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    かけはし2017.年6月12日号

三里塚現闘本部撤去を許すな!


5.31

空港会社代弁した千葉地裁の暴挙

反対同盟と共に闘おう!


安全軽視と空港
公害まき散らし
 五月三一日未明、千葉地方裁判所八日市場支部は、成田空港会社による空港機能拡大と三里塚闘争破壊を代弁して三里塚芝山連合空港反対同盟(柳川秀夫代表世話人)の横堀現闘本部(第二ターミナル東側の誘導路内)を撤去する強制執行を強行した。横堀現闘本部裁判が二〇一六年七月、最高裁上告棄却によって東京高裁不当判決が確定し、撤去工事の着手を準備していた。
 安倍政権は、資本のための首都圏空港等の機能強化として羽田・成田両空港を拠点として位置づけ、空港処理能力を上げるために安全軽視、航空・空港公害をまき散らしながら二〇二〇年までに年間合計発着枠を約八万回に拡大する計画だ。連動して成田空港会社は、農民、住民の抗議を排除し、第三滑走路計画(二〇三〇年度建設)の着手、第二(B)滑走路の北側延伸、夜間飛行時間の制限緩和の計画を押し進めようとしている。安倍政権・司法権力・空港会社が一体となった横堀現闘本部撤去を断固糾弾する。

抗議の声押し
切って暴挙強行
五月三〇日夜、三里塚空港に反対する連絡会は、横堀鉄塔前に集合し、妨害フェンスに「空港会社の現闘本部破壊許さない!千葉地裁による強制執行弾劾!5・30緊急行動」の横断幕を掲げ、ただちに監視・抗議行動に入った。
三〇日午後一一時半、現闘本部周辺に裁判所の執行官、作業員たちが本部フェンスに接近。投光器で本部を照らす。
午前〇時、作業員たちがフェンス撤去、ユンボによって本部、反対同盟の備品等を破壊し、トラックに積み込み搬出する。
連絡会は、ただちに強制執行抗議のシュプレヒコールを空港一帯にわたって繰り返した。三里塚で育った大森武徳さん(東峰・らっきょう工場)は、かつての横堀集会時、現闘本部の託児所で遊んだ思い出などを語りながら抗議した。解体作業は午前三時頃終了した。最後に連絡会は、再度、解体作業を糾弾し、七・二東峰現地行動への再結集を確認した。
成田国際空港会社(NAA)は三一日、「空港の機能強化が求められている中、当該地は誘導路用地として活用したい」とコメントし、報道に「空港用地内や保安用地に残る団結小屋は六棟となった」と報じさせ、三里塚闘争破壊を宣言した。
さらに「(横堀現闘本部)小屋は一九九八年から使われておらず」とウソ報道させた。反対同盟と支援は、九八年一月以降も諸々の行事や会合で現闘本部を使用していた。だが空港会社は、二〇〇六年七月〜八月、横堀十字路から本部に至る通路をバリケードを設置して封鎖を強行した。報道は空港会社を代弁することで空港会社の犯罪を隠蔽したのだ。
柳川秀夫さん(反対同盟代表世話人)は、「成田空港会社は裁判の過程でも話合う姿勢が見られなかった。成田空港問題は話し合いで解決するとした、かつての合意は何だったのか。不当な判決によって撤去された」と厳しく批判した。空港会社による三里塚闘争破壊を許さず、反対同盟とともに闘っていこう。(Y)

7・2三里塚 東峰現地行動へ

飛行制限時間緩和を許さない! 成田空港「第三滑走路」計画を撤回せよ! 裁判所の強制執行─現闘本部破壊を許さない! 反原発―再稼働やめろ! 沖縄・辺野古新基地建設反対!


  安倍政権打倒!

 安倍自公政権は「共謀罪」の成立を目論み、四月六日、衆院本会議で審議入りを強行した。安保─戦争法制、特定秘密保護法の成立など、戦争国家体制を着々と構築する安倍政治を断じて許してはならない。安倍は教育勅語の復活、学校体育への銃剣道導入などまさになりふり構わず天皇制強化─戦争への道をつき進んでいる。
また、沖縄の辺野古・高江の米軍基地建設を沖縄への差別を露骨に示しながら強行している。さらには福島原発事故の被害者を切り捨てて原発再稼働を推し進めている。かかる安倍政権を1日も早く打倒しなければならない。

人権・環境破壊の夜間飛行制限時間緩和をやめろ!

