| JRの安全とコンプライアンスを問う集会 かけはし2009.7.20号 |
犯罪の責任を取らない経営者を
追及し一〇四七名問題解決を |
即時政治解決
をかちとろう
七月九日、東京しごとセンターで「JRの安全とコンプライアンス(法令遵守)を問う集会」が国鉄闘争共闘会議・原告団中央協議会、協賛・後援:週刊金曜日、JRウォッチ、ノーモア尼崎事故キャンペーンで行われ、百六十人が参加した。
まず、国鉄闘争共闘会議・二瓶久勝議長が主催者あいさつを行った。
「今年一月から六月まで、大衆闘争と裁判闘争の両方を全力で闘った。その結果、2・16集会には、当時幹事長で現在の民主党鳩山代表が参加し解決に向けて全力を尽くすと表明した。また、与党の公明党も参加して一〇四七名問題は解決しなければならないとした。鉄建公団の控訴審判決の出る前に政治解決しなければならないと与野党に詰め寄ったが最終的にはそうならず、3・25判決が出た。控訴審判決は一審よりも不当労働行為を踏みこんで認めた。さらに、政治解決に向けて努力するようにとする異例の裁判長コメントが出された。この判決は国鉄分割・民営化の国策に不当労働行為があったと認め、官僚に打撃を与えた。この結果、判決後自民党に対応窓口ができた」。
「何回か自民党に呼ばれてこちらの意見は出したが、まだそれに対する返答はない。衆院選の前は解決できない。衆院選後の政権の枠組みでの解決になろう。こうした局面を切り開いたのは闘いの成果であり、相手を追いつめたからだ。ここをしっかり押さえておく必要がある。今後、@一〇四七名問題は人権問題だA政局に関係なく、全政党の合意に基づく解決を求めていく」。
続いて、鉄道運輸機構訴訟控訴審第四回があり、萱野一樹主任弁護士が裁判報告を行った。
「一審は時効で切られて敗訴した。他の裁判判決は最高裁判決があった二〇〇三年からとしているので、これを求めていく。不当労働行為と採用差別との因果関係がないとした鉄建公団訴訟控訴審判決をひっくり返すことが重要だ。このために、国鉄改革法二十三条を作ったJR西日本の井手正敬元社長などを証人喚問したい。鉄建公団訴訟は七月二十一日に上告理由書を提出する。いよいよ最高裁での決着の時がきた。鉄運機構も同じ内容の裁判なので、最高裁闘争と一体として闘っていきたい」。
信濃川発電所
不正取水問題
次に、本題の「JRの安全とコンプライアンス(法令遵守)を問う」講演会に入った。
最初に、信濃川発電所でのJR東日本不正取水問題について、JRウォッチの仲間ら十三人が六月八〜九日、十日町を訪れ、告発した地域の住民たちとの交流・現地報告をビデオ上映し、ビデオプレスの松原明さんが現地調査報告を行った。
JR東日本は計器を改ざんし、二十年以上にわたりJR信濃川発電所で大量の取水を行っていたことが地元の議員などの告発によって明らかになり、国交省から取水をストップされる処分が下された。
「一九八五年、旧国鉄は毎秒最大三百十七トンまで認める水利権を得た。地元は七トンしか使えず、六十キロにわたって渇水になってしまい、川は枯れてしまった。魚が住まず、ウジがわくほどになってしまった。国宝の縄文土器が出土しているように、鮭が遡上する豊かな川があったからだ。人口六万人の内二万人がひとり暮らしというように過疎化が進んでしまった」と現状を報告した。そして、地元住民が「首都圏の電車が動く発電は信濃川ダムと川崎の火力発電で七〇%をまかなっている。信濃川ダム問題は首都圏に住む人々の問題でもある」と指摘した。
さらに、松原さんは「今回の問題は現場で働く何百人かの労働者は分かっていた。なぜ、組合が内部告発しなかったのか。国労の組合員もいて、問題にしたらしいが握りつぶされたようだ。今回、JR東は謝罪しているがだれの責任で、なぜ起こったのか、チェック体制はどうだったのか、という問題を明らかにしていない。重大な問題なので追及していきたい」と述べた。
尼崎事故から
見る安全問題
次に、鎌田慧さん(ルポライター)が「痛憤の時代を斬る」(別掲)、安田浩一さん(ジャーナリスト)が「JR西日本、尼崎事故から見る安全問題」と題してそれぞれ講演を行った。
安田さんは最近中国に行き、日本へ労働者を輸出するための「学校」を視察したという。そこの校長は中国の輸出品は労働力であると言い、その学校では腕立て伏せ、マラソン、行進訓練を行っていた。根性と忍耐力を作るためだという。そうした労働者が日本の企業に喜ばれるのを分かっているからだ。
JR西日本の社長は起訴されたが、井手正敬など他の最高責任者は起訴されなかった。井手は横綱審議委員会のメンバーである。横審は「日本で唯一品格を必要とする組織」だという。尼崎事故が起きた直後に井手に取材に行った。井手は「一部の人間が騒いでいるだけだ」と答えた。JR西日本の広報室の立派な本棚には『井手正敬小史』がズラリと並んでいる。こうした企業文化が問われている。
