11.20
第3回反貧困連続講座
「反貧困」の闘いと労働組合の連携へ
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一一月二〇日午後六時半から、東京・文京シビックセンター会議室で、「第三回反貧困連続講座:現代日本の貧困と労働――日弁連貧困問題対策本部の小川英郎弁護士と考える――」が反貧困ネットワークの主催で行われた。
講師は小川英郎弁護士(日本弁護士連合会・貧困問題対策本部事務局次長)、コーディネーターは河添誠さん(反貧困ネットワーク アドバイザー)。小川弁護士は長く労働事件に労働者側の立場で関わり、日弁連の貧困問題対策本部のメンバーとして貧困問題の調査等にも関わってきた。小川さんは「現代日本の貧困と労働」というテーマで問題提起をし、「反貧困運動として、どのように労働問題を位置づけるか」「反貧困運動と労働運動との連携をどのように進めるか」についても考えを述べた。
現代日本における貧困の拡大の要因の大きなものは、非正規労働者の不安定さと低賃金にある。二〇〇八年リーマン・ショックの際の「派遣切り」「非正規切り」から一〇年。法律や制度はさまざまに変わったが、状況がいい方向になったとも言えない。
小川さんは一九八五年の派遣法制定から二〇一八年までの年表を使い、どのように労働法が変えられたのかを詳しく述べた。自民党の没落と民主党の政権奪取、そして民主党の敗北と自民党の政権返り咲き、第二次安倍政権の成立と政権の動きと労働政策の改変が労働者の生活悪化・貧困を生み出したことを明らかにした。
どのように社会
に発信できるか
小川さんの講演の後、質疑応答と河添さん、宇都宮健児さん(弁護士)が意見を述べた。質疑応答より。「労働現場を何とかしないと貧困に陥る。雇用の調整弁として職を失う」――「利益を生んだ企業にカネを出させ、職業訓練をする、失業保険をちゃんと出させる」。「当事者の声を反映させることが重要だが、労働組合と言うと引いていく若者が多い」――「組合にこだわらず、社会に発信する団体などと連携すること。例えば、障がい者団体、女性団体など。韓国では民主労総・韓国労総があるが、正規社員の組合だ。そこで、非正規の代表が労政使の委員になっている。日本の連合・全労連も非正規センターがあるが、非正規者が中心ではなく、正規職の人が担っている。これでは限界がある」。「政治にこの問題を訴えるには、派遣労働者党のようなものが必要だ。短期間労働が低賃金にされるのではなく、ヨーロッパのように逆に重要性がよりあるのだから高い賃金が払われるべきだ」。
この連続講座は一回目がキャバクラユニオン、二回目が生活困窮者の生活相談をテーマに行い、貧困を可視化し、社会運動として広げるのが目的だ。貧困問題を解決するためにさまざまな運動が連携していくことが重要だ。 (M)
小川英郎弁護士の講演から
問題をいかに提起し
解決へ歩んでいくか
一九八五年の労働者派遣法が制定されたことが分水嶺だった。一九九九年、派遣法原則自由化。二〇〇三年、製造業業務派遣解禁。二〇〇六年、偽装請負でメディアが問題点をキャンペーン。二〇〇七年、民主党参院選で勝利。二〇〇八年九月、リーマン・ショック、一二月三一日〜一月五日まで「年越し派遣村」。二〇〇九年二月、日弁連に「貧困と人権に関する委員会設置」。八月、総選挙で民主党が大勝し、民主・社民・国民新党の連立政権。九月労働者派遣法抜本改正の政策合意。登録型派遣禁止、製造業務派遣禁止、直接雇用みなし制度、マージン率公開。二〇一〇年派遣法改正案提出も継続審議。七月参院選で民主党大敗。国会ねじれに。
二〇一二年総選挙自公政権成立。アベノミクス、@雇用の流動化A正社員改革B民間人材ビジネス活用C労働時間規制の見直しD労働者派遣法の規制緩和。二〇一五年改正労働者派遣法成立。@無期雇用派遣の期間制限なしA有期雇用派遣三年B同一組織単位での受け入れは過半数代表の意見聴取を要件に延長できる。二〇一八年働き方改革関連法案成立。労基法(高プロ導入、上限規制)、パート有期法、派遣法改正(派遣先との均等処遇など)。
