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    かけはし2017.年10月23日号

朝鮮半島の戦争危機を止めよう!


声明

核兵器廃絶は緊急の課題だ

全世界の労働者・市民は平和のために行動を

2017年10月15日(アムステルダム)

第四インターナショナル書記局



    (1)

 朝鮮半島危機が勃発する以前から、東アジアにおける中国、日本、米国間の政治的・軍事的緊張はすでに高まっていた。米朝間の衝突に関して言えば、多年にわたるレベルとは匹敵できないレベルに達しており、この地域においてきわめて深刻な意味を持つものへと高まっていた。それは軍事化の力学を強め、これまでとは比べられないほどのレベルに達し、すでにこの地域で深刻な意味を持つものになってしまった。それは民族主義的右派を強化し(とりわけ日本)、韓国新大統領の自主的な外交の余地を切り縮め、反ミリタリズム・平和志向の草の根運動は、ますます強い圧力の下に置かれている。
アメリカ帝国主義は中国に対抗して、東アジアにおけるイニシアティブを再度掌握できるようになっており、この地域のすべての国にメッセージを送っている。米国政府はとりわけフィリピンの政府に対し、同盟関係というものはシャツのように取り換えられるものではない、と思い起こさせている。
ペンタゴン(米国防総省)は現行条約に従ってマラウィ(ミンダナオ島北部の都市)でジハーディストとの戦闘を行っているフィリピン国軍にさまざまな武器を送っている。
三つの大国(米国、中国、ロシア)は今回の朝鮮危機に直接かかわっており、核軍拡競争に新しい推進力を与えてきた。アメリカ帝国主義は、世界のこの地域において覇権を再確立する意向を明らかにしている。

    (2)

 アメリカは、歴史的な、かつ繰り返されるこの危機の状態に主要な責任がある。朝鮮戦争(一九五〇〜五三年)の主要な目的は、朝鮮・韓国の民衆的運動を破壊し、毛沢東の中国と対決することだった。米国は、平和協定の調印を拒否し、北朝鮮を再征服する永続的脅威を与え続けてきた。北朝鮮の核開発凍結協定が調印されたとき、米国政府はそれを尊重しなかった。
サイバー戦争から経済制裁や韓国との合同軍事作戦にいたるまで、米国政府は北朝鮮に対してきわめて攻撃的な政策を追求してきた。
ドナルド・トランプの「黙示録」的声明は、緊張激化の原因となっている。彼は国連総会の場で北朝鮮の「完全な破壊」という脅迫を行った。朝鮮半島危機は、米国の軍部が軍事予算の大幅な増額を求めることに貢献している。その目標は、東アジアにおける米国の覇権を再確立することにとどまらない。これはこの大統領特有の「言葉の過剰」以上のものがある。朝鮮半島危機は軍が予算の大幅な増額を要求する手助けとなっている。その目標は、東アジアにおける米国の覇権を再確立することにとどまらない。既存の超大国(米国)は新興の大国(中国)の勃興を阻止することも望んでいる。米国と北朝鮮の衝突はグローバルな側面をも持っている。

    (3)

 キム・ジョンウンの政策は、破滅的結果をもたらした。この国(北朝鮮)が脅威にさらされており、北朝鮮がこの脅威から自国を守ろうと望んでいるのは事実である。サダム・フセインやカダフィの結末を見た北朝鮮は、作戦使用可能な核兵器を保有することによってのみ生き残りの保障となるとの結論を持った。しかしその結果、この地域における終わりのない軍事化のらせんと核兵器のエスカレーションに油を注ぐことになってしまった。
北朝鮮は別の政策を採ることもできたはずだ。韓国の新大統領ムン・ジェインの対話の申し入れに応えること、国際的レベルで米国の外交に反対すること、日本や韓国の住民の平和主義的感情、アジアの多くの反軍・反ミリタリズム、反核運動の存在に依拠することであり、そのような形で米国による孤立化を回避することである。
しかしキム・ジョンウンはそうではなく、力の試し合いと北朝鮮・米国の衝突を選択した。この選択は自らの孤立化を促し、勤労住民の犠牲の上にますます多くの資源を軍事計画のために使用しなければならないことになった。
こうした政治的選択は、極度に抑圧的で、民族主義的で、王朝的で、エスノナショナリスト的な、北朝鮮の独裁的な本質からもたらされた。その対外政策は国内政策の反映である。この政権が国際的な外交バトルを構想し、連帯の民衆的動員に訴えることは極めて困難である。

    (4)

 専門家たちは、こうした「挑発」と対抗のエスカレーションが、多かれ少なかれコントロールされた、大国を巻きこむ戦闘行為にいたることを恐れている。しかし状況の進展がどうなるかを予測することは、きわめて困難である。
ドナルド・トランプは、現在の緊張のレベルでの彼の政策について十分な支持をうけてきた。しかし米国では、ブルジョアジーの重要な部分は、緊張緩和政策を主導するため外交的交渉を支持しているようにも見える。明日にはどのような政策が必要なのだろうか。
北朝鮮の政権は、ワシントンが予期したよりもはるかに弾力性に富んでいる。しかし彼らは圧力、とりわけ新しい一連の経済制裁による拘束の圧力に抗しうるのだろうか。中国指導部は、朝鮮指導部への影響力がきわめて弱いときに、どのようにして東アジアでイニシアチブを取り戻そうとするのだろうか。
いずれにせよ、情勢はすでにきわめて危機的であり、進歩的勢力はこの問題に関して動員を行わなければならない。

(5)

 緊張のらせん的拡大を阻止し、緊張緩和を促すことが緊急に必要である。米政府は脅しをやめ。米韓海軍演習などの軍事作戦を停止しなければならない。北朝鮮政府は核実験とミサイル発射を中止しなければならない。
継続的な緊張緩和を保障する会談を開始しなければならない。

    (6)

 反戦運動の責任は重大である。韓国からパキスタンに至るアジアの運動はその前線に立っている。しかし彼らは世界の他の地域の姉妹組織からの支援を必要としている。朝鮮半島の危機はすべての人々の課題とならなければならない。
同様のことが、とりわけ核兵器廃止のために闘っている運動に適用される。軍備拡大競争が再開されている。たとえば中国は、韓国へのサード・ミサイル迎撃ミサイルの配備に対抗して戦略的潜水艦部隊を配備しようとしているが、ロシアと異なり中国はこれまでそうした潜水艦部隊を持っていなかった。
核不拡散条約は失敗した。オルタナティブは単純なものだ。核廃絶かそれとも一九四五年に広島・長崎の人びとに使用されたように、そしてペンタゴンが一九五〇〜五三年の朝鮮戦争で構想したように、再び使用されるかだ。
一二二か国のイニシアティブによる国連での核兵器禁止条約の採択は、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)がノーベル平和賞を受賞したことにより、この闘いを進めていくことが可能であることを示した。こうした意識の発展に基づいて、核兵器のあらゆる「常態化」に反対しなければならない。
一部の諸国において第四インターナショナルをふくむラディカル左翼潮流は、すでに核兵器廃絶の運動にかかわっている(インド、パキスタン、日本、フィリピンなど)。こうした運動の強化は、すべての進歩的勢力にかかわるまさに「時間との闘い」なのである。
(2017年10月15日)


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