米国
「民衆自らの決起」促す機会へ
ダイアン・フィーリー
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米国ではすでに大統領選挙に向けたキャンペーンが熱を帯び始めている。トランプの政策展開自体が明らかに大統領選を意識したものになっている。この中で民主党予備選ではサンダースが再度立候補、特に社会的課題に焦点を当てる政治論争の主導者になっている。以下は、サンダースの立候補を積極的に評価しつつ、そこで生まれている論争が開く潜在的な可能性を論じている。(「かけはし」編集部)
サンダースが今
語っていること
四年前のバーニー・サンダースのキャンペーンは、社会主義をこの何世代でははじめて米国の政治的課題設定に載せた。彼は再度その踏み跡に立ち、「民主的社会主義」のビジョンが意味するものを説明、諸々の大衆運動建設をはじめ、労組および労組の組織化を支援している。
バーニーは、いくつかの点で民主党予備選に立候補している他の者たちと彼のビジョンをはっきり区別している。第一にサンダースは、企業からの資金を受け入れていない。バーニーは少額の寄付を基礎に置く資金調達モデルを築き上げ、その基盤を構築し続けている。それが可能だとは、彼がそれを行うまでは誰一人考えなかった!
彼は第二に、民主党の政治的な機構からは独立して組織化を進め、「バーニーのための労働者」やDSA委員会といった他の自律的な組織の支援を歓迎している。
彼は第三に、この四分の一世紀を通じて広がるばかりの不平等に苦しんできた勤労民衆の必要、に焦点を絞った政綱を素描している。「中間階級」を際限なくその聴衆と定めている他の政治家とは異なり、彼は労働者階級と民衆の必要と願いについて話している。
彼のキャンペーンは、最賃時給一五ドル、および労組の一員になる権利を擁護している。事実として彼は、ピケットラインに加わり、彼の支持者にもそうするよう促している。
人種的公正を求める彼の政綱は、住宅、教育、医療、雇用に関する差別を終わりにし、警察の暴力や有権者の投票権剥奪を終わりにする、包括的な綱領を概括している。彼は、国外追放計画と拘留センターを解体する包括的な移民改革、DACA(幼少期に米国に到達した移民への延期措置、不法移民でもいくつかの条件を満たした場合二年間強制送還を猶予する、更新も可能:訳者)と市民権取得の道の拡張を求めている。彼は、世界が直面している最大の問題は、と問われて、まさに躊躇なく、気候変動と語っている。
第四にバーニーは、立候補している他の候補者すべてとは異なり、青年社会主義者同盟の一員であった学生の日々以来、運動の活動家としての歴史を記録している。これはわれわれに、政治家として生活を送っている者たちよりも彼がより大きな信念に基づいて語っている、とのより大きな信頼を寄せることを可能にしている。
第五に彼は、勤労民衆の利益を代表するとは主張せず、むしろ、彼が概括するような綱領を実行することは、自立した政治組織なしには不可能、と主張している。彼は先頃の演説で、ウォル・ストリートを打ち負かす上で必要な行動の種類として、知事のリカルド・ロッセロを力づくで辞任させたプエルトリコ民衆の事例を指し示した。
資本が行使する
強力な選挙統制
正直にいえば私は、民主党と共和党の双方を、企業エリートの異なった分派から統制されていると認める、社会主義者の伝統出身だ。われわれはこれまで、独立した政党、特に一九九〇年代に創立された労働党、の建設のために、しかしまた社会主義者のキャンペーンやみどりの党のキャンペーンのためにも奮闘してきた。
私は、二つの「大」資本家政党のどちらであっても、民主党(変化を起こすことにより開かれていると見られている)であっても、それに票を投じる人々から統制されるツールに転換可能、とは考えない。党の資金と組織は企業の権力から統制されているのだ。
しかし勝者総取りシステムの下での独占的二党システムを前提的条件に、米国における自立的第三党形成はこれまで、多くの聴衆を得ることができずにきた。
それは、反民主的な選挙法によって支えられた一世紀も続く問題だ。これらは今や、二〇一〇年の最高裁判決によって、さらに新テクノロジーに基づきより正確に行われるゲリマンダー化の激しい利用によって強化されている。ちなみに先の判決は、情報公開された寄付者からの資金を選挙に無制限に費やすことを可能にしている。明らかだが、二党システムとの断絶はすぐに起きそうにはない。
