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                           かけはし2004.02.16号

自衛隊はイラクから即時撤退せよ!

「行くな! 戻ってこい!」

イラク派兵承認案可決強行に抗議の国会行動

 二月九日、参議院本会議でイラク派兵承認案が自民、公明などの賛成で可決され、国会による自衛隊イラク派兵の「事後承認」手続きが完了することになった。「大量破壊兵器の脅威」というイラク戦争の口実が、いまや完全なでっち上げであることがケイ元CIA顧問などの証言によって明らかになり、ブッシュやブレアがしどろもどろの言い訳をせざるをえない局面に追い込まれているにもかかわらず、小泉政権は、「今後の調査で大量破壊兵器が発見される可能性もある」などという逃げ口上で、あくまでも自衛隊のイラク派兵と占領軍への参加をスケジュール通りに推進しているのだ。
 この日の正午、キリスト者平和ネット、宗教者平和ネット、戦争反対・有事をつくるな!市民緊急行動の三団体は、参議院でのイラク派兵承認案議決に抗議して、参議院議員会館前に集まった。緊急の呼びかけにもかかわらず八十人の市民、学生が集まった。
 共産党の紙智子参院議員、社民党の照屋寛徳衆院議員、福島瑞穂党首・参院議員があいさつにかけつけ、小泉政権の「大義」のない違憲のイラク派兵を糾弾し、労働者・市民とともに闘う決意を表明した。
 主催者を代表してキリスト者平和ネットの糸井さんがあいさつした後、韓統連の宋世一(ソン・セイル)さん、憲法を生かす会の筑紫建彦さん、明治大学駿台文学会、三鷹市議の島崎さん、ATTACジャパンの田中徹二さん、アンポをつぶせ!ちょうちんデモの会の谷島光治さん、日本キリスト教協議会(NCC)の山本俊政さん、全国Fax通信の国富建治さんが、つぎつぎに自衛隊の派兵に反対し、撤退を求める訴えを行った。司会の高田健さんが三月二十日に行われるワールドピースナウ実行委員会呼びかけの日比谷公園集会への大結集を呼びかけ、全員で参議院に向けて「自衛隊はイラクへ行くな、ただちに戻ってこい、占領軍はイラクから撤退しろ」とシュプレヒコールを上げた。 (K)    


派兵中止求め海上自衛隊呉地方総監部にデモ
戦争3悪人こらしめる豆まき

 【広島】二月一日(日)呉市こもれび広場で六十人が「ピースアクションin呉U」に結集した。
 小田原さんの司会で開会。「ひょっこりひょうたん島」の替え歌=派兵反対の踊りを全員が踊らされた? 開会のあいさつを湯浅一郎さんが行い、呉の状況と、国会が暴走している中で自衛官自身が悩み、私たちに近づいてきていることを話し、われわれの取り組みが問われていることを訴えた。ついで、画家の吉野誠さん、福山市の前田さん、三次市の実国さん、廿日市市の橋本さん、呉空襲の体験者でもある中垰さん、革新懇の利元さんがアピールした。
 最後に、節分にちなんで、ブッシュ、ブレアー、小泉の三悪人をこらしめる豆まき。久野成章さんが音頭を取る。「この木々の太い幹が占領支援、枝が復興支援、葉っぱが人道支援、太い幹の姿を暴かなくてはならない」。「イラク占領をやめろ!派兵するな!」コールに合わせながら、用意した豆を皆で順次投げつける。これがかなりの量で、ひとしきり終わった後、司会から、「全員で豆を拾ってください」といわれ、五分ほど豆拾い。
 ピースウオークは、三悪人と吉野さんのドクロを先頭に、中通り、本通りを経て呉地方総監部まで賑やかに行い、かなりの注目度であった。いつものように峯村総務課長が出てきて、読み上げた要請書を手渡した。海自の対応がいつもより、やや硬くなり緊張感が高まっていることを感じた。        (K)

