解雇と労働条件不利益変更
厚生労働省は昨年十一月十日、今年四月の国立病院・療養所の独立行政法人化に伴い、賃金職員の雇い止め=首切り方策を一方的に発表した。厚生労働省が発表した「賃金職員の雇用問題についての方策」は、賃金職員を全員いったん雇い止め=首切りした上で、病棟勤務を希望する看護師には、定数(法人移行時に必要とする常勤職員数)の範囲内で常勤職員として優先採用するというものだ。
十一月十七日には、院内保育所(賃金職員と、保育所運営委員会が雇用する職員で構成)の業者委託の強行決定した。そして十一月二十日、いわゆる行(二)職(看護助手等)や事務職、福祉職の賃金職員について「パート・業務委託化」方策を一法的に通告した。レントゲン、検査、薬剤などの賃金職員については、将来の転勤を条件に先行的に採用が行われた。
国立病院・療養所には、約五万二千人の正規職員と、約八千人の賃金職員がいる。今年四月から独立行政法人に移行するが、六千五百人の賃金職員の雇用継続が大きな焦点になっている。
「賃金職員」とは何なのか
「賃金職員」とは、政府の総定員法にもとづいた国家公務員の定数削減政策に対して、国立病院・療養所の運営を確保するために、各施設が庁費(灯油や事務用品など消耗品や備品のための予算)で独自に雇った職員であり、一九六六年に初めて配置された。夜勤など交代勤務を含むフルタイムで働き、仕事の内容や責任も正規の職員と同等であるにもかかわらず、「定員外」だという理由で一年未満の雇用契約の更新をくり返し、賃金や労働条件も差別されている。例えば夏季休暇、結婚休暇、育児休暇、介護休暇さえ認められていない。昇給も十年ぐらいで頭打ちなど、賃金も低く抑えられている。
これまで厚生労働省は、日々雇用・一年契約で三月末日で一度首を切られるからパート職員であるという詐術を行ってきた。坂口厚生労働大臣(公明党)自身は、さきの国会で、「賃金職員は本人にとって非常に中途半端な制度だから独立法人化の機会になくさなければいけない」と述べている(03年10月9日参議院厚生労働委員会)。坂口はさらに、賃金職員は定員職員と同様な休暇もとれず「非常に立場としてお気の毒な立場というふうに理解をいたしております」とも述べている(03年11月20・22日衆議院厚生労働委員会)。このようなみえすいた「同情」的発言をしながら、坂口は今回の攻撃を発動したのである。
独立行政法人化の機会に、これまで合意によって形成されてきた雇用継続を一挙に否認することは重大な背信であり、社会正義に反して賃金職員の生存権(憲法第25条)と勤労権(第27条)を脅かすものであって絶対に許すことはできない。
本来ならば、独立行政法人化とともに定員法の枠がなくなる機会に、賃金職員を定員化するのが当然である。にもかかわらず賃金職員の雇用を一方的に打切り、労働条件の不利益変更を押しつけるなど、従来以上に劣悪な処遇を押しつける方向で制度を改悪することは、国の責任において決して許されないことである。
むき出しの新自由主義政策
昨年二月、首相小泉の独断により、構造改革特区推進本部は「改革」の売り物のひとつとして「医療機関(主として大型の病院)を経営する場合、利益をあげて病院建設に投資した人に利益配当の可能な株式会社を設立してよい」と決定した。これは、病院は利益配当を株主から要求されるから、それだけ高い料金とすることが必要となる。新組織の病院では健康保険、国民健康保険による医療費の支払いが出来ず、自費払いとなる。そして臓器移植のように高度な技術の必要な医療のみを行うとしている。
国立病院では、一般診療を打ち切り、センターと名のつく機関(国際、精神・神経、がん、成育、災害、循環など)を立ち上げて、政策医療に純化する政策を推し進めてきた。国は、前例の政策医療をおこない、一般診療は民間に任せておけばいいというのである。そこで独立行政法人であり、株式会社化という発想が出てくる。(余談だが、数年前ある地方厚生局――国立病院・療養所の上部機関――の幹部は、「国立病院・療養所は、旧陸海軍の施設をそのまま継承しており、国民の真のニーズに合わせて再配置が必要だ」と発言していた。では、戦後五十余年に築かれた「ニーズ」は、すべて放棄するということか。まったく「非効率的」である)。
政府・厚生労働省は、国立病院・療養所の赤字を経営を、市場原理導入・新自由主義政策で乗り切ろうとしている。そこには、患者の安全や、安心できる医療の提供といった視点はまったくない。その発想の行き着く先は、東京都知事・石原の障碍者に対する「安楽死」発言にまで上り詰めざるを得ないだろう。
全員雇用継続をかちとろう
そもそも医療・福祉を負の部門としてとらえ、予算の削減に血道を上げて国立病院・療養所を赤字に追い込んだのは政府・厚生労働省ではないのか。独法化を目前にしても予算を大幅カットし、医薬品や医療用消耗品、備品の支払いを半年も滞らせるようにしむけているのは、厚生労働省ではないのか。
