| サパティスタ民族解放軍マルコス副司令官のメッセージ かけはし2003.9.22号より |
以下は、メキシコの先住民族運動の指導者であるマルコス副司令官が、新自由主義とグローバル戦争に対決する闘いへの決起を呼びかけた国際アピールである。WTO閣僚会議に対決してカンクンで開かれた反グローバリズム会議で配布された(抄訳)。
カンクンに集いし、反・新自由主義の戦いを戦う、メキシコ、及び世界の兄弟・姉妹たちよ。ここでしばし時間をいただき、サパティスタ民族解放軍からのごあいさつを申し上げます。
世界のグローバリズムに対して、その死と、解体をめざす運動は、ここカンクンで、今最高の瞬間に達しました。集会のすぐ側で、グローバリズムを犯罪的に実行しようという会議が行われ、大陸の数だけの金の奴隷たちが集まっています。
彼らと、われわれすべててとを分かつ違いは、収入をいれるポケットの場所の違いでしょうか? いや、ポケットを何で満たすのか、というところが根本的に違います。われわれのように希望で満たすのか? 彼らのように金なのかという違いです。さらに言えば、その違いは、実は心を何で満たすか? という違いなのです。わたしたちの心は、築くべき未来に満ちていますが、彼らの心には、永遠に繰り返す過去しかありません。私たちには希望があり、彼らにはただ、死が待っているだけです。彼らは、私たちを奴隷化しようとしますが、私たちは、そこから自らを解放します。
この戦いは、これが最初や最後ということにはならず、続いていくものです。自分だけが、地球を所有していると考える者たちは、高い壁に守られた力を温存していますから。これは戦争です。多国籍軍の司令官はたったひとつのやりかたで地球を支配しようとしています。しかし私たちは、、それを壊すだけです。彼らが抱いている怖れの大きさを示す、こけおどしの防御システムを背後から攻撃して。
戦争によって、地球資源の収奪を画策する彼らの背後には一歩も腰をひかぬわれわれの会議があるわけです。今日彼らは、カンクンの数千人と、さらに私たちをとりまく世界の数億人のひとびとに向かい合わなくてはならないのです。
今、人間性に対してしかけられた人類史で最初の戦争が勃発しています。上の階に集合しているグローバリゼーション会議の参加者たちは、血を吸いながら、ドル札不足を動力とし血をすすりながら動く、グローバリズムの機械の頭脳部分です。
人の死を金に換えるために、彼らは地球をひとつの殺りくの場に変えます。そこでは、人間は、家畜と同様に金で売り買いされる一種類の動物でしかありません。しかし、それと戦う私たちは、とてもひとくくりにできるような集団ではありません。若者、女性、老人、同性愛者、放浪者などの個性をもった人間の集まりです。一人一人の顔が違う集団です。そしてそここそが、私たちの誇るべき点のひとつです。
これは、力を持てる者たちによる、地球を、入る事が拒否できない、私的なクラブに変えるために計画された、最初の世界戦争です。今彼らが集う、ぴかぴかの贅沢な区域と同じような世界に、地球全体を改造しようというプロジュクトなのです。具体的には、地球を、軍事力と警察力によって守られた、ホテル、レストラン、娯楽ゾーンの複合施設にしてしまおうというたくらみです。
私たちは、みな、奴隷としてなら、このゾーンの内側にいられるけれども、それがいやなら、死ね、と言われています。しかし、私たちには、この、「奴隷か、さもなくば死か」、という選択肢を受け入れなくてはいけない理由はありません。私たちには、「人間としての尊厳を持ちながら、穏やかな生活をおくる」というもうひとつの選択肢があります。十分可能であると同時に、人類の未来がかかっている重要な選択肢です。
未来は、五大陸ごとの勝負に、一つ一つ勝たなければ得られませんが、勝つ可能性は十分にあります。世界中で、彼らの使う「自由」という言葉が、しばしば、皮肉な結果を生んでいる事を誰もが知っているではありませんか。
