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    かけはし2019年7月8日号

理念と主体的意思なおあいまい


6.22

アイヌ施策推進法を考える研究会

多原良子さん(アイヌ女性会議)が講演


 六月二二日午後二時から、東京・神保町区民館で、「制定されたアイヌ施策推進法(いわゆる「アイヌ新法」)について考える」講演会がNPO現代の理論・社会フォーラム先住民族研究会の主催で開かれた。多原良子さん(アイヌ女性会議―メノコモシモシ代表)が「アイヌ新法」とその問題点を明らかにし、今アイヌ民族に何が必要なのかを提起した。
 
法に欠けて
いるものは
 アイヌ協会は新法を受け入れている。一年前から内閣官房と話をしてきた。広瀬健一郎さん(鹿児島純心女子大准教授)に、衆参の国会で学識経験者として、「自己決定権の保障を」とする意見を述べてもらった。
 アイヌ新法は四月一九日に成立した。二〇年前に成立したアイヌ文化振興法は改正・修正されなかった。歌、踊り、言葉とアイヌ文化が切り取られた。生活そのものがアイヌ文化だ。
 アイヌ新法では、「先住民として認めた。誇りが尊重される社会の実現。相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現」をうたっている。「アイヌ」ではなく、「アイヌ民族」とすべき。すべての国民に、民族を入れるべきだ。植民地支配した結果として法律が必要になったことが明確でない。
 自治権・自決権を保障する土地・領域、資源の回復と補償を受ける権利があることを明記すべき。アイヌ文化振興法が作られたにもかかわらず、アイヌの貧窮と同化が進行し加速した。アイヌ協会の減少。会員は二〇〇〇人を切った。アイヌ人口は二万五〇〇〇人から一万六〇〇〇人に。
 理念にとどまらず、主体的な意思が反映される具体的措置(審議・協議機関が制度的に保障されるべき)が必要だ。
 第四条 何人も、アイヌの人々に対して、アイヌであることを理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない。
 憲法にも反する差別であり、法的禁止(罰則を含む)が必要である。
 「教育活動」には、アイヌ民族に対する歴史的な植民地政策を認める正しい歴史認識を基準として行う必要がある。
 「国民理解を言うのは、国が具体的に先住民族の権利を保障していくことによって、先住民族の土地権原の承認こそが国民の理解を促すことになる」とカナダの事例がある。
 先住民族の権利に関する国連宣言は先住民族政策の「世界基準」であり、法律に明記すべきである。

要求・盛り込むべきこと。
1 政府として謝罪すること。アイヌ語やコタンの復活など。先住民の自決権の保障と民族性の回復、土地・資源・領域の権利。
2 アイヌ民族政策決定におけるアイヌ民族の自決権について。
アイヌ民族の代表者で構成するアイヌ民族会議を設置し、アイヌ民族政策の策定を行うこと。アイヌ民族省を設置し、アイヌ民族政策にかかわる事務を所管すること。
3 新たな「交付金制度」について。従来の「福祉・生活向上」をこえる、幅広いアイヌ民族政策に使えるようにする。
4 土地と資源の活用について。山、川、海の規制緩和を行い、漁労、狩猟、採取を可能にすべき。
5 モデル事業について。
6 アイヌ民族教育、共生社会の実現に向けて。学習指導要領の中に、アイヌ史やアイヌ学習を加えること。アイヌ語による民族学校をつくること。
7 地域に「アイヌ文化交流センター」(仮称)の設置を。
8 アイヌ民族に対する人権蹂躙に対する対策について。すべての公務員、教育、医療、福祉関係にかかわる人に研修を行うこと。
9 アイヌ民族の土地問題に関する歴史調査について。
10 アイヌ民族の遺骨収集、血液採取について。政府・研究機関が謝罪し、研究資料として使うことをやめること。
11 アイヌ民族の生活と雇用の保障。
12 アイヌ語地名の復活。

