かけはし重要記事

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三里塚                        かけはし2002.4.8号より

4・17〜18東峰現地連続行動へ

人権破壊・環境破壊・農業破壊の暫定滑走路の供用開始を許さない

 政府・空港公団は、四月二日午前、暫定滑走路供用にむけたジェット機騒音テストを強行した。この騒音テストは、十八日の供用を目前に迫っているにもかかわらず断固として反対を貫く東峰住民や闘う三里塚農民の存在にターゲットを絞った追い出し攻撃として行ったのである。公団は、昨年十月十五日からのYS\11を使った東峰住民の頭上四十メートルのテスト飛行に引き続き、新たな犯罪を繰り返した。このような政府・空港公団による東峰住民、三里塚農民に対する人権・農業・環境破壊を絶対に許さない。
 この日のテストは、日本航空の中型機ボーイング767型機と全日空の小型機エアバスA320型機を使ってA滑走路離陸後、暫定滑走路の飛行コースに入り、着陸・離陸をしないで高度百五十メートルで通過するというものだった。三里塚・暫定滑走路に反対する連絡会議の騒音調査結果は、東峰地域で日航機が93デシベル、全日空機が83デシベルだった。電車ガード下並みの騒音公害だ。公団は、空港周辺自治体からの「実際に飛ぶ航空機で、ぜひ騒音テストをして欲しい」という要望に応えるということで騒音テストを行ったと言っている。だが、たった二回だけ飛行し、高度百五十メートルで通過するだけのテストを行ったのは、ジェット機騒音の予想以上のうるささの発生によって供用開始前に一挙に周辺住民の抗議が拡大することを最小限に押しとどめようとしたのである。
 こんなインチキなテスト飛行でなんとか騒音公害問題を乗り切ったとしても、供用後の毎日約百八十回、朝六時から夜十一時までの連続的な離発着飛行を繰り返せばジェット機騒音問題が重大な人権・空港公害問題として浮上せざるをえない。東峰住民の闘いに連帯し、暫定滑走路飛行コース下の住民の抗議と結びついていくことも射程に入れながら騒音公害問題を大きくクローズアップさせ、暫定滑走路供用中止運動を取り組んでいかなければならない。
 公団は、三月に入ると一斉に暫定滑走路供用開始キャンペーンを開始した。中村公団総裁は、「用地の取得については、地域との共生を念頭に努力し、結果、二千百八十メートルの暫定滑走路の新設に至りました。今後はこの滑走路を二千五百メートルまで延ばすことが大きな課題です」(朝日新聞、3月13日)と述べ、「共生」と称して地元利権屋集団を動員して東峰住民を追い出し滑走路完成をめざしていくことを表明した。
 また、成田商工会議所の平山は、テレビインタビュー(3月27日)で「本来の二千五百メートル平行滑走路ができたら、北に延ばした部分とつなげて三千三百メートルの滑走路にして長距離便も使えるようになれば成田空港の使い勝手は非常によくなる」と公団の本音を代弁し、忠実な先兵として東峰住民に対する追い出し攻撃を強化していくことを強調した。
 さらに、公団と一体となった地元利権屋集団とともに空港建設をバックアップしているのがマスコミだ。一貫して東峰住民の存在や騒音問題について冷淡な報道を続けている。例えば、三月二十九日の朝日新聞は、暫定滑走路南端から約七百メートルのところにある滑走路用地の「飛び地」にジェット機が誤って着陸しないために塗装やネット張り工事をしている写真報道をした。暫定滑走路の南端には、明らかに東峰住民の家屋、鶏舎、木立などがはっきりと写っているにもかかわらず、逆に「反対派地権者の合意が得られず」滑走路が北にずれたため「飛び地」ができたと述べ、供用開始キャンペーンに加担しているのだ。
 このような公団・地元利権屋集団・マスコミが一体となった暫定滑走路供用開始キャンペーンに抗して闘いぬく東峰住民、三里塚農民と連帯し、ともにはねかえしていくために四月十七日、供用セレモニージェット機飛行阻止闘争、十八日の供用開始阻止闘争への結集を訴える。
 政府・公団は、十七〜十八日の供用開始日を一大イベントとして繰り広げ、東峰住民の人権・農業・環境破壊という犯罪を徹底して隠ぺいしようとあらゆる策謀を行ってくるだろう。成田市観光協会と平行滑走路早期完成促進協議会は、供用開始セレモニー後の正午に暫定滑走路を使って鹿児島へのチャーター便の飛行を強行する。また、「女性パイロット六人、軽飛行機で韓国目指す」と称して暫定滑走路を使うコマーシャルを行っている。われわれはこのような東峰住民や三里塚農民の抗議を無視したセレモニーキャンペーンを許さない。政府・公団らの犯罪行為を徹底的に暴きだしていかなければならない。
 次に重要な取り組みは、供用開始が東峰住民、反対派農民追い出しを優先しているために、安全性を極度に軽視した欠陥空港状態にあることを明らかにしていくことである。
 主だった欠陥だけでも次のようなことが上げられる。第一は滑走路が二千百八十メートルのためにジャンボジェット機が使えず、中型ジェット機しか使えないこと。第二は、誘導路が「への字」に曲がっていているために自走機が直進しているように見えてしまう危険性。このような離発着時の変則運用のためにパイロットの判断ミスの危険性。第三は、反対派の島村昭治さんの立ち木が進入表面上に一メートル突き出ている状態であること。第四は、管制塔からジェット機が視認されなければならいのが国際基準であるにもかかわらず三か所の死角が存在していることだ(ホテル日航ウインズ成田ビル、成田ゴルフの立ち木、反対派農民の立ち木)。
 このような欠陥空港であることを一番よく知っているのが公団自身である。国土交通省(三月十二日)は、各航空会社に対して暫定滑走路着陸予定の航空機は原則としてA滑走路への着陸ができないとし、もしA滑走路へ変更した場合には航空会社にレポートを提出させ、正当な理由だったかどうか検討し、場合によっては運航停止もありうるというとんでもない通告をしているのだ。欠陥空港であるがゆえにパイロットが安全性獲保のためにA滑走路着陸を求めてくることが当然予想されるが、それを認めてしまえば運用の混乱が生じてしまうから統制するというのだ。
 現段階でこれらの欠陥は、一つも解決されていないし、その目途も全く立っていない。ましてや供用後、強引に毎日百八十回も飛ばし続ければその危険性が増し、またニアミスの頻度が高まり、やがて大事故に至ってしまう可能性が十分にありうる。公団は、そのような大事故が発生した場合どのように責任をとるのか。一切の責任を反対派農民、住民のせいにしようとするのか。ただちに供用を中止せよ。暫定滑走路を絶対に使うな。空港よりも緑の大地を取り戻そう。
 暫定滑走路供用阻止闘争は、三里塚の地から日本各地でねばり強く闘っている空港反対闘争、乱開発・環境・農業破壊反対運動、有事立法反対をはじめとする反戦運動とのスクラムを呼びかけていく。さらに新自由主義とグローバリゼーションに抗して、「新自由主義、戦争、ミリタリズムへの抵抗を 平和と社会的公正のための」世界的な大きなうねりと合流していこうとする。四月十七日の国際農民の闘争デーには、供用阻止闘争の闘いによって全世界の闘う民衆に対して連帯のメッセージを発信していこうではないか。四・一七〜一八を東峰現地に結集しよう!  (遠山裕樹)

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