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    かけはし2017.年4月24日号

オリンピックより命を守れ


4.1 宮下公園(渋谷)つぶすなデモ

野宿者排除を許さない

 四月一日、宮下公園つぶすなデモ!(主催、夜間施錠よなよな阻止行動)が、八〇人近くの参加で行われた。これに先立つ三月二十七日、渋谷区は宮下公園を突然封鎖した。それに伴って園内で夜間寝ていた野宿者も排除された。二七日、二八日の両日に渡って繰り広げられた抗議の中で不当にも二名の仲間が逮捕される事態となっている。
 参加者は午後二時にデモ出発地点の宮下公園新階段下に続々と結集。この間の報告と、簡単な意思一致を行ってデモに出発した。
 「公園をつぶすな!」「トイレを減らすな!」「居場所を奪うな!」「公園囲うな!」「公園閉めるな!」「宮下公園返せ!」「オリンピックより命を守れ!」「三井不動産は公園をつぶすな!」「長谷部区長はを公園つぶすな!」。沿道の人々の注目を集めながら渋谷を一周し、再び宮下公園の前を通って解散地の美竹公園へ。美竹公園は現在改修工事中の渋谷区役所の仮庁舎が建っている。
 美竹公園では主催者の夜間施錠よなよな阻止行動の他、みんなの宮下公園をナイキ化計画から守る会、救援会などが発言。
 渋谷区とナイキとのネーミングライツ契約が三一日の区議会本会議で正式に破棄されたが、その理由をナイキは「利益にならなかった」としていたとのことで、これまで地域貢献のためとしていたのはウソであったことが今回明らかになった。
 今後三井不動産が宮下公園をつぶして作ろうとしているショッピングモールの中にナイキがどのようにかかわってくるのか注視する必要がある。
 さらに逮捕された仲間には一〇日の勾留延長がついているが、完黙でがんばっていること、などが報告され、今後もオリンピックによる再開発とそれに伴う弱者の排除に反対して闘って行くことを確認してデモを終了した。     (板)

資料

渋谷区立宮下公園の全面封
鎖に対する緊急抗議声明

 2017年3月27日、宮下公園は約3メートルの鋼板によって全面封鎖されました。
宮下公園では、昨年末より多いときで小屋を持たない野宿者が20名以上寝ており、封鎖の行われた27日も私たちが確認できただけでも9名の野宿者が園内に泊まっていました。
渋谷区は早朝より封鎖作業をはじめ、おびただしい数の職員・警備員・警察官によって朝9時頃から利用者の入園を認めませんでした。野宿者・利用者に対する事前予告なしの抜き打ち・だまし討ちの封鎖でした(注1)。

 園内にいた複数の野宿者は冷たいみぞれの中、追い出されました。雨がやむまで待ってほしい、と要求した一部の野宿者については、工事内容の説明もせずにフェンスで周囲を囲った上で、福祉課の職員がドヤの宿泊を打診しました(注2)。移動の自由を奪い、追い出しと一体になった福祉のこのようなあり方は人間の尊厳を踏みにじるものでしかありません。本来、追い出しに人権的観点から抗議すべき福祉行政が渋谷区では追い出しの尖兵になっています。これらの野宿者は福祉の打診を断り、昼過ぎまで抗議の意志をもって公園に残りました。

 突然の封鎖に抗議し、公園内の人たちに会うことを求めた支援者には、警察を動員し1名を逮捕するという形で排除しました。園内にいた(供用停止の場所になっていない階段部分も含め)支援者に対して、渋谷区は職員や警備員で取り囲んで身動きをさせず、15時間以上にわたって園内の水飲み場・トイレを使用させない、という人権無視の姿勢でした。

 園内にとどまった野宿者・支援者が園外と一体となって行った、区長への面会と雨がしのげる継続的な寝場所を求める交渉は深夜にも及びました。
最終的に、吉武公園課長が今後の寝場所を渋谷区の公共地にもうけるように総務部と責任をもって交渉するとの約束をマイクで公言しました。一方、公園内にあった寝るために必要な毛布などの受け渡しは渋谷区の都合で遅滞し、深夜1時すぎになりました。
朝9時に「荷物はすぐに渡すから」と公園を出された人にとっては、荷物返還を要求してから12時間以上が経過していました。

 以上が私たちの経験した3月27日の宮下公園での暴力的な排除の概略です。
現在、渋谷では駅周辺をはじめとする「100年の計」と言われる再開発が進み、夜間眠れる場所が奪われています。一方で、新たに野宿に至る人が減ることはありません。
そのような状況下で、三井不動産による、そしてオリンピックのために渋谷区が推進する新宮下公園等事業は、初動において野宿者の排除を行いました。それは、同事業が公園の持つ人権を擁護する公共性を無視し、利用者との合意に基づかない商業的な論理に貫かれた暴力的なものであることを象徴的に表しています。

 渋谷区行政は、近年一貫して野宿者を排除してきました。長谷部健区長は、議員時代にナイキと渋谷区を結びつけ、宮下公園の改造を実現した張本人です。
2010年宮下公園で野宿者を排除した渋谷区は、国家賠償裁判において敗訴しました。当時の桑原区長の後継者として長谷部氏は 2015年に区長になりました。長谷部区長は宮下公園において2回にわたって野宿者排除をしたことになります。
区長の提唱しているダイバーシティ(多様性)・インクルージョン(包摂)が、実態を隠蔽する表面的な題目にすぎないことは明らかです。

