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    かけはし2017.年10月9日号

諸権利抑圧を粉砕する決起へ


スペイン

独立を問う国民投票への声明

カタルーニャの自決権を守れ!

2017年9月21日 第四インターナショナル執行ビューロー

 カタルーニャでの、独立を問う国民投票が一〇月一日、ラホイのスペイン中央政府によるあらゆる策を動員した妨害・攻撃を突破して敢行された。中央政府による投票所閉鎖を阻止するために、民衆が大挙して三日前から投票所を占拠したり、一〇月一日早朝に投票所に通じる道路を埋めつくしたりする民衆の姿が伝えられている。一〇月一日の国民投票はまさに、カタルーニャ民衆自身によって実現されたと言える。こうしてスペインの政治危機は、再び民衆が主体に躍り出る形でその深さをあらわにした。以下は、一〇月一日に先立ち、九月二〇日のラホイ政権による弾圧を受け第四インターナショナルから出された声明。国内外の連帯でラホイ政権による国民投票圧殺を打ち砕き、スペインで進行する政治危機を本物の変革に転換する展望を切り開こう、と呼びかけている。国民投票が成功した今、この声明でふれられている、「インディグナドス」とカタルーニャ独立派との連携を含め、スペインの今後に注視が必要だと思われる。(「かけはし」編集部)

 二〇一七年九月二〇日、内務省警備隊とスペイン国家警察はジャナラリター(カタルーニャ政府)の高官一四人を逮捕し、官公庁舎と私宅四〇カ所の家宅捜索を敢行した。その後警察はCUP(カンディダトゥラ・デ・ウニダ・ポプラー、親独立派左翼の主要政党)の宣伝資材を押収した。そしてどのような法的根拠もないままに、挑発以外にはまったく理由もなく、一日中この党の本部を包囲した。一〇月一日の国民投票を支持しているカタルーニャの自治体首長七〇〇人以上の訴追に続く、またカタルーニャ議会事務局に対する繰り返された苦情を経たこれらの行動は、自決権に関する国民投票に敵対するスペイン国家諸機関による抑圧のエスカレーションにおける、一つの質的跳躍を表している。

自治は事実上
取り消された


上記に加えてジャナラリターの口座を政府の支配下に置くというスペイン財務省の決定は、長年のジャナラリターによる公的財政の管理という実績の後では、事実上自治の取り消しに帰着する。これには緊縮政策の実行を確実にするという口実がかぶされているが、しかし実際上マドリード政府は、自治を徐々に溺死させようと追及してきたのだ。さらに財務相のモントロの策は、多くの予算項目を危険にさらし(極度の貧困と社会的排除の緩和を目的に、先頃議会が承認した基本的な所得補助を先頭に)、公務員と公共サービス被雇用者の間に、次期の賃金支払いに関し不確実性をつくり出している。

二つの正統性が
非和解的に衝突


 九月六、七日以後――国民投票法といわゆる「婚約解消決議」のカタルーニャ議会による承認をもって――、二重の正統性という情勢が存在することになった。そこでは、正当性を相互に認め合うことのない二つの法的システムが存在している。先の法の最初のものは、国民投票の公的実施を目的にし、二番目のものは、仮定されたイエスの勝利と憲法制定会議の間における一種の「暫定憲法」になっている。
 この二つの法はスペイン憲法裁判所により無効とされた。しかしそれらは、ジャナラリターの政府の視点からは、そしてカタルーニャ住民多数の視点からは有効なままだ。この住民たちは、憲法裁判所はそれらを無効にする正統性をまったくもっていない、と確信しているのだ。
 この情勢は、スペイン国家の一部における萌芽状のある種の政治革命、そしてポスト・フランコ独裁と一九七八年憲法体制の前例のない危機を含んでいる。これからの時々刻々と日々は、結果に対して決定的となるだろう。