兄弟、姉妹たちよ、ここには、世界中のglobalisationを拒否・粉剤する道があります。この道を選べば、彼らが、私たちの持つ地下資源を勝手に処理する事を阻止し、また、皮肉に満ちた愚かな戦争を世界規模で行うのを阻止することができます。そして、解放を、希望を、創造を、知性を、想像力を、命の喜びを、世界規模で実現できるのです。そのことを心に刻み、建設しましょう、私たちが、その中にぴったりとフィットする、民主主義と自由と正義の世界を。
私たちは、WTO、世界貿易機構閣僚会議の、死の列車が、カンクンで、そして、それ以外のすべての場所で、脱線するのを望んでいるのです。 9月11日
注 マルコス副司令官は、サパティスタ運動の指導的立場にあり、その運動は、メキシコの十億以上の貧しい人々の権利のために戦われています。以上は彼のメッセージの抄訳です。そのメッセージは、マルコスのここ四年間で最初の、国際的な宣言です。カンクンでの、WTO会議に並んで開かれた反・グローバリズム会議びおいて、水曜日に配られたものです。
フランス・ラルザック2003に25万人
新自由主義的社会政策とWTOカンクン会議に対決
フランス南部アベイロン県にあるラルザック台地で、八月八日から十日まで反グローバリゼーション集会が開催された。農民連盟のスポークスパースンでオルガナイザーの一人であるジョゼ・ボベが釈放されてから一週間後のことであった。
「ラルザック二〇〇三」集会は、「新自由主義のウィルスと闘い、国際関係のもう一つの構築物を建設するために……WTOの構造に反対するすべての人びと」を結集する目的で、さまざまな組合や連合(アソシエーション)によって組織された。組織した側は五万人から十万人が参加すると予測していたのだが、二十万人から三十万人が参加したのである!
「ラルザック二〇〇三」は、反グローバリゼーション運動の活動家たちの集まりにとどまらないものだった。それはこの春に始まったストライキ運動と反グローバリゼーション運動の集中・統一だった。この五、六月にストライキを闘った教員、文化芸術労働者、労働組合活動家、農民、反グローバリゼーション運動活動家、政治活動家、そして活動家ではない人びとが、自らの経験を共有し、異なった闘争について学び、社会保障や公共サービスに関する来るべき秋期の闘争を準備し、メキシコのカンクンで行われるWTO閣僚会議に備える機会を持ったのである。
私的利害にとらわれない公共サービスを守る闘い、環境保護、GATS(サービス貿易に関する一般協定)についてのフォーラムが毎日行われた。フォーラムには、コロンビア、インド、南アフリカ、ベルギーなどさまざまな国々からの発言者がやってきた。
参加者たちは、一日の政治論議の後には、リラックスして音楽を聞いたり、映画や演劇を見たり、他の多くの活動をすることができた。土曜(八月九日)の夜には大規模な無料コンサートが行われた。演奏したさまざまなグループには、「マニュ・チャオ」、「アジアン・ダブ・ファウンデーション」、フランスのグループ「ラ・リュムール」などがいた。
「ラルザック二〇〇三」のかつてない成功は、意識の面でも動員能力の面でも、フランスの運動、そして反グローバリゼーション運動がかちとった新たな前進を指し示している。それはまた年金改革に反対してストライキを闘った労働者が仕事に戻っても、闘争精神の低下をもたらさなかったことを示している。
「この集会はフランス社会運動の歴史における転換点だ」とジョゼ・ボベは述べた。それは多くの意味で転換点である。五、六月の運動の後で、それはフランス労働運動と政治運動が、さまざまな社会運動とともに再編成に向かうもう一つのステップなのである。
「ラルザック二〇〇三」は、今春以来、右派政権に対してかけてきた圧力の一環である。それは十一月にパリで行われるヨーロッパ社会フォーラムと、秋期の政府のプロジェクトに対する闘いに向けた序走としての圧力である。
「ラルザック二〇〇三」の期間中に、WTOなどの国際機関が主導する新自由主義政策と、社会的権利に対するフランス政府の攻撃との間のつながりについて、大衆的理解がかちとられた。それはまた、こうした諸運動の統一・集中を強化し、前政権与党の左派(社会党、共産党、緑の党)とのギャップを拡大し、政治的オルタナティブの必要性を浮かび上がらせるものになった。社会主義者たちは、こうしたオルタナティブの構築を共有してきた。
