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    かけはし2019年7月15日号

戦争への道開く大軍拡と対決へ


6.16

止めよう改憲!おおさかネット総会

災害救助から憲法を考える

 【大阪】止めよう改憲!おおさかネットワークが六月一六日(日)定期総会を開いた。松岡幹雄さん(事務局)が昨年の活動経過の報告、今年の運動課題(三〇〇〇万署名・19日行動・秋の憲法集会・7月参議院選の取り組みなど)、会計報告を提案し、全体で確認された。

専守防衛の壁を
崩す施策次々と
引き続いて講演会にうつり、初めに中北龍太郎さん(ネットワーク共同代表)があいさつの中で、今進んでいる大軍拡の動きについて問題提起をした。
「今進んでいるのは、明文改憲なき事実上の改憲だ。9条が課している制約をひとつずつ取っ払っていくこと。第一は護衛艦の空母化(かが・いずも)、つまり上甲板にF35Bを搭載すること。F35は一機百数十億円する高機能のステルス戦闘機だ。他国の近くまで運搬されそこから他国を攻撃する。政府は、攻撃型兵器は憲法違反だとしてきた」。
「第二は、射程九〇〇キロの長距離巡航ミサイルの配備。専守防衛を大きく逸脱する敵基地攻撃兵器だ。第三は、弾道ミサイル防衛。イージスアショアをデタラメな縮尺で候補地を選定し、山口県と秋田県に配備しようとしている。日本列島全体をカバーでき、ハワイやグアムに向かうミサイルを迎撃できるといわれ、米軍の戦略に組み込まれたものだ」。
「第四が南西諸島の軍事要塞化の動き。この三月からミサイル部隊等の配備が始まっている。沖縄本島と南西諸島が一体となって対中国包囲網をつくり、対中国の最前線に自衛隊がなろうとしている。第五は、昨年一〇月発表のアーミテージ第4次報告。1次から3次までは日本に集団的自衛権の行使を迫るものだったが、第4次は自衛隊基地の日米共同使用、日米統合軍の創設を提案している。つまり、自衛隊が米軍の一部隊に化すということだ。対米従属もここに極まれりだ」。
続いて、島本慈子さん(ジャーナリスト)が、「自衛隊の“災害救助”から憲法を考える」と題して講演をした(講演要旨別掲)。
三団体からアピールがあった。白井美喜子さん(米軍Xバンドレーダー基地反対京都連絡会)は、「毎月二回京丹後の地元に出かけていって、チラシをまき地元の人と話をしている。そのような経験から、とにかく外に出て訴えなければいけないと感じた」という。
大森正子さんと阿部さん(辺野古に基地を絶対つくらせない大阪行動)は、「〇四年八月から毎土曜日休むことなく大阪駅前で署名活動をしていて、現在七七五回。あのような横断幕をフェンスに張ることを曾根崎警察もJR職員も許してくれた。現在八万二七一九筆の署名を提出した」と語り、大森さんは数十年前に沖縄を訪れたときのベトナム戦争の衝撃、中国戦線に従軍したお父さんの話で知ったことに答えを出さなければいけないと思ったことを語り、阿部さんは最近参加した沖縄現地の闘いについて報告。
小久保哲郎さん(弁護士)は、生活保護問題に関わる活動をしてくる中で、安倍政権が繰り返し生活保護を削減してきていること、生活保護ではなく生活保障法の制定が必要であることを訴えた。    (T・T)

島本慈子さんの講演

災害への対応、本当の議論必要

なし崩しの自衛隊依存でいいのか

災害での活躍が
基地の大義?
「災害」をテーマで話をするのは今日が始めて。冷戦が終わり、ソ連の脅威が消えた陸上自衛隊は南西にシフトした。中国の台頭と重なって、離島防衛が焦点になっている。琉球弧(南西諸島)は国防の最前線になっている。この宮古島で出会った様々なことが、私がこのテーマを考えるきっかけとなった。
二〇〇五年にこの島で、主権在民を絵に描いたような動きがあった。舞台となったのは下地島空港。この空港を軍事に使えという動きが出てきて、当時は伊良部町と言った。議会が住民の意向を聞かずに自衛隊駐屯地の誘致を決めた。たった四時間で三五〇〇人が公民館に集まり、全議員の出席を求めて、住民は駐屯地誘致に反対の理由を言った。漁業ができなくなる・自衛隊が来ればいずれ米軍がくる・標的になるなど。その翌日、誘致に反対の議案が提出された。住民運動の中心となった人が言った、「主権の所在はどこか。議会がそんなことやっていいのかという思いがあって、みんな集まってきた」と。
私は感銘を受けた。軍事化はいったん止めたものの、地元の人たちは、おそらくこれで終りにはならない、いずれ軍事化の動きが出てくると言っていた。次に取材したのは二〇一六年六月の説明会だった。争点は軍事なのに、自衛隊の「災害での活躍」が強調されていた。二〇一七年一月の市長選では、応援弁士がフェイクを交えて災害アピールをした。
二〇一七年五月の憲法記念日には、安倍首相が9条に自衛隊を加える改憲案を示し、国民的な議論に値するとのメッセージを出した。日本という国には2つの特徴がある。9条という特異な憲法を持っていること・災害が多発する国だということ。この2つの特徴の交点にあるのが『自衛隊と災害救助』という問題だ。

