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    かけはし2017.年10月9日号

9条改憲絶対阻止・安倍政権打倒


総選挙

自民党・公明党・「希望の党」を敗北させよう

東アジアの平和のために行動を


改憲強行へ政界再編

 安倍自民党は、通常国会を共謀罪法案強行採決で乗り切った後、「森友・加計」疑惑究明のために野党が要求する臨時国会召集を三カ月にわたって拒否してきた。
 しかし安倍自民党が仕掛けたはずの、九月二八日召集の臨時国会冒頭解散劇は、安倍政権にとって大誤算をもたらすもう一つのシナリオを急速に現実化させることになってしまった。すなわち都議選で自民党に歴史的な大敗を強制した「都民ファーストの会」を母体にする「小池新党」=「希望の党」による政界再編の嵐に見舞われたのである。
 細野豪志、松原仁、長島昭久などの民進党脱党組、さらには「日本のこころ」の中山恭子代表などの右派・極右派を巻き込んだ「希望の党」は、急速に右翼政界再編の「台風の目」となった。この動きに直撃されたのが民進党だった。前原民進党代表は九月二六日以後、「希望の党」を結党した小池百合子・東京都知事と会談し、民進党を解党し「希望の党」に合流させる方向で秘密裏に合意を進めてきた。その橋渡し役を演じたのは、連合の神津里季生会長(新日鉄労組、基幹労連出身)だった。
 九月二八日に開かれた民進党両院議員総会で、前原代表は衆院選対応として「@今回の総選挙における民進党の公認内定は取り消す A今回の総選挙は『希望の党』に公認を申請することとし、『希望の党』との交渉および当分の間の党務については代表に一任する B民進党は今回の総選挙に「候補者を擁立せず、『希望の党』を全力で支援する」との方針を打ち出した。民進党の両院議員総会は、この衆院選対応を了承してしまった。

正体現わす「小池新党」


 「希望の党」の小池百合子代表は、民進党出身議員の「希望の党」公認での出馬について、あくまで判断を下すのは「希望の党」の側であること、安保法制・改憲などの対応について審査し、公認か否かの判断を下すとの態度を崩しておらず、護憲派・「安保法制反対」の民進党候補は公認しないことを明らかにしている。すなわち「希望の党」はあくまで改憲・安保法制容認であることが前提であり、野党共闘の一員として戦争法や共謀罪法に反対してきた民進党のあり方を根本から否定することが条件となっている。
 「希望の党」の小池代表は、「改憲や安保法制を支持する希望の党の基本的立場に反対する候補は認めない」ことを繰り返し主張しており、いわゆる民進党内のリベラル派については、絶対に認めないことを居丈高にアピールしている。そして「希望の党」が第一に連携対象としているのは大阪維新の会である。
 こうして前原は、みずから民進党を改憲与党の道に誘導する党の「自殺」に踏み込んだ。この責任は限りなく重大である。前原・民進党執行部、そして神津をはじめとする「連合」幹部は、自ら「改憲・戦争国家」への道を、安倍政権とともにひた走ろうとしているのだ。前原は「安倍政権への対抗軸の必要性」を主張する。しかし「希望の党」は「もう一つの改憲政党」にほかならない。「希望の党」の「脱原発」のスローガンが「お飾り」にすぎないことも明白である。「希望の党」に加わる人びとは、これまで「脱原発」のためにどのような主張・行動をしてきたのか?

