かけはし重要記事

frame01b.html

もどる

                          かけはし2002.9.23号より

野宿者自立支援法成立――今、私たちは何をすべきか

大阪でシンポジウムの集い

 【大阪】九月十三日、エルおおさかで「シンポジウムの集い・野宿生活者自立支援法成立―今、私たちは何をなすべきか」が開催された。主催は連合大阪、部落解放同盟大阪府連・NPO釜ヶ崎支援機構・釜ヶ崎講座によって構成される「九・一三シンポ実行委員会」。
 司会の釜ヶ崎講座の渡邊充春さんは、「自立支援法」が国会に提出され、成立に到った経緯を振り返り、九三年に釜ヶ崎反失業連絡会(反失連)が結成され大阪府と大阪市に施策を要求して以来の運動の積み重ねと、連合大阪の取り組み等の上に実現されたこと、この法案を活用して運動を進めていくために、このようなシンポジウムを今後も開催していく計画であることを報告した。
 主催あいさつに続いて、民主党の国会議員の鍵田節哉さんが発言し、民主党が昨年法案を提出するまでに、釜ヶ崎の現場の切実な要求を反映させるように努力したこと、昨年民主党案が継続審議となり、今年与党案として再提出され、当初の民主党案になかった「公共施設の適性利用の確保」についての規定が盛り込まれたが、法案を成立するためのやむをえない妥協であり、この規定の適用によってホームレスが排除されることを防ぐため衆議院厚生労働委員会で「運用に関する件」が全会一致で決議されていることを報告した。

尊厳の回復に結びつくような運動を

 シンポジウムでは四人のパネラーが発言した。釜ヶ崎就労・生活保障制度実現をめざす連絡会の本田哲郎さんは、この法案は不安な条項も含まれているが、野宿者に対する施策が国と自治体の責任であるとして義務づけたことが重要であると述べ、「施し」ではなく労働を通じた社会参加を支援していくことが重要であり、野宿を余儀なくされている労働者たちの尊厳の回復の足がかりとなるような運動を追求したいと強調した。
 連合大阪・中小労働センター所長の要宏輝さんは、失業者が一千万人に達している(完全失業・不完全失業・フリーターを合わせた数)中で、ILOが言っている「尊厳のある労働(ディーセントワーク)」は民主主義の前提であるという観点から、連合として就労支援、「仕事起こし」に取り組んでいくと述べた。
 大阪市立大学教授で、九五年から釜ヶ崎の生活実態調査に取り組んできた島和博さんは、この法律を手放しで評価することも、完全に否定することも間違っていると指摘し、釜ヶ崎が持ってきた「寄せ場」としての機能が衰退し、労働市場の構造再編に伴う労働力政策と福祉政策の「改革」が進められようとしている中で、既存の福祉システムの限界が露呈し、行政が民間団体やNPOに頼らざるを得なくなっており、この法案を積極的に活用する可能性を考えていく必要があると述べた。
 西成地区街づくり委員会事務局長の富田一幸さんは、この法律の画期的な点として、釜ヶ崎の街が問題なのでなく、そこで生活している人間が大事だという視点に立っていることを指摘し、この法律は実施計画とセットになって初めて意味をもつと述べた。とくに、「自立支援=完全な就労」という前提で「就労か保護か」という問題が立てられていることに対し、その中間(「半就労・半福祉」)の可能性を考え出すことが重要であり、また、地域のまちづくりとの連動が重要であると主張した。

公的就労保障への予算措置を

 会場からの発言の後、四人のパネラーがもう一度発言し、それぞれの論点を具体的な課題との関連で提起した。その中で、本田さんは、昨年も三十三人(あるいは三十四人)の路上死が報告されているという状況であり、緊急の対策が必要であることを強調した。法律の理念も重要だが、現場では基本計画や予算の確保の上で具体的に実施されるのを待つことはできない、市と府に対していますぐにできることの実施を求めていくと述べた。
 最後にNPO釜ヶ崎支援機構理事長の山田実さんが、これまでの「自立支援」で実際に就労できた人はごく一部であり、その延長線上では限界があることを指摘し、公的就労の保証を求めていくこと、緊急対策として一万人の雇用のための予算措置を求めることを提起した。   (H・K)


もどる

Back