9.25
公判に200人が支援行動
超長期拘留に怒りの声
不当きわまる「損害」計算
|
【大阪】九月二五日、全日建連帯労組関西生コン支部の武委員長他二人に対する威力業務妨害事件の裁判が大阪地裁であった。この日は、朝八時半から地裁前の若松浜公園で、反弾圧実行委員会主催の座り込み集会が開かれ、支援の労働者・市民二〇〇人が参加した。
連帯労組中央本部の菊池委員長が決意を述べ、平和フォーラムがこの裁判に合わせて大阪で会議を開き、午後五時過ぎに大阪府警に申し入れをすることを報告し、引き続きの支援を訴えた。続いて関生支部武洋一書記長が最近の状況報告をした。先週西山執行委員が保釈された。組合事務所に行かないこと、仲間(それは具体的に名前を記された一〇〇人だという)に会わないこと等が保釈条件になっていると述べた。それは、組合活動そのものをさせないという不当なものだ。
洋一書記長は、この弾圧は関生支部への弾圧であることはもちろんだが、同時に弾圧が憲法28条(労働三権の保障)を蹂躙しているという意味で、広範な労働者・市民にとっても他人事ではないと述べた。さらに、まだ警察に拘束されている仲間が武委員長他四人いる、〇五年の時の弾圧は一年半にわたる拘束だったが、なんとかそれを上回る記録にならないうちに早く奪還したいと述べた。この公判と座り込み集会には韓国から一〇人が参加した。
検察側証人は
知らぬ存ぜぬ
公判は午前一〇時に開始され、昼の休憩を挟んで一三時半再開され一五時過ぎに終了した。午前は、検察側証人の中央大阪生コンの延山社長に対する証人尋問だった。実権は握っている地神会長のようで、反対尋問に対してはほとんどわからない・知らないの返答だった。焦点は、関生支部がストライキを決行した一七年一二月一二、一三日前後のこと。ストライキをやるらしいということを聞いたのは一週間前、確かな情報は大阪広域生コン協同組合から知ったという。この中央大阪生コンはプラントごとTNS生コンから買い、その事業の受け皿として二〇一五年一月に創立されたが、なぜか稼働は一六年四月。その間一年三月間は、広域協組から調整金が出ているが、証人はそのことを知らす、そのブランクの理由も知らなかった。広域協組からは、関生系の輸送会社は使わないようにいわれていたそうだ。ストライキ以前の輸送は近畿産業運輸が専属で担当していたが、ストライキの直前に北神戸運輸と一年の契約を結んでいる。一二月一二〜一三日のストライキで出荷できなかった生コンは、時期はずれたが全部出荷できたようだ。証人は、このときに契約した北神戸運輸との契約内容は覚えていないという。
損害額予想の
デタラメさ!
午後の証人は、宇部三菱セメントの大阪支店長。関西に九カ所のセメントサービスステーション(SS)を持っている。その中で最大の大阪港SSの輸送は、関生組合員がいない上田組が担当している。一七年一二月のストライキの時は、大阪港SSの仕事を堺SSと名古屋SSに移した。そのために、輸送は迂回しなければならず(運送距離が長くなり)、そのために損害が発生すると予想された。損害額はこの予想に基づいて計算されたが、ストライキの期間は出荷していないから、この予想は実際の出荷を基にした計算ではないことは明らかだ。驚くことには、ストライキが終わった後の一二月一四〜一六日の分も損害額に繰り込まれていることだ。宇部三菱側の理屈では、ストライキ後も関生組合員監視行動が続いていたから、怖がってユーザーが行きたがらなかったからというもの。ところが、宇部三菱は一二月一五日専属の上田組だけではなく、松本運輸にもバラセメントの輸送を頼んでいる。つまり、出荷量がそれだけ増えたということ。迂回したという想定での損害額は、ユーザーからの頼みでセメントメーカーが負担したという。大阪港SSには、関生支部はストライキの通告に行ったが、その目的は運賃の値上げのためで、出荷妨害はせずに、運転手を説得すると伝えたということだ。
次回公判は一〇月一七日。なお、一一月一六日には、西梅田公園で関生弾圧反対集会が開催され、終了後デモが予定されている。 (T・T)
10.11
再稼働阻止全国ネット
関西電力東京支社に抗議
「原発マネー」の闇を暴け!
一〇月一一日午後五時半、再稼働阻止全国ネットワークなど首都圏の反原発運動グループは、霞が関の関西電力東京支社前で、経営陣が高浜原発をめぐって巨額の金品を高浜町の元助役(故人)から受け取っていた問題で抗議の行動を行った。
電力会社、地元の有力者、自治体などが原発の建設・運転をめぐるカネの流れの一端が、今回の問題の暴露を通して明るみに出ている。しかし関電経営陣は、「贈賄」側の元助役がすでに亡くなっていることを条件に、あたかも自分たちが「被害者」であるかのような姿勢をとっている。
電力資本と行政
の責任追及へ!
