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    かけはし2017.年12月4日号

唯一の解決策は米海兵隊の撤退だ


沖縄報告 11月25日

「辺野古が唯一の解決策」ではない!

沖縄 K・S

頻発する米軍犯罪

県民を愚弄するな!

基地問題の矛盾が露呈

 いま沖縄に集中する基地問題の矛盾が一挙に噴き出している。沖縄には米陸海空海兵四軍すべてが基地を持ち、軍人軍属家族合わせて五万人が駐屯している。その中で空軍の嘉手納飛行場・弾薬庫と海兵隊の各地のキャンプ・飛行場・訓練場が両軸だが、基地面積、兵員、事件事故、犯罪が多いのが海兵隊だ。「沖縄の負担軽減」とは海兵隊撤退だ!

飲酒運転・信号
無視の米兵
この一週間を見ても、一一月一九日早朝、米海兵隊キャンプ・キンザー(牧港補給地区)の上等兵による飲酒運転・信号無視による交通事故。米兵は公務外に公用車の二トントラックを運転し、那覇市泊の交差点で会社員・平良さんを死なせた。平良さんは長年海外で仕事をしてきたが、六年前に沖縄に戻り、余生を過ごそうとしていたところだった。加害者の車は地位協定をたてに米軍が持ち去った。警察に保管されているのは被害者の車だ。本末転倒がまかり通るのは米軍に治外法権があるからだ。事故のあと米軍は「綱紀粛正」として飲酒禁止令を下したが、三日後に解除した。県民を愚弄するにもほどがある。

宮古島陸上自
基地建設開始
一一月二〇日、沖縄防衛局は宮古島で陸上自衛隊駐屯地建設の敷地造成工事に着手した。二〇一九年三月に宮古警備隊が配備、その後地対艦、地対空ミサイル部隊も含め七〇〇〜八〇〇人規模となる。奄美から与那国まで、米軍の手足となる自衛隊。予定地近くの千代田部落会と野原部落会は工事に絶対反対の立場であり、地元の市民団体も粘り強い反対運動を継続している。

CH ヘリ事故
の防衛局調査
高江の民間牧草地での海兵隊CH53ヘリ不時着・炎上大破事故では、米軍が機体と周辺の土壌を回収したあと、一一月二一日までの予定で、沖縄防衛局が土壌調査を始めた。ここでも米軍の治外法権。日本は米軍に対し主権を行使できないし、行使しようとしないにもかかわらず、言葉だけは立派。「立ち入り調査した」(安倍)と粉飾する。

米空母艦載機
C 墜落
一一月二二日、米海軍の原子力空母「ロナルド・レーガン」の艦載機、C2輸送機が沖ノ鳥島付近で墜落、乗員三人が行方不明という。オスプレイをはじめ米軍機の頻発する墜落事故。C2機は嘉手納飛行場から飛び立った後事故を起こした。事故発生場所は距離的に本州の東京より沖縄島に近いが、小野寺防衛相は意図的に「東京都沖ノ鳥島の北西約一五〇キロ」と述べ、沖縄との関係をなくそうとの印象操作をした。

女性暴行殺人元
米兵に無期求刑
元米海兵隊員による二〇才の女性の暴行殺人事件の裁判が一一月一六、一七日に行なわれ、一一月二四日、「無期懲役」が求刑された。被告は殺意を否認し黙秘しているが、今年二月米軍の準機関紙「星条旗」に寄せた見解では、「捕まることは心配していなかった」としている。犯罪を犯しても捕まらないと考える現在の日米安保・地位協定の仕組み―これが復帰前だけでなく復帰後も米軍犯罪が再生産される理由だ。被害者の父親・母親は意見陳述で極刑を求めた。判決は一二月一日に下される。

奥区総会満場一致
で港使用反対決議
辺野古埋立に使用する砕石の海上輸送に対し沖縄県が業者に使用許可を出した国頭村奥港の地元、奥区総会で一一月二三日「生活が脅かされる」と奥港の使用反対が満場一致で決まった。奥は人口一九〇人、うちほとんどの世帯から約五〇人が総会に出席した。糸満盛也区長は「区の総意として港の使用に反対することになった。これで心置きなく区民の先頭に立って反対運動ができる。また県の許可取り消しを求めていく」と述べた。「辺野古新基地反対が県政の柱」と言ってきた県の行政の内実の空洞化に住民パワーがNO! を突き付けた。その結果、県は「許可取り消しも検討する」と言い始めたが、小野寺は二四日の記者会見で傲慢にも「工事に何ら影響はない」と述べた。

