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    かけはし2019年8月26日号

東電の責任回避を許さない


9・19福島原発事故刑事訴訟1審判決へ

3被告の有罪判決勝ちとろう

津波はハッキリ予測されていた

 

 【いわき】福島第一原発事故刑事訴訟の判決公判が東京地裁で開廷されようとしている。
 事故発生の契機は東北地方太平洋沖地震により発生した津波であった。東京電力はいったん決めた津波対策を、経費削減のため取り消した。そして原発事故を未然に防止出来なかったのである。
 その刑事責任を問うため、旧東京電力幹部に対して、全国の一万五千人が告訴・告発を行った。それは検察庁によりいったんは不起訴処分とされたが、検察審査会が二度も不起訴処分を覆し強制起訴となった。裁判は約一年九カ月にわたり三七回の公判が東京地裁で行われた。その結審公判が九月一九日に同地裁に於いて開廷されようとしている。 
 福島原発刑事訴訟支援団は、公判の開廷日「九月一九日」に向け、七月三一日福島集会を皮切りにした福島県内連続集会および、九月八日東京集会の開催を決定した。東京電力旧経営陣三被告の有罪判決を獲得しよう。
 二〇一一年三月当時運転中であった、東京電力福島第一原発の3基の原子炉が相次いでメルトダウンした。冷却水は汚染水となり、後に放射性物質は「流れ藻」等に乗り太平洋の対岸にまで届いた。また、原子炉から大気中に放出された放射性物質は、広範囲に拡散した。

避難過程でも
奪われる生命


事故の被害は甚大であった。双葉郡の住民は生活と暮しを奪われ、そしてまた多くの住民が避難の過程で、命さえも奪われたのである―「座席の下に倒れ込み、丸まって亡くなっている人もいた」「原発事故がなければ入院患者はもっと生きられた」―二十六回公判、証人発言(当時双葉病院勤務元女性看護師)。
福島第一原発事故がいまだに収束していないように、同原発事故による人的被害は未だ継続中なのである。復興庁が今年六月に発表した震災関連死者数は累計調査で福島県が二二七二人、 一〇都道府県全体三七二三人の六割も占め、また六五歳以上が二〇四七人であった。事故後五年経過した後現在も、関連死は福島県だけが続いているのである。そして未だに帰ることの出来ない地域も出現させた。
この未曾有の事態に対する政府・東電の対応は、被災者を切り捨て、加害者東電を救済する、全く理不尽なそして不条理なものと言わなければならない。
被災者を切り捨てる棄民政策は、代表的には帰還政策として表れている。帰還政策は被災地住民分断として作用している。それは一方では素朴な望郷の思いを利用しつつ帰還へと誘導し、他方従わない者には住宅提供の打ち切り期限を示しつつ病院等生活インフラ未整備地区への帰還を強いているのである。

9・8東京集会
に結集しよう


他方福島原発事故の加害企業に対しては究極とも言える、手厚い保護が施されている。即ち福島原発事故に関わり生じる費用は、「廃炉等支援機構」が東京電力に貸し付け、東京電力が後に返済する仕組みとなっている。しかし、東京電力は返済額を電気料金に上乗せ出来る仕組みとなっている。
また除染費用もいったんは国が負担し、後に東京電力が弁済する仕組みとなっているが、東京電力が支払ったのは二〇一五年時点で半分以下に過ぎない。また損害賠償についても、さらに不条理な事態が頻発している。
そもそも建前として裁判外紛争処理解決手続き(ADR)は「被災者に対して賠償が迅速になされるように」との趣旨で実施されているが、国の原子力損害賠償紛争解決センターの和解案を、東京電力が拒否する事態が急増している。加害企業の東京電力が、である。
そもそも東京電力は福島原発事故について回避可能性を認めていないのである。それは福島原発事故の被災者が起こした損害賠償訴訟に対する、東京電力の対応に明確に示されている。これらの訴訟の場において東京電力は、「福島原発事故は回避不可能であった」と主張している。しかしこれらの訴訟の判決(11裁判)ではすべてが「事故は回避出来た。津波の予見は可能であった」と述べ東京電力の主張を退けているのである。
しかし東京電力は現在も福島原発事故回避不可能説に執着し、「東京電力廃炉資料館」(福島県富岡町存在)において「巨大津波の予測が困難だったことを理由に原発事故を天災としてはならない・原発事故は防ぐべきであった」等と主張し、いったん決定した津波対策を覆した事実を、巧みに隠蔽しているのである。
隠然と福島原発刑事訴訟三被告を応援する東京電力を許してはならない。福島原発刑事訴訟三被告の有罪判決は、福島原発事故不可避を喧伝する東京電力を決定的に追い詰める結果となる。三被告の有罪判決を勝ち取ろう。
九月八日、東京集会=判決直前大集会=(文京区民センター3‐A会議室午後2時〜)に参加しよう。9・19東京地裁を「被告は有罪だ」の声を轟かせよう。
九月一九日(木)判決日行動、午後一時一五分開廷。東京地裁104号法廷/午前一一時〜一二時、東京地裁前行動(東京メトロ霞ケ関駅下車)
(浜西)