「国難突破解散」の意図


 こうして安倍・自民党が仕掛けた「森友・加計」隠しのための総選挙の構図は、小池百合子東京都知事の「劇場型政治」のシナリオによって大きく変化してきた。しかしこの総選挙の構図が、依然として、安倍政権の改憲スケジュールに沿ったものであることを忘れてはならない。
 安倍首相は九月二五日、今回の国会解散について「国難突破解散」だとして、要旨、次のように語った。
 「少子高齢化が進むこの国が成長するために、低所得世帯のための高等教育無償化。給付型奨学金の増額。二〇二〇年度までに三〜五歳児の保育園・幼稚園の費用の無償化。低所得世帯には〇〜二歳児にも無償化」
「消費税率一〇%引き上げによる増収分を少子化対策に多く振り向け、二〇二〇年度のプライマリーバランス黒字化の目標達成は放棄」。
 「少子高齢化を克服し、北朝鮮の脅威から国民の命と平和な暮らしを守るための『国難突破解散』」「拉致・核・ミサイル問題の解決なくして北朝鮮に明るい未来はない。北朝鮮に政策を変えさせるための圧力だ。北朝鮮がすべての核・弾道ミサイル計画を検証可能な方法で放棄しない限り、圧力を最大限まで高めていくほかに道はない」。
 ここでは、「少子高齢化」と「北朝鮮の脅威」の二つを並べて「国難」と規定し、この「国難」に対処するための「解散」というイメージ操作が行われ、その本来の目的、すなわち「改憲」という言葉が表面上消えてしまっている。しかし安倍首相は、五月三日の右派集会へのメッセージで、「二〇二〇年の東京五輪を新憲法で迎える」ことを強調し、そのために九条の一項、二項をそのままにしたうえで、新たに三項を設けて自衛隊を明記する、という形での改憲案を提起していたのではなかったか。
 安倍は、二〇二〇年までの改憲という目標を総選挙の課題から後景化させながら、「希望の党」なども取り込んで「北朝鮮の脅威」を最大限に利用し、二〇二〇年までの「改憲」構想を、新たな政党間力関係に対応させて現実のものにしようとねらっているのだろう。そのためにも民進党の事実上の解体は、改憲三分の二勢力を強化していくための好機ととらえているに違いない。

安倍も小池もゴメンだ!


 一〇月一〇日の公示、一〇月二二日の投票に向けて、選挙情勢はなお流動的である。「希望の党」が、前民進党の議員候補者たちに「憲法・安保」問題で踏み絵検査を行い、「リベラル派」排除を強行しようとしている時、共産党は民進党の「リベラル系」候補との選挙協力の可能性についても示唆している。
 われわれは戦争法・共謀罪法案に反対し、沖縄の島ぐるみ反基地闘争を共に担った「立憲野党・市民の共闘」を継続・発展させる立場から、「希望の党」を拒否し、安倍改憲に反対して戦争法・共謀罪法の廃止を求める候補者への投票を呼びかける。
 自民党、公明党、維新の党、希望の党には投票するな! 共産党、社民党、ならびに憲法改悪に反対し、戦争法・共謀罪法の廃止、原発ゼロを求める候補者に投票を!
 安倍政権打倒の投票を!  (10月1日、平井純一)

9.28

臨時国会開会日行動

「野党と市民の共闘」こわすな!

改憲阻止の団結をさらに強めよう


「国難突破解散」
のイメージ操作
 九月二八日は、先の通常国会が「共謀罪」法案の強行採決で幕を閉じた後、野党が「森友・加計疑惑」の解明のために、三カ月以上にわたって求めてきた臨時国会の開催日にあたっていた。ところがこの日、安倍政権は、臨時国会召集と同時に衆院解散を強行し、一〇月一〇日公示、二二日投票という日程で総選挙が行われることになった。予想を超えた急速な展開である。
 安倍は九月二五日の記者会見で、突然の衆院解散について「消費税の一〇%への増税分の使途を幼児教育の無償化にあてる」「北朝鮮の核兵器・ミサイル危機に対応するため」などという、およそ国会で論議されたこともない理由をならべて「国難突破解散」と正当化した。しかしこうしたこじつけにもならない理由が、「森友・加計」問題で追い詰められた政権中枢への不信を、改憲で突破するための口実に過ぎないことは明らかだ。
 さらにこの「解散」は、七月都議選で圧勝し、自民党を最悪の敗北に追い込んだ小池東京都知事の「都民ファースト」が、全国政党として打って出ることへの機先を制するというところに最大の狙いがあった。そうした中で民進党の前原執行部は、昨年の参院選で一定の成果を収めた民進党から自由党、社民党、共産党にいたる「共同候補」樹立の試みを自ら放棄した。小池百合子東京都知事が急ごしらえで発足させた「都民ファーストの会」をベースにした「希望の党」に身売りして民進党を解散する、というとてつもない奇策である。
 民進党の国会議員たちは、突如として決まったこの「解党――希望の党への個別的合流」方針を了承してしまった。こうしたやり方が民進党とともに安倍政権に対して闘ってきた多くの労働者・市民、他の野党への全くの背信行為であることは言うまでもない。

