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米海兵隊の新ヘリ基地建設を許さない          かけはし2003.11.10号

辺野古の海を守ろう

違法なボーリング調査を中止せよ

名護現地の闘いに連帯しブッシュ・小泉のグローバル戦争と対決しよう


 沖縄県名護市東海岸の辺野古沖に、普天間基地の「代替」を名目に、新しい米海兵隊の攻撃用ヘリ基地を作ろうとする攻撃は、重大な段階に入っている。
 一九九七年十二月の住民投票で、明確な基地反対の票を投じた名護市民の意思を踏みにじり、一九九九年十一月、稲嶺沖縄県知事は、普天間「代替」基地の移設先に辺野古沖を選定した。同年十二月、岸本名護市長は辺野古沖への基地受け入れを表明した。そして昨年七月二十九日に首相官邸で行われた代替施設協議会の第九回会合で、辺野古沖のリーフ上に埋め立て方式の「軍民共用空港」の設置が合意されたのである(本紙02年8月12日号参照)。この合意によれば、滑走路の長さは二千メートル(施設の全長は二千五百メートル)、面積百八十四ヘクタールという巨大なものだ。同合意によれば、三年かけて環境アセスメントを実施し、その後、九・五年の工期で基地建設を行う、としている。
 辺野古沖への新基地建設は、隣接する辺野古弾薬庫、キャンプ・シュワブとの一体化によって海兵隊の強力な出撃拠点を作るためだ。それによって在沖米軍の主力部隊である海兵隊の大部分が辺野古地域に集中することになる。稲嶺知事や岸本市長が「受け入れ」の条件とした「十五年期限」は完全に反故になっている。
 そしてこの間、防衛施設庁と名護防衛施設局は、辺野古海域でボーリング調査を実施するための動きを開始している。このボーリング調査は、六十三カ所で行われるが、滑走路予定地の全域を網羅するものであり、事実上の基地建設着工に等しいものである。
 名護市の「命を守る会」やヘリ基地反対協はボーリング調査に反対して六月二十八日に現場海域でのカヌーデモを行った。また八月十三日には、「沖縄ジュゴン環境アセスメント監視団準備会」(ヘリ基地反対協、平和市民連絡会、ジュゴン保護基金委員会、ジュゴンネットワーク沖縄の四団体で構成)が、辺野古沖合のボーリング調査を行わないよう求める警告書を発した。
 同警告書は、ボーリング調査が、絶滅危惧種として国際的に保護の対象であり「国指定天然記念物」となっているジュゴンの生息地・採餌場所を破壊することが明らかであること、しかもその調査は文化庁長官の許可を得ておらず、文化財保護法第八〇条1項、同一〇七条の3、1号に違反すると指摘している。そして那覇防衛施設局が中止の要請に応じずボーリング調査を強行すれば、告発をもって対応すると警告している。そして訴訟代理人として沖縄県内外の十五人の弁護士が名を連ねている。
 このボーリング調査は最大十メートル四方の足場を組み、海底深く穴を掘るので、ジュゴンの藻場やサンゴを破壊する結果になるのは明らかだ。さらにボーリング調査が海域の岩礁を破壊することになるので、那覇防衛施設局は「漁業調整規則」に基づいて沖縄県知事の事前許可を得なければならない。しかし沖縄県側は、「日米安全保障の公益性を考慮して……県知事の許可手続きは必要ない」として調査強行へのゴーサインを出したのである。

上京団と連帯し11・16集会へ!

 こうした中で、ボーリング調査の中止を求め、新基地建設を許さないために、辺野古の「命を守る会」は十一月十七日に政府への要請行動を行うために上京する。その前日の十一月十六日(日)、「辺野古の海に新基地を許すな! ボーリング調査の中止を求める集い」が開催される(主催:沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック、東京沖縄県人会青年部、名護ヘリポート基地に反対する会、命どぅ宝ネットワーク/午後一時半、文京区民センター)。
 名護現地の闘いを支え、新基地建設を阻止するために、さらにねばり強く闘いを広げよう。沖縄の米軍基地を撤去する闘いは、ブッシュ・小泉のグローバル戦争と正面から対決する闘いである。11・16集会に結集を!       (純)




狭山事件の再審求める東京集会
今こそ最高裁は事実調べを
無罪獲得へ石川一雄さんが訴え


 十月三十一日、労働スクエア東京で「今こそ最高裁は事実調べを!狭山事件の再審を求める東京集会」が狭山東京実行委・部落解放同盟東京都連の主催で開かれ、四百人が参加した。
 本郷狭山実行委議長の主催者あいさつの後、石川一雄さんは力強く決意を述べた。
 「逮捕から四十年は重いとも軽いとも言えない。刑務所の三十二年間はつらかったが、逮捕されなかったら差別と闘っている人がいることを知らなかっただろう。狭山差別裁判が権力犯罪にもとづいたものであることを知ってもらうためにも、事実調べをやってもらいたい。最高裁が事実調べをやれば、無罪がはっきりする。何として無罪をかちとりたい。石川一雄に力を貸して下さい」。
 妻の早智子さんは「総選挙の投票用紙が石川一雄の所には届かない。人間としての権利が奪われている。この見えない手錠を解いてほしい。最高裁の判事の国民審査が総選挙とともにある。東京高等検察庁検事長であった甲斐中辰男が最高裁判事になっている。甲斐中は狭山事件での証拠開示を拒否してきた責任者だ。ぜひ、×をつけてほしい。私の作っている『冤罪 狭山事件』のホームページに全国から励ましのメールが届いている。現調に訪れた高校生がクラブを作り、文化祭で狭山の展示をやった。そして、今日の会場に来てくれた。狭山闘争には展望があり、希望がある」と訴えた。
 引き続き、「狭山事件40年、狭山再審を求める取り組みの現在」のシンポジウムが行われた。パネリストとして齋藤保・指紋鑑定士(狭山事件鑑定人)、青木孝・弁護士(狭山再審弁護団)、高岩昌興・解放同盟東京都連副委員長(同狭山闘争本部長)が問題提起を行った。齋藤さんも青木さんも、「脅迫状の訂正をしたとされる万年筆と石川さんを結びつけるものがないこと。二回も石川さん宅を家宅捜索をした時、万年筆はなかったと元刑事の証言」などについて詳しく報告し、石川さんの無罪を明らかにした。
 最後に、「石川さんとともに、真実が認められる日まで、全力で闘います。そして必ずや勝利を勝ち取ります」とアピールを採択して団結を固めた。 (M)