アジア連帯講座:湯川順夫さん報告 A

フランス「黄色いベスト」の運動

登場した社会的背景を問う

4 なぜ、これまでの労働組合運動や左翼政党の活動の枠外で運動が生まれたのか? 

 フランス社会運動と左翼の閉塞状況のプロセス
 フランスの主な労組ナショナルセンターは、CGT(労働総同盟)、CFDT(仏民主労働総同盟)、SUD(連帯労組連合)がある。
 主な左翼政党は、社会党、共産党、「屈しないフランス」(メランション)、反資本主義新党(NPA)、「労働者の闘争派」などがある。
 一九九〇年代に入って新自由主義の攻勢が本格化する。社会党、CFDTは新自由主義の攻撃に屈伏、右傾化(たとえば、民営化の受入れ)していった。
 これに対する広範な抵抗が一九九〇年代、フランスの社会運動の「再生」を形成していく。CFDTの右傾化していくが、逆にそこから現SUD系労組が誕生する。さらに教員組合内の反自由主義派の勝利、反失業運動(AC!)、DAL(ホームレスの運動)、SOS-Racisme、ジュゼ・ボヴェとフランス農民連盟の反GMO運動、Attacなどの社会運動も登場する。
 一九九五年末には公共部門の広範なストライキが行われ、シラク政権が「譲歩」する。これがEU条約に対しては国民投票でNONの勝利へとつながっていった。運動再生の流れは、世界社会フォーラムの運動に合流し、世界的な反グローバリゼーションの運動と結合していった。イタリアの共産主義再建党、ブラジル労働者党や労働組合運動の合流もその現れだろう。これらの社会運動の再生を担ったのは「六八年五月世代」だ。
 ところが二一世紀に入ってこの運動が壁にぶつかる。一九九五年末の公共部門のゼネスト、EU憲章条約をめぐる国民投票(二〇〇五年)を否決、CPE(初期雇用契約、二〇〇六年)、年金改革(二〇〇八年)に抵抗する運動は大きく盛り上がるのだが、それは危機に立つ政府にとどめを刺すまでには至らなかった。
 その背景として@CGTの弱体化がある。CGTは二〇一八年末、フランス第一位のナショナルセンターの地位から陥落した。また、CGT全国指導部は、欧州労連への加盟以降、異議申し立て派から「社会的対話路線へと転換した。A連動して欧州「緑の党」の現実路線への転換(ドイツ緑の党の指導部=世代交代、六八年世代の後退)、イタリア共産主義再建党の連立政権への入閣などがあげられる。
 つまり、「六八年五月」世代が担って来た運動の行き詰まりを意味しており、SUD系と90年代の社会運動だけでは、全体を動かすことはできないということだ。
 その結果、この間、九〇年代から続いて来た運動の枠外で、「夜に起ち上がる」、ZAD(土地を守る農民、環境保護派の運動)、気象変動対策を求める高校生の運動という新しい運動が出現して来た。「黄色いベスト」の運動も、同じく90年代の運動構造の枠外から生まれた。これまでの労働運動や左翼の運動に対する「不信」、「反発」がそこにはあった。
 今回の黄色いベスト運動に対するCGT全国指導部の対応もその現れだろう。SUD連合を除く他のナショナルセンターは、共同声明を出して政府に対して「対話」を呼びかけるとともに、「要求の表現におけるあらゆる形の暴力に反対する」と非難した。「下からのCGT派」をはじめとする組合員は猛反発する。
 CGT化学産別の声明では、「『CGTの恥』、『CGTの役割は、闘争する以外に選択の道のない人々に対して静まるよう呼びかける経営者や政府の権力を補助することではなくて、労働者の中にいるべきだ』」とアピール。
 この組合員の反発に直面したCGT全国指導部は、共同声明から2時間後に、軌道修正し、「暴力」がどこに由来しているのかを明らかにし、「政府が社会に火をつけている。無責任だ」と変更した。その後、CGT全国指導部は、政府との対話を拒否し、「大討論会」にも参加しなかった。
 全国指導部の路線に抗して、CGTの一部の産別組織や県連が黄色いベスト運動のデモに合流する。しかしSUD系労組やCGTのいくつかの産別組織や一部の県連合組織は、マクロンを打倒する好機なのだから、「黄色いベストの運動」にストライキで合流すべきだと要求した。だがその要求に指導部は応えていないままである。

