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    かけはし2019年10月28日号

防災、災害救助、抜本的再考を


台風19号、自然利用のあり方に警鐘―福島から

生態系との調和、真剣な追求へ


改憲固執の安倍を許さない

 一〇月一一日〜一二日にかけて襲来した台風一九号によって福島県の自然と人民は甚大な被害を被った。県が管理する一六河川の流域一四市町村の二二カ所が決壊し(10月16日/毎日)阿武隈川は六カ所が決壊(10月16日/福島民報)全域で浸水(10月19日/毎日)、夏井川も氾濫し堤防が決壊し溢れた水の高さは地上二メートルに達した。
 この台風による死者を見ると全国七九人中福島のそれ(10月19日/毎日)は二九人を占めている。被害はこれに留まらない、これ等の河川氾濫により、郡山市のメッキ工場から劇毒(シアン化ナトリウム)が流出(10月19日/毎日)社会的な不安をもたらしている。
 われわれは今回の台風19号襲来による被害を何かしら不可避の自然災害として処理するのではなく、防災、災害救助等の諸点から今回発生した事態について考えなければならない。また今回の水害に対して住民の救助に駆け付けたヘリコプターが住民を落とし死亡に至らしめるという事態も発生させているのである。安倍政権が固執する憲法改悪による軍備の増強よりも国民救助隊の設置が必要であることを今回の事態は示している。

「生態系サービス」という考え方

 まず第一に、指摘しなければならないことは、近年台風多発の原因とされている、海水面温度上昇の問題である。地球温暖化が海水温度上昇の原因として指摘されている。地球温暖化問題について九月ニューヨークで開催された国連気候変動サミットの場で、グレタ・トゥンベリさんは「生態系が破壊され、絶滅の始まりに直面しているのに、あなたたちはお金や永遠の経済成長という信じられない話ばかりだ」と首脳らに憤り、「若者はあなたたちの裏切りを理解しつつある」と行動を迫った。地球温暖化問題が「対岸の火事」ではないことが台風多発問題として表れているのだ。
第二に治山治水問題である。同問題に対する考え方の一つが、二〇一一年三月に発行された、「復興の大義」農山漁村文化協会ブックレット3に収められた、里山と原発「人、二〇万年の歴史をふりかえって」という項において、「生態系サービス概念」として紹介されている。
生態系サービスとはアメリカ合衆国の生態学研究者グループが、生態系と社会をつなぐ概念として提唱し、生態系が人間社会に提供するあらゆる便宜を指す用語である。その項によると、それは、衣食住など生活に不可欠な資源の供給・水質の保持気候安定化などの調節・レクリエーションの機会を提供・それらの全体を支える生態系の全体を調節する基盤など四つのカテゴリーに分類され、現状における生態系の利用・管理の失敗がもたらす弊害として、洪水、間伐、不作、病気等のリスクの増大が指摘されている。
この分野においても、現在、自然の利用の仕方が偏っていることと共にそれを再編するための考え方が紹介されているのだ。翻って日本における森林・里山の利用について観たときに、それらは開発と木材の利用の対象でしかなかった。
開発の意味するものは道路の開通と土地の宅地や工業用地としての造成、そして建築資材としての材木の利用であった。それらの行為の価値は生み出される金銭の額と費用の比較によって判断され、ときおり例外として語られるのは茸など山の幸についての言説のみであった。森林の環境が果たしている環境への役割は全く考慮の対象ではなかったのである。
こうして樹木の乱伐と森林・里山の破壊が進行した結果として、森林・里山が持っていた保水能力は失われ、低地へ降雨の後に水が流れ出し流出先の川の水量は膨大となった。対策として考えられたのは溢れた水を川へ流すためのポンプの設置や川の流出能力の増大化などであった。こうした施策を考えるならば河川・森林・里山等と生態系の関係についてはまったく思考の外にあったことが理解できる。

県の風力発電計画も大問題

 今回の台風一九号による膨大な被害は従前の森林・里山の生態系サービスを顧みないそして環境を顧みない経済活動の在り方に対する警鐘であったと言えることが理解出来るのである。
こうした森林・里山の機能を見直さなければならない時にあって、福島県では全く逆行した施策が執行されようとしている。福島県いわき市が主な用地となる、風力発電用風車の設置計画がそれである。
九月二五日いわき市文化センターで「いわきを変えるゾ市民の会」が主催し「風力発電を考える住民交流会」が開催された。
図はこの時にいわき市議会議員狩野光昭氏(社会民主党)が配布した資料である。
福島県の計画通り進行すると既設施設を含め一六の風力発電用設備が建設されることになる。そのうち一一が浜通りに建設されることとなる。風力発電用風車は単位当たりの建設数は多様であり、一一カ所の風力建設計画により建てられる風車は一六五基となっている。
浜通りには縦に走る山岳が存在し、その稜線に一六五基の発電用風車が建設されることになる。得られた電力は既設の東京電力の送電線を使用し首都圏へ送電する予定である。それは県が進めるイノベーションコースト計画の一画を占めている。浜通りの振興をその機器のメンテナンスによって図る計画である。
しかし機器はそのほとんどが外国製であり、短い耐用年数等の諸点から地元への経済効果は限定されていることが指摘された。また弊害として低周波騒音の問題、着工工事による土石流の発生と流水量の増加、断層の存在、脆弱地盤等の諸問題を立地地域住民が指摘した。
集まった地元住民達の風力発電設置計画に対する姿勢はこれに反対する立場に立つことは共通であるが、対応と進行程度は一様ではない。住民はこの交流会開催により相互の経験を共有し、風力発電風車建設計画に対するアクションを起こしている。県の風力発電建設計画に対する住民危惧は正鵠を射たものであり計画は再検討されなければならない。 (いわき・浜西)

台風19号被災者救援カンパのお願い

日本革命的共産主義者同盟福島県委員会

 台風一九号による阿武隈川とその支流及び夏井川、宇多川等の氾濫による被害の実相が、日を追うごとに明らかとなり、死者と行方不明者は三十数人にのぼり、洪水被害に加え土砂崩れや断水が各地で続き、生活への影響は長期化することとが予想されています。
 わが同盟とかけはし読者の中でも床上一メートル〜二メートルの浸水を受け、部屋、家具、家電製品が使い物にならず、自宅に戻ることができずホテルや親せき知人宅に住まうことを余儀なくされている仲間がいます。
 全国の同志の皆さん! わたしたち福島県委員会は、被災者の生活再建のための作業に加わるとともに、この仲間たちのためにカンパを呼びかけます。心からご支援ご協力をお寄せ下さるよう訴えるものです。

 二〇一九年一〇月一五日
振込先 郵便振替 振替口座00290―6―64430 新時代社

福島救援カンパと書いて下さい。



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