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    かけはし2020年6月8日号

宇都宮けんじさんを都知事に


東京都知事選

「一人一人の生存権がかかった選挙」

全力あげこれまで以上の支持拡大を

医療破壊隠す小池都知事にはまかせられない

 七月五日投票の東京都知事選に弁護士の宇都宮健児さんが立候補を表明した。宇都宮さんは都民の暮らしと健康を破壊する都立・公立病院の行政法人化、生活を脅かす羽田空港低空飛行ルートなどに反対の立場を明確にしている。小池都知事の民営化・パフォーマンス政治に反対し、宇都宮さんの勝利を!(本紙編集部)

 小池都知事が非常事態宣言以降、知事選への出馬表明のないまま露骨なメディアへの露出を繰り返してきた。小池都知事のパフォーマンス政治は、二月一二日都内で一人目の感染者が確認されてから三月二四日にオリンピック延期が決定されるまでの約一カ月半、オリンピックの開催にこだわり続け、コロナに対して何ら具体的な対策を取ってこなかったことを覆い隠した。さらに安倍政権の、補償のないまま自粛を「強制」する、一世帯に二枚のマスクを配布するというなど愚策のオンパレードが、小池都知事の評価を上げることになった。
 一方、統一候補の擁立を模索した野党は、いくつかの名前が浮かんでは消えたが、告示まで一カ月を切っても候補を決めきれず、このままでは不戦敗かとの悲観論が聞かれるまでになっていた。
 五月二七日に宇都宮健児さんが都知事選への立候補を記者会見で発表した。それを受けて共産党が支持を表明し野党統一候補とするように各野党に呼びかけている。その結果はどうなるか不透明だ。
 本来選挙における支持決定は、その候補者の政策が明らかになってから、それを評価し機関で決定されるべきものである。しかし今回すでに告示まで二週間ほどしかない。そこで、私はまず一個人として宇都宮さんへの支持を訴える。
 宇都宮さんの政策文章は、五月二七日の会見で発表された「東京都知事選出馬にあたって」しかない(別掲参照)。そこで表明されている立場は、コロナウイルス感染症が拡大する中、国と東京都の二重の無策の下に苦しめられている民衆と共に、困難に挑戦しそれを共に運動の力で解決しようとするものであり、左派として十分なものである。 また前回不出馬になった都知事選以降も宇都宮さんは都議会の傍聴を継続し、都立・公社病院の地方独立行政法人化反対運動や、羽田空港新ルート低空飛行反対運動などにコミットしてきた。前回不出馬以降、地道に継続されてきた宇都宮さんの運動の成果が、「出馬にあたって」ではコンパクトにもれなく表現されている。
 今回、宇都宮さんが勝利するためには、前々回よりもっと時間がない中で、さらに広い層の支持を獲得する必要がある。今まで「革新系」候補に投票したことがないような中間層、とりわけ今回の自粛により経済的打撃を受けた商店主などに支持を広げ、保守層・支配層に動揺を与えることができれば勝利のチャンスが確実に広がるだろう。時間がない中、立候補を決意した宇都宮さんを支え、その政策を全都に急速に広めよう。一人一人がSNSなどでつながって、資金を集め、ポスターを貼り、運動を前に進めよう。今回の都知事選は宇都宮さんが会見で述べたように「都民一人一人の生存権がかかった選挙」である。この闘いを多くの人々と共に担おう。
   二〇二〇・五・三一  (矢野薫)


東京都知事選出馬にあたって

2020年5月27日 宇都宮けんじ

今回の都知事選で問われているもの

 都民の生存権がかかった選挙である〜都民一人ひとりの雇用を守る、営業を守る、住まいを守る、生活を守る、命をまもる〜。

緊急の3課題

1.新型コロナウイルス感染症から都民の命を守る医療体制の充実と自粛・休業要請等に対する補償の徹底

(1)PCR検査態勢充実
(2)病院や保健所、医療従事者に対する財政支援の強化
(3)病床、人工呼吸器・ECMO(人工肺装置)・マスク・防護服などの医療器具の充実
(4)自粛・休業などにより収入が減少した中小事業者に対する補償、仕事を失ったり収入が減少した非正規労働者、フリーランス、学生などに対する生活補償を徹底して行う。