 政府─国交省─成田国際空港会社は、空港機能の拡大を図るとして第三滑走路を二〇三〇年度までに建設するとしている。これと併せて第二(B)滑走路の北側延伸、夜間飛行時間の制限緩和の計画を打ち出している。
夜間制限の緩和は二〇二〇年東京五輪・パラリンピックの旅客増に対応して発着枠を増やすために、現在は午後一一時から翌朝六時までの制限時間を、午前一時から五時までと大幅に短縮しようというものだ。夜間のたった四時間しか飛行機の飛ばない時間がないという、騒音下住民にとってはまったく耐え難い計画である。
国交省・空港会社・千葉県・関係自治体で構成される四者協議会は昨年一〇月から関係する九市町の住民に対して説明会を行ってきた。その中で住民はすべてこの飛行時間の延長に反対の声を上げ、説明する空港会社を厳しく批判した。
二〇一三年にはLCC(格安航空会社)などの要請により、午後一一時台でも離着陸できる「弾力的運用」が導入された。その際、住民側と「なしくずし的に拡大しない」という合意が交わされた。それを全く反古にする今回の提案である。空港会社は「認めてもらえば、おおむね九〇%の航空会社のリクエストに応えられ、東アジアの空港間競争を戦っていける」と語り、交付金の拡充などを提示した。営利追求のみを考え、住民の生活、健康などは一顧だにしない空港会社の姿勢が露呈している。
成田市の成田空港騒音対策地域連絡協議会(騒対協)は空港機能の拡大に関しては、これまで成田市と基本的には同じ立場にたって騒音対策・補償を要求してきたが、今回の問題では強く反発している。それほどまでに飛行時間の延長は生活に深刻な影響を及ぼすということである。
第三滑走路の新たな騒音地域になる横芝光町航空機騒音等対策協議会が発着時間の拡大について「騒音被害を将来にわたり受け続けることに住民の理解は得られない」と四者に再検討を申し入れた。

成田空港「第三滑走路」計画粉砕!

 多古町でも地区の説明会において、加瀬勉さんが三里塚闘争の歴史を踏まえて、空港建設によっていかに住民が国家権力の暴虐の前に苦しめられ、地域が分断、破壊されたかを語り、またしても利潤の追求のために第三滑走路を押し付けていることを弾劾し、断固反対していくことを表明した。
用地内で闘い続ける農民と連帯し、新たな第三滑走路建設、飛行時間の拡大に反対する住民と連帯し、三里塚現地に結集し共に闘おう!
(二〇一七年四月)

?日時:七月二日(日)/午後二時結集
?場所:旧東峰共同出荷場跡(千葉県成田市東峰六五─一)/集会後、開拓道路に向けてデモ
?会場への行き方:東成田駅地上一三時半集合〜待機迎車で会場へ
(11:55発 京成上野 (特急)→13:01着 成田13:12発→13:17着 東成田)
?横堀農業研修センター整備片付け作業。午前一〇時三〇分〜。
(午前一〇時東成田駅/迎車有り/センターрO479―78─0100)
?主催:三里塚空港に反対する連絡会
連絡先:千葉県山武郡芝山町香山新田九〇─五/電話:FAX0479―78─8101

断食声明

「あとからくる者のために」

(若狭の一住民・仏教者として)中嶌哲演


二〇一七年五月一五日、関西電力本店前で

 福井県小浜市の明通寺住職で、若狭の原発反対運動の先頭に立ってきた中嶌哲演さんが、関西電力本店前で五月一五日から一七日の日程で、一〇時から一六時半まで断食に入りました。以下は、そのとき中嶌さんが読み上げた声明です。