国鉄改革法二十三条を作った高松高裁判事であった江見弘武はJR東海会社の監査役に天下ったが、その前に一年程、百人ほどの弁護士を抱える大規模な大江橋法律事務所に席をおいた。この法律事務所は宮崎日弁連会長、石川JR西日本取締役、パナソニックの顧問弁護士の塚本によって設立された。
この連中はJRの負の遺産を民間企業に押し付けた。パナソニックは「破壊と想像」といって一万三千人の首切りを強行した。JRの手法である分社化を行い、いったん会社を止めさせ、パナソニックビジネスサービスに転籍させた。この会社は販売パンフレット制作や保安・警備、タクシー配備などを行う。労務コストを下げるとして、五十〜六十歳まで年収三百万円、六十〜六十二歳は二百四十万円。なぜ、こんなに低賃金なのか。それはパナソニック水準に合わせるのではなく、職種の業界水準に合わせたからだ。
反対社員をどうしたか。スキルチェンジと称して「変身大学」をつくり、そこに隔離してごみ拾いなどをさせた。吉岡さんは偽装請負を告発し、高裁で勝利判決を勝ちとり、直接雇用されたが五カ月で雇い止めされた。そこでもまた、吉岡さんは黒いテントに押し込められ、しゃもじと竹ぐしでディスプレイのゴミを落とす作業を強制された。キャノンも告発すると隔離され、使い捨て労働が行われた。これらは国鉄の人活センターと同じだ。
こうしたことは企業の質をも落としている。キャノンの一眼レフデジタルカメラで、二〇〇五年製の十二機種のうち五種で不具合が起きている。非正規が七割の大分工場で作られている。技術の継承がなされていないのだろう。これは航空業界でも同じで、整備会社はすべて子会社化し、それも海外で行っていてトラブルが続出している。
JR尼崎事故で事故の責任は百パーセント当社だと言っているJR西日本は遺族に説明をこばみ続けている。許し難いのはJR西の体質を作ってきた井手が遺族に一度も会っていないことだ。遺族藤崎さんは検証委員会を作ろうと提案している。JR西はこれに応えるべきだ。そして、民営化と安全の問題に踏み込むべきだ。
安田さんは最後に「事故の責任は会社とともに労組にも問われている。社会的存在の労働組合が市民の目線で考え、企業の責任を追及できるかだ」と結んだ。
鉄運機構訴訟川端代表が「今日の講演を聞いて、企業のチェック体制を労働組合が責任を持つという意味からも、一〇四七名問題を勝ちぬかなければならない。鉄建公団訴訟では、最高裁に向けた署名も始める。今後ともご支援を」と最後のまとめの発言をした。政府や政治、そして裁判所は一〇四七名解雇問題を解決せよ! (M)
鎌田慧さんの講演から
犯罪行為ただす
労働運動の責任
今回、JR尼崎事故の責任を問われ、山崎JR西日本社長が起訴された。社長が事故の責任を追及されることは今までなかった。三井三池炭鉱の事故でたくさんの労働者が死んだがそれでも社長は不起訴になった。今回は有罪を立証してほしい。
私は一九五八年に印刷会社で働いていた時、首切りにあったが組合に入り闘った。あの当時、労働者は人間として扱われていなかった。権利獲得のために労働者は闘った。しかし、三池労組の宮川組合長の奥さんに一九八〇年代の初めに会った時、「かつて労働者が男工、女工と差別された時代があったが、そうした時代に戻っていきますね」と言われたのが印象に残っている。
日本製鋼所の脱税が明らかになったが、かつて兵器産業会社で、日鋼室蘭闘争が起きた会社だ。希望退職というが、御用組合と会社はあらかじめ部署で何人首を切るかきめていた。もし希望退職に応じなければ、首と同じ開発センターに行けとなる。面接してその通りになった。最近は希望退職とも言わない。国鉄のやった人活センターと同じだ。労組が対峙していなく、チェック機能が働かなくなった。何の歯止めもなく企業が堂々と犯罪を犯す。経団連の会長を出しているキャノンの偽装請負が明らかになった。大企業は法を遵守していない。
こうした背景には、小泉・竹中路線があった。二〇〇四年に製造業派遣が解禁された。小泉は年金未納問題を追及されると「人生いろいろ」と好きなようにやってよいと逃げた。秋葉原事件、パチンコ事件、職安職員への放火など社会の不安を作ったのは小泉・竹中路線だ。
犯罪企業は市民社会から排除され見捨てられる。市民的価値観と一体となって企業犯罪を追及できるような労働運動が必要だ。パイのおこぼれをもらう労働運動ではなく、人間を搾取しない、差別しないという理想や理念をもった労働運動の再構築が問われている。JRの犯罪的行為をただしていく労働運動を。(発言要旨、文責編集部)
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