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なぜ私たちは反対するのか?              かけはし2009.10.12号

オリンピックはいらない!

国家主義・環境破壊・金喰い虫のイベントにきっぱりNO!


 十月二日、コペンハーゲンで開かれたIOC総会で二〇一六年の開催地がブラジルのリオデジャネイロに決まった。石原都知事の面子はまるつぶれだ。オリンピックはいらないと訴え続けてきた東京の仲間も現地でノーの意思を表示した。

民族差別に貫か
れた万博と五輪

 九月二十七日、東京渋谷勤労福祉会館で、「オリンピックはいらない宣言・東京」が東京にオリンピックはいらないネット主催で行われた。
 IOCは十月二日、二〇一六年オリンピックをどこで開催するかを決めようとしている。開催に名乗り出ている都市は東京、シカゴ、マドリッド、リオデジャネイロだ。招致に向けてコペンハーゲンに、オバマ大統領や鳩山首相をはじめ各国の元首クラスが集合しアピールをした。しかし、オリンピックの開催には巨額な経費が必要とされ、民族主義を煽り立てる、と問題点も指摘され、各国での反対運動も存在している。なぜ、オリンピックに反対するのか、東京開催の問題点が明らかにされるリレートークが行われた。
 最初に、小島政男さん(東京にオリンピックはいらないネット)が近代オリンピックの歴史を概括した。 
 一八七三年から万国博覧会が開かれ、それに感激したクーベルタンがオリンピックを提案し、万博の付属として開催されるようになった。一八八九年のパリ万博で、西欧の優位を示すものとして、民族にランクをつけるために植民地の人たちが「展示」される人類館が作られた。明治政府も西欧に追いつけと内国勧業博覧会を開催した。一九〇三年に、第五回が大阪で開かれ、アイヌ民族、台湾「生蕃」、琉球、インド、ジャワ、バルガリー(インドの部族)を「展示」する「人類館」が作られた。ここには、「支那」や「朝鮮」の人たちも「展示」されることになっていたが、抗議によって中止となった。「琉球」の人たちの「展示」後、抗議があり、「展示」が中止された。万博とオリンピックの関係を知ることの重要性が提起された。
 次に小山和久さん(東京にオリンピックはいらないネット)がいかに、商業主義的に変転してきたかを明らかにした。
 「現在のオリンピックの聖火リレーや十万人動員の開会式などの雛形を作ったのはナチスの行ったベルリンオリンピックだ。引き受けた都市にカネの負担がかかると問題になり、一九八四年のロス開催から全面的な商業主義・スポーツマーケティングが取り入れられた。一九八八年のカルガリー大会では、開催日が十四日から十六日になり、テレビ放映権も八四年の三・三倍になった」。
 「東京の場合、晴海を中心にコンパクトな大会ができると言われているが、実は大きなディズニーランドのようなものを作り、IOCがもうけるために、IOCが許可する以外の看板をそこに作らせないためだ。また、トライアスロンの会場のお台場の水質調査をしたがものすごく水質が悪かった。関東大地震の可能性もありこうした所での開催は問題だ」。

招致に躍起と
なる石原都政

 続いて、福士敬子さん(東京都議)が招致主体の石原都政の問題点を明らかにした。
 石原は「自分がやる」と言えば、みんながついてくると思っていたようだ。三多摩の瑞穂町議会が招致決議を上げないのに対して「ほえずらかくなよ」とどう喝した。町会に招致の署名を行ったが、何もしなかった町会も結構あったようだ。最初、国威発揚を強く打ち出したが他がついてこなかったので、五輪をやれば経済が発展すると言い出している。
 カネをつぎ込み、上から指令を出す手法を行ってきた。招致費用は五十五億円で、NPO法人・招致委員会を作り、そこが民間から四十億円を集めるようにし、税金は十五億円だけだとした。しかし百五十億円にふくらんだ。都の税金で百億円、NPOが五十億円持つことになった。このようにすべてどんぶり勘定でやられている。
 優秀な職員を五輪招致のために集めた。そのことで他の部局がしわ寄せをくっている。私たちの試算だと十五億円といっていた招致のための税金の投入は二百八億になっている。こんなムダな税金の使われ方は五輪以外にない。これで東京に決まれば、大会運営費で三千億円、関連施設の整備で五千億円にもなる。元貯木場の埋め立て地が大会会場として使用され開催されることになり、大地震が来たらどうなるのだろうか。
 私たちは電話アンケートをした。その結果は賛成二五%、反対二一%、分からないが五〇%だった。IOC評価委員が来たとき、委員のアレクサンドル・ポポフさんはこの資料を欲しいと要望された。十月二日の開催地決定に向けた会議に、「何とかして東京にこないでほしい」とアピールをしてくる。

