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    かけはし2017.年11月20日号

沖縄の未来を決めるのは私たちだ


沖縄報告:11月12日

辺野古ゲート前県民大行動

沖縄 T・N


11.4

2018年政治決戦に向けて

名護市長選・県知事選勝利へ

雨をついて600人


ゲート前座り
込み5000日
 第一土曜日にあたるこの日は先月七日に続きオール沖縄会議主催の第二回「辺野古ゲート前県民大行動が取り組まれた。小雨と北風の肌寒い中、各地の島ぐるみ会議をはじめ約六〇〇人がゲート前に結集し、前回に続き終日工事車両の進入を阻止した。
 八時すぎ、平和運動センター大城悟さんの進行でいつものように「今こそ起ち上がろう」などの歌で工事ゲート前の座り込みが始まった。朝八時から一三時までは北部と那覇の島ぐるみが中心ということで、本部町、名護市、宜野座村、大宜味村、北部地区労などが、去った衆院選を始め各地での取り組みを報告した。 
 本部島ぐるみは、木曜日に採石場を経営する国場組に対し、米軍基地のための埋め立てに加担しないよう要請を行った。あらかじめ連絡したにもかかわらず、敷地への立ち入りを拒否し、要請書の受け取りすら拒否。ケンタッキー・フライド・チキンや大戸屋などの外食チェーン、スターシアターズやテラスホテルを経営し、県民の消費に支えられている企業が民意を踏みにじるとは、と怒りの報告。
 大城敬人(よしたみ)名護市議は、来年二月の名護市長選に向けた稲嶺市長の事務所開きが、六日(月)市内大北給油所向かいの事務所で午後六時から行われることを紹介、仲間の結集を呼び掛けた。
 ヘリ基地反対協の安次富浩共同代表は、「来月二六日でゲート前座り込みが五〇〇〇日になる。四〇〇〇日の時、まさか五〇〇〇まではと思ったが安倍のせいでここまで来てしまった。選挙戦で小池都知事には相当気を遣っていたが、沖縄の翁長知事はまったく無視だった。国頭村奥港からの海上搬入計画、津堅島沖のパラシュート降下訓練、F35Aステルス戦闘機の嘉手納移駐、高江に墜ちたCH53Eの事故原因究明もゼロ回答のまま選挙が終われば飛行再開追認だ。沖縄の声には耳を貸さず、イバンカが来たら五三億も寄付すると。災害地の仮設住宅はほったらかしでいったい誰のお金なのか。こういう政府には何一つ任すわけにはいかない。沖縄の未来は沖縄が決める。そのために名護市長選、県知事選を勝ち抜こう」と訴えた。

海上警備会社
に過大支払い
平和市民連絡会の北上田さんは、八日に出る会計検査院の報告で、辺野古の海上警備を請け負うライジングサンと下請けのマリンセキュリティーについて過大見積もりで一億八〇〇〇万円の改善指示が出るとし、不適切な入札にも言及。二〇一五年度以降四件中三件総額四五億円の契約で毎回応札が一社のみ、落札率が九九・四%はどう見ても予定価格が漏れているとしか思えない。マリンセキュリティーは今までも残業代不払い、社会保険料不払い、燃料の違法な海上投棄が問題になっていた。
奥港の使用許可については、私たちの座り込みで、海上からの大量搬入を画策したのだろうが、仲井眞が承認した計画書には陸上搬入と明記されており、留意事項により知事への変更申請が必要だ。防衛省はダンプ一九〇台分の大型台船二台で海上から運ぶと言っているが、採石場から奥港に運ばねばならず、近くに小学校があり集落への影響は大きい。県の許可は視野の狭い判断で見過ごせない。
高江の工事から引き続く違法ダンプの使用については、九月と一〇月の総合事務局への申し入れで、事業者の防衛局とダンプを所有する業者に対し、総合事務局が対応したが、一向に是正されていない。取り締まるべき県警が現場にいながら私たちを規制するばかりで違法車両には見て見ぬふりだ。今月半ばに告発するので、疑わしいダンプは後方から写真を撮ってほしい。
新聞報道で来週から辺野古湾側でもK1、N5護岸に着工と言っている件については、大浦湾側のK9の時と同じで知事への変更申請無しでできる部分に手を付け、工事が進んでいるという印象操作を名護市長選に向けて狙っている。K9の時も儀式までやって本格着工といったが今になって仮設工事と言いつくろっている。被覆ブロックの製造が間に合っていない以上護岸を積めばまたやり直し工事にならざるを得ない。とんだ無駄使いだ。ただ、浅場での見せかけ工事ではあっても海は確実に傷つく。搬入阻止を頑張ろう、と呼びかけた。