5 この運動の評価をめぐる対立と論争

 「『黄色いベスト』運動の要求事項 二〇一八年一一月二九日」を検討する。

 @要求リストは、提起された要求をそのまま総花的に網羅したにすぎない。相互に関連し合っていないし、統一されていない。
要求の中で「職場」での労働者の権利をめぐる要求はない。労働時間の短縮、とりわけ、道路封鎖でフランス経済を麻痺させ、マクロンを窮地に立たせているのにもかからず、そこからさらに追い打ちをかけて、ストライキによってマクロン政権に追い打ちをかけてその全面的退却を強制するということは、ある意味、従来の運動の発想からは当然出て来るのだが、実際にはストライキの要求はまったく打ち出されていない。
このことの意味するもの――黄色いベストの運動の参加者は、出発点において、自分たちの闘いの同盟軍として労働者、とりわけ労働組合をまったく考えていなかった。
A自分たちはグローバリゼーションからの犠牲者であり、それから取り残されている。それとは対照的に、グローバリゼーションで巨万の富を築いているのは富裕層であり、マクロン政権と現在のEUのエリート層は、それら富裕層を優遇し、貧しい人々により一層の負担を強制している。
とりわけ、マクロンの進める税制は金持ち優遇であり、それとは反対に富裕層により多くの課税を強制して、社会の富の再分配が必要という社会的・税制的公正を要求している。この点で、ブレグジットを支持したイギリス労働者階級、トランプ支持のアメリカの白人労働者の「気分」と共通したものがあることは否定できない。
「移民問題」についての要求のあいまいさがある。要求の中の東欧労働者の出稼ぎ労働、移民に対する政策は「上からの統合」?の方向性か。
B賃金・所得の引上げを要求
C形骸化する代表制民主主義に対して、政治家をより統制し、直接民主主義を要求している。
政治的にも、新自由主義のグローバルゼーションを推進してきた既存の政治家には裏切られたという意識が強烈に存在している。だからこそ直接民主主義を求めている。
間接民主主義の代議制民主主義のシステムだけでは、こうした政治家を統制できない。直接民主主義のシステムを導入する必要がある。政治家へのリコール制、議員報酬を労働者の平均賃金並みにすること、国民投票の制度の導入など、の要求が打ち出されている。カタル―ニアの独立住民投票、沖縄の県民投票、原発をめぐる住民投票の問題につながる。
温暖化対策、環境保護に反対しているわけではない
新自由主義のグローバリゼーションに反対し、富裕層への優遇・貧困層への搾取の強化に憤激し、富の再分配と公正・正義を求める民衆の反乱を示している。民衆への攻撃を全面的に推進して来たマクロン政権に抗し、この政権の窮地に立たせている。
運動に参加しているある女性は、「燃料税の税収のうち環境対策に使われるのは二〇%、私たち市民の税負担は重くて、環境を汚している大企業の負担は軽い。日本はカルロス・ゴーンを逮捕したのに、フランスには正義はない」(運動に参加した33歳の女性、朝日新聞Globe, MAY 2019 NO.217より)と怒っている。    (つづく)


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