麻生総務相の「ホームレス」差別発言に抗議!

 十月二十日、総務大臣麻生太郎が、野宿を余儀なくされている人々への許しがたい差別発言を行った。以下に、資料として、新宿の野宿当事者と支援者で作る新宿連絡会の抗議声明を掲載する。新宿連絡会はこの抗議声明を、十月二十九日付で麻生太郎事務所と総務省に提出している。

新宿連絡会の抗議声明


 麻生太郎総務大臣が、十月二十日、自民党鳥取県第二選挙区支部主催の講演会において、「新宿のホームレスも警察が補導して新宿区役所が経営している収容所に入れたら、『ここは飯がまずい』と言って出て行く。豊かな時代なんだって。ホームレスも糖尿病という時代ですから」等と発言し、その後も、その発言を正当化する発言を繰り返している。
 麻生氏には、子どもの頃、「聞きかじりのことを確かめもせず、知ったかぶりをして話すと、あとで恥をかくよ」と教えてくれる人が周囲にいなかったのだろうか。野宿を余儀なくされている者たちへの差別と偏見に満ち、基本的な事実関係すら踏まえていないこの発言は、あまりに愚劣なため、論評するのも馬鹿馬鹿〈ママ〉しいほどである。だが、昨年制定されたホームレス自立支援法の規定に基づき、国民に対して「ホームレスの人権の擁護」を呼びかけるべき政府の中枢にいる人物が、自ら進んで差別を煽るとは由々しき事態である。新宿で野宿の仲間と共に支援活動を現場で担ってきた団体として、抗議の声明を発表する。
 まず、「収容所」などという前時代的な表現を使うこと自体、人権感覚の欠如を示していると言わざるをえない。新宿区内には施設入所を希望している野宿者が数多くいるが、警察の「補導」によって、施設に入所できるというルートはどこにもない。野宿者が誰でも入れる施設としては、唯一、東京都と二十三区が共同で設置している緊急一時保護センターがあるが、そこに入るためには月に一回、新宿区役所で行われる数倍の抽選を勝ち抜かなければならない。施設入所は野宿者にとって「狭き門」なのである。また、「飯がまずい」という理由で施設を退所したという話は、私たちの十年間の現場経験の中で聞いたことがない。
 麻生氏は糖尿病の野宿者がいることをもって、「豊かな時代」であることを強調したいらしいが、糖尿病を「贅沢病」だと見なすのは非科学的なレッテル貼りでしかない。厚生労働省が今年一〜二月に全国二千百六十三人の野宿者を対象に行った生活実態調査においても、「食べ物が十分にないので辛い」と答えた者が四割を超えた。コンビニの賞味期限切れ弁当や廃棄されたハンバーガーのパンズ、パンの耳などで空腹を満たしている仲間は数知れない。不安定で、バランスの悪い食生活は糖尿病を誘発する要因となりうるのである。
 また、野宿に至る以前の段階で糖尿病を発症している人もいるということも忘れてはならない。路上には、「ホームレス状況に追い込まれた人々」がいるのであって、「ホームレス」という人間がいるわけではないのである。たとえ豊かな食生活が原因で糖尿病になった人がいたとしても、そういう生活を営んでいた人が野宿へと追い込まれてしまう社会とは一体、何なのか、ということを政治家ならば考えてみるべきではないのだろうか。
 かつて小泉純一郎首相が「ホームレスでも新聞が読める」と発言したように、現状を「豊かな社会」として無批判に肯定したい人たちが、「話のネタ」として野宿者を持ち出す傾向があちこちで見受けられる。「国内に貧困問題が存在し、その究極の形態として野宿を強いられる生活がある」という厳然たる事実から人々の眼を背けさせたいと願うのは、権力者の常なのだろうか。しかし、私たちは、事実を直視することを求め続ける。私たちが毎週日曜日に新宿中央公園で行なう一杯の炊き出しのご飯を求めて、数百人の仲間が列をなすということ。その中には遠方から数時間かけて歩いてくる仲間もいるということ。それが私たちの眼前に広がる現実である。私たちは今後もこの現実から声を発し、この現実を打開していくための活動を続けていく。
 眼を背けることを求める権力者の甘い誘いを断固として拒絶すること。それは立場を超えて、誰にでもできうる選択だということを私たちは知っている。

 新宿連絡会〈新宿野宿労働者の生活・就労保障を求める連絡会議〉
連絡先 東京都台東区日本堤一│二五│一一 山谷労働者福祉会館付 電話〇九〇│三八一八│三四五〇
http://www.tokyohomeless.com


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