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    かけはし2019年9月9日号

システム劣化はもはや許せない


フランス

救急処置スタッフがスト開始

私的か社会的かのイデオロギー戦闘

コール・スタングラー


 フランスにおける民衆とマクロン政権との衝突では、昨年秋から粘り強く展開されている黄色のベスト決起が世界的に注目されてきた。しかし同時的に、公共サービスへのマクロン政権の攻撃に対するもう一つの反撃が医療を現場に発展中だ。以下はパリから「ジャコバン」誌に届けられたその報告。(「かけはし」編集部)

命にかかわる
サービス守る

 看護師と医療助手が公立病院の無視に闘いを挑む中で、フランス中の救急処置室二〇〇ヵ所以上にストライキが広がった。ストライキに立ち上がった労働者は、命に関わるサービスを混乱させたいとは思っていない。彼らは、エマニュエル・マクロンがそれらの管理を低劣化させるのを止めるために今行動中なのだ。
四七歳になるローレン・グレイズは、一九九四年以来ニースの公立病院システムで働き続けてきた。しかしこの看護師――労働総同盟(CGT)の組合代表――は、諸条件がこれほど恐ろしくなったことはない、と語る。それを特質化するものが、賃金凍結、処置の超過密化、医療スタッフに対する患者の怒りの爆発だ。それこそが、この水曜日彼がストライキを決行し、この市の四病院にある救急処置室すべてから何十人もの彼の同僚が――そして全国規模ではさらに数千人の労働者が――加わった理由だ。
「公共サービスというわれわれの使命を満たすために必要な人的、物質的両面の支援の欠落に関し、今われわれは管理者と政府に闘いを挑んでいる」「労働条件は系統的に劣悪化され続けてきた」、彼はニースシミーズ病院にある彼の組合事務所で「ジャコバン」誌にこう語った。
多くの看護師は、これに同意しているように見える。そしてそれは、CGTによれば、水曜日以来大雑把にこの市の公立病院救急処置室スタッフ二〇〇人の三分の一がストライキに立ち上がったニースだけのことではない。ストライキ労働者は、全国労働者調整委員会の六月後半の集計によれば、全国の大規模な救急処置室二〇三にも影響を広げつつある。それは、フランス中の公立救急医療サービス四七八施設の中では、かなりの比率になる。
「われわれは、もうたくさん、との全般的感覚に達した」、ニースの公立四病院におけるCGT代表である四八歳のステファン・ゴーベルティはこう語る。
しかし、労働者たちが悲惨だとしても、この職場の性格がストライキをむしろ異常な運動にしている。実際に、いわゆる最低限サービス法が、救急処置室のストライキによる閉鎖を禁じている。結果として、「ストライキ中」と自ら公式に言明している者たちの多くは事実上、すべてがケアが確実に妨げられないようにしつつ、彼らの仕事を短期間の間隔で保留しているだけだ。他の者たちは、さらに他の共鳴者たちが仕事にとどまっている中で、抗議の医療休暇を取った。しかし仕事にとどまっている者も、集会参加、アームバンド装着、請願署名など、さまざまなやり方で連帯を示している。
いずれにしろ、救急処置室ストライキの波は三月に始まってから増加一方となり、エマニュエル・マクロン政府にとっては一つの逃げることのできない悩みの種になっている。この労働者の行動はまだ、メディアの注意を黄色のベスト(ジレ・ジョーヌ)と同じほどは生み出していないかもしれない。しかし、看護師、医療助手、さらに他の救急処置室スタッフは、ジレ・ジョーヌと同じほど多くの注意を、フランスの政治的課題を定めるものの一つ、すなわちかつてなかったほどの攻撃が加えられている時代における公共サービスの防衛、に引きつけつつある。

公共サービスの
コスト最優先化


フランスの医療サービスシステムが世界を先導する位置に今もとどまっている中で、近年ケアの質が低下してきた、という広範に広がる感覚がある。二〇〇〇年、世界保健機構(WHO)はフランスのシステムを世界最良と位置づけた。しかしもっと近年の研究は、フランスを同順位表のはるか下に置くことになった。
医療の「利用の容易さと質」を評価している「ランセット」(著名な医療専門誌:訳者)を根拠とした二〇一八年の研究は、フランスを二〇位に位置づけている。それは、米国や英国より上だが、カナダ、またスペインやイタリアなどの隣国より下位にある。最新のユーロ・保健利用者年次指標はこの間フランスを、EUにおける三五ヵ国の内一一位に置いている。ちなみにこれは、患者の権利、待ち時間、サービス内容、そして予防を報告している研究だ。
ストライキ労働者は、質の低落を極めて単純な理由、つまり資金枯渇、に繋げている。諸々の病院は大きな部分を、賃金台帳税から資金を手当てされている。つまり、国民医療・保険システムに資金を出している被雇用者と雇用主からの拠出だ。二〇一〇年以後政府は、医療・保険・支出年成長率目標を三%以下に固定することによるコスト管理をめざしてきた。しかし同時に実際の医療支出は、人口高齢化、またより多くの人々が今日医療を求め続けているという事実を反映して、もっと早い率――約四%――で上昇中だ。一九九六年から二〇一五年までで、年間の救急処置室患者はほぼ倍化した。
政府は支出を高める代わりに、ねじを締め付けた――より少ない財源で対処するよう、またより少ない労働者で矢面に立つよう病院に強いて――。公立病院被雇用者は市民サービスの残りと共に、二〇一七年二月のささやかな引き上げ以来、引き上げを経験してこなかった。基本賃金はそれ以前、六年間凍結されていた。
同時に医療の被雇用者は、財政逼迫を管理するための新たな管理テクニックの導入を経験してきた。労働者たちは今、特別な目標と一体となった個人化された計画をもたされ、彼らの職歴コースを通じていくつかの異なった専門性をわがものにするよう――フランスの経営用語でポリヴァレント(多能工)になるよう――期待されている。
「職場での緊張は全面的に極めて明白だ」「今日われわれは、今も公的医療の観点で基礎を教え込まれた中で、予算と経理に焦点を合わせさせられている。われわれに受け入れるべき患者がいた時、あるいはやるべき仕事があった時、『それにいくらかかるのか?』と自分で問いかけているようなことはかつてなかった」、一九九三年にニースで医療助手として仕事を始めたCGT指導者、ゴーベルティはこう語る。