揚陸艦「おおすみ」派兵反対を平和船団で訴える
自衛隊員に海上からアピール


 【広島】二月八日(日)呉基地でピースリンクは平和船団を出し、海自出動直前のアピールを行った。十四日にほぼ間違いないXデー現地闘争の予行演習をも兼ねて八隻のゴムボートに十三人が乗った。
 十四日は二十隻体制を組む。まず、海上で集会を行った後、Fバースに向かった。舞鶴港からの駆逐艦「はるな」「しまかぜ」が寄港もしており、彼らは平和船団が珍しいのか注目していてよく聞いていた。
 対テロ特措法で十五日出航予定の駆逐艦「さみだれ」とイラク特措法で十四日出航予定の揚陸艦「おおすみ」が並んで停泊していた。
 湯浅一郎さんが「被爆県の呉が同時に二つの作戦を担う町になっている。大義がない中で、行かされていることと感じていると思う。与党の国会議員も、疑問を感じながらも、もう部隊が行ってしまっているから、と賛成票を投じてしまった。いいかげんなことで、あなた方の命を粗末にしようとしているのではないか。あなた方は軽く考えられているのではないか?」と自衛官にアピール。
 また、サマワから帰った沖縄の人の報告を大月さんがアピールし、左党さんがシュプレヒコールを繰り返した。この日の午前中には、「(1・12の三千人イラク派兵反対集会などの)反対運動ばかりが目立つので隊員を激励しよう」という隊員OBによる激励パレードが日の丸を掲げて五百人で行われた。十四日の呉出航に向けて攻防は続く。
 なお、予定される流れは、十四日、「おおすみ」が呉を出航し、横須賀へ。北富士演習場から何かを積み込む。十六日、「おおすみ」は、駆逐艦「むらさめ」(横須賀)とともに、室蘭へ向かう。十七日、輸送艦「ねむろ」が大湊から室蘭へ入港。「おおすみ」に何かを積み込む。十八日、二隻は室蘭港へ入港。二十日、二隻は、室蘭を出てクウェートへ向かう。
 いよいよ陸海空三位一体のイラク占領支援=派兵作戦が今後の三軍統合運用の試金石として、実戦として発動される。長期的な構えで対応していこう。 (K)


派兵反対訴え防衛庁前で平和へのキャンドル行動
憲法破壊の暴挙に抗議の意志

 二月三日、ついにイラクへの陸上自衛隊本隊派兵の第一陣として、九十人が新千歳空港からクウェートに向かった。この日の夜、フォーラム平和・環境・人権(平和フォーラム)と戦争反対・有事をつくるな!市民緊急行動は、市ケ谷の防衛庁前でイラク派兵に反対し、平和を求めるキャンドル行動を行った。三百人の労働者・市民が手に手にロウソクを灯して、防衛庁前を埋めた。
 福山真劫・平和フォーラム事務局長が主催者を代表して、憲法を破壊して進められようとしているイラク派兵を厳しく批判した。市民緊急行動の高田健さんに続いて発言した命どぅ宝ネットワークの太田武二さんは、天皇・皇后が対イラク戦争の基地としてフル稼働している沖縄を訪問したことを糾弾した。さらに日教組の発言に続いて女子中学生がマイクを握った。彼女は、昨年の米軍によるイラク攻撃以来、三枚目のビラを発行し、学校で配付したことを元気良く語り、大きな拍手を受けた。
 発言はさらに全水道、ふぇみん婦人民主クラブ、国公総連、日韓民衆連帯全国ネット、憲法を生かす会と続いた。日韓ネットの尾沢さんは、二月二十九日の「3・1」韓国独立決起八十五年「イラクにも朝鮮半島にも平和を」集会への参加を呼びかけた。
 最後に、防衛庁に対してイラク派兵を中止する要請文を提出し、シュプレヒコールで反戦平和の意思を寒い夜空に響かせた。 (K)



「自衛隊員をただちに帰国させよ」

秋田市内デモで訴える

 【秋田】二月八日の日曜日、「イラク派兵反対」定例駅前一周デモが行われ、五十二人の労働者市民が結集し、「米英軍の『占領の大義』は失われた! 自衛隊をただちに帰国させよ!」と道ゆく人々に訴えた。
 このデモは、有事法制の廃案をめざす共同行動事務局が主催しているもので、再開十回目の定例デモ行進となった。
 さる一月三十一日には同会主催の「一・三一イラク派兵反対秋田県民集会」が持たれ、全県から千五百人が結集して、集会とデモ行進をした。
 同会では、自衛隊派遣の既成事実化を許さないとして、二月中は日曜定例デモ(駅前イトーヨーカ堂前午後一時三十分集合)を続けようと呼びかけている。
 またこの日、県南部の湯沢市においても「どごぉんまでも平和を」の会の主催で、むのたけじ氏を基調講演者に迎え、「イラク派兵反対! 憲法改悪阻止!」の集会とデモ行進が闘われた。        (N)