「原発マネー」と名付けられた巨額の資金が、原発の立地選定、建設、運転の全過程にわたって回転し、自治体・地域ぐるみの選別・買収、反対運動の暴力的排除などに使われてきたことは公然たる事実であったが、今回明らかになった事例は、関西電力高浜原発をめぐる資金の流れの、ほんの一端を示すものにほかならない。一〇月九日、関電の八木誠会長は辞任に追い込まれた。
関電の経営陣は、当初は自分たちが金品を「強制的に受けとらされた被害者」のようにふるまっていたが、そのような姿勢が長つづきできるわけがない。今回の問題は、国・財界全体・電力資本・自治体を貫いた、「原発利権」の構造のほんの一端を明らかにするものでしかない。労働者市民・地域の住民は、今こそ腰をすえて、浮かび上がってきた事実の一端をしっかりと握り、さらに深く、全貌に迫る闘いを着実に作りだしていく必要がある。
そのためにも原発立地と大消費地の住民が、ともに討論し、行動する闘いをさらに継続していかなければならない。
いずれにせよ、今は、関西電力があたかも「被害者」のように振舞うことを許さず、地域の住民と電力消費地の大都市住民が連携して電力資本と行政に対する、批判と真相究明の行動を積み重ねていくべき時である。 (K)
読書案内
『父さんはどうして
ヒトラーに投票したの?』
文 ディディエ・デニングス
エルクラブ 発行:解放出版 1180円+税
ファシズムは現代世界の
日常から作り出される!
少年の視線から
視る歴史の流れ
「父さんはどうしてヒトラーに投票したの?」(文:ディディエ・デニンクス、絵:PEF、訳:湯川順夫、戦争ホーキの会、出版:エルくらぶ(解放出版社)、1800円+税)が出版された。
ミュンヘンに近いある村のルディ少年とその家族の物語だ。一九三三年、ヒトラーが政権を取る国会選挙から始まる。この時、この家族の父親はヒトラーに閉塞した社会の打開を求めて、一票を投票する。それに対して、母親はヒトラーに懐疑的で、父親と言い争いになる。少年ルディを通して、ヒトラーが政権掌握後、どのように社会がナチス一色にされていったのかをたどる。
父親はやがて徴兵される。ルディの妹が障がい者として生まれるが、その当時、優生思想に基づき赤ちゃんの「処分」が求められる母親は断固拒否する。また、アフリカの女性と結婚し、肌の色が浅黒い級友のコロマン君を妹といっしょに人里離れた農場にかくまった。ヨーロッパ征服戦争、ユダヤ人や障がい者の絶滅政策。初戦は破竹の勢いだったが、対ソ戦で苦戦を強いられ、ドイツ全土への無差別爆撃が行われ敗戦へ。
敗戦後戻って来た父親にルディは「父さんはどうしてヒトラーに投票したの?」と聞くところで絵本は終わっている。
少年ルディの視線で書かれているので社会の動きを平易に描いていること、絵もぼかす様な手法で当時の雰囲気を醸し出している。当時のドイツ社会がナチス一色に簡単になったのではないことを母親とルディの気持ちを通して表している。子どもに分かりやすく説明するために、本文の中に解説が書かれている。
マンデルはその著書「第二次世界大戦とは何だったのか」で、次のようにドイツ国内におけるナチスに対する抵抗を著わしている。
一九三三年二月から一九三九年九月までの期間、二二万五〇〇〇人が政治的理由で有罪判決を受けた。第三帝国時代に一六六万三五五〇人がドイツ内の強制収容所に収容されていたが、そのうち一〇〇万人がドイツ国籍だった。一九四四年のヒトラー暗殺事件後の労働者カードルへの徹底的な弾圧と都市無差別爆撃での産業的・市民的組織網の破壊がなかったら、ユーゴスラビア、ギリシャ、イタリアのように労働者の「革命」がドイツでも行っただろう。
誰もがアイヒマン
になる可能性
ハンナ・アーレントはナチスによる迫害を逃れてアメリカに亡命したユダヤ系ドイツ人の政治哲学者で「エルサレムのアイヒマン」の著者。
全体主義は、成熟し文明化した西欧社会を外から脅かす「野蛮」などではなく、もともと西欧近代が潜在的に抱えていた矛盾が現れてきただけだ。「陰謀史観」や「民族の歴史的な使命」といった擬似宗教的な世界観を巧妙に浸透、定着させることで自発的に同調するように仕向けていった。
何百万人のユダヤ人を計画的・組織的に虐殺し続けることがどうして可能だったのか? アイヒマンは収容所へのユダヤ人移送計画の責任者。彼は、与えられた命令を淡々とこなす陳腐な小役人だった。その事実は「誰もがアイヒマンになりうる」という可能性をつきつける。どこにでもいる平凡な大衆たちが全体主義を支えた。現代社会を考える良い絵本であった。(滝)
【編集部のおわび】
本紙前号(10月14日付)でコラム「架橋」欄を編集部の不注意で掲載しませんでした。筆者・読者におわびいたします。
「かけはし」編集部
|