2.都立・公社病院の独立行政法人化を中止するとともに、これまで以上に充実強化を図る。

3.カジノ誘致計画は中止する。

重視する8課題

1.学校給食の完全無償化〜子どもの貧困をなくす。
2.東京都立大学の授業料を当面半額化し無償化をめざす〜誰もが学べる東京を実現する。
3.都営住宅の新規建設、家賃補助制度・公的保証人制度の導入、原発事故避難者に対する住宅支援〜住まいの貧困をなくす。
4.公契約条例の制定、非正規労働者を減らし正規労働者を増やす〜働く者の貧困をなくす。
5.災害対策(防災、減災、避難者対策など)を強化する〜自然災害から都民の命と財産を守る。
6.道路政策(外環道、特定整備路線、優先整備路線)を見直す〜地域住民の意見に耳を傾ける。
7.羽田空港新ルート低空飛行の実施に反対する〜都民の命と暮らしを守る。
8.温暖化対策(CO2の排出削減、自然再生エネルギーの充実など)を抜本的に強化するとともに緑と都市農業を守る〜地域環境、自然環境を守る。

声明・転載

迅速な給付にならずマイナンバー制度を改悪する自民党提言に反対する

共通番号・カードの廃止をめざす市民連絡会
(共通番号いらないネット)

 自民党は、特別定額給付支給を口実にマイナンバー制度を改悪する提言を行っている。コロナ危機を名目にした制度改悪に反対の意見を表明しよう!(編集部)

1.マイナンバー制度活用を目的とした本末転倒な提言では、速やかな給付にならない
 自由民主党マイナンバーPTは5月19日、「マイナンバー制度等の活用方策についての提言」をまとめ20日発表した。この提言は迅速な給付のためではなく、特別定額給付金支給で失敗したマイナンバー制度を活用できるようにするという、本末転倒な意図からまとめられている。
 特別定額給付金のオンライン申請をめぐるトラブルは、マイナンバーカードが普及せず電子証明書やマイナポータルが知られていない中で安易にオンライン申請を推奨し、さらにJLISのシステムの準備不足や現場の事務を踏まえないオンライン申請システムにより発生した。
 そのため多くの住民が外出自粛のなか窓口に押し寄せ「三密状態」になり、市区町村は事務が遅延し、26市区町(5月24日現在)が迅速な給付のためにオンライン申請の中止・停止を決定した。マイナンバー制度の利用にこだわれば、円滑な給付はできなくなることを示している。


2.マイナポータルでマイナンバーと振込口座は管理せず、市区町村で口座管理を
 提言は、本人同意を前提にマイナポータルに1人1つの給付金等の振込口座をマイナンバー付きで登録・管理するため、今国会で議員立法「緊急時給付迅速化法」(仮称)の制定をめざすとしている。しかしマイナンバーカードの普及率が約16%の状況では、マイナポータルで口座を管理しても迅速かつきめ細かな給付の速やかな実現にはならない。
 この提言は、マイナンバー制度の個人情報保護措置を危うくする。マイナポータルはマイナンバーを利用せず、個人情報保護や情報の一元管理を回避する観点から利用者の個人情報を極力蓄積しない仕組みとしてきた。マイナンバーとともに口座情報や連絡先情報など個人の属性データを登録・管理していくことは、漏えいの危険とともに個人情報の一元管理に道を開き、さらにマイナンバーと「符号」とをひも付けて管理しないという制度の原則を損なう。
 給付金の申請にマイナンバーを利用すれば、マイナンバー記入の際の本人確認義務や提出書類の安全管理義務など、市区町村にさらなる負担が発生する。迅速かつきめ細かな給付を速やかに実現するためには、すでに行政サービスのために多くの住民の振込先口座を把握している市区町村で、給付金用の口座情報を管理する仕組みとすべきだ。併せて世帯単位ではなく個人単位での給付や、マイナンバー制度では把握できない住民登録が設定困難な居所喪失者等や外国人等に対しての感染拡大防止のために必要な給付を可能にすることを求める。


3.マイナンバーを治安対策に利用する口座ひも付け義務化は許されない
 2015年の番号法改正では預貯金口座へのマイナンバー付番の目的は、ペイオフ対策と社会保障制度における資力調査や税務調査のためとされていた。しかし自民党PT提言は マネーロンダリング対策やテロ資金対策等の観点を加え、マイナンバーの預貯金口座紐づけを義務化する法案について2021(令和3)年度の国会提出を目指すべきとしている。
 刑事事件捜査や治安機関への特定個人情報の提供・利用が書かれている番号法は、マイナンバーの利用差止等訴訟で憲法違反として争われている。犯罪・テロ対策への利用は、マイナンバー制度導入の目的として政府が説明してきたことにも反し、認められない。
2020年5月26日


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