もどる

    かけはし2021年3月22日号

デジタル監視法案反対


市民監視社会はごめんだ

論議を深め反対の声広げよう



法案の問題点
をえぐり出す


 「2月9日にデジタル改革関連6法案が閣議決定され国会提出されました。この法案が成立すると、強力な権限と予算を掌握するデジタル庁が発足し・その下で国や地方のさまざまなシステムの標準化・統一化が推し進められ、これまでにない情報の共有と集中が図られます。自治体が整備する個人情報保護制度は情報共有の『障害』だとして、そのレベルダウンも組み込まれています」。
 「全国8カ所で提訴し、各地の高裁に継続中のマイナンバー違憲訴訟では国は憲法13条に基づく自己情報コントロール権を全面否定しています」。
 「市民(データ主体)の自己情報に関する権利が十分に保証されないままデジタル化が進めば、その先に待っているのは国家や企業が一方的に市民を追跡・監視する社会であり、データによってデータ主体が勝手に判断される社会にほかなりません」。
 「今回私たちは幅広い分野で活動する人たちに呼びかけ、さまざまな視点からこの法案の問題点を議論し、その成立に反対するための集会を予定しました。コロナ禍によって作られたデジタル迎合の雰囲気に流されることなく、市民の広範な反対の声を創り出していきたいと考えます。ぜひともご参加ください」(呼びかけ文)。

欠陥だらけの
法案をつぶせ


3月14日午後、東京の文京シビックホールで「NO!デジタル庁 デジタル監視法案に反対する3・14市民集会」が開催された。主催は「NO!デジタル庁」。集会には60人以上の人びとが参加した。
3月2日には国会で同法案の趣旨説明が行われ、本格的な審議が始まっている。司会の宮崎さんは「国会では短時間で膨大な内容を処理する法案が多いが、今回のデジタル改革法案は余りにも膨大で、提出段階で45カ所もの誤りが発見された。欠陥だらけの法案だ。あきらめることなく廃案に向けて頑張ろう」と呼びかけた。
最初に海渡雄一弁護士が発言。「デジタル庁は内閣直属で、その長は内閣総理大臣という。まさに菅内閣の肝いり法案だ。同庁では国・自治体のすべての情報が一元化され、警察も共同利用権を持っている。本人の同意なしに個人データを利用することができ、『同意原則』は完全に骨抜きとなる」とその危険性を明らかにした。
情報の取得に「本人の同意」が必要なのは例外的ケースに限られる。「今も警察・検察は捜査照会で情報を取得しているが、そのための令状もいらなくなる」と海渡弁護士は訴えた。
国家安全保障局長で内閣特別顧問の北村滋の論文では、内閣総理大臣の下に治安・保安機構を一元的に集約・強化することが謳われている、という。
しかしこの強権的な警察主導の民主主義・人権破壊に対して、共産党、社民党は反対しているが立憲民主党の態度はあいまいであることを海渡さんは指摘した。

個人情報の扱い
をどう考えるか


次に小倉利丸さん(盗聴法に反対する市民連絡会)は、論議のポイントとして「そもそも法律によって、情報収集への根本規制ができるのか。どこまで法が有効性を持ちうるのか」と問題提起。「法による規制がうまくいかないのであれば、個人情報を与えない、という原則をハッキリすべきだ」と述べ、IT大手の営利目的の無料サービスを疑い、「便利さと人権は矛盾する」と考えなければいけない、と訴えた。小倉さんは反対運動のあり方として「デジタル依存を変えなければならない。自分たちの個人情報を提供しない。便利さと人権は矛盾する。個人情報がスマホやパソコンを通じて収集されているあり方にもっと警戒を」と強調した。そして「膨大な個人情報を集積した企業・政治集団が権力を独占し、人権・プライバシーを守る政党は勝てない」というあり方と闘わなければならない、と強調した。
PARC(アジア太平洋資料センター)共同代表の内田聖子さんは、「スーパーシティー構想」の問題点として、「自治・民主主義」が後退する現実をあらためて強調し、企業や国による一元的な情報管理を跳ね返す闘いの重要性をあらためて訴えた。
共通番号いらないネットの原田富弘さんは「トップダウンによるデジタル庁構想は許さない」と述べ、国と地方が共同して「個人情報を使いやすくする」ことに反対した。共謀罪NO!実行委の角田富夫さんは「デジタル庁の下で国家中枢が情報を集約・使用する可能性が拡大し、『個人情報』として規定されなければ保護されることはない」という動きに警戒を呼びかけた。角田さんは、たとえば欧州などではメール・アドレスが個人情報として扱われるのに、日本ではそうではないことに注意を促した。「日本の個人情報保護法は、企業が個人の情報を取得できる仕掛けになっている」と批判した。そして「個人情報」の範囲について「個人の同意」に基づく抜本的改正が必要、と述べた。
デジタル改革関連法案反対連絡会の衛藤浩司さんは、民間から登用するデジタル庁の要員が「国民の奉仕者」としての仕事ができるのか、と疑問を提示した。

 討論の中では静岡県裾野市でのトヨタ自動車版「スーパーシティー構想」、藤沢市の松下電器工場跡地での同様の構想などについても紹介が行われた後、国会審議のペースが速い中で、デジタル庁ができた場合、その権限はどのようになるのか、われわれの闘い方はどう変わっていくのか、などなど多くの疑問が投げかけられた。デジタル庁と「マイナンバー」制度、デジタル化が突出していくことに私たちは何を対置するのか、何をもって反対するのか、どう食い止めるのか、「現在のデジタル化拒否」の立場を頭に入れたうえで、どういう原則に立とうとするのか、「テクノロジーの民主化」、「参加型予算」など論議はつきなかった。
そこでは「デジタル改革関連6法案」について「反対」の立場を共通にしながら、私たちのめざす社会のあり方を共に論議し、深めていくことの必要性があらためて浮き彫りになった、というべきだろう。(K)



もどる

Back