| 10.24中央大集会に結集しよう かけはし2008.10.13号 |
佐久間誠さん(鉄建公団訴訟原告団事務局長)に聞く
不当労働行為の責任を政府に取らせるために攻勢的闘いを |
今こそ政治決断を!JR採用差別問題の解決要求実現をめざす中央大集会が十月二十四日、日比谷野外音楽堂で、4者・4団体の主催で開催される予定である。一万人を集めて解決に向けた大きなステップとしたいとしている。主催者のひとつである鉄建公団訴訟原告団事務局長の佐久間誠さんに、取り組みの現状、今後の闘いの展望について聞いた。(編集部)
運動を積み上げ
新局面切り開く
――今年、上半期の闘いの到達点は?
上半期は一月二十三日、一部不当労働行為を認めた全動労判決、三月十三日、鉄運機構訴訟が時効によって敗訴した。それから首切り二十一年目ということで、中野ゼロホールで、怒りの2・16集会を開催。七百人を集めて成功させた。
三月二十六日から国交省前で、夜通しの五十五時間連続座り込みをやった。これに連動して、兵庫や大分、大阪で四十八時間ハンストということで、それぞれ原告はがんばってきた。五十五時間連続座り込みを夜通しやるというのは初めての経験だった。かなりインパクトがあった。カンパも二十四万円いただいたり、炊き出しなど温かい差し入れをいただいた。延べで八百人ぐらいの人たちが交互に座り込み激励してくれた。
四月、六月、七月とそれぞれ控訴審の裁判で重要な証人尋問があった。四月は金平証人(元旭川地方本部副委員長)、六月はJR東海会長の葛西、七月は嶋田証人(元国労本部副委員長)。その間に、JR東日本の株主総会へむけた闘い。原告と支援の仲間たち百人で、株主総会への駅頭宣伝や株主としての権利の行使で闘った。
これらの到達点として、三月の院内集会で民主党の鳩山幹事長が「党として、一〇四七人解雇問題を解決するために、支えていきたい」と発言し、オール民主党が支援する構図ができあがった。前半戦を全力で闘った成果として、こうしたところにつながった。法廷闘争のところでは、葛西尋問が実現したことはかなり大きなポイントとしてある。葛西クラスの人が裁判に出てくることはなかった。
そして、七月十四日、控訴審の時、南裁判長が「ソフトランディングしてはどうか」という提案をした。これも偶然起きたことではなくて、こちら側の働きかけによって政治を動かした結果として、南裁判長の発言があった。運動の積み上げによって切り開いてきた局面だ。運輸機構側は頑なだが、これはもうダメになったということではなく継続している。
尼崎事故とJR
西日本幹部送検
――鉄運機構訴訟で一審敗訴となった原告団、あるいは9・15鉄建公団訴訟でも、一部原告が敗訴しました。訴訟原告団の団結を維持するためにどのような工夫がなされていますか。
9・15鉄建公団訴訟判決では、五人が完全敗訴だった。第一次原告としては遺族も含めて三百四人いる。五人は処分歴であったり、年齢であったり、広域辞退者であったりという理由によるものだ。しかし、みんなで闘ってきた成果であるということで、扱いは平等にした。差別なくやっている。二次訴訟については、訴訟は別だが二〇〇五年九月から運動と財政を一体化した。鉄運機構訴訟団と鉄建公団訴訟団は両者で原告団中央協議会をつくってやっている。
―― 鉄建公団訴訟では六月二日に、国鉄分割・民営化の張本人の一人、JR東海会長の葛西尋問を勝ちとりました。この意義はどうですか。波紋とか、エピソードなどありますか。立山学さんが「労働情報」(9・15号)に、「兵庫県警が、福知山線脱線事故で、現JR西日本社長の山崎正夫など十人の経営者幹部を業務上過失致死傷容疑で、九月中にも書類送検する方針を固めた。このことと葛西尋問がJR経営幹部にショックを与えている」と書いています。このあたりもどう考えていますか。
もうけを第一義に追求しているJR西日本の経営の根本的誤りのところに、メスが入ったということだと思う。国鉄改革三羽がらすと言われている葛西、井出、松田。これを踏襲しているのが西日本の現経営幹部だ。
裁判所が葛西を証人として尋問をしなければならないところに立ち至ったのは民営化の負の部分として一〇四七人解雇問題を見ているからだ。根底には負の部分をこのままにして置けないという社会全体の雰囲気もあったからだと思う。
――郵便局の民営化が進められているが、地方局の廃止や統廃合が進み、地域が切り捨てられている。国鉄のローカル線が切り捨てられたと同じことが起きている。もし、野党が総選挙で勝ち、政権についたら、大幅な見直しが行われるだろう。公企体の民営化の負の部分は大きな問題となっているが。
小泉も引退するとテレビ報道があったが、小泉構造改革がもたらしたものが、現代の格差の広がりに結びついている。労働者の権利の総破壊が国鉄改革を中心に押し進められてきて、現在の疲弊した社会になった。ワーキング・プアだとか、そういう社会現象としても現れている。リストラ、首切り、あるいは秋葉原の殺人事件にも見られるように、労働者の権利の底が抜けてしまった。