山城博治さんも
工事ゲート前に
続いて、一二時からの大集会を待たず山城博治さんが工事ゲート前へ。悟さんからマイクをもらうと大きな拍手。「おととい弁護団の頑張りで保釈条件の接見禁止が解け、稲葉さんともみんなとも会えるようになった。」「久しぶりのゲート前だ。座り込みの現場に来ると高江の七月を思い出す」。いきなり「今こそ起ち上がろう」を歌いだす。続けざまに「沖縄を返せ」帽子を振り回して声を振り絞るヒロジワールド全開だ。「北の脅威を利用してモリ・カケを隠し安倍が勝った。トランプが来て更なる圧力強化のアピールか。北が怖いというが核を一三〇〇発持ち込んでやり返す? あり得ない。沖縄は消滅する。戦争を避けるためにこそ政治の役目がある。命がけで中国・朝鮮と交渉しろ。トランプと安倍が戦争挑発して日本がどうなろうとも沖縄はNOだ。新基地止めるため、ムリせずゆるやかにしなやかに粘り強く続けよう」と呼びかけ、駆けつけた島袋文子さんも並んで「辺野古へ行こう」「明日がある」でラインダンス。
稲葉さんも「保釈条件が解けて一年ぶりにこの現場でみんなと一緒になれた。三〇日の裁判ではブロックを置いたか否かのみの検事尋問だけの一五分で終わってしまった。ブロックを置いたのは一昨年本土から一〇〇人もの機動隊が来て暴力で市民を排除した異常な事件こそが原因だ。そういう国こそ被告になるべきだ。」おなじみの「ジンギスカン」を歌い、「三〇〇人集まれば止められる。本土各県からの分担支援で常時三〇〇人態勢を目指そう」と提案した。
お昼前になり、また小雨が落ち始める。五〇〇人余りになったところで新ゲート前のテントに移動して県民集会が始まる。

総選挙で当選
した3議員も
土曜日は議員行動日でもあり、二二日の衆議員選挙で当選した一区赤嶺政賢、二区照屋寛徳の両議員を始め、県議会議員、市町村議員、稲嶺名護市長の姿も見える。三区の玉城デニー議員は三時前には駆けつけるとのことだ。オール沖縄議員の勢ぞろい。
照屋議員は「きのうは嘉陽のおじいの一年忌だった。自宅にお参りして改めて一緒に新基地阻止の決意を語り合った。これからも不戦・護憲一筋、ウチナーンチュの尊厳を守る決意新たに国会で安倍と対峙し、差別に抗って新基地阻止を共に頑張る」。
赤嶺議員は「県都那覇の一区で勝った。自民党は『風は収まった。オール沖縄はもうダメだ』と言ったが違った。本土では『希望』が野党を分断。民進党の分裂と小選挙区制で改憲派が三分の二になったが、本当の民意は違う。立憲民主党は五五議席に伸びた。野党の質問を恐れてルールを捻じ曲げようとしているが、モリ・カケ問題で安倍を追い込み、沖縄の声で倒す」。
稲嶺名護市長は「先の衆院選でオール沖縄は再び力を示した。四区は残念だったが今回二区三区で公約違反候補の比例復活をつぶした。安倍政権に沖縄はもう騙されない。月初めの土曜行動は大きな結集の力を示した。海上の取り組みと併せて新基地を阻止しよう。ゲート前での不当逮捕は民意をつぶすための弾圧だ。ことあるごとに工事着工というがパフォーマンスにすぎない。騙されない、あきらめない、私たちは負けない方法を知っている。二月四日の市長選に圧勝することが知事の力を強くする」とそれぞれ決意を表した。
続いて社大・社民・結連合、共産党、会派おきなわの県議が、次々マイクを取り衆院選のお礼と、県議会で知事を目の敵にする自民県連との攻防、名護市長選・知事選に向けた決意を表明。新たに結成されたオール沖縄を支持する保守系市町村議員のグループ「にぬふぁぶし(北極星のこと)」に結集する、那覇市・豊見城市・沖縄市・金武町・宜野座村・名護市の議員たちも各地の課題と知事選に向けた決意を表明した。

