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    かけはし2020年12月7日号

スーパーシティ構想をつぶそう


11.6


戦争あかん!ロックアクション講演会

住民投票後の大阪、市民から対案を

 【大阪】戦争あかん!ロックアクション(大阪)主催の講演会が一一月六日、エルおおさか南ホールで開かれ、三密を避けた座り方ながら満席の市民が参加し、このテーマでの関心の高さを示した。
 一一月三日に行われたいわゆる大阪都構想「大阪市廃止・4特別区設置」案の大阪市住民投票は、一万七〇〇〇票の差で再び否決され、大阪市民のみならず周辺の自治体市民を緊張感から一時的に解放した。ところが、異常に粘着性の強い大阪維新は予想に違わず、「住民投票は否決となりましたが…成功するまで挑戦(三度目の挑戦)し続けましょう」(東とおる参議院議員・一一月三日ツイッター)、「公明党が過去に提案した総合区制度(大阪市存続のまま現在の二四区を八区に再編)の導入を目指すべきだ」(松井大阪市長・一一月六日毎日新聞)、「松井市長と吉村大阪府知事が、府市の広域行政の一元化を条例制定で目指す方針を打ち出した」(一一月七日毎日新聞)などの動きを表面化させている。それによると、大阪市の約二九〇〇の事務のうち、成長戦略やインフラ整備など全体の一五%に当たる四二七の広域事務を府に一元化し、市の財源のうち約二〇〇〇億円を委譲するというのだ。このような動きに合わせ、スーパーシティ構想が持ち上がっている。
 大阪のロックアクションは、秘密保護法が国会で成立した直後につくられた市民運動だが、つくられてほぼ七年が過ぎた。デモと講演会を交互に取り組んできたが、一一月六日の講演会では、中山徹さん(奈良女子大学教授、都市計画・自治体政策学)が「スーパーシティの危険性と大阪提案の狙い」と題して講演をした。中山さんは、大阪市廃止を住民投票で二度も止めたことは、日本の地方自治上特筆すべきことだと前置きし、講演に入った。(別掲載)。

中山徹さんの講演から
 
気付かぬうちに成立した法
 
 大阪維新が考える今後の政治日程は、二〇二三年四月大阪府・市首長選、二〇二五年四月〜一〇月大阪万博、その前にカジノ開業、二〇二七年四月大阪府・市首長選、万博・カジノを成功させ都構想に三度目の挑戦をするということだ。維新が、新型コロナ感染下のいま、どうして強引に住民投票をやったのか。やりたければ、コロナ危機が落ち着いてからやることもできたはずだ。カジノ・万博は、やるとしても、当初大阪維新が考えた規模から大幅に縮小した形でしかできないだろう。
 スーパーシティは、二〇一九年に閣議決定され、法案になったがその年に廃案になった。自治体からアイデアを公募し、五六団体が応募。大阪では、大阪府・市、池田市、河内長野市が名乗りを上げた。そして、二〇二〇年五月、検察庁法改正案反対運動の裏で、スーパーシティ法案が成立、九月国家戦略特別区域法改正が施行された。一二月〜二一年二月に改めて公募し、二一年三月区域指定、四月頃各区域の事業者を決定し、五月頃から区域会議の開催、二〇二二年、一月頃基本構想に対する住民意向確認、三月頃基本構想提出、というスケジュールが考えられている。

 スーパーシティとは

スーパーシティは、アムステルダム、ヘルシンキ、バルセロナ、ドバイ、シンガポール、ブエノスアイレス、杭州、雄安新区、韓国松島、ニューヨーク、シカゴ、トロントなどで試みられているが、トロントでは住民の反対が起きグーグルが撤退した。バルセロナでは、駐車場の空き情報やゴミ収集箱の満杯状況をWi―Fiを使って状況提供し、成功していると言われ、杭州ではアリババが交通違反や交通渋滞の解消、無人コンビニで展開中。
スーパーシティは、情報技術とビッグデータを地域単位で連携させた未来都市だが、丸ごと未来都市は実現していない。日本政府が進めようとしている構想では、移動、物流、支払い、行政、医療・介護、教育、エネルギー・水、環境・ゴミ、防犯、防災・安全のうち五領域以上をカバーする場合に、スーパーシティと認定する。
スーパーシティは、二〇三〇年頃に実現される未来社会を目指す国家戦略特区データ連係基盤整備事業としてつくられ、具体的に運用するのは民間事業者だ。