ギリギリのところで攻防して守ってきたものが壊された。際限なく労働者が資本に隷属するような働かせ方になってきている。若者には職がない、年寄りは捨てられる、儲けは一握りの企業だけが独占というように、社会そのものが壊れてゆく危機的状況までに至ってしまった。
官僚機構の壁を
突き崩す可能性
――昨年末の薬害C型肝炎訴訟も最後的に裁判所の和解勧告を政府が受け入れて、勝利的和解を原告が勝ちとった。国鉄闘争で、今回南裁判長が和解の話を出してきたのは、重要な局面だからと思いますが。
総選挙が終わった後に、一定の政局の安定状況が出来てくると思う。そうなってくるとこの問題が本格的に浮上してくる。政治が主導して、解決に結びつけていく。そうした時期が生まれると思っている。結局われわれの問題というのは、国鉄改革法23条がつくられて、悪法も法なりと言われるように、そういうシステムの中で、やられている問題であるだけに法律上の限界がある。われわれは雇用・年金・解決金、そして路頭に迷わない生活を求め、これを満たすような解決でなければならないと要求している。
南裁判長がいかに男気を出してがんばってみても限界性がある。特に雇用や年金の制度上の問題に壁がある。これらを満たすものを判決の中で出すというのは、かなりむずかしいことだ。例えば、二〇〇三年十二月のJRを相手とした不採用事件の最高裁判決で、「JRに法的責任なし」というのが出された。したがって、法的には直接JRに戻る道は遮断されている。
だけれども、人権上・人道上の問題がある。しかも組合差別をしないだとか、「一人も路頭に迷わせない」とか、民営化にあたって国会答弁していることをことごとく破った。その結果として一〇四七人解雇問題が起こった。やってはならない不当労働行為を彼らはやった。だから、政治のところも無視できないことから、冬柴発言にもつながった。
――南裁判長が和解したらどうかとの発言とそれを受けて冬柴国交相が解決にむけて努力すると発言した。運輸機構側、運輸省官僚はどういう態度をとったのですか。
冬柴さんはもうやめていく人という官僚の見方があったのではないか。だから運輸機構が、要請に行った時「冬柴大臣の個人的発言だろう」と言い放った。以前は運輸機構としては政治が判断すれば言うことを聞くということだったが、冬柴発言の後の要請では「機構を代弁しているのは西代理人だ」と言った。後ろ盾としてついているのは西弁護士。それはおのずと国交省の官僚と連携している。いかに大臣が発言しようとそんなことは聞くことはないという不遜な態度だ。
後任の中山国交相が「暴言」によって、在任わずか五日間で辞任した。成田空港問題や、日教組などを口汚くののしる姿にはびっくりした。中曽根はマスコミを使って国労攻撃をしたが、中山国交相の暴言は直接の発言であり、「日教組憎し」「日教組潰し」を意図的にあおるものであり、とてもまともな感覚とは考えにくい。こうした政治家が大臣ポストに就くから政治家は官僚にナメられる。霞が関の官僚支配については、与野党の別なく官僚にしばられる体質を壊していかなくてはならないと言っている。ある意味では私も同感だ。
踏みつけられた
人びとの連帯を
――汚染米事件でも、農水省に責任はないとすぐ責任を回避し、事業継続しようとする官僚体制のどうしようもない問題が明らかになって、大きな批判をあびている。ところで国鉄問題で何らかの解決をしなければならないという官僚はいないのだろうか。
いかに安くあげるかということでしょう。しかも国策でやったから、国が傷を負ってはいけない。やってはならない不当労働行為をやったでは許されない。これが官僚の立場です。ところが、それが裁判で一部とはいえ認定されてしまった。だから、このままでは終わらない。
それともう一つ。官僚の中には責任をとらなければならないとか、どこかに着地をしなければならないというイニシアチブをとって自分がそれを収めるという人がいなくなってしまっている。みんな責任はたらい回しで他人の責任にして、総無責任状態というのが、官僚の中にはびこっている。
だからいろんな問題が吹き上がっている。居酒屋タクシー、社会保険庁の履歴の改ざん問題など。汚染米問題も検査する人をわずか三百人程度しか置いてない。新自由主義経済システムになって、輸入をどんどん増やした。しかし整備しなければならないところにカネを使わない。安全面とか、一番危険な目に合わされているのが国民です。もっと大きな声をあげなければならない。
――10・19反貧困・世直し一揆明治公園一万人集会が予定されています。10・24国鉄大集会へとつなげるようなことを考えていますか。ワーキング・プアをつくりだしてきた派遣法の抜本改正の運動も政治課題として重要な課題となっています。こうした動きとの連携も考えていますか。