社会的システム
を取り戻す闘い

 スタッフに対する一連の肉体的襲撃を引き金として、運動は三月に遡ってパリの病院で始まった。一月から三月まで、パリの聖アントニー病院の救急処置室被雇用者には、長い待ち時間と患者用ベッドの不足を背景に、別々の八件の事件があった。このストライキはすぐさま、諸条件改善のための一つの共闘機関、「インター・エマージェンシー」を発足させた活動家を伴って、他の救急処置室に広がった。
これは批判を内包して、公的な組合組織の外部で起きた。被雇用者は正式なストライキ声明――業務放棄に対する法的な支えを提供する――を行う上で諸労組に依存しているとはいえ、彼らは、先の共闘機関を通じて諸要求とさまざまな行動を調整してきた。それらの中心的な要求には、月額三〇〇ユーロの賃金引き上げ、救急処置室での新たな一万人の雇用、さらに患者をストレッチャーに収容すること――利用可能なベッドがまったくない時にとられている非常措置――を終わらせること、が含まれている。
「われわれは諸労組がわれわれに代わって交渉してほしくなかった」「われわれは、それらとの争いがほとんどあり得ない、ということをすぐに理解した」、パリの病院被雇用者の一人は六月、通信社のAFPにこう語った。
いくつかの場合で、病院の労組はつまらない、また職場の要求に十分対応していない、と見られている。他の場合――ニースでと同じく――では、諸労組がストライキを組織した。それにも関わらず、この運動は一つの焦燥感に道を開いた。四月までに、そのほとんどがパリにある約二五の病院がストライキに入った。六月はじめまでにその数は全国で八〇に達した。六月六日、共闘機関「インター・エマージェンシー」は、パリの保健省前で一つの行進を組織し、ル・モンド紙によれば二〇〇人の抗議行動参加者を結集した。
このデモは最終的に、政府からの譲歩を引きだした。先月保健相のアニエス・ビュザンは、救急処置室労働者に対する一〇〇ユーロのボーナスを公表し、より多くの雇用をめざす資金手当を約束した。しかしこれには、この運動を弱める効果がほとんどなかった。ストライキはただ続いただけではなかった。それは、六月末までに一三〇機関以上に達するまでに拡張した。多くは正規の賃上げ形態による満額の三〇〇ユーロ――それにより確実に、医療システムへの資金供与を助ける社会的拠出に基づくようになる――を今も求めている。
行動に入っている労働者はまた、圧倒的な共感を得ている――大きな部分で、フランスの住民の多くはこの被雇用者が糾弾中のまさにその問題によく通じているがゆえに――。世論調査機関のオドクサは六月後半、フランス人の一〇人に九人がこのストライキを支援している、と見出した。それは、ジレ・ジョーヌが去年末この運動が頂点にある時に示すことができたものすらも、あるいは二〇一七年の鉄道労働者ストへの支持をも上回る支持だ。
この民衆的承認はグレイズにとって、驚きにはなっていない。「それは、この国の医療システムに結びついている」とこの看護師は語る。彼にとってそれは「もっとも不安定な人々を不利な立場に置く単なる大規模な私的保険システムではなく、社会的拠出の資金によるシステムを維持するためのイデオロギー的戦闘」の問題なのだ。
この運動が進んでいる中で鍵になる問題は、政府がさらに譲歩するか否か、だ。とはいえ最終結果がどうなろうと、この運動は、集団行動が今なおフランスでは価値を得ている――エマニュエル・マクロンの下でさえ――、ということを思い起こさせるものになっている。この秋における退職年齢引き上げ提案に関する厳しい闘いに諸労組が準備を整える中で、彼らは、彼らが得ることのできる限りの激励を利用できるだろう。(「ジャコバン」誌、二〇一九年七月二六日号より)

▼筆者は、労働と政治について書いているパリを基盤とするジャーナリスト。「インターナショナル・ビジネス・タイムス」の元専属記者であり、さまざまな出版物にも記事を発表してきた。(「インターナショナルビューポイント」二〇一九年八月号)


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