離島への自衛
隊配備に抗議
予定の一三時になり、沖縄市のNくんのリードで「沖縄を返せ」を歌いシュプレヒコールで一旦県民大集会を締める。
一二時からは中部・島尻の島ぐるみが担当。大型バスで結集した糸満島ぐるみの仲間が休憩時間も取らずかわるがわる地域での取り組みの報告とパフォーマンスを繰り広げる。合間に東京・名古屋・大阪などから二八人で参加した全印総連の仲間が「各地に帰っても、関心を寄せ続け共に闘う」と連帯のあいさつ。
一四時に機動隊の大型バスが帰り、本日の完封勝ちが確定するが、一五時まで集会を続けることにし、同じく大型バスで結集したうるま市島ぐるみ事務局長の伊藝さんがマイクを取り、三人の市議と共に、海兵隊の撤退を求める毎週月曜のキャンプコートニー前の抗議行動、今年八回目の津堅島沖パラシュート降下訓練への抗議の取り組みを報告。「安倍の解散は国民不在。『北の脅威から国民を守る』というが沖縄は国民じゃないのか?」と怒りのコメント。
リハビリ奮闘中のまよなかしんやさんは、知念良吉さんのサポートを受けながら、夕方から瀬嵩の浜で行われる「満月祭りコンサート」への参加を呼びかけた。
宜野湾島ぐるみの桃原功市議は、野嵩・大山ゲートでの取り組みと普天間飛行場で進む滑走路補修工事について報告。「新たに貯水池の新設も行われており、返還する気がないのでは?と疑われる。日本では基準設定の無いピーフォスという航空機洗浄剤由来の汚染物質が流出している問題についても、米軍は県・市の立ち入り調査を拒否している。市長は体を張って糾明せよ」と訴えた。
午後三時前、やっと到着の玉城デニー議員が「前原高校の先輩である博治さん・照屋寛徳さん・海勢頭豊さんを始め仲間とカミさんの支えで四期目も当選できたことに感謝。無所属になっても『ひたむきに沖縄』『ブレない信念』みんなの気持ちを胸に国会で働く」と決意のあいさつ。
最後に山城博治さんが「裁判が終わったらまたここでみんなと一緒に座り込む。三年頑張ってきた。もうメゲることなど何もない。来週宮古に行く。与那国、石垣を含めて自衛隊のミサイル配備計画を心配している。離れているが一つの闘いだ。替え歌の歌詞を『島々の暮らしを』としたのはそういう意味。基地建設を阻止し、沖縄から戦争を止めるため最後まで共に闘い続けよう」と呼びかけ、みな起ち上がってディアマンテスの「勝利の歌」のラインダンスで第二回目の県民大行動を締めくくった。

11.8

添田さん第2回公判

でっち上げ弾圧許さぬ

刑特法違反で起訴


どこが「立ち入
り禁止」区域か
 昨年九月、高江ヘリパッド建設阻止の闘いに連帯するため東京から参加した添田充啓さんが、北部訓練場内で沖縄防衛局の職員に怪我をさせたとして、刑事特別法違反・公務執行妨害・傷害の容疑で起訴された事件の第二回公判が那覇地裁で開かれた。
 そもそも高江に行ったことがある方なら誰でも知っていることだが、北部訓練場はメインゲートの周辺を除いては全体的にフェンスなどなく、境界もあいまいで立ち入り禁止区域がどこからなのか、防衛局の職員にすら答えられないような場所だ。つまり米軍から見ても住民の立ち入りを特には防ぐ必要がないということだ。そんなところへの「無断立ち入り」の容疑で事後逮捕され、有罪になるならば「法治国家」どころか国家権力の恣意的弾圧と言うほかはない。この国の壮大な無関心がこれを許せば、次は沖縄だけの問題ではなくなるだろう。その意味でもこれは絶対に負けるわけにいかない裁判なのだ。
 快晴の青空にうろこ雲がうっすら浮かぶ秋空の下、お昼一二時前にはいつものように辺野古・高江の仲間が集まり始めた。ただ、衆院選が惨憺たる結果に終わり、トランプ来日を経て安倍はやりたい放題。防衛局も週明けから新たに希少種サンゴの存在も無視して辺野古側のN5、K1護岸(Nは中仕切り、Kは傾斜の意味)の「着工」を喧伝し、ゲート前では一日二〇〇台規模の搬入と、些細な言いがかり逮捕が続発しているため、今日の結集はやや少なめか。