コペンハーゲンで
反対キャンペーン

 次に、都立養護学校で働くさがやまひろこさんが、どのように学校に対して五輪招致がなされているか報告した。二〇〇七年から、ポスター、署名、旗が学校に配られ、飾られるようになった。また十四歳から十九歳までのアジアパラリンピック大会に子どもたちが観戦動員された。そこはトイレが一カ所しかなく、暑くてとてもたいへんだった。障害者学校は施設が劣悪で、職員の数も少ない。食事の質も悪い。五輪にカネを使うなら、職員を増やして、まともな食事を出して欲しい。このようなことは日本だけの問題ではなく、どこでもそうだ。五輪そのものに反対する。
 スポーツジャーナリストの谷口源太郎さんがメディアはどう報道して、どう報道していないか、検証した。五輪についてはほとんどつっこんだ取材をしていない。「朝日」は盛り上げ報道だけで一切批判がない。「毎日」だけが少し問題提起している。石原が麻生と会談し、「赤字が出た場合、国が保証する」と取り付けた。しかし、「これは国会決議がなければ、憲法違反にあたるのではないか」と指摘した。それに対して、都は「毎日」に「五輪開催に反対するのか」とどう喝した。テレビは新聞以上に最悪で一切批判するなとなっている。
 東京招致の問題には二つある。一つ。石原はアジア蔑視の差別主義者だから、アジアの票はもらえない。皇太子を使おうとしたが拒否された。最後に鳩山頼みだ。二つ目。猪谷千春IOC副会長のスキャンダル。不透明なカネの流れの問題でトライアスロン大会の会長を下りた。それに女性問題で連れ合いから離婚問題を突きつけられている。十月二日まではこの問題はおさえろとなっている。
 「国の保証問題」について、ネットでは民主党に質問状を出したが、民主党の回答は、麻生内閣の対応に対して、良いとも止めるとも言わない、あいまいなものだった。今まで巨額の放送権料が運営費にも回されたので、赤字になったことがないが、インターネットで見て、本放送を見ないというようなこともあり、放送の力が落ちているので、二〇一六年開催時には、赤字も出る可能性があるという指摘があった。
 最後に長野冬季オリンピックに反対する活動を続けてきた江沢正雄さんが長野の経験を報告した。長野では、招致費は五億円の予算を立てたが実際は二十五億円かかった。東京都はすでに二百八億円かけているというのに、なぜ都民は怒らないのか。東京もそうだが、長野でも特別会計をつくらなかった。どこからどこまでが五輪会計なのか捕捉できないようになった。一兆七千億円の借金が残った。商店街はガラガラでシャッター通りになってしまっている。せっかく作ったスキー場が今では国際大会費が払えず使えない。五輪ではカネもうけはできない。五輪は外国人労働者を排除し、自然を破壊し、人権侵害を起こし、自治体を破壊し、平和に役立たない。
 オリンピックいらない宣言・東京(別掲)を採択した。四人がコペンハーゲンに行き、オリンピックは東京にいらない、世界どこにもいらないアピールをし、シカゴなど世界で反対している人たちとも交流してくると決意が述べられた。(M)


オリンピックいらない宣言・東京

 私たち「東京にオリンピックはいらないネット」は石原慎太郎都知事が2016年オリンピックを東京に招致すると発表してから発足し、約3年活動してきました。
 なぜ東京にオリンピックなのか、なぜ都民に民意を問うことをしないのかという問いから運動は始まり、これまで「誰のためのオリンピックなのか」を明らかにしてきました。

 東京都民は東京でのオリンピック開催に必ずしも積極的でないことは、IOC自身の二度にわたる調査でも明らかでした。その調査内容は、東京招致に賛成は55・5%。反対は他の候補地をはるかに上回る23・3%もあったのです。私たちの調査では賛成と反対がほぼ同じで、むしろ無関心が多数だったのです。
 無関心の理由は、都や招致委員会が語るオリンピック招致の理念(平和や環境など)を都民がウソっぽいものとして捉えていたからに他なりません。招致の目的はオリンピック・ムーブメントに賛同するからというより、巨大開発、都心の再開発という実利を得るためであることが誰の目から見てもハッキリしていたからです。
 また石原都知事(招致委員会会長)が「国威発揚のため」と明言したように、ナショナリズムを鼓舞するためのオリンピック招致でもありました。石原都知事が当初より招致活動の顔として皇太子(夫妻)を引っ張り出そうとしていたことも、皇室を利用するというだけでなく国家元首として振舞う天皇制の強化を視野に入れたものと言えます。
 オリンピックの招致予算は当初55億円、うち都の負担が15億円と公表されていました。それが立候補ファイルの中では都負担が31億円に膨れ、やがて招致予算総額は150億円で都の負担が100億円に。それでも収まらなくて現在では総額208億円を越し、都の負担は158億円にもなっています。オリンピックに関しては当初の予算があってなきがごとしです。
 都民の合意形成もないまま、支持も実はそれほどないまま、湯水のように税金を浪費し続けてきたオリンピック招致活動です。

 私たちはこの問題と取り組み、2010年バンクーバー冬季大会に反対する人々との連帯集会を通して、国際オリンピック委員会(IOC)がコマーシャリズムを最大限に利用して肥大化し、もはや拝金主義に大きく支配されていることを知りました。またIOCは国際的な人類の平和を謳い上げながら、ナショナリズムを最大限に利用していることも知りました。