国民投票実行、
反抑圧の決起、
公民権の支持を


 情勢は非常に緊迫している。そして九月二〇日のできごとは、確立された枠組みを超えて進む情勢を指し示す、そうした行動―対応のエスカレーションを知らせている。今のところ抑圧機構は態勢を解かれていない(モソス・デスクヮドラの名をもつカタルーニャ警察は、スペイン法廷の命令にしたがわないという思い切った行動には出ていないが、不服従で裁かれないようにする策として、極力表に出ない方策を取ろうと試みている)。しかし、平和的な決起を続けている住民に対するあからさまで大規模な弾圧が行われる場合何が起きることになるか、それを知ることは難しい。
 現時点でカタルーニャ政府は、内務省警備隊が前もって印刷機にあった投票宣伝物、投票用紙、人口調査諸文書、さらにカタルーニャ中の新聞を押収したにもかかわらず、一〇月一日の国民投票に対する呼びかけを維持している。
 スペインの抑圧エスカレーションは、いわゆる「さるぐつわ法」(「インディグナドス(怒れる者たち)」と「マレアス(波)」の闘いに対処するためにすでに厳しく民主的な諸権利を削り取った)に先導される形で、ある種の「事実上の非常事態」を生み出している。そこでは基本的諸権利が今も深刻に侵犯されている。これはカタルーニャの諸制度の将来を危うくするだけではない。そこには、一九八一年二月二三日のクーデター策動以後では、もっとも深刻な政治的退行の怖れもある。
 組織された労働運動の重要な部分を含む、カタルーニャ民衆の対応は、バルセロナとカタルーニャ全土での巨大な決起となった。そして、スペイン全土の主要都市における、決定権を支持し、抑圧に反対する大衆的連帯を当てにしてきた。抑圧反対のゼネスト呼びかけに関する議論が諸々あり、九月二〇日には、バルセロナの港湾労働者が、内務省が国民投票抑圧のためにカタルーニャに派遣した、ほぼ五〇〇〇人の警官と内務省警備隊を収容する船舶の、市の埠頭への接岸作業をサボタージュする決定を行った。
 この後の日々にあるものは、スペイン民衆の民主派勢力の支援を得たカタルーニャ民衆および主権擁護派諸勢力と、フランコ独裁の四〇年から引き継がれたスペインの沈黙強制的、権威主義的諸傾向との間での、力の試し合いだろう。
 さらに、世界的な危機とスペインにおける体制危機により生み出された二つの大きな大衆運動の、実のある結集に向けた諸条件が初めて存在しているように見える。それは現在まで、遠く離れたままにあり、互いを疑いの思いで見ていたのだ。その二つとは、二〇一一年五月一五日に爆発した「インディグナドス」運動、そしてその一年前に現れたカタルーニャの親独立運動にほかならない。
 反資本主義のまた革命的なカタルーニャとスペインの諸勢力は、ここに内在する破裂に向かう巨大な戦略的潜在力を利用し、それを発展させなければならない。諸々のできごとの圧力は客観的な凝集に向けて押しやろうとしている。抑圧を前にして、労働者と民衆の諸部分は賭けられているものに自覚的になっている。そして今度は民族主義の諸潮流が、全体としてのスペインの進歩的、民主的諸勢力からの連帯を求めている。

抑圧抗議の緊急
国際連帯行動を


 この流れの中では、国際的な決起がこの対立において基礎的な役割を演じることになる。カタルーニャにおける勝利は、欧州と世界の民衆的、革命的、民主的諸勢力すべてにとっての勝利となるだろう。しかしその敗北は、カタルーニャ、スペイン、そしてEUの民主主義と階級闘争にとっては、深刻な後退に導くだろう。
 第四インターナショナルはその各国支部に、スペイン国家による各々の新たな抑圧行為に対し、抑圧反対と自決権支持の、あらゆる国での連帯行動を組織することを、そしてスペイン大使館とその領事館前での集会を呼びかけるよう訴える。
カタルーニャの自決権万歳!
自決権に関する一〇月一日の国民投票をわれわれは全面的に支持する!
自由に対する攻撃と抑圧、また政治的抑圧をたたきつぶせ!
(「インターナショナルビューポイント」二〇一七年九月号)