サンダースは、この間何年も無所属として候補者に立ち、しかし党の建設からは遠く離れたところにとどまってきた。そして彼は、民主党予備選投票用紙に立候補し、その一方企業資金を拒否し、党組織からは完全に独立を保つという一つの戦略を開発した。バーモント州(サンダースはこの州から選出されている上院議員:訳者)では党の登録を必要としていないがゆえに、サンダースは技術的に民主党の指名を受ける無所属になるのだ。この斬新な戦術は、社会的変革に献身してきた人々からの支持を引きつけた――しかし、短期的には役に立つとはいえ、その潜在的可能性には疑問を残し――。
社会綱領の提起
一層の充実見せ
ある人びとは、二〇一六年にバーニーが予備選に勝利した民主党候補者を支持するとの誓約を維持したことに失望した。しかし事実として彼は、彼が行うと約束したことを行った。私は、彼が先の誓約をしなかったとしても、彼が民主党で立候補を許されただろう、とは考えない。それは彼が行った妥協だ。
ある人びとは、二回目の立候補のためにバーニーは「中道」に移行するだろう、と考えた。しかし彼は、より充実した社会民主主義的綱領を一層十分に画然とさせつつある。経済的諸権利法案への必要に彼が光を当てたことが、一つの重要な討論に道を開いた。
彼は、経済的民主主義を欠いた政治的民主主義はあり得る投票権よりもはるかに多くのことを提供するわけではない、と今指摘している。その権利は重要だが、特に、その権利が剥奪されてきた者たちにとってはそうだが、それはそれだけでは人々の暮らしに、あるいはその家族のために多くの保証を提供するわけではない。
バーニーのキャンペーンが、特に社会主義左翼に代わって行っていることは、その上にわれわれ自身の社会主義の社会像を概括するための、より大きな政綱をわれわれに提供することだ。彼は、勤労民衆と企業間の戦闘という現実を指摘している。彼は、諸労組、および民衆が彼らの生活のために必要なものを脱商品化する綱領(「全員のためのメディケア」を先頭に)を支持し、擁護している。
そのビジョンは彼のより小さな提案のいくつかに力を与えている。たとえば、バーニーと、ニューヨーク一四区の下院議員、アレクサンドリア・オカシオ―コルテスは、それが以前行われていたように、郵便局に為替を発行させる法案を提案した。
人々が銀行口座をもっていないために、費用をかけて小切手の現金化を行う仕組みを頼りにしている人々が何百万人といる。それは単純な改良だが、それでも、貧しい人々のためだけではなく、その多数が女性でありアフロ米国人である公共部門労働者を強化することにもなる結果を伴うものだ。
この単純さの何が社会主義と関係するだろうか? それは、小切手現金化ビジネスが上げている巨額の利益よりもその前に民衆の必要を置いている。それは、今日の企業が荒れ果てさせた新自由主義の米国では何かを意味しているのだ。
確かにバーニーは、労働者とコミュニティ支配下での産業国有化を提起せず、海外における米国の戦争に対する彼の反対は、世界における米帝国主義の役割を徹底的に精査――独立した社会主義左翼が最前衛に立つ課題――してはいない。しかしながら、彼の綱領の実体――労働者の権利への支持、「全員のためのメディケア」の拡張、化石燃料を終わりにすること、女性が自身の体を支配する必要――は、何百万人もが街頭に決起するならば、はじめて実行される可能性が生まれるのだ。
政治的空間拡張
可能性の実現へ
民主党はサンダースを「信頼できる」とは見ていない。そしてあらためて、投票用紙に彼の場所を勝ち取ることを妨げる方法を見つけ出すだろう。それは二〇一六年に現実だった。そして私は、それが今回も現実と確信している。実際に今回は、代議員が一つの広がりの中から「つまみ上げる」ことができる――サンダースの綱領を大量にそっくりまねているエリザベス・ウォーレン(マサチューセッツ州選出の上院議員:訳者)であろうが、中道にはるかに近い、カマーラ・ハリス(カリホルニア州選出の上院議員:訳者)やジョー・バイデン(オバマの副大統領:訳者)であろうが――ほどの多すぎる候補者がいる。
サンダースの道は再び阻止されるだろうということを前提とした時、それでは彼の予備選立候補を支持する利点は何だろうか? その経験は、特にその後彼がエスタブリッシュメントが好む人物を承認することになるがゆえに、彼の草の根の支持者の士気をまさにくじくことにならないだろうか? それは民主党に対する依存を強めないだろうか?
