは差別ではない、という厚顔さ。パワハラが問題になると、被害者の女性を派遣元雇用に変更する。労政審答申はこの問題に踏み込んでいない。
D専門業務という言葉。事務用機器操作やファイリングには派遣受け入れ期間の制限がない。専門業務というが、派遣労働の中の五〇%近くを占めるこれらの業務の派遣労働者が四十七万人もいる。こんなに多くの専門業務があるのか。日経連の「新時代の日本的経営」(95年)でいう雇用の三分化論(長期蓄積能力活用型・高度専門能力活用型・雇用柔軟型)と労働者派遣対象業務の関係は密接な関係がある。

基準があいまい
な常用型雇用

E常用型派遣という言葉。常用雇用が期間の定めのない労働契約による雇用を指すとすれば、常用雇用の労働者ではない「常用型派遣労働者」も存在する。これが、前内閣の答弁だ。
二十年前は正規雇用は八一・七%、非正規は一八・三%だったが、九九年に派遣業務が原則自由化されて以来非正規雇用が急増し、この十年間で製造業の非正規雇用は三四%に達し、正規雇用が崩壊した。特に女性の非正規雇用が急増した。日本の場合、正規と非正規の格差が大きく開いた上に、最下層に超低賃金のパートタイマーが存在する。パートの場合の賃金は正社員の6分の1である。このような状況を生み出している要因の一つが家計補助的収入の基準(被扶養者130万円、非課税限度103万円)と社会保険加入の要件(正規労働者の週労働時間4分の3)である。このような基準は韓国にはない。
 このような長期の不安定雇用、同一労働差別待遇は、憲法十四条・労基法三条に違反する社会的身分差別である。作家の村上龍のいうように、「日本には何でもある、希望以外は」だ。不安定雇用(派遣・非正規)の労働者を雇用調整の駒として使っている。非正規の職員・従業員の比率は、特に若年層で一九九二年頃から急増し、〇七年では十五〜十九歳で七二%、二十〜二十四歳で四三%にもなっている。

派遣法は身分差
別を増大させる

 脇田さんは、「労働者派遣法を改正するに当たり、日本は最悪だという認識が必要だ。事業法的な性格の日本の派遣法を労働者法に変える必要がある。韓国の派遣法は日本をモデルに作られたが、その後ヨーロッパ的な内容に改正された」と述べ、抜本改正の柱として、次の5点をあげた。@派遣例外化、禁止業務の大幅拡大A登録型派遣、日雇い派遣、専ら派遣の禁止B均等待遇保障、差別待遇禁止C派遣先責任の大幅強化、派遣先での常用化D派遣労働者の集団的権利保障である。
 続いて、小川英郎弁護士の法改正をめぐる情勢報告(新幹線の事故のため、ファックスによるメモの内容紹介)があった。それによると、二月中旬に三党合意し、三月上旬国会上程。参議院で先に審議の予定であるという。
 このあと、四人の労働者から現場報告と多くの関係組合からの決意表明があった。その中で、会社の都合で雇用調整に使われていることへの怒り、直接雇用でも期間工なら意味がない、罰則を設けないと企業は同じことを繰り返す、派遣先の責任を問わない労働局に対する不満、裁判しない限り派遣先は出てこないという大企業の開き直り、その裏で多額の内部留保をため込んでいる企業の実態などが明らかになった。また、仕事を失うと住居も失うから、生活保護の申請しか方法はなくなる。ところが、受給者が増えたことを理由に受給の期間を三年に限定する動きが出てきているという(大阪市)。
 集会アピールを採択し、最後に閉会のあいさつをした出田健一弁護士(民主法律協会)は、「現場からの発言は、抜本改正ではなく、廃止に近いものだった。私も最初の派遣法のとき反対したが、現在の労働者の実態は制度化の当初はとても想像できかった。現政権が労政審答申のままに改正するのか、抜本改正に向け三党合意をつくるのか、現在は微妙な情勢だ。きちんとした法案をつくらせるために闘おう」とまとめをした。 (T・T)


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