反貧困集会について、賛同するということで原告団、共闘会議が名をつらねた。一方で10・26団結まつりで、反貧困ネットの方が賛同してくれるという相互の連携をとっている。特に前夜祭でそうしたこともテーマにしている。
権利をはく奪されている者、社会的に踏み付けられている人々とちゃんと手を結んで、今の社会のひずみをただしていく。そういう運動にともに手を携えて立ち上がることが必要だ。
意識的に取り
組む国際連帯
――韓国シチズン精密労組やフィリピントヨタ労組への支援など、国際連帯行動にも国鉄闘争団は積極的に関わっていますね。こうした自分の争議課題だけでなく、幅広く、いま必要とされている闘争課題に積極的に取り組む姿勢に、高い評価がされています。こうした点について一言。
そうですね。意識的に連帯行動を行っています。ただ、常駐者は限られているので、全部責任をもって担うことはできないにしても、任務分担をして可能な限り連携して運動の支持の輪を広げていく。韓国シチズン精密労組も約半年の戦いで勝利解決したことを喜んで帰っていった。うらやましく思いました。国際連帯、労働者連帯をわれわれは積極的に可能なかぎり連携していくという視点で闘っています。
――韓国の労働者たちも二十二年間の争議で闘っていることに驚き、敬意を表していた。
われわれは国相手だから、なかなか大変なことで、民間になったといってもJRも運輸機構も国のカネを使いながらやっている。JR北海道、九州、四国、貨物会社は株を上場できていない。民営化になったといっても、そういう状態だ。対応が非常にかたくなだ。
――鉄建公団訴訟控訴審の結審が十二月二十四日となりましたが、判決はいつ頃ですか。
10・241万人
集会の成功を
判決はおそらく三月だろう。判決ギリギリまで政治和解について求めていく。雇用の面まで担保していくとなると、政治を大きく動かしていかなければ解決できない。
――内閣改造と福田の突然の辞任、自民党の新総裁選、解散総選挙が早期に行われることになった。この政治的な動きについての評価と闘いについて。国鉄闘争にとってどのようなことが考えられますか。
間違いなく、自民党は議席を減らす。同時に最大野党の民主党は議席をのばすと思う。したがって今よりは好転する。これまで到達した点をさらに押し広げていく。
――最初は十月集会ではなく、十二月集会を予定したようですが。
裁判の進行状況と政治の流れを見た時に、十二月では遅い。とりわけ十二月になると鉄建公団訴訟が結審になってしまう。その前に大きな集会をぶつけて、政治を大きく動かしていこうと考えた。着地点を見い出すという意味で十月集会を決めた。結局総選挙で、政局が動かなくなった。その意味で十月は総決起集会になる。
――10・24に一万人集会を予定されていますが、意気込みや準備状況はどうですか。
「今こそ政治決断を!JR採用差別問題の解決要求実現をめざす10・24中央集会」と銘打ち、日比谷野外音楽堂に全国から一万人の大結集をめざす。この集会が成功するか否か、その帰すうは、国鉄闘争の最終段階の局面を規定する重要な尺度となってくる。
したがって、失敗は許されない。大成功させる。そのために、国鉄闘争に関わっていただている一人ひとりの力を最大限発揮していただき、十月二十四日には、日比谷を揺るがすようなエネルギーの総結集を図ってほしい。
この中央大集会には、これまで熱心に国鉄闘争を応援いただいている皆さんや、貧困・格差・人権問題などで活躍されている十人の著名な学者、文化人の皆さんに呼びかけ人として名を連ねていただいた。雨宮処凛さん(作家)、片岡ュさん(京都大学名誉教授)、鎌田慧さん(ルポライター)、神田香織さん(講談師)、佐高信さん(評論家)、下山房雄さん(九州大学名誉教授)、芹澤寿良さん(高知短期大学名誉教授)、塚本健さん(東京大学名誉教授)、中山和久さん(早稲田大学名誉教授)、萬井隆令さん(龍谷大学法科大学院教授)たちだ。
北見出身の中野勇人原告が八月中旬、九州で飛脚キャラバンをやり、九月には京都三条大橋から出発し、九月十二日に日本橋にゴールした。キャラバンでいろいろ訴えた。地域集会もやった。また別立てで全国連鎖集会も行っている。今のところ六十カ所ぐらいです。おそらく、集会までには全国で百カ所ぐらいになると思います。
集会当日は、午後から「国鉄総行動」を組んでいる。家族・遺族も上京し鉄運機構への要請行動などを行う。十月二十五日(中央団結まつり前夜祭・東京しごとセンター)、十月二十六日(中央団結まつり・亀戸中央公園)へ連動する。中央集会を成功させるために、原告団は過去最大の上京体制をとる。もてる力を総動員し成功させようということで、全力をあげているところです。勝利解決にむけてがんばります。仲間の皆さんのご結集をお願いします。
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