附帯決議採択
成果は大きい
アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律案に対する附帯決議がされたことの成果は大きい。これは、「先住民族アイヌの声実現!実行委員会」と「内閣官房アイヌ総合政策室」が事務折衝し、一〇回以上議員懇談会も開催してかちとったものだ。
アイヌの家は、寒さにも強くすぐれている。炉で火をたき、室温を高めに維持できた。本土の床を高くする家では北海道の寒さに役立たない。イオル・伝統的な空間の再生と言っているが、トラクターで畑を耕している。これでいいのか。アイヌは土地と一体で生きてきた。自然のある所全体を保存してそこで如何に生きたのか、そうした観点が大事だ。
一番大事なことは自分たちが食べること。鮭を一年食べる分だけ獲ることを認めるのは当たり前だ。
文化交流センターが必要。ケースワーカーがいたり、看護師がいる。早くアイヌの老人ホームを作ってほしいという声があがっている。アイヌ生活相談員の給料が安すぎる。雇用は有期で一年ごとの更新で三年で雇い止め。ボーナスも退職金もない。こうした待遇が悪いので応募しても人が集まらない。

北方四島交流
実りある経験
多原さんは五月二三日〜二七日、北方四島交流訪問事業に参加した。アイヌ民族としては初めだった。
千島・樺太交換条約によって、色丹島に追いやられた千島アイヌは一九四五年の日本の敗戦によって、五〇人が北海道に渡った。今は誰も千島アイヌを表明していない。文化が滅亡した。なんとか墓参したいと願っていた。
訪問団は元島民の人たち。住んでいるロシア人は三世代七〇年間。元島民がアイヌ民族が参加していることを知り、喜んでくれた。その元島民は親を亡くして、アイヌ人に助けられたという。ロシア人ももっとアイヌのことを知りたい、仲良くしたい、と喜んでくれた。
学校や缶詰工場など最新鋭の機械が入っていた。自然はそのままでとても良いところだ。アイヌ民族衣装を着けて、供養を行った。それが同行した新聞記者によって配信され、大きく報道された。今回行けてよかった。
講演の後、質疑討論が行われた。アイヌ民族は困難な状況に置かれているが、アイヌ新法ができた新たな状況のなかで、前向きに進んでいこうという意見・討論になった。    (M)
               

投書

ハンセン病患者家族損害賠償訴訟で勝訴

国は控訴審断念の決定を

差別解消は政治の急務



 六月二八日、国が続けたらい予防法によるハンセン病患者の隔離政策によって家族もまたともに差別などの苦しみを受けたとして、元患者の家族らが国に損害賠償を求めた訴訟の判決で、熊本地裁(遠藤浩太郎裁判長)は原告五四一人について国の責任を認め、一人当たり三三万〜一四三万円、計約三億七千万円の賠償を命じた。家族の被害について国の賠償責任を認めた判決はこれが初めて。
 原告は北海道から九州・沖縄に住む二〇〜九〇代の男女五六一人。国が「らい予防法」に基づいて患者の隔離政策を進めたことで、就学・就労や結婚で差別を受け、家族関係が破綻するなどしたとして、一人当たり五五〇万円、計約三〇億円の賠償を求めていた。
 遠藤裁判長は判決理由で、隔離政策によって患者の家族が差別を受ける社会構造が形成され、就学・就労の拒否、結婚差別などの被害が生じ、家族関係の形成を阻害したと認定した。
 さらに医学の進歩などによって、遅くとも一九六〇年には国に隔離政策を廃止する義務が生じ、一九九六年にらい予防法が廃止された後も正しい知識を普及して偏見を除去する義務があったのに、その義務を怠ったと判断した。
 こうした国の不作為が不法行為に当たることを原告らが認識するのは困難だったことなどから、損害賠償請求権の消滅時効(三年)は成立していないとした。
 国側は「隔離政策は家族を対象としておらず、差別や偏見を除去する義務は負わない」などと主張していたが、この判決を受けて厚生労働省は「判決内容を精査するとともに関係省庁と協議し、対応を検討する」とコメントを出した。
 らい予防法が廃止された一九九六年の後元患者本人たちがおこした違憲国賠訴訟では、二〇〇一年熊本地裁判決が隔離政策は違憲だったとして国に賠償を命じ、当時の小泉純一郎首相が控訴を断念して確定した。その後、国会で元患者本人の被害を補償する制度が創設された。この時点で、患者家族の被害もふくめた施策が制度化されていたら差別のない社会の実現がより早まったという点を指摘しなければならない。
 元患者の家族は、強制収容された患者と引き離されただけでなく、無らい県運動などにより、組織された地域の厳しい差別にさらされ、学校や地域で、いじめや迫害を受け、結婚、就職の際も、ハンセン病患者と家族であることを隠して生きなければならなかった。
この苦しみを一日でも早く回復し、差別が解消された社会を一日でも早く実感できるようにすることは政治の急務であり、国と国会に直ちに控訴せずの決定をすることをつよく要望しなけらばならない。
 ハンセン病元患者そして家族、弁護団、ともに闘う市民が、参院選のために休会中である国会周辺で、七月二日から議員会館、国の総理官邸、厚生労働省、文科省などに、控訴断念を求めるローラー要請行動を行う。       (磯崎)