年越し派遣村が
果たした役割
貧困率二〇一二年一六・一%(一九八五年一二%)、生活意識「苦しい」五六・五%(一九八六年四〇・九%)、母子世帯八二・七%。
?派遣村は貧困を可視化した。残業代ゼロ法、過労死促進法などネーミングも重要。貧困を生む雇用形態が凝縮されたのが「登録型派遣」「日雇い派遣」。
?@労働と社会保障制度を合わせて考える必要性を広く知らさしめた。派遣村テントでは生活保護など法律相談を実施。A生活保護手続きの可視化・多くの人への周知。B「貧困は政治の責任」という認識の広がり。C政権交代の可能性。課題は交代後の政権の変節を防ぎ、持続させること。そのための支援体制、運動のあり方、連帯・連携のあり方が重要。
子ども手当は画期的、しかし定着せず。日本社会に蔓延した「自己中心主義」「自己責任主義」が露呈。
日本型雇用システムの放棄と貧困の拡大
日本型雇用システムの功罪(労働事件の多くが男性正社員問題)。
@新卒学卒者一括採用と定年までの長期雇用、A企業内職業訓練、B年功処遇、C企業独自の福利厚生、D企業別組合。
?格差と貧困のリスクを内在したシステム(家制度の企業社会への移植)
?男性正社員長期雇用モデル+企業内組合+家計補助労働(女性)
保守的な社会と政治+少数者の切り捨て+脆弱な社会保障+低い最低賃金+容認される男女・企業規模別賃金格差+男性正社員の長時間労働と人格的従属(過労死・ハラスメントの土壌)+女性の社会進出阻害。
主婦パート層の増大。家計の補助的労働力は安くてよい(世界に類例をみない賃金政策)。
日本型雇用システムの動揺
@一九九三年パイオニアショック。正社員の指名解雇。A一九九五年新時代の日本的経営。雇用柔軟化。B一九九九年派遣法抜本改正、原則自由化される。C非正規労働者の割合の増大。三七・三%、二〇一九年二〇三六万人。若年層で不本意非正規が急増。Dワーキングプアの増大(年収二〇〇万円以下)、二〇一六年一一三二万人。E正規非正規、男女格差。正規雇用四八六万九〇〇〇円、非正規一七二万一〇〇〇円。男性五二一万一〇〇〇円、女性二七九万七〇〇〇円(五三・七%)。貧困は弱者をより強く直撃(若者、女性、子ども)。
「諸外国と比較して、自己肯定感が低く、将来に希望を抱けず、むしろ不安に苛まれ、社会保障制度に対する不満を抱えながらも、自己の参加により社会に影響を及ぼしうるとは考えられない、という状態にある」(二〇一八年日弁連決議より)。
貧困を生む労
働法制の構造
恒常的に必要な労働力は直接無期で雇用すべき。臨時的・一時的なものにのみ間接・有期雇用。ここを規制緩和すると、当然非正規が増えて、貧困化が進む。
?労働者の貧困。@不安定雇用A低賃金B長時間労働C無権利(乏しい抵抗力、政治的な力も同時に弱くなる)。これらは相互に関連し、貧困と長時間労働は「考える権利」を奪う。
?司法制度〜日本型雇用を支えた最高裁判決続出。
?人間を「雇用の調整弁」として位置付ける法制度の根本的な問題。「人権」としてのとらえ方の欠如。企業活動のために「調整弁」が必要であるならば、それを利用して利益を上げている企業が負担をするのが筋。セーフティネットの機能不全で貧困の固定化。
民主主義の機能不全
争議行為が起きない国(労働損失日数二〇一五年)
日本一・五万日、韓国四五万日、アメリカ七四万日、フランス三八万日(二〇一〇年)、ドイツ一〇九万日、イギリス七四万日。
法で保障されている手段を尽くそうとしない社会は、民主主義を放棄している社会。推定組織率一七・一%(二〇一七年)。
今後の取り組みについて
当事者の声を反映させるには、非正規労働者の当事者としての組織・代表が必要。貧困問題を理解し、解決を真に望む政治家を多く獲得する。教育の無償化(若者を絶望させない)。労働法教育、普及(単なる対処法ではなく、労働法制が生活に影響していることを具体的に示す必要)。各地にみられる「男性中心組織」の弊害の克服。社会保障の普遍主義への転換(連帯意識)。最賃運動は当面は最も有効な対策。(小川弁護士の詳細なレジメの一部を紹介した)