スーパーシティの問題点

情報技術とビッグデータを組み合わせ、大手企業の新たなビジネスチャンスを作り出す。その背景には、日本の情報産業が大きく出遅れていることが上げられ、地域単位で新たなプラットホームを作って、今後の世界をリードしたいという願望がある。
そこには、スーパーシティで地域問題が解決するという幻想がある。しかし、必要な介護が受けられない、国保が高すぎる、住宅が確保できない、過疎化が進んでいるなどの問題が解決できるのか。また、情報技術が利用できなければ、サービスも利用できない。情報格差がサービスの利用格差を引き起こす危険性が高い。企業が求める対価が払えない層は、サービス利用から排除される。
国家戦略特別区域法二八条では、事業活動を実施する区域の住民の意向を踏まえなければいけない。三〇条では、意向を踏まえる方法は、区域の区域会議・住民の利益代表者の協議会の議決、議会の議決、住民の投票などとされる。
ところが、この法律には中止の手続きがない。また、未成年者・外国人住民や来訪者の意向を判断する方法が考慮されていない。住民投票をする場合、投票の対象となった住民が全員利用することを原則としている。構想に参加しない権利は保障されていない。個人情報は保護される保障はなく、市民はわずかな利便性と引き換えに、高度な個人情報を企業等に提供することになる。
実施主体の企業は、地方公共団体の保有するデータのうち、区域データとして活用が見込まれるものの提供を求めることができるが、情報提供した市民は運用状況を確認できるのか。おそらくムリだろう。区域から引っ越す場合など、提供した個人情報を削除することができるのか。個人情報の流失の危険はないのか、など疑問が多い。監視社会につながることも危惧される。

大阪府・市提案の狙い

大阪府・市はスーパーシティ構想を梅北二期工区で発信し、万博での実証実験・実装を経て、夢洲まちづくりで実現したいと考えている。この地域は人が住んでいないから、意向確認といっても住民投票などは必要ない。ところが、カジノ・万博には大きな問題が発生している。
巨大カジノ誘致の破綻は時間の問題だ。IR応募要項で事業者に義務付けられたのは、国際会議場:最大会議室六〇〇〇人、総収容数一万二〇〇〇人以上(現在最大は東京国際フォーラムの総収容数一万六四二人)、国際展示場:一〇万u以上(現在最大は東京ビッグサイト一一万五四二〇u)、ホテル:三〇〇〇室(現在最大はリーガロイヤルホテル一〇四二室)。これはコロナ以前の提案であり、コロナ感染を経験した今では実情に合わない。大型IRの中のカジノは、新型コロナ感染以前のイメージ。
今は、カジノをするのにその場所に行く必要はなく、オンラインでできる。新型コロナ感染でカジノ業者の業績が悪化して赤字に転落し、日本での莫大な投資(IR全体で一兆円以上)は困難になった。国が策定する基本方針の公表は延期されている。横浜に進出予定だったラスベガス・サンズ(親トランプ企業)は撤退を表明し、大阪の予定業者MGMは計画書提出を延期した。長崎は、事業者の公募を延期した。

万博の前提条件も破綻

大阪万博を夢洲で開催するのは、万博関連事業でカジノ誘致に必要な夢洲の整備を行うためだ。万博跡地は、夢洲開発の第二期として位置づけ、カジノ等の拡大に当てる予定なのだ。IR事業者募集要項では、万博のアクセス交通である地下鉄中央線延伸費用(二〇二億円以上)は、カジノ事業者が負担すると明記されている。万博は一時的なイベントであり、地下鉄はカジノに客を運ぶために使い続けるためだ。カジノ誘致が破綻した場合、地下鉄延伸費用は、誰が負担するのか。地下鉄が延伸できなければ、万博へのアクセス交通はない。そもそも、夢洲で万博をやる必要があるのか、から考え直す必要がある。
大阪府・市はこれらカジノ、万博の破綻を覆い隠し、あたかも未来都市が誕生したかのように見せるために、スーパーシティを進めるだろう。しかしそこには多額の前金の投入が避けられない。大阪府・市案は撤回させるべきだ。情報技術を適切に活用するためには、企業主権ではなく、日本国憲法に定められた国民主権、基本的人権の尊重が不可欠である。(発言要旨、文責編集部)

質疑応答

 1.区域に補助は?(規制緩和や補助金が下りてくる)。2.住民投票で何を問うのか?(関係区域の住民のみ、企業に情報提供するかどうか)。3.スーパーシティが広がれば、失業は出ないのか?(あり得る。新たな雇用がつくれるかどうか)。4.政治は住民主権担保できるか?(進める側はデメリットを説明しない。市民の失う方が大きい)。5.自治体と企業の関係は?(自治体は情報提供するだけで、おそらく丸投げだろう)。
6.大阪全域を対象にするのか?(今、維新は住民のいない区域を考えている。限定したエリアだ)。7.個人情報提供できるか?(行政が個人情報を扱うとき、個人が行政をどこまで信用できるかだ。富山市の場合は、公共交通充実で成功しているが、秋田や青森は失敗だった)。8.マイナンバーとの関係は?(今後の政府のスケジュールはわからないが、いろいろなことが紐付けされなくても、私たちは何も困らない)。9.情報の種類は?(自動運転や遠隔医療なら、その区域の全住民がデータの提供をさせられる。動き出してから企業がほしいデータを求めてくるだろう)。
10.スーパーシティ構想に対する対案は?(住民投票で問われたのは大阪市存続の是非だけ。維新の新自由主義の弊害を取り除く対案が必要だ。しかし、住民投票での反維新には、自民党から共産党までが含まれる。政党が対案をつくるのは難しい。だから、市民運動が対案をつくって、そこに政党を巻き込むやり方がいい。大阪の経済をどうするか。維新のような外来型(インバウンド・カジノ・IRなど)ではなく、今大阪にある中小企業をどう活かすか。医療・福祉・教育は人件費が大きいから、経済効果が高い。ここにきちんと投資をする必要がある)。      (T・T)