「自衛隊と災害」
露骨に印象操作
日本会議系の国会議員がこのように発言している。「自衛隊の存在、これは九八%の国民が認めている」(二〇一六年一一月、山田憲司)。「平成二七年一月の世論調査では、過去最高の九二・二%の国民が自衛隊に良い印象を持っている」(稲田朋美)。「災害救助を含め、命がけで二四時間、三六五日、領土・領海・領空、日本人の命を守り抜く、その任務を果たしている自衛隊の姿に対して、国民の信頼は九割を超えている」(二〇一七年五月、安倍晋三、平沢勝栄)。「国民の九割が自衛隊を認めているのに、憲法学者の六、七割が自衛隊は憲法違反だという。放っておいていいのでしょうか」(二〇一七年一二月、山谷えり子)。
繰り返されるこれらの数字の根拠は、三年に一回の内閣府「自衛隊・防衛問題に関する世論調査」だ。自衛隊に対する印象・自衛隊の活動の評価などに関するものだ。国民の命を守るために働いているものは、自衛隊員のほかに警察官・消防職員・消防団員・海上保安員など他にもいる。公務による死亡が最も多いのは、ダントツに消防団員だ。
国民の期待と自衛隊の実像がずれている。自衛隊法第3条(自衛隊の任務)には、国の防衛(主たる任務)・海外派遣(主任務の支障が出ない範囲で行う任務)・公共の秩序の維持(治安出動、災害派遣を含む)。第83条(災害派遣)には、都道府県知事は、災害時に自衛隊部隊の派遣を要請することができ、防衛大臣はやむを得ない場合に派遣することができるとある。
主任務は、国の防衛だ。しかし、国民の最も多く(六五%)が評価しているのは災害派遣活動なのだ。このことが、国民の九二%が自衛隊に対し良い印象・どちらかと言えば良い印象を持っていることと連動している。災害派遣を「自衛隊の主任務に」という動きは過去にあったが、法改正は実現していない。自衛隊にとって任務の中心は災害派遣ではないということは、予算を分析しても見えてくる。
教科書に「自衛隊の災害救助」を載せることを強く要請していた下村博文は、安倍政権の文科大臣になり、学習指導要領の解説を改訂し、東日本大震災時の活動などを契機に自衛隊が教科書に載るようになった。この意味はどこにある? 一つは、「自衛隊さんありがとう」という気持ちを育てること、もう一つは、自衛隊の入隊志願者を増やすことだろう。

いま「主権者」
が問われている
自衛隊を憲法に明記すれば、社会はどう変わるのか、具体的に考えてみる。憲法のもとにあるさまざまな法律はどうなるのか。それに関連して、憲法7条(天皇の国事行為)に、【国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証する】がある。つまり天皇の認証官はこの条文の規定に基づく。憲法に明記されている機関は、衆議院・参議院・内閣・裁判所・会計検査院だけだ。警察庁長官・消防庁長官なども認証官ではない。にもかかわらず、自衛隊は命を懸ける活動をするのだからそれだけの名誉を与えられてもいいと、自衛隊統幕議長・陸海空各幕僚長を認証官にという主張が続いている。
災害派遣の自衛隊に対し、自衛隊様と呼んだ自治体首長がいる。災害にはどんな組織で対応するのか。自衛隊にはどんな組織でいてほしいのか。主権者がとことん考える機会がないまま、全国で絶えることなく災害は続き、今日の「災害多発と軍備増強」の時代を迎えてしまった。本当の議論はまだ始まっていない。災害に限っても、国民の命と財産を守るために税金を投入すべき分野はいくらでもある。
戦争による死者と災害による死者、この二つの死者の声に耳を澄ませることが必要だ。戦争を語る人は、自衛隊の災害救助に対する国民の感情を軽視する傾向があり、災害を語る人は、自衛隊の軍事的現状を見ようとせず、それが現在の混沌とした状況を生んでいるのではないか。






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