11.27
東海第二原発を廃炉にしよう
署名提出・デモ・そして
ヒューマンチェーン実現
一一月七日、原子力規制委員会は稼働して四〇年になる日本原電東海第二原発の二〇年間稼働延長を認可した。福島第一原発と同じ沸騰水型原子炉の稼働延長認可は、二〇一一年以後初めてだ。一一月二七日、東海第二原発を廃炉にしよう!11・27アクションが、東京・神田の日本原電本社に向けて行われた。午後三時からの署名提出、午後四時からのデモ、そして午後五時半からの原電包囲ヒューマンチェーンと三段構えの行動となった。主催は「とめよう!東海第二原発首都圏連絡会」。
しかし集まった四万八八〇〇筆以上の署名を日本原電側は受け取ろうともしないという不当極まる対応を取った。午後五時半からの日本原電包囲行動には二七〇人が参加し、二度にわたって原電本社を「人間の鎖」で包囲した。
日本原電前の集会では、鎌田慧さんが原電本社に向かって「あなたたちは責任を取れるのか! なぜこれから二〇年にもわたって稼働を続けようというのか。原発事故は数えきれない生命を殺してしまう。『むつ』も『もんじゅ』も破たんした。東海第二もそうだ」と
厳しく追及。
たんぽぽ舎の山崎久隆さんは「東海第二は柏崎刈羽よりもさらに壊れやすい原発だ。近くのひたちなか市のひたち海浜公園は多くの人が集まるイベントが行われる。その危険性は計り知れない」と訴えた。
地元茨城の人びとの歌、発言、さらには「火炎びんテツ」さんのリズミカルなコールに合わせて、二度にわたり原電本社を取りかこむヒューマンチェーンを成功させた。危険きわまる東海第二原発の二〇年運転延長をやめさせよう。 (K)
原子力資料情報室 声明
東海第二原発の40年超運転を認めるな!
一一月七日、原子力規制委員会は東海第二原発(BWR, 1100MW)の四〇年超運転と保安規定変更を認可した。東海第二原発は、国内で廃炉になっていない沸騰水型原発のなかでは最も古い老朽原発であり、東日本大震災で地震と津波の襲来を受けて危機に陥った被災原発だ。
営業運転四〇年が一一月二七日に迫るなか、運転期限までに間に合わせるため、新基準適合性審査のための原子炉設置変更が九月二六日に認可された。同時並行で工事計画、運転期間六〇年への延長、保安規定変更に関する審査が特例的にすすめられ、一〇月一八日に工事計画が認可された。そして本日、運転期間延長・保安規定変更が認可されたのである。
しかし、東海第二原発には可燃性ケーブル問題など、多くの「不合格」とするべき事実が存在している。最近では耐震審査において、原子炉圧力容器スタビライザの応力値が許容値を越えていることが明らかになった。このままでは地震時に原子炉圧力容器が水平を保てず転倒し、原子炉圧力容器に接続されていた複数の配管が破損する。このような事態になれば、大規模な冷却材喪失事故に至る。また、原子炉圧力容器の垂直が維持されなければ、制御棒の挿入も阻害され、核分裂反応を停止させる重要な機能を失う。このような問題が存在するにもかかわらず、原子力規制委員会は耐震評価を通してしまった。
運転期間延長が認可され、必要な工事が終了しても、すぐに再稼働できるわけではない。日本原電が東海村と周辺五市のあいだで結んだ新たな安全協定により、再稼働の事前了解を得ることが必要になる。一〇月には那珂市長が再稼働反対を表明、六月には水戸市議会で反対の意見書が採択された。さらに首都圏の複数自治体でも、再稼働や二〇年間稼働延長に反対する声が多数上がっている。
周辺三〇km圏内に九六万人が居住し、東京まで約一一〇kmの東海第二原発は、事故のリスクを考えれば絶対に再稼働してはならない。原子力規制委員会は、設置変更許可・工事計画認可・運転期間延長認可・保安規定変更認可を取り消し、東海第二原発を廃炉にすべきだ。
2018年11月7日 |