11.23

「あいち総がかり行動」結成総会

安倍退陣させた力で菅政権を倒そう

愛知共同行動と市民アクションが解散し、新組織を発足


 【愛知】一一月二三日、名古屋市のイーブルなごやホールで「憲法をくらしと政治にいかす改憲NO!あいち総がかり行動」結成総会が一四九人の参加で行われた。
 二〇一五年四月に集団的自衛権と安保法改悪に反対するために結成された「安倍内閣の暴走止めよう共同行動実行委員会」と二〇一七年一二月に憲法改悪に反対し三〇〇〇万人署名運動を取り組むために結成された「安倍改憲NO!あいち市民アクション」の二つの組織がこれまでの活動の成果を確認し、区切りをつけて解散したのち新たな運動を開始するために統一して新組織として出発するため、この結成総会を実現した。

成果と限界を
確認し新組織へ


司会者のあいさつで総会が始まり、最初に弁護士で共同行動実行委員会の代表であった中谷雄二さんが基調報告を行った。
まず情勢分析について、「安倍前首相は政権を投げ出したが菅政権は安倍政権の継承を打ち出し、前政権以上の強権的性格として現れている。学術会議の任命拒否は学問の自由の侵害であり、表現の自由の問題でもある。新型コロナ対策も充実させるどころか病院の統廃合、廃止、看護師の解雇などが行われ、子どもの教育をうける権利が保障されず、収入を絶たれた労働者や経営者はそのままです」と菅政権の実態と労働者の現状を説明した。
次に運動の総括について「愛知において憲法改悪、安保法制、辺野古の新基地建設反対などの諸課題についての市民運動はこの二つの組織が担ってきた。共同行動実行委員会は個人で構成する団体で、幅広い市民の共同行動を実現した。あいち市民アクションは団体で構成する団体間共闘で、これまで一緒に取り組むことが困難だった団体も一緒に活動することができたが、目的とした三〇〇〇万人署名には、はるかに及ばない結果に終わり、主体的力量が不足していることを示しました」とこれまでの成果と問題について述べた。
そして新組織の必要性について「安倍政権を退陣させたことは二つの組織の運動の大きな成果です。しかし継承した菅政権はさらに強権的であり、憲法改悪策動を狙っています。今までの二つの運動は止めるどころか一層の強化が求められています。私たちは議論をかさね、憲法の明文改憲及び実質改憲に反対することを目的とする個人と団体の両方を構成メンバーとする運動組織が必要ではないかと考えるに至りました」と経緯を述べ、これまで両団体に参加した市民や地域の団体、労働組合に両団体の解散と新団体の結成を提起し、議論をよびかけて基調報告を終えた。

地域の運動と
のつながりを


途中、休憩をはさんで総会参加者との意見交換が行われた。労働組合の参加者からは、これからも労働運動の立場から積極的にこの新組織の一員として取り組んでいきたいとの発言があった。一宮市の市民団体の人は「名古屋だけではなく愛知県内の各地域でも頑張ってきた。名古屋と地域のつながりを強めよう」との意見が寄せられた。
その他、「軸となる目標を定めたほうが良い」との意見があった。また事務局会議の在り方や新組織の名称などについても活発な議論が行われた。続いて事務局長の山本みはぎさんから新組織結成の呼びかけ文と申し合わせ事項が説明され、多くの人々にこの新組織への参加を呼びかけようと述べた。

 新しい出発

 総会の最後に共同代表の高橋さんから挨拶が行われた。高橋さんは二つの運動組織の闘いが安倍を退陣させた。また最近では育鵬社の教科書採択を減らし、名古屋では阻止した。これは未来にむけた大きな成果だと述べ、これからの運動を進めるためにはSNSやズームなどを活用する能力を身に着けることが重要だと述べた。
そして「立憲野党共闘を地域から作ろう。そのために、この新組織が大きな力になります。当面は一二月一九日に久屋公園光の広場で集会とデモ行進を行います。これを成功させ新たな運動を進めていこう」と提起し総会を締めくくった。

 菅政権打倒へ

 愛知では安倍政権下での戦争法、改憲との闘いの中で「総がかり行動」は誕生しなかったが安倍を退陣させたことにより、それぞれの成果と限界を確認しながらついに愛知の地で「総がかり行動」が結成された。この意義は大きい。
あいち総がかり行動は安倍退陣から引き継いだ、さらに強権的性格をもつ菅政権との闘いを中心に担う組織として出発した。あいち総がかり行動と共に菅政権打倒の闘いを推し進めていこう。      (越中)


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