| 全労協が春闘討論集会 かけはし2002.1.28号より |
一月十九日、東京・新橋の交通会館(国労会館)で「2002全労協春闘討論集会」が開催された。傘下の組合員ら約百二十人が集まった。
今年の春闘は「平和の危機」「雇用の危機」という、これまで経験したことのない厳しい状況下で闘われる。世界中が戦争に巻き込まれる危険な情勢で、日本では改憲・有事立法の動きが加速している。経済のグローバル化とデフレの進行で、労働者は、行革・リストラ大量解雇・賃下げ・配転・非正規化という資本の攻撃にさらされ続けている。これが労働者に「痛み」を強制する「小泉改革」の姿である。
全労協は、労働者にとっては「賃金も雇用も重要」であることを踏まえ、以下の五点を重点課題として春闘を闘っていく。@大企業と中小企業との賃金格差の是正とパートを含む大幅賃上げA「反失業・雇用確保」とセーフティネット拡充のための対政府・行政闘争B有期雇用・派遣労働の制度改悪反対と均等待遇化C「解雇制限法」の制定を求める運動の取り組みD国労をはじめとする争議団支援連帯の闘い。
集会の冒頭、演壇に立った藤崎議長は、このようにあいさつした。
集会の第一部、弁護士の鴨田哲朗氏は「小泉改革と規制緩和」と題する講演を行った。
現在、政府の「労働政策審議会労働条件分科会」において、三年の有期雇用の対象となる専門職及び労基法三八条の三の対象となる専門職について、その範囲の拡大が審議されている。鴨田氏は今回の範囲の拡大について、「結局のところ、正規雇用の減少と代替、不安定雇用の増大と長期化、さらなる賃金カットでしかない」と厳しく批判した。
そもそも労基法や関連諸法は、国会での充分な審議と承認の下に決められるべきであり、昨今進んでいる「大臣告示」や「指針」といった手法によって、超法規的に決められるべきものではない。現在の有期雇用形態と専門職の「裁量みなし労働時間制」は、労働者の地位の不安定化と、無限定な長時間労働、実質的な不払労働を招く危険があるために、極めて限定的に定められたものである。
今回の「専門職の対象範囲の拡大」には、まったくその必要性も妥当性もないと、労働弁護団の「反対意見書」は批判する。
審議の中身はこうだ。専門的知識や能力を持つとされる技術労働者は、「企業を超えた柔軟な働き方」を望んでいる。この要求と企業のニーズが合致している。こうした「自立的・創造的な働き方」は、本人の能力を最大限に発揮し、これを活用して企業が積極的な事業展開をすることによって、さらに雇用が拡大する、などなど。まるでいいことづくめの論法で説明されている。
はたしてそうなのか。まず、労働者がその専門能力を存分に発揮することと、「有期雇用」とはまったく別の次元の問題である。また「一年の有期雇用」を「三年」に延長しても雇用は拡大しないどころか、企業は同一労働条件での長期拘束が可能となる。
さらに有期雇用者と正社員の賃金格差は顕著であり、この「同一賃金化」が実現しない限り、さらなる雇用の流動化と「みなし時間制」による賃金カットしかもたらさない。
フリーターの増加を背景に、「多様な働き方」というものをあたかも労働者が望んで選択しているかのような主張がある。しかし実際は、超高度な専門技術を持った一握りの幸運なスペシャリストだけが優遇されるのであって、圧倒的多数の「普通」の人は、拡大する「不安定雇用」に、将来への強い不安を抱いているのである。
「『ホワイトカラーに残業はない』という風潮がまかり通っているが、残業代の不払いや、タイムカードの改ざんは、経営者に懲役や罰金が課せられる立派な犯罪行為だ。『IT技術者』の職が保障されているのか。決してそんなことはない。『限定された』専門職への有期雇用・裁量労働制・解雇自由化といった資本本位の法制度の、その対象範囲が無尽蔵に拡大されようとしているのである。これこそ、圧倒的な『人気』を背景にした『小泉改革』の正体であり、労働者の置かれている現状なのです」。鴨田氏はキッパリと批判した。
休憩のあと第二部が始まる。東水労と全国一般全国協の発言者が座長あいさつを行い、事務局長は、ワークシェアリングについて触れ「われわれが賃上げを自粛しても、雇用が拡大するわけではない。全労協は『テロにも報復戦争にも反対』という立場で闘う」と春闘方針案を提起した。
決意表明として、各労組から発言が続く。全国一般全国協の仲間は、「不況だから人減らしが徹底して、一人あたりの労働時間が延びている。政府の掲げるワークシェアリングは中小企業にとっては、賃下げしかもたらさない。一方、大企業はまだまだ多額の内部留保を抱えている。『まやかしのワークシェアリング』はきちっと批判すべきである」。
東部労組の仲間は、五千二百二十件という過去最高の労働相談の事例を紹介。その中で、現在の「民事再生法」は、経営者の責任を問わないどころか、再び彼らに経営を任せる悪法である、と指摘。また、資本の攻撃に余裕がなくなり、「ここまでやるか」と私たちが驚くような陰湿なものになっている、と報告した。全統一の仲間は「自主生産ネット――仕事さがし運動」を進めていると明るく発言。大阪全労協の仲間は「NTT赤字」のまやかしを暴露し、「解雇制限条例」の制定を求めた。他に都労連、全国一般東京労組から発言があった。
三時間に及ぶ決意表明と問題提起のあと、第三部として「団結旗開き」が行われ、今春闘を闘い抜くべく連帯と団結をうち固めた。 (S) |