パレスチナ/イスラエル関係の現在を考える
田浪亜央江さんの帰国報告

 二月四日、東京の文京シビックセンターで「パレスチナ/イスラエルの現在を考える ビデオ上映と帰国報告の集い」が開催された。五十人が集まったこの日の「集い」は、現在イスラエル北部のハイファ大学に留学中の田浪亜央江さん(「インパクション」編集委員)が一時帰国したのを機会に、今日のパレスチナ・イスラエル問題を考える集会として緊急に設定されたものである。「集い」では、イスラエルの市民権を持つアラブ人の問題を切り口にした問題へのアプローチが主要テーマとなった。

ユダヤ人とアラブ人の対等な関係へ

 最初にドキュメンタリービデオ「早朝五時」が上映された。このビデオは、グローバリゼーションの進行の中でルーマニアや中国からの低賃金外国人労働者の受け入れによって職を失ったアラブ人建設労働者が、イスラエル北部ガリラヤ地方で活動する「ワーカーズ・アドバイス・センター」(WAC)の支援を通じて組織化され、復職を勝ち取っていく過程を描いたものである。すでにWACは五百人の失業したイスラエル内アラブ人建設労働者の復職を、ねばり強い組織化、交渉、闘争によって実現している。
 田浪さんは、自ら交流しているWACの活動を紹介するとともに、イスラエル国内のアラブ人の問題が、ユダヤ人とアラブ人が対等な関係を築いていくためのモデルケースとなりうるのではないかと指摘し、イスラエル国内の矛盾がパレスチナの占領政策にも反映されているのであり、イスラエル国内でのアラブ人の差別・排除の構造と闘うことを通じて「ユダヤ人の国家」というイスラエルの「理念」そのものを変えていくことと、「分離壁の建設」に象徴される現実の占領政策に対する闘いを統一して捉える必要がある、と訴えた。
 質疑応答の後、派兵チェック編集委員会の岡田剛士さんが今年のイスラエル/パレスチナ情勢を考えていく上でポイントとなりうるテーマを四点にわたって提起した。

今日の情勢を考える四つのポイント

 第一は、イラク戦争と関連してブッシュ政権によって「テロ支援国家」のレッテルを貼られているシリアとイスラエルの「和平交渉」の推移である。
 第二は、イスラエルの秘密核施設で働いていた技術者で、その情報を暴露したことにより逃避先のロンドンからイスラエル秘密警察モサドによって拉致され「スパイ罪」と「反逆罪」によって懲役十八年の判決を受けたモルデハイ・バヌーヌが、今年四月に刑期を終えることである。バヌーヌが釈放された場合、何らかの波紋がイスラエルをめぐる国際・国内政治に波及する可能性がある。
 第三は、「ロードマップ」構想の完全な行き詰まりである。そもそもの構想では「ロードマップ」の第二段階は昨年末で終わり、パレスチナ国家とイスラエルの暫定国境線も確定されるはずであった。この行き詰まりの中で、パレスチナ自治政府のクレイ首相は今年一月に「二民族二国家ではなく、二民族一国家という選択」を公言するまでになっている。自治政府の首相からそうした発言が出るまでに至っている根拠に注目すべきである。
 第四は、ブッシュのMD(ミサイル防衛)構想と、米・日・イスラエルのハイテク軍事産業の結びつきについてである。
 この日の「集い」は、イラク戦争下のパレスチナ連帯運動の現状と方向について重要な視点を提示するものであった。今後ともアメリカ帝国主義の中東戦略、イスラエルの極右シオニスト・シャロン政権との対決を通じて、パレスチナとの連帯闘争を着実に進めていかなければならない。(K)


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