 私たちは、オリンピックは東京にいらないという主張と共に、オリンピックは世界のどこでもいらないという主張をし始めています。このままIOC、オリンピック・ムーブメントが自己変革しないならば、やがて世界のどの市民からも支持されなくなる日がやってくるでしょう。10月2日、IOCが2016年大会をどこで開催すると決めても、私たちはオリンピックに反対していきます。そこにはオリンピック・ムーブメントに食い物にされる大勢の市民がいるからです。

オリンピックはいらない!
東京にオリンピックはいらない!
世界中のどこでもオリンピックはいらない!!
2009年9月27日
東京にオリンピックはいらないネット



意見書
ピッツバーグ・サミットでの日本
政府代表のポジションについて

2009年9月18日


内閣総理大臣鳩山由紀夫様
「国家戦略室」担当大臣菅直人様
金融担当大臣亀井静香様
財務大臣藤井裕久様
外務大臣岡田克也様

意見書

 現在の経済不況からの回復を議論するため、きたる9月24日、25日、米国ピッツバーグにおいてG20金融サミットが開催され、そこに日本からも新政権の代表者が参加する見込みです。私たちはこの経済危機に対して各国首脳が協議することは有益であると考えますが、経済のグローバル化、マネーゲームのつけが回されたことによる今回の金融・経済危機に対して、根本から経済社会構造を問い直すことなく、取り繕う政策を掲げるだけでは問題の解決にはならないと考えます。以下の諸点を考慮したうえで、金融サミットに臨まれることを求めます。

1)今回の金融サミットでは世界各国の景気回復の現状認識が議論され、各国の景気回復策の協調が検討される。そこでは各国の財政支出が必要だとし、そのために、財政を拡大し、大企業を支援したり、金融支援を続けるなどの景気刺激策の継続拡大が論じられよう。しかし、日本において、赤字国債の増発や税金のアップにつながり、雇用や社会保障問題への対応が後回しとなるようであれば問題である。予算の公平性、透明性の確保の点からも労働者・市民・中小企業者らの声を吸い上げてこの問題にあたるべきである。

2)IMFや世界銀行、アジア開発銀行などの機能強化が論じられているが、これまでこうした国際機関が途上国での開発と引き替えに債務問題を引き起こした元凶であったことを指摘し、貸し手の側の責任も踏まえ、債務帳消しを含めた、あるべき支援措置を検討するよう問題提起すべきである。

3)金融機関や大企業の不良債権処理を進めることの正当化のために、金融機関の役員報酬に関する規制を行うことが論じられよう。マネーゲームを再び行わせないためにも、役員報酬の公開と厳しい規制を進めるべきである。そしてなによりもこの問題においては、金融工学にもとづく金融商品の市場を批判的に分析し、今後のあるべき市場を検討する必要がある。

4)金融サミットでは、9月5日まで開かれたG20財務相会議の結論を受けて、銀行の自己資本比率なども論じられよう。しかし欧米と日本の金融機関のヘゲモニー争いに他ならないこのような議論を行う前に、タックス・ヘイブン規制の実効性確保、ヘッジファンド規制の厳格化、「通貨取引税」の実現、など、マネーゲームを生じさせないための本質的な問題を日本政府代表が取り挙げ、議論をリードすべきである。

5)G20サミットでは「保護主義を排しWTOやFTA/EPAによる貿易自由化論を経済回復の手段とする」と位置づけているが、これは大きな間違いである。GATTウルグアイラウンドの検証、WTOドーハラウンドの影響を検討し、各国の農業や中小企業、地域の人々にとってどのような貿易ルールが必要かを国民的に議論する必要がある。

6)総じて、構造改革、市場万能論として現れた新自由主義的政策は今、見直されつつあるが、その方向性は産業界と国家が一体化した経済・金融政策として再登場している。根本的転換が必要である。それは、これまでの金融財政下支え・刺激策を通じた景気回復の道ではなく、また環境破壊や気候変動をもたらしてきた大量生産・大量消費の経済システムの維持ではなく、地球環境と人々の必要に応じた労働と生産を実現する経済システムに向けた転換である。地域主義や食料主権など経済の民主主義を実現する第三の道を提案する必要がある。

7)またG20サミットそのものが世界の一部の国による会議であることを鑑みて、この会議そのもののあり方を見直し、これまで参加できなかった途上国の国々の参加、市民団体などNGOのオブザーバー参加など、6月に開催された「世界金融・経済危機と開発への影響に関するハイレベル会合」のように、金融危機で最も被害を受けた人々の意見を聞くというあり方を前提にすべきである。

「G20金融サミットに対する意見書」賛同団体・賛同者(順不同)

「団体」:
WSF2010首都圏実行委員会
NPO法人日本消費者連盟
脱WTO/FTA草の根キャンペーン
すぺーすアライズ
ATTAC Japan(首都圏)
アジア農民交流センター
「個人」(略)
連絡先:NPO日本消費者連盟東京都新宿区西早稲田1―9―19―207


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