ドイツと韓国か
ら つの平和賞
辺野古の粘り強い非暴力の闘いは、全県、全国の支援の輪を大きくつくるとともに、世界に共感と連帯の輪を広げた。ドイツの国際平和団体「国際平和ビューロー」がマクブライド平和賞を「オール沖縄会議」に授与した。一一月二四日、スペイン・カタルーニャの州都バルセロナで授賞式が行われ、オール沖縄会議共同代表の高里鈴代さんとヘリ基地反対協の安次富浩共同代表が参加した。また、韓国の池学淳(チ・ハクスン)正義平和賞がヘリ基地反対協に授与されることに決まった。
沖縄は米日の軍事主義に対決するアジアの平和のための闘いの最大の焦点だ。沖縄の動きに注目し関心を持ち、現場の闘いに加わり闘争隊伍を広げ、米日の軍事主義との力関係を変えよう!

11.22

辺野古ゲート前座り込み

雨中で資材搬入阻止

激しい弾圧はねかえし

 座り込み開始から一二三五日目。一一月二二日の水曜行動は、停滞前線が一日中雨を降らす悪天候の中、朝から夕方まで約一五〇人が結集した。
一回目の搬入は九時前から行われた。南の久志方面と北の二見方面の両方から、「ヤマト生コン」のコンクリートミキサー車四台を先頭に工事車両が列をなし始めるとともに、県警機動隊が座り込み排除にかかった。工事用ゲート前を固めた座り込みはますます意気軒高だ。物理的な力では若い機動隊員にかなわないが、身を挺して最大限の抵抗をする座り込みから一人ひとりを引きはがし、警官三人で持ち上げフェンス横の歩道の囲みに拘束していくのに、かなり手間取っている。
囲い込み内外からの激しい抗議の中、ユンボを積んだ前田建機、円筒形のコンクリートを積んだ平成重車両、鉄の構造物の金功重機、コンテナを積んだ琉成運送のトラックのほか、丸政工務店、北勝重機運輸、宇堅総合開発、比地建設、大宜味産業、池原運送、与儀運送、親田運送、東栄運輸、丸久運送、當真土木などが砕石、砂利などを運び込んだ。合計八五台。その間、警備会社「アルソック」の従業員数十人がゲート前の歩道上にズラリと立ちふさがるという違法行為をくり広げた。座り込み参加者はずぶぬれになりながら、一時間半に及ぶ警察による規制・資材搬入の間、マイクとプラカードと叫び声による抗議をくり広げた。
そのあと、テントへ移動し、各地からの報告・発言が行われた。名護市議の大城敬人さんは、名護市長選へ向けた女性たちの取り組みを紹介した。那覇島ぐるみバスの発言者は、「かりゆしグループ、金秀グループ、照正組、東恩納組など辺野古基地建設に協力しない地元企業は沖縄の良心だ」と述べた。糸満島ぐるみは「先の糸満市議選挙で、島ぐるみ会議の役員五人(うち二人が女性)が当選した。会員は三〇〇人いる。現地行動に参加するまでの難しさを打ち破って行きたい」と地域での活動を報告した。
そのあと、国頭からダンプが出たとの情報が寄せられ、ゲート前に移動した。平和市民連絡会事務局長の城間勝さんは「単なる警備員にすぎないアルソックの従業員がゲート前の公道に立ちふさがり規制するとはどういうことか。米軍基地の中ならともかく、基地外では何の権限もない。また、県警が座り込みを排除し歩道上に囲い拘束するのは違法だ。国連人権理事会からも提起されている」と怒りの声をあげた。
この日二回目の県警による座り込み排除と資材搬入は一二時過ぎから約一時間にわたって行われ、六〇台が進入した。また、毎週水曜日は、警察の暴力によるケガや体調不良に備えて全国から看護士がゲート前に待機しているが、この日は東京代々木病院と太田病院から女性二人が救護地点で見守った。
私は四週間ぶりの現地行動だった。急に発症した鼠経ヘルニアの手術のため一〇日間入院し、しばらく静養を余儀なくされたためだ。思い当たるのは九月二〇日水曜日のゲート前のゴボー抜きである。この日、朝と昼の二回、機動隊のゴボー抜きにあったが、体調に異変をきたしたのはこの時以来だ。ゲート前の座り込みでどれだけ多くの人々が傷ついてきたか。捻挫、擦り傷、打撲、内出血などは誰もが経験している。頭蓋骨骨折という重症を負った人もいる。県警はいつも知らんぷりだ。警察庁が派遣した幹部に牛耳られて県警はますます県民から離れて日本政府の道具になっている。しかし、あらゆる弾圧に屈することなく辺野古新基地NO! の闘いは続く。