独法化反対、賃金職員の雇い止め=首切り阻止の先頭で闘ってきた全日本国立医療労働組合(全医労)―二万六千人・医労連・全労連加盟―は、世界的にみても医療従事者数が極端に低く抑えられているこの国の現状の中で、常に医療労働運動の多数派であり、運動をリードしてきた。
この間の国立医療攻撃は、中曽根国鉄「改革」から始まった労働運動破壊攻撃の総仕上げというべきものであると同時に医療労働運動の「総本山」を攻撃・弱体化させることで、日本の医療・福祉を新自由主義・グローバリゼーション政策で「一新」し、「ビジネスとしての医療・福祉」の道を掃き清めるものだ。
全医労は、まず賃金職員の雇用継続を勝ち取るとともに、次にくる攻撃にも備えなければならない。すでに厚生労働省は、国立病院・療養所の五年後の見直しを宣言している。そのときに何が起こるか。NTT十一万人リストラ攻撃は、民営化後数年で行われた。先頭で闘う電通労組や通信労組の仲間と連帯し、公共サービス解体攻撃にともに対抗してく道を組織の系列にとらわれずに模索していくべきだ。
厚生労働省の賃金職員への仕打ちは、そのまま患者や利用者への仕打ちである。
「人間とロボットの違いは、感情移入能力の有無である。その核心は、優しさである」(フィリップ・K・ディック)馬場 総(医療労働者)
中国政府が北朝鮮難民救援基金メンバーと脱北者らを拘束
不当拘束した4人をただちに解放せよ
北朝鮮難民救援基金(日本のNGO団体)は同基金の国際問題担当メンバー一人(男性・32歳)が昨年十二月十日を最後に中国国内からの連絡を絶ち、その後の調査で同氏が中国広西壮(チアン)族自治区南寧市で中国公安当局に拘束されていること、同伴していた二人の脱北希望者(40歳代女性と50歳代男性でいずれも六〇年代に帰還事業で北朝鮮に渡った元在日朝鮮人)と同行の通訳一人(中国朝鮮族の女性)の所在がなお不明であることを明らかにし、国際社会に対し「四人の解放を要請するための」働きかけを呼びかけている(要旨別掲)。その後、拘束されている同基金メンバーについては「不法出入国容疑」で逮捕処分になっていることを中国当局が明らかにしている。
中国政府は〇二年以降、脱北者摘発を強化し、中朝国境ラインを管轄する吉林省公安当局は〇二年から昨年十一月までに約千六百人を拘束、つい最近(1月11日)も中国メディアは昨年九月に広東省や吉林省で大規模脱北支援組織を摘発し九十九人を逮捕したことを伝えている。しかし中朝国境ライン一帯での携帯電話の爆発的浸透によって金正日独裁政権による情報統制は瓦解の一途をたどりつつあり、情報の流入は脱北希望者の増加へとつながるだろう。
中国国内での「脱北者支援」を口実に日本のNGOメンバーが弾圧された事件は、〇二年と〇三年に一件づつあるが、中国公安当局による拘束・取り調べの後に強制退去処分(日本への追放)となっている。今回の弾圧は拘束・取り調べを経て逮捕に至っており、これまでに同様に中国国内で逮捕された韓国のNGO団体メンバーの多くは実刑判決(2〜9年)を受けていまだ中国国内に拘束されている。
事態の長期化と脱北希望者の北朝鮮送還という最悪の事態を回避するためにも中国当局に対して、脱北者を難民として認め、難民として処遇していくことをこれまで以上に強く求めていかなければならない。また中越国境付近にまで逃れて脱北の願いを断たれている元在日朝鮮人のこの現実を直視し、日本政府に対しては日朝間の自由往来実現のためにも日朝国交正常化交渉を早期再開することを要求していこう。 (荒沢)
2人の北朝鮮難民救援のために
郵送先:
Mr. Hu Jintao,
President
C/O State Council Secretariat
Zhong Nan Hai
Beijing
People’s Republic of China
e-mail のあて先:
China Security:110@mps.gov.cn
China Diplomatic Service(外交部):
webmaster@fmprc.gov.cn
China Embassy in Japan(駐日大使館):
info@china-embassy.or.jp
Ministry of
Justice(司法部):
minister@legalinfo.gov.cn
北朝鮮難民救援基金は、四人の解放のため、中国の関係当局へのメールや郵便を送ることを呼びかけています。皆さんのご協力をお願いします。詳細は、以下のサイトをご覧下さい。
(http://www.asahi-net.or.jp/~fe6h-ktu/topics040115.htm)
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