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    かけはし2017.年9月18日号

3000万署名にGO


安倍9条改憲NO! 全国市民アクション

1500人でキックオフ集会



熱気と意欲に
満ちた大結集
 九月八日午後六時半から、東京都中野ゼロホールを会場に「安倍九条改憲NO!全国市民アクション9・8キックオフ集会」が開催された。安倍首相が憲法擁護義務などどこ吹く風とばかりに、とりわけ九条改憲への突進をあらわにしたことに全国を貫く広範な民衆の連携で立ち向かい、安倍たちのもくろみを葬り去ろう、と呼びかけられた。
 起点は、八月一五日に有馬頼底さん(臨済宗相国寺派管長)を先頭に一九人の発起人が「『安倍9条改憲』反対の一点で手をつなぎ、今の9条を未来につないでいきたい」と呼びかけたこと。これに広範な人々、運動体がすぐさま応え、同全国市民アクションとしての運動展開が準備された。この日の集会はその発足を宣言し、闘いの意志を共有する場として設定された。なお配布された集会プログラムには、同アクションには、八月三一日現在で、二一〇人の呼びかけ人、一四〇人の賛同人が結集、賛同団体も未集計ながら増大中と記されている。
 そしてその高まる思いをはっきり示す形で、会場入り口には開場時刻の午後六時を待たずに長い列ができた。開会時刻前に席はぎっしり埋まり、入りきれない人はロビーから集会に参加した。主催者からは参加者が一五〇〇人以上と報告されたが、集会にはそれにもまして、発言者からの「一人一人の行動を」の訴えと響き合う、熱気と闘いへの意欲が充満した。

画期的な共同が
始まっている!
集会は司会を務めた菱山南帆子さんの、朝鮮半島の危機を口実とした戦争へのうねりを押し返そう、高らかにキックオフを、との力溢れた呼びかけとそれに応える万雷の拍手で始まり、まず高田健さんが開会あいさつ。
高田さんは最初に、始まる運動は、安倍による九条改憲を許さない、という一点での一致に基づくできる限り幅広い共同をめざすものであることを強調した。そしてその点に関し、安倍首相は立憲主義を破壊していることを指摘、その彼と憲法問題で議論すること自体あり得ないと強調し、一部にある安倍の下での議論を容認する傾向に再考と闘いへの合流を促した。そして市民の決起で歴史的な闘いに押し上げようと力を込めて呼びかけた。
次いで福山真劫さんが、前述したような経過を説明、生まれようとしている画期的な共同の重要性を強調、一人一人の行動を前提に全国各地で多様に運動を進めようと呼びかけた。
以後、発起人・呼びかけ人からの発言、松元ヒロさんのミニライブ、安倍たちのもくろみに関する憲法学者の清水雅彦さんによる学習会、小田川義和さんからの行動提起と、密度の高いプログラムが進んだが、松本さんの出し物に対する爆笑と拍手を含めて、いずれにも参加者は強い一体感で応えた。

不可能を可能
にする連帯だ
発起人・呼びかけ人からは、浜矩子さん(同志社大学教授)、鎌田慧さん(ルポライター)、暉峻淑子さん(埼玉大学名誉教授)、佐高信さん(ジャーナリスト)、高野孟さん(ジャーナリスト)、落合恵子さん(作家)、香山リカさん(精神科医)が、可能な限り広範な連携が生まれようとしていることに賛意と喜びを示した上で、各々の思いを発言した。
浜さんは、この連帯は不可能を可能にするものと強調した上で、聖書の「荒れ野で叫ぶ声」を取り上げつつ、壁の外から壁の中へ、裸の王様を信じるな、と民衆の大合唱を届けようと呼びかけた。
鎌田さんはまず、北朝鮮のミサイルとの関係で安倍は戦争しない決意をまったく示さず、軍備で戦争に向かう姿勢でいる、これは戦後の歴史すべてを覆す、と安倍を厳しく指弾。それに立ち向かう今度の運動では、沖縄や原発での経験をさらに拡大し、今度こそ市民運動と労働運動が一緒に戦列をつくろう、とその必要を強調した。
暉峻さんは、韓国のキャンドル革命が彼の地の人びとの誇りの問題だったと聞いたとしつつ、日本での誇りとはこの七〇年間戦争で人を殺さなかったことではなかったのかと問いかけた。そして教育勅語が議論の対象にさせない仕組みの下に制定された経緯を紹介、現在の「忖度」問題を含め議論を封じる動きを許さない運動にしようと訴えた。
佐高さんは、戦前の大本教弾圧の背後には女性と国際協力への敵視があると紹介し、女性と国際協力に道を開いた日本国憲法への安倍たちの敵意にも同じ性格があると指摘、さまざまな勢力を大きく巻き込んだ闘いを作ろうと力説した。
高野さんは、安倍の加憲論の背後には民衆の統一戦線に対する強い危機感があることを紹介、それは何が決定的に大事かを示しているとして、今回の大々的な統一戦線への動きを高く評価、その発展に力を注ごうと呼びかけた。
落合さんは、ナチスのゲッべルスを例に挙げ、ものごとを忘れさせる仕掛けに抗する必要を訴え、その最大の仕掛けとしての東京オリンピックに反対を続けたいと姿勢を明らかにした。そして日本の安全保障は何よりもまず九条、原発の廃炉、米軍基地の撤去だと指摘、徹底的に安倍に抗おうと訴えた。
香山さんは、幅広い交流関係の中での経験として、最近安倍へのうんざり感が広がっていると紹介、大きな共同で地殻変動を起こすチャンス、それを現実にしようと呼びかけた。