6.19

関西生コン裁判、激励の地裁前集会

司法の歪みにも批判次々

若松浜公園で支援集会


 【大阪】六月一九日、大阪地裁で二〇一七年一二月のストライキを違法とする刑事事件の四回目の公判(証人尋問)があった。労働組合つぶしの大弾圧を許さない実行委員会は、午前八時半大阪地裁前の若松浜公園で短い集会を開いた後、支援者は傍聴券を求めて地裁の庭に移動。原告側(広域協組)の動員数が被告側を超えていた。
 傍聴券に外れたものは再び元の公園で集会を継続しながら、時々公判廷にいる被告や傍聴者に届くように、シュプレヒコールをやった。当該の関西生コン支部の代表や実行委員会に参加している団体から次々とアピールがあった。一二時過ぎに公判は昼食休憩、集会もそれに合わせて休憩し、午後一時過ぎから再び再開し、午後三時前に公判は終わった。しばらく休み、午後四時から報告集会があった。
 この日は実行委員会関係以外に、平和フォーラムの辻元さん(事務局長)や、連帯ユニオン中央の菊池さん(委員長)や小谷野書記長や執行委員の参加もあった。
 発言者は全員が、ストライキを違法とする警察・検察の暴挙が憲法28条違反であり、労働法に明記されている刑事免責・民事免責に反すると批判し、大阪生コンクリート広域協同組合幹部を批判した。広域協組幹部たちは、自らが儲けたいために組合弾圧を企み、関生支部とつながりがある生コン会社は共同購入共同販売のルートからはずし、つながりのある労働者には仕事をまわさないという、協同組合法に反するいじめをしているわけである。
 警察と一体となった違法で露骨な弾圧であり、組合そのものを潰そうとしているとの発言があった。海外からも注目されているが、これほどの逮捕者が出ているのはきわめてまれだという。

突然膨大な証拠
書類が提出される
前回公判では、ストライキ当日、宇部三菱のセメントを管理している上田組からの生コンの出荷はなかった、と言うことだった。ところが、今回公判の直前(六月一四日)になって突然、分厚い書類の束や日報などが証拠として検察から提出された。この件について、組合側弁護士から、証拠書類を調べる時間がほとんどなく、公正な審理ができないと抗議があった。そもそもこれらの証拠は正当なものなのか。もしかしたら、でっち上げられたものではないのかということだ。
広域協組は、ストライキによって、威力業務妨害を受けたので、その証拠を提出したというわけだが、なぜ今になって? その内容を見ると、会社周辺で組合のチラシが撒かれた日付の一覧表のようなものもあった。その中には、建交労(共産党系組合)の名前のチラシもあった。その一覧表について尋問すると、生コンのSS(サービス・ステーション)を護りたかったと答弁。当日証人に立った池田組の社長は、組合に偏見を持っている人物で、組合の営業妨害に対しては「トラックの窓開けるな!ビラ受け取るな!と労働者に言っていたと答弁。当日の出荷はなかったが、偽装された疑いがある。
傍聴者の報告でも、裁判官の声も小さく、公判で何が話されているのかよくわからなかったとのこと。次はもうすこし整理されるか?
この日は、公判の内容と共にもうひとつ重要なことが二つあった。一つは、前日(6月18日)滋賀県警が四人の組合員を逮捕したこと。逮捕理由は、組合のコンプライアンス活動が強要であるということ。一九日京都府警が二人、時間をずらしてさらに一人逮捕したこと。理由は、子どもが小学校や幼稚園に入るのに提出している会社の在籍証明を要求したらそれが脅迫だとされた。さらに遅くなってから、武委員長と湯川副委員長が再逮捕されたとの報告があった。この時点で、逮捕者は再逮捕を含め一五人となった。
もうひとつは、代表団が大阪府警と大阪地裁に署名を提出した。そのとき、大阪府警は中に入る人数を制限した。大阪地裁は、対応した職員が、署名をどの部署の誰に届けるのか、あるいは届けないのかについて、後ほど連絡するともしないとも確言を避けた。この件について特に裁判所の対応がひどいとの報告だった。ほとんどの逮捕状請求や勾留延長を認める司法のあり方に批判が多かった。        (T・T)


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