沖縄処分の繰り
返しではないか
一二時を過ぎ平和運動センターの岸本さんの進行で集会が始まった。一連の高江・辺野古弾圧裁判の中、唯一刑特法違反で起訴された添田さんの公判。安保条約の下で結ばれた日米地位協定こそが、占領軍のようにわが物顔で振る舞う沖縄の米軍を許しているのであり、その地位協定によって生まれた悪法の一つが刑特法だ。支援の発言も次々に地位協定の理不尽さを糾弾し、抜本改正に言及した。
「支援する会」の上原県職労委員長は「衆院選で再び三度示された県民の民意を無視して安倍は工事を強行している。見せかけの工事とはいえ大量の資材搬入で海辺の環境が破壊されるのは許せない」「北部訓練場周辺での墜落事故は、まかり間違えば沖縄全体の飲料水がダメになる。水がめの危機だ」「選挙が終われば原因糾明要求もうやむやにして米軍の発表を鵜呑みにする。政府の言う負担軽減は危険の県内たらいまわしに過ぎない。政治も司法も米軍ファーストだ」「三人の長期勾留は人権侵害そのもの。完全無罪を目指し、団結して安保・地位協定体制を打ち破ろう」と呼びかけた。
「基地の県内移設に反対する県民会議」の瀬長和男沖縄統一連事務局長は「辺野古ゲート前ではきょうも強引な搬入で逮捕者が出ている。県民は平和に暮らしたいと言っているだけ。沖縄にはいまだに憲法が適用されていない。声を上げた三人が弾圧され、当たり前の人権が踏みにじられる。憲法に照らせばこういう国こそが罪人だ。三人の無罪を勝ち取り、沖縄からこの国を世直しして行こう」と怒りの表明。
「山城博治さんたちの完全無罪を勝ち取る会」の平良真知嘉手納爆音訴訟団事務局長からは、一〇月にまとめた「裁判闘争中間報告U」冊子の紹介と、九月一〇日放送のNHKスペシャル「沖縄と核」で、あらためて疑惑の深まった一三〇〇発の核兵器貯蔵の糾明を求める「核兵器から命を守る県民共闘会議」の結成大会が、一三日(月)六時半から嘉手納中央公民館で行われるので結集してほしい、との告知があった。
山城圭弁護士は、きょうの公判について「沖縄防衛局の職員に刑特法について糾す。今朝も辺野古で逮捕者が出ている。全国の無関心がこのような不当弾圧を許している。民意を無視した基地建設に反対の声を挙げた添田さん他三人の正しさを明らかにして行く」と決意を語った。
続いて司会の岸本さんから、次回の山城さん、稲葉さんの公判が一一月二〇日(月)一三時三〇分開廷になったこと、三人の無罪を求める全国署名が県内四万筆、県外二万筆集まったことを報告。そして「一二月四日(月)には論告求刑となり、公判終了後一八時から松尾の八汐荘で決起集会を開くので、辺野古ゲート前も厳しい状況ではあるが、今までを上回る結集をお願いしたい」との呼びかけがあった。なお、判決は年明け三月になる見込みとのこと。
最後に「オール沖縄会議」の比嘉さんが「一連の高江・辺野古裁判は、あえて言えば一六〇九年の薩摩侵攻、一八七九年の明治政府による廃琉置県、一九七二年の日本復帰から続く日本による沖縄処分の繰り返しだ。県民の尊厳が踏みにじられてきた歴史、それとの闘いだ。三人の完全勝利を通してこの闘いを勝ち抜こう」とアピールし、ガンバロー三唱で全員が青空に拳を突き上げた。私たち沖縄の平和運動のすべてを罪に問おうとする裁判として、その不当性を全国に全世界に発信し勝利していこう、との決意を固め合ってこの日の事前集会を終えた。

 



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