草の根からの
立ち上がりを
この後清水さんから、加憲論をめぐる法律論的問題が簡略に解説された。その中で一つの注意点として、九条に三項目が加えられた場合、一、二項と矛盾していても、法理論的には後にできた法を有効とする理解があり、一、二項が死文化する可能性があることに警戒が必要と指摘された。その上で、前文にある平和的生存権が日本国民ということではなく世界的普遍性として謳い上げられていることに注意が喚起され、それを世界の人びとと連帯した平和主義として攻勢的に活かす必要が強調された。
これらの発言の最後に小田川さんが行動提起に立ち、以下の三点が呼びかけられた。
?三〇〇〇万署名。来年通常国会で発議させないために、五月三日までに三〇〇〇万筆以上の達成をめざす。
?世論の可視化をめざす大規模集会の実現。具体的には今年一一月三日、来年五月三日、さらに六月を予定。?学習会、講演会、など多様な取り組みを各地で各々展開。
そして、この運動が憲法を守らない安倍に対するノーという意味も込めたものであることを改めて強調しつつ、これまでにない運動に発展させようと呼びかけられ、参加者は満場の拍手でそれに応えた。
安倍政権に立ち向かうまさに総がかりを超える総がかりの民衆的運動が、この日明確に動き出した。民進党の動揺が際立つときだからこそなおのこと、この動きを押し上げる草の根からの立ち上がりが決定的に求められている。  (神谷)  

8.9

被爆72年の長崎

爆心地公園で市民集会

核兵器禁止条約不参加に激しい怒り

 今年の八月九日の長崎は、国連での核兵器禁止条約に参加しないばかりでなく交渉会議にさえ参加しなかった日本政府と安倍首相への激しい怒りに包まれた。記念式典後の会合で、冒頭から長崎県平和運動センター被爆者連絡協議会の川野浩一議長が安倍に面と向かって「あなたはどこの国の総理か」と詰め寄った。会合に先立つ記念式典では田上長崎市長が安倍首相の改憲策動を非難しなかったことで批判されているが、首相の目の前で「核兵器禁止条約への一日も早い参加をめざし、核の傘に依存する政策の見直しを進めて下さい」とする長崎平和宣言を読み上げた。
 例年通り九日に爆心地公園でもたれたピースウィーク市民集会でも舟越耿一さんは主催者挨拶で「政府は核兵器禁止条約ができたのに何も言わないのか!」と怒りをぶつけた。舟越さんは「何故長崎・広島に原爆が落とされたのか。真珠湾攻撃のときの飛行機が三菱長崎でつくられたことと無縁ではない」と日本政府・軍部・軍需産業の戦争政策が、長崎・広島の被爆につながっていることを明らかにした。
 市民集会では、三一年間つづいた星座保育園の「青い空」合唱が台風の影響で中止となってしまい、集会中に参加者がみんなで歌ったが集会開始頃は台風五号は遠ざかり好天になった。
 毎年集会に参加する鹿児島大学の木村朗さんは「今や日本は平和主義からファシズムへ、平和国家から戦争国家へと切りかわろうとしている。ここが正念場だ」と訴えた。元高校生平和大使でシールズとしても活動した明治学院大学院生の村田さんは「なぜ戦争が起きたか、なぜ原爆が落ちたか。人々が戦争に走ったからだ」と平和運動の大切さを訴えた。
 例年のように広島、関西、愛知などから参加している人々もマイクを持ち訴えた。「大阪ではこれまでなかなかできなかった原水禁系の人たちと原水協系の人たちの総がかり行動での協力が進んでいる」との報告もあった。 玄海原発から佐世保、長崎と二五人で自転車で走ってきたピースサイクルも元気に報告した。
 前日に長崎での「植村隆さんのお話を聞く会」に出演した、元朝日新聞の記者で韓国のカトリック大学教授の植村隆さん、被爆二世でドイツのインターナショナルスクールで教員をしている遠藤智子さんなどもマイクを握った。
 集会の途中、原爆投下の一一時二分には「黙祷」をし、中心碑を取り巻く人間のくさりを行った。
 集会は最後に、今秋にもミサイル攻撃を想定した国民保護訓練を行おうとしている長崎県に、「戦争に備えるのではなく戦争が起こらないように国に進言すべきだ」「日本が再び戦争する国にならないように一人ひとりのいのちと人権を守り民主主義を守る行動を粘り強く続けていきます」との市民平和宣言をみなで朗読した。

朝鮮人犠牲者
追悼早朝集会
この集会に先立って、一九七九年以来三九年間続けられてきた「長崎原爆朝鮮人犠牲者追悼早朝集会」が、爆心地公園に隣接する「長崎原爆朝鮮人犠牲者を追悼する碑」の前で行われた。式開始の午前七時三〇分はまだ台風の影響の雨が激しく降っていたが、例年の好天のときよりは少なかったが百数十人の参加でもたれた。碑の建立に中心的役割を果たした岡正治さんが一九九四年に亡くなった後引き継いできた高實康稔さんが亡くなって初めての集会となった。
集会には、例年通り朝鮮総連や韓国の被爆者団体、僧侶なども参加し、田上長崎市長のメッセージも寄せられた。みなで三列になって碑の前に献花した。集会では「ヘイトスピーチなどの民間における民族差別思想、排外行為の横行も安倍政権が勢いづかせたのは間違いないことです。民族差別、排外主義を安倍政権と共に終わらせなければなりません」とのメッセージを確認した。     (室)



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