? 福島原発震災から六年、ますます過酷・深刻化している「フクシマ」の被災者たちに心を寄せ、その抜本的で包括的な救済(法的・財政的な整備など)を願い、また、若狭に「第二のフクシマ」を断じて繰り返させないことを願って、今朝から断食を始めました。
@関西電力は、高浜原発四・三号機の起動を延期し、再稼働を再検討し、断念すること。A国は、大宝(七〇一年)と天正(一五八六年)の大地震・津波に関連して、高浜・大飯原発の近傍と冠島の海面下を公明正大に調査し、検証すること。
B広範な住民・市民のみなさん、いつでも、どこでも、だれでも出来る一食断食などで、再稼働反対を表明し、その食費を反対運動資金にあてる共通の口座に振り込んでいただくこと。
関西電力は、高浜三・四号機、大飯三・四号機の再稼働のために、すでに数千億円の新安全対策を投じ、高浜一・二号機、美浜三号機、大飯一・二号機の延命にもさらなる高コストを迫られています。その巨額の対策費を脱原発のための準備に転換するならば、離反しかかっている消費者も踏みとどまり、共感し、支持するでしょう。 
 もし理不尽にも@が強行突破されても、少なくともAの確約が得られない限り、私は断食を続行する決意です。この私の主張と行為が単なる独断や軽挙妄動でないことを、過去四度におよぶ断食声明によってもご判断いただければ幸いです(一)。フクシマ以後、今日に至るまで、あらゆる世論調査は再稼働反対が賛成をはるかに上回っていることにも配慮してください。Bの持続的な広がりをも確信し、期待しております。
Aについて。関西電力は私たち若狭の住民の度重なる要望に耳を傾けませんでしたが、国の調査によって、高浜の海岸から五〇〇メートルの内陸部を襲った天正の大津波の痕跡が発見されました(昨年)。高浜原発は、その地点から七キロメートルです。また、大宝の大地震によって陥没した大島(東西二・四キロメートル、南北六・四キロメートル)の山の頂上は海面上に残ったというのが、冠島の由来です。その海面下に階段状の人工遺跡がダイバーたちによって発見され、話題のスポットになっているのです。冠島から宮津湾内へ一三キロメートル、海岸から五〇〇メートル、海抜四〇メートルの真名井神社に、大宝の大津波をせき止めたという伝承をもつ古い「波せき地蔵」がまつられています。高浜原発四基は冠島から一二キロメートル、内浦湾の奥懐深く位置しています。関西電力は、最大六・七メートルの津波にそなえた八メートルの防潮堤で足りるとしています。地震学者をはじめ歴史学者や考古学者などの本格的な調査が望まれる所以です(二)。
? 高浜原発(をはじめすべての原発)の再稼働に私が反対する根本的な理由は、決して上記に尽きるものではありません。その根本的な理由として、
 第一に、冒頭で表明したように、再稼働よりも、福島原発震災の被災者たちの全面的な救済、福島事故の原因究明と後始末こそ最優先すべきだからです。
 第二に、一基の大型原発が一年間稼働するだけで広島型原爆一〇〇〇発分の「死の灰」を生成、蓄積せざるを得ないからです。国内の原発群はすでに一二〇万発分に達していて、再稼働はその増加につながり、後世代へ巨大な負担をのこすことになります。また、原発内の被ばく労働者の累計は、広島・長崎の原爆被曝者六五万人に迫ろうとしています。膨大な放射性物質が放出・拡散すれば、いかなる惨禍に見舞われるかを、フクシマから十二分にまなばなければなりません。この一事だけでも、再稼働は許されないはずです。
 第三に、麻薬的な原発マネーにより、国内植民地化された「立地(集中)地元」の過去と現在から目をそらし、もっともらしい個別の安全議論に終始しているからです。関西圏の火力発電所は一二カ所三七基が瀬戸内海側に林立しているにもかかわらず、関西電力の原発は若狭の三町に一一基が集中し、超高圧電線で関西圏に送電されてきたのです。「必要神話」はともあれ、「安全神話」は福島や若狭に一基目の原発が設置された時、原理的に崩壊していたのであり、二〇一一年三月一一日に現実的に完全崩壊したのでした。そのフクシマ後においても、三〇キロメートル圏内の住民に避難指示が出されるのは、平常時の一万倍の放射線被曝を強いられる状況になってから、という大事故の発生も織り込み済みの再稼働! このように「立地・周辺地元」の棄民政策は貫徹されているのです。従来の枠組みは、地元立地自治体と立地県の同意だけで原発を推進、強行できたのですが、大津地裁の高浜原発差し止めの決定によって揺るがされました。若狭の原発電力の「消費地元」の市民と自治体が今こそ広範に声を上げ、関西電力にブレーキをかけていただかないと、もろともに「被害地元」の憂き目を見ることになるのではないでしょうか(三)。
 第四に、我が地震列島が動乱周期に突入しているからです。福井地裁の樋口判決の警告通り、「万が一」の事故・事態は、遠い未来の仮定ではなく、チェルノブイリやフクシマで起こった既定の事実であり、近未来にも起こりうることであり、「少なくともかような事態を招く具体的危険性が万が一でもあれば、その差し止めが認められるのは当然である」
と重説されていることを想起しましょう。
? 一五基もの原発集中化を余儀なくされ、憂慮し、苦闘してきた福井県下の一七市町の住民のみなさん、これまでその電力を享受されてきた、あるいは若狭に連帯・支援を重ねてくださった関西の市民のみなさん、「第二のフクシマ」を繰りかえさせないために、再稼働反対の声をそれぞれの府県知事に届け、関西電力にブレーキをかけるよう求めてまいりましょう。最後に、積年の若狭の一仏教者としての想い(参考資料四)もふくめて訴えます。「・・・/あとからくる者のために/山を川を海を/きれいにしておくのだ/あああとからくる者のために/みなそれぞれの力を傾けるのだ/あとからあとから続いてくる/あの可愛い者たちのために/未来を受け継ぐ者たちのために/みな夫々自分で出来る何かをしてゆくのだ」(坂村真民『詩集・詩国』より)
 今年五月に、私も遅ればせながら初孫をさずかりました。爺馬鹿(じじばか)としても、その初孫と全ての子どもたちに、せめてもの贈りものをしたいのです。  合 掌


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