もちろんそのすべては、トランプの再選に可能性があるとまさに同じく一つの可能性だ。しかし、DSAが八月の大会で、バーニーが指名されないならば民主党のいずれの大統領候補者も支持しない、と票決したことは重要だ。それは、バーニーの立候補支持が諸個人や民主党内の諸組織をあたかもだますようなものとは見えないものだ――個人が投票日に行う選択が何であれ、またそれが「よりマシな悪」支持となろうが、進歩的な無所属支持になろうが、それとも第三党の選択となろうが――。
サンダースの政綱と勢いが国中の政治討論をどれほど変えたかを無視することは向こう見ずだ。それは社会主義者に、空しいユートピアのように聞こえることなく、特定の改良への支持を超えて、友人たち、家族、また同僚労働者が一つの討論に取りかかる機会を与えている。社会的、政治的、そして経済的民主主義からなるこのより幅広いビジョンは、企業エリートのあらゆる翼が要求する緊縮綱領に対して打ちつけられる一つの城壁崩しの大槌なのだ。
それは、勤労民衆によって、またわれわれの利益の観点で管理される一つの政党をわれわれがもっていない、という巨大な問題に、その解決は無論のこと、立ち向かっていない。とはいえそうであってもバーニーのキャンペーンは、企業の支配に対する一つの前向きなオルタナティブを見せている。その識見は、もちろん、何百万人もが彼らの声を公正を求める闘争の中で見つけ出す場合にのみ、盛んなものになるだろう。
自らをだまさないようにしよう。つまり、資本主義の破壊的な本性は大衆的な介入を通して置き換えられる可能性が生まれる、ということを実感する多数派を勝ち取るための闘争は、依然初期段階にある、ということだ。それは、清潔な水、手頃な住宅 さらに質の高い学校を求める日々のコミュニティの闘争を通じて、栄養を与えられる可能性が生まれる。それは、ブラック・ライヴズ・マターや民主的に管理される労組を求める戦闘の中に存在している。
この選挙シーズンの中でわれわれが政治的空間をもっと広く押し広げることができるならば、われわれはそこからこれらの要求が最初に生まれている諸々の運動を活気づけることができるかもしれない。それは、この経験がはらむ利点ではないだろうか?
われわれに現在ツールが欠けていることを前提にすれば、経済的、政治的、さらに環境的な公正を求める討論を広げること以上のことを、すぐに行うことはありそうにない。しかし、われわれの根付きがより深くなればなるほど、成功の機会はそれだけ大きくなる。バーニーが正しさを主張している論点は、そしてそれは社会主義者が増幅する必要があるのだが、何百万人もが自らと互いのために決起する時変革が生じる、ということだ。(「アゲンスト・ザ・カレント」誌二〇一九年九・一〇月号)
▼筆者は退職自動車労働者の、下部組合員コーカス、自動車労働者キャラバンの活動家。「アゲンスト・ザ・カレント」誌編集者でもある。(「インターナショナルビューポイント」二〇一九年九月号)
声明
われわれの未来を取りもどせ、気候変動ではなくシステムの変革を
2019年9月26日 第四インターナショナル執行ビューロー
九月二〇日の金曜日に始まった動員の一週間は、歴史的な規模を持つものだった。すでに一五六カ国で四〇〇万人がデモに参加し、五〇〇〇以上のイベントが行われている。数十万人の若者たちが何か月にもわたって学校や大学の外に出て、気候ストライキを行っていたが、今週はさらに大規模なものとなった。それは多くの場合、グレタ・トゥンベリの呼びかけに応えたものだった。現に進行中の気候破局を回避しようとする新しい世代が、地球上のすべての大陸で広がっている。
二〇一九年七月は、これまでの記録の中で最も暑い七月だった。何ものにも代えがたい何十万ヘクタールものアマゾン流域の森林が灰燼に帰し、かつてなかった森林火災がグリーンランド、シベリア、アラスカで猛威をふるった。ハリケーン「ドリアン」がバハマを、台風ファクサイ(日本での呼称は台風15号)が日本を襲い、スペイン南部では滝のような豪雨が降り注いだ……。このリストはさらに長く続き、この一世紀半をかけた平均気温の一・五℃上昇の劇的な影響を示すものとなっている。
摂氏二度は、安全のリミットだなどとは全く言えない。最大限でも一・五℃以下にとどめることがパリ協定で示されている。それは気候問題での大衆運動と、最初に海面水位上昇に脅かされる諸国からの圧力によるものだった。しかし二〇一五年以後、温暖化ガスの排出は増え続け、摂氏七度上昇にも達するという予測も出されている。
今週、ニューヨークで国連気候行動サミットが開催されている。すでに四年前になされた極めて不適切な約束にも達していないにもかかわらず、国連事務総長は、これら諸国に「二〇五〇年までの炭素ガス排出ゼロを達成する計画」「化石燃料に代わるエネルギー源をどうするか」、「炭素税」、「二〇二〇年以後、新しい石炭火力発電所を稼働させない方法」を問うている。われわれは、この何度目か分からないサミットからは何ものも生まれないこと、資本主義は気候犯罪を続けるだろうことを、すでに知っている。
気候を変動させないためには、システムを変えなければならない。われわれの希望は、変わったことの中にある。それは若者たちが主導するグローバルな結集である。われわれは労働者運動、女性運動、LGBTQ運動、略奪的資本主義によって直接虐殺された先住民族、グローバルな反レイシスト・反ホモフォビア(同性愛忌避に対する闘い)運動に、すべての人が生きることのできる惑星をめざす、この根本的な闘いに結集することを呼びかける。
ストライキや気候行進が九月二七日、二八日の週末に、再度行われる。この行動を強化し、社会的公正と気候正義をめざす国際的で大規模のラディカルな運動を共に作り出そう。
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