 28日朝、移転先の公共地で渋谷区が工事を始めようとしました。担当課長が工事内容の説明を拒否する中で、野宿者の一人が逮捕されることになりました。また、悪天時の寝泊まり先として要求してきた場所に渋谷区はプランターを設置しました。しかし、宮下公園から排除された野宿者は、なんとか寝場所を確保するために行動しています。

 私たちは、渋谷区、長谷部区長、三井不動産に対し満腔の怒りをもって抗議します。

寝場所を返せ!
宮下公園を返せ!
渋谷区は野宿者排除をやめろ!
三井不動産は新宮下公園事業を取り下げろ!
長谷部区長は、いますぐ私たちとの話し合いに応じろ!

注1 園内の毛布倉庫、ダンボールなどに公園課が撤去の警告を連日貼っていました。3月25日付けの警告は、撤去期限を4月6日としています。また、3月24日に開かれた区民環境委員会で、新宮下公園事業について聞かれた公園課長は、設計が終わり次第工事に着手する、と回答していました。現在、新宮下公園は設計どころか都市計画すら決定していません。

注2 渋谷区の福祉が利用している宿泊所などの施設の多くは、東京都が定めた「宿泊所設置運営指導指針」に反しています。また、宿泊所は、門限、人間関係、大幅な保護費の天引き、二段ベッドが並んだ狭小な居室などのため、退出する人が多いのが現実です。

2017年3月30日

宮下公園ねる会議
夜間施錠よなよな阻止行動
2016―2017渋谷越年越冬闘争実行委員会
みんなの宮下公園をナイキ化計画から守る会
渋谷・野宿者の生存と生活をかちとる自由連合

毛布・現金カンパのお願い

宮下公園を排除された野宿者および周辺の野宿者のための毛布や食料購入費が底をついています。毛布・現金のカンパをお願いします。
カンパ送り先 郵便振替口座 00160‐1‐33429 のじれん ※〈ねる会議カンパ〉とお書きください。
連絡先
08025205487(宮里)

*今後の情報は「みんなの宮下公園をナイキ化計画から守る会」ブログをご注目ください。

資料

3・27―28宮下公園弾圧 緊急抗議声明

宮下公園全面封鎖、野宿者排除にとも
なう2日連続の不当逮捕を許さない!

 去る3月27日、午前9時頃渋谷区は宮下公園の周囲を突如鋼板で覆う工事に着手しました。園内に野宿者や支援者がいるにもかかわらず、大量の職員、警備員、私服、制服警察官を動員しての封鎖強 行。何ら事前の通告も周知もない『3月27日から当分の間供用を停止する(同日付渋谷区告示)』の一枚の紙切れをもっての暴挙です。これに対して駆けつけた支援者たちに対して警備員警察官が暴力的に園内に近づくのを妨害し、拘束しました。その過程でDさんが「公務執行妨害罪」で不当逮捕されました。警察官による制圧時に腕や足などを負傷し、渋谷署に連行され現在も同署に留置されています。(29日裁判所により勾留決定)
 渋谷区は「新宮下公園等整備事業」なる計画を本格的に進めており、本来公共の場である公園を三井不動産と結託して、商業施設や17階建てのホテルを建設しようとしています。今回の野宿者排除、不当逮捕は明らかに2020年の東京オリンピック開催に間に合わせ るための都市再開発に起因するものです。 
 宮下公園を追い出された野宿者は交渉の末、渋谷区の公共地に移り寝ました。ところが区は翌28日午前9時頃、同所で工事を始めようとしました。担当課長は説明を拒否し警察に通報、抗議の声が上がる中、Eさんを「暴行罪」で不当逮捕しました。(原宿署に留置、31日勾留決定)
 私たちは、一連の宮下公園の追い出し工事にともなう不当逮捕に怒りをもって抗議します。桑原前区長から強まった野宿者排除、敵視政策を踏襲した長谷部区長には今回の事態の重大な責任があります。誰でも利用できる公園を逮捕者までだして暴力的に封鎖し、押し進めるオリンピック再開発工事とは何ものなのか。私たちは野宿者を追い出し、警察権力をもって弾圧を強行した渋谷区を絶対に許すことができません 。2名の一刻も早い釈放を強く求めます。

 2017年3月31日

オリンピック弾圧おことわり救援会

【抗議先】 
渋谷区役所(代表):TEL03(3463)1211 FAX03(3548)4900 
長谷部健渋谷区長 区長室: TEL03(3463)1290 
区長への手紙:150-8010渋谷区渋谷1-18-21
渋谷区長宛て ※区施設に専用封筒(切手不要)専用FAX03(3548)4900

【救援カンパ】
Dさん、Eさんを一刻も早く取り戻すために支援と連帯をお願いいたします!
みずほ銀行渋谷支店(普)9095210 「のじれん」
郵便振替口座 00160-1-33429 「渋谷・ 野宿者の生活と居住権をかちとる自由連合」 
※「救援」の旨明記ください。
※ 明記が難しい場合、カンパ額の一桁目を「9円」にしていただくとたすかります。例)1009円 


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