この政治的プロセスは、来るべき動員のための闘いの中に貫かれる。「もうひとつの世界は可能だ」という「ラルザック二〇〇三」のスローガンを達成するために、すべての運動が街頭に登場するという約束がなされたのは、そのためである。
(筆者のニコラ・スプリンガーはフランスLCR〔革命的共産主義者同盟、第四インターナショナル・フランス支部〕のメンバー)
(英「ソーシャリスト・レジスタンス」03年9月号付録「青年版」)
行きづまる「ロードマップ」
すべてのパレスチナ人がイスラエルによる暗殺の標的にされている
中東を再形成しようとするブッシュの計画は混乱を深めており、それはイスラエルとパレスチナにも拡大している。
パレスチナ人民に何らの公正を約束しない「ロードマップ」は、ボロボロになってしまった。残されたものはイスラエル国家によるむきだしの攻撃である。米政権がシャロンを統制することを望んでいるとしても――それはまったく明確ではないのだが――彼らはこの地域のどこでも手一杯なのである。
毎日の死者の数は引き続き増加している。そして彼らは、「狙い撃ちの暗殺」はハマスなどのグループを狙ったものだと主張しているが、現実にはすべてのパレスチナ人が、その年齢にかかわりなく「正当な狩りの獲物」と見なされているのだ。
アメリカのメディアが、それぞれ一人のイスラエル人が死亡した八月十二日の二件の自爆を報じた際、「イスラエルの夏期停戦は破壊された」が見出しになった。しかしそれに先立つ六週間の「比較的平穏な」時期の間に、パレスチナ赤三日月社によればイスラエルの兵士と入植者によって十七人のパレスチナ人が殺され、少なくとも五十九人が負傷していたのである。現実は、この期間にイスラエルは攻撃を控えてはいたものの、イスラエル側からの意味ある休戦などなかったということであった。
またパレスチナ人に対する「低レベル」の弾圧は決してやむことなく実施されていた。それは、イスラエルが建設している大規模な「壁」に最も図像的な形で象徴されている。壁による仕切りが引き起こす継続的な侮蔑は、人びとにとって欠かすことのできない医療を妨げ、ぶっつづけで何日間も家族を分断することがしばしばである。
こうしたことすべてが、イスラエルの新首相マフムード・アッバスの立場をますます悩ましているように見える。彼は一方ではイスラエルから、他方ではハマスからの圧力を受けてきた。
最近まで、ヤセル・アラファトも彼の立場を掘り崩してきたように思える。アラファトはいかなる権力をも譲渡することを決して望まず、アメリカの棍棒の下で譲渡したことを考えれば、それはとりわけ驚くには値しない。この数週間にわたり、誰がパレスチナ治安部隊の支配権を持つべきなのか、ハマスやその他の異論派を取り締まるために治安部隊を使用すべきかをめぐって、引きのばされた論争が行われてきた。
確かに、パレスチナ議会の議員たちの中では首相の辞任を煽動する者が増えていた。彼らは、アッバスが実際には何も達成できなかったと述べた。その結果、そして緊急閣僚会議の後で、アッバスは議会全体に対して彼のリーダーシップの将来について討議に付すことを求められている(この記事が印刷にまわされる頃になる)。
アラファトは、この点で方針を変えたように見える。彼はロードマップの崩壊を阻止するために、イスラム主義の活動家グループが再び休戦に入ることを求めている。
八月二十八日に出された声明は「アラファト議長は、イスラエル政府が遵守を拒否しているロードマップを実施するための国際的な平和のための努力に機会を与えるために、繰り返し休戦への責任を果たすよう、すべてのパレスチナ人組織に求める」と述べている。
以前から彼は、イスラエルが「狙い撃ちの暗殺」を停止するならば、ハマスやその他の組織を取り締まるために治安部隊を使用する準備がある、と述べていた。
「私はパレスチナ内戦を燃え立たせるつもりはない。しかし私は、イスラエルが攻撃を停止するという条件の下で法を実施するつもりだ」――これがアラファトの主張である。
(英「ソーシャリスト・レジスタンス」03年9月号)
|