ブラジル

MAIS、PSOL加入を公表

社会主義左翼再編に質的飛躍

ジョアオ・マチャド


規模の点でも
重要な前進が
 八月四日、左翼グループのMAISがPSOL加入を公表した。現在まで数ヵ月、このニュースは予想されていたが、この公表に本質的な重要性がないわけではない。これは、PSOLの中で異論なく歓迎された。
 われわれが言うことのできることとして、それは、ブラジルの社会主義左翼の再編における困難な進展に質的な飛躍を可能にする。この判断は奇妙に見えるかもしれない。何といっても、PSOLもMAISもそれほど大きい組織ではない。確かにそれは本当だが、非常に大きいものではないというのは、ブラジル社会主義左翼それ自身の規模に関する問題なのだ。
 その場合われわれは、道理をわきまえたものとして、こうした勢力を、ブラジルで社会主義をめざす闘いを進めるために努力している諸組織から構成されるもの、と考えている(すなわちPTやその連携勢力はここから排除される。それらは、現存秩序への従属とブルジョアジーとの階級協調の、異なった陣営に自らを位置させてしまっている)。それゆえわれわれは、相対的な、質的な変化について語っている。
 PSOLは優に一〇万人を超えるメンバーを保持している。しかしこれらのメンバーのほとんどは、実体と言うよりも形式的なものだ。かなり楽観的な評価でもそれが示すことは、一二月はじめに開催予定のPSOL大会が、その地方総会への参加メンバーが三万人そこそこの大会になりそうだ、ということだ。
 しかしそのような総会に出かけるということは、党活動への参加ということでは極めて限定された種類のものだ。そしてこうしたメンバーのほとんどにとって、二年前の前回大会以後の党活動参加という点では、どのようなものであれ唯一のものとなるだろう。それ以上に、これらのメンバーのほとんどは、社会運動内や選挙キャンペーンにおいてであっても、「党外で」活動している同じメンバーなのだ。それゆえ、数百人に上るMAIS活動家のPSOL加入は、党員数の点でも重要な成長を意味するだろう。

社会運動能力と
政治的質の改善
しかしその重要性は、こうした量的な側面には限られない。われわれが象徴的と呼ぶことができる側面にはふれる価値がある。二〇〇三年を通じて、ルーラ政権が「市場」が強要するものを受け入れたこと、そして意味のある社会的変革への展望すべてを放棄したこと、さらにPTの多数もこれにぬかずくことになる、ということが明白となった。これこそが、新党建設の必要性について討論を始めることが必要になった理由だ。
PTとPSTU(統一社会労働党、モレノ派トロツキスト勢力を起源とする)双方のメンバーが、どちらのメンバーでもない他の人びとも含めて、この論争に参加した。しかし、PSTU内でPSOL創立に参加したのは、少数部分にすぎなかった。当時、新党建設の意志をもっていたPTの左翼とPSTUの全体を新たな党の中に統一することは、あり得なかった。主には、党に関する異なった考え方が理由だ。PSTUの多数は、その内部にさまざまな組織された潮流を抱える党の建設に同意しなかった。それゆえ、MAIS――PSTUを形づくった伝統の実質部分を代表する一組織――の加入は今、部分的であるとしても、PSOL形勢におけるこの当初の弱さを修正する。
もう一つの決定的な面は、MAISメンバーが、彼らの政治的教育と伝統の結果として、PSOLの綱領論争とその定式化に向けた能力に対し、極めて重要な豊かさの提供を意味するだろう、ということだ。もう一つは、MAISメンバーのほとんどが諸労組と社会運動に根付いているということであり、この点で彼らはPSOLがその最も重大な弱さのいくつかを克服する助けになることができる、ということだ。
PSOLは二〇〇四年以後の軌跡の中で、社会主義左翼の領域で重要な選挙上の参照点として発展できてきた(不幸なことだが、リオデジャネイロ州を除くあらゆるところで、依然まったくの少数派)。しかしPSOLは、部分的に党内部の立場の違いを理由に、社会運動内ではるかに小さな存在感しか達成できていない(若者の諸運動を例外として)。社会運動に根付いた党になること、そしてそれらの組織化に貢献することは、PSOLの主要な挑戦課題であり続けているのだ。MAISメンバーはこれに取り組む上で多くの助けとなるだろう。