森友・加計の
疑惑隠し解散
九月二八日の臨時国会開会日、一二時から始まった国会前集会には一三〇〇人の労働者・市民が集まった。主催は、安倍9条改憲NO!全国市民アクション実行委、戦争させない・憲法9条を壊すな!総がかり行動実行委、そして共謀罪NO!実行委。
最初に主催者を代表して憲法共同センターの小田川義和さん(全労連議長)があいさつ。小田川さんは「市民と野党の共闘」という「総がかり」の共闘原則を発展させていくことが重要であり、いま「希望の党」が訴えている「安倍政治のリセット」とは「戦後政治のリセット」という主張になっており、とうてい容認できないと訴えた。
自由党の森ゆうこ参院議員は「安倍による安倍のためのわがまま解散に反対する。野党共闘の大きな流れは政治の変革につながる。安倍政治の独裁か民主主義か、が問われている。どんな形の共闘になるかは国民の支援のあり方による」と述べ、「希望の党」への合流論に余地を残すあいまいな発言を行った。
社民党副党首の福島みずほ参院議員は、「三カ月前から臨時国会開催を要求し続けたが、ようやく召集したら冒頭解散だ。まさに『もり・かけ』解散で大義はない。希望の党は改憲を公約に入れている。大政翼賛会になだれこんだ歴史を想起している。リベラル勢力の結集で大きな力を」と呼びかけた。
日本共産党からは志位和夫委員長が発言。「三カ月も臨時国会開催を要求して、やっと召集されたらその場で解散だ。今こそ安倍を退場させよう。最大の争点は『安倍政治』そのものだ。希望の党はウルトラ右翼の集まりになっており、安保法制を容認し、改憲の推進者になっている。民進党は両院議員総会を開催するが、市民連合との合意を必ず守れ! 先ほど社民党党首と会談し、できる限り候補を一本化することを確認した。希望の党に対しては、独自の候補を擁立する」と語った。なお民進党からは福山哲郎さんが発言予定だったが、急遽来れなくなった、との連絡があったという。
「市民連合」からは山口二郎さんが発言。この解散は「森友・加計の疑惑隠し解散であり、『国会放火事件』を口実にした『ナチスの手口』に通じている。市民と野党の共闘を可能な限り継続し、なんとか民主主義と平和を守る候補を」と呼びかけた。

民進党は共闘
から逃げるな
つづいて各地域で、「市民と野党の共闘」に力を注いできた仲間が発言。安倍政治にNO!東京地域ネットワークの板橋の仲間は「大口をたたいていた野党の候補者が逃げ回っている。板橋では野党五党と政策合意を行ってきたが、この合意を確認した候補者が『希望の党』に行くなんて信じられない」と怒りをぶつけた。
市民と野党をつなぐ会・東京の仲間は、「政策を市民と候補者でいっしょに作ることに確信を持ってきた。小池新党についてはさまざまな評価があり、討論会を市民が行うことを考えている」と語った。
また、団体で決められない場合、一人一人が自分の判断をもって選挙にかかわるしかない、という意見も出された。
日本消費者連盟の大野和興さんは毛沢東の「実践論・矛盾論」を引き合いに出し「主要矛盾は何か」という観点から「安倍を倒せ」ということに絞る必要があるが、希望の党に一つだけ共通点がある。それは「反共」ということだと述べ、「反共では自由も人権も守れない」と語った。
行動提起を、「総がかり行動」実行委の福山真劫さんが提起。「野党とのブリッジ共闘を進めること、九条改悪に反対、特定秘密保護・戦争法・共謀罪法の廃止を必ず実現する。一〇月四日の沖縄とつながる日比谷集会、一〇月一九日の議員会館前集会、一一月三日の国会包囲一〇万人集会への参加を呼びかけた。              (K)




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