11.25

辺野古土曜行動

200人が結集し

埋立て阻止の訴え


一一月二五日の辺野古土曜行動はゲート前に二〇〇人が結集した。沖縄防衛局ははじめから資材搬入を行なおうとせず、警察機動隊の配置もない中、参加者はゲート前とテント前で新基地建設阻止の決意をアピールした。
自治労東京都本部の組合員数十人が座り込みに参加した前日に続き、アジア太平洋資料センターの「平和の祈りを沖縄から」とのツアーでゲート前を訪れた二〇人が並んで挨拶に立った。東京の世田谷、調布、三多摩のほか、長野、埼玉、神奈川、静岡、大阪など全国各地から集まった参加者は、一人ひとりがマイクを持ち発言した。「東京でも国会行動などに頑張っている。沖縄は日本の現状が最もはっきり出ているところだ。共に頑張ろう」「アルソックのみなさん。今被災地では空き巣が大問題になっている。沖縄にいないで、本来の警備につきなさい」「来年二月、日韓の青年を連れてまた来る」「文子オバアの生き方に感動した」「初めて参加した。美しい海を埋め立てて基地を造るのは絶対ダメだ。浜松にも自衛隊基地があるが、本土にも沖縄に気持ちを寄せる人がいっぱいいる」等々。
その後、第1ゲート前までデモ行進し、抗議の声をあげた。テントでの集会には、超党派の野党議員四四人で構成する「沖縄等米軍基地問題議員懇談会」の会長を務める近藤昭一衆院議員(立憲)、事務局長の石橋道宏参院議員(民進)と糸数慶子参院議員(沖縄の風)が並んで挨拶した。石橋議員は「昨日翁長知事と会談した。日本政府に対する闘いとともに、アメリカにしっかりと伝えることが重要だ。近くみんなで訪米する。沖縄防衛局にも行ったが、根拠のない海上搬入を合理化する言い訳とこじつけばかりだった。国が法律をぶっ壊してどうするのか」と訴えた。そのあと「これから奥へ行く」と、会場を後にした。

11.20

辺野古・高江弾圧裁判

地裁前に一〇〇人結集

必ず無罪かちとるぞ


一一月二〇日午後、山城博治さんはじめ三人が被告となった辺野古・高江弾圧裁判の第一六回公判が開かれた。公判に先立ち、午前一二時から地裁前の城岳公園で決起集会が開かれ約一〇〇人が集まった。
参議院で会派「沖縄の風」を結成している糸数慶子さんと伊波洋一さんも駆けつけた。糸数さん「昨日も米海兵隊による飲酒運転での死亡事故が起こった。日本政府は綱紀粛正を言うが、事故が起これば同じ言葉の繰り返し。県民のいのちと暮らしを守る闘いを頑張っていく以外ない」。伊波さん「県民が国を裁くんだという立場で国会で活動している。現在の北朝鮮の問題も、しっかり話し合い外交をしていれば、こんなにならなかった筈だ。日本の安全保障はこれでいいのか。辺野古・高江の新基地建設を止め、沖縄の問題を日本全体の問題としなければならない」。発言が終わると、二人は、東京へ向かうため、那覇空港へ急いだ。
山城さんは「弁護士の皆さんは、この裁判に『沖縄平和運動裁判』と名付けた。まさしくそうだ。絶対に負けられない。先日、沖縄県の奥港の使用許可に対し、翁長県政に物申すと、抗議と要請をした。奥港や本部港が使用できなければ埋立はできない。沖縄県はしっかりと県民の側に立ち、公約を守り抜くべきだ」と述べて、「今こそ立ち上がろう」を声の限りに歌った。
三宅弁護士は「実質審理は今日で終わり。裁判所は、弁護団が申請した証人をすべて却下した。彼らは、ブロックを積んだかどうか、有刺鉄線を切ったかどうか、という事実のみを見て、背景をすべて省く。これでは裁かれるべきものは何かということが明らかにならない」と述べた。
最後にガンバロー三唱で集会の幕を閉じた。会場では、裁判闘争パンフ二が販売された。一部五〇〇円。連絡先は「山城さんたちの完全無罪を勝ち取る会」(電話090-6864-6628)。求刑のある一二月四日の午後六時から那覇市八汐荘で決起集会が開かれる。最終弁論は一二月二〇日。判決は来年三月一四日。



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