多様性包括する
統一への共同へ
疑いなく、PSOLの他のメンバーから、もっと正確にはそのある者たちから、MAISの活動家たちが学ばなければならない課題がいくつかある。おそらくもっとも決定的なものは、社会主義の革命的な概念にエコソーシャリズムの考え方を統合する重要性だ。この点でMAISの定式は依然限定的だ。しかしこれは、程度はより小さいとはいえ、PSOL自身にとっての課題でもある。
われわれは、広大な挑戦を前にする党にMAISが加入しようとし、彼らは試練に立ち向かう点で大きな役割を果たし得る、そうした状況の中にいる。まさにこの意味で、彼らの合流が質的な飛躍を意味する。
同じく重要なことは、MAISが止揚と収斂に貢献しそれを高めるためにPSOLに加入しようとしている、と語ったことだ。彼らは、「階級闘争の各々の戦闘で、労働者、黒人、女と男、LGBT、若者、先住民衆、土地なき人びと、ホームレスの人びとの解放に向けた最良の政策を共に練り上げることができるように、PSOL内で肩を組んで行動する」ために加入すると語ったのだ。セクト主義的指導性の押し出しよりもむしろ多元主義的なこの考え方(ブルジョアジーからの階級的独立の枠組み内で)は、社会主義左翼再編プロセス内で前進するためには、鍵の一つだ。
同じ方向で、MAISがPSOLを超えた左翼の統一に重要性を与え続けてきたことも非常に重要だ。その中で彼らは、新自由主義右翼の攻撃に対決する労働者と民衆の諸権利の防衛に、可能な限り幅広い統一戦線をめざす闘争を組み合わせてきた。すなわちそれは、PSTUやPCB(ブラジルの共産党)のような諸政党と共に、選挙登録資格のまったくない政党や組織と共に、さらに戦闘的な社会運動と共に、社会主義的左翼の統一された政治的オルタナティブの建設の探求と一体的に、非搾取層や被抑圧層の統一的抵抗を追求するものだった。

より広い統一が
決定的な局面で
最後の重要点は、MAISがブラジル民衆とわれわれの党の歴史における決定的なときにPSOLに加入しようとしている、ということに光を当てることだ。ブラジル民衆に関しては、多くの犠牲を払って勝ち取られてきた歴史的な諸権利に対する残酷な攻撃に、われわれが今苦しんでいるからだ。われわれは今、残忍な反動に抵抗するために、一つのオルタナティブを建設するために闘争中なのであり、より多くの統一が最高の位置にあるのだ。
PSOLに関しては、われわれを脅かす諸々の障害の中に、PSOLのような政党の存在をより難しくすると思われる「政治改革」が含まれ、そこには、たとえば「議会選出に対する敷居条項」の新設などもある、と想定されるからだ。この脅威を前にPSOLは、自身を強化する必要が、まさに社会主義政党の構想を強化することによって、すなわちMAISメンバーのような新しい戦士の加入をテコに補強することで、自身を強化する必要がある。

▼筆者は、PSOL内部の潮流、コミュニアのメンバーであり、PSOLの創立メンバーだった。(「インターナショナルビューポイント」二〇一七年九月号) 




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