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    かけはし2017.年2月20日号

広場を階級対階級の闘いの場に


朴俊宣民主労総企画局長に聞く

生涯二度とない大切な機会、全力で闘おう

 広場で階級対階級の闘争を作り出したとして2015年11月14日、民衆総決起を理由に懲役1年の実刑判決を受け、拘束収監中だった朴俊宣(パク・ジュンソン)同志が昨年12月23日に満期出所した。「簡単な解雇」「生涯非正規職」に代表される政権の労働改悪を防ぐために献身的に闘争を組織していた民主労総の活動家たちが支配階級には目の上のこぶだったのだ。
 政権と資本の醜悪な癒着関係が大衆の怒りを買っている今、ろうそく民心は、朴槿恵(パク・クネ)政権の退陣だけでなく、財閥体制も根本的に変えなければならないと声を出している。 動揺する情勢の中で民主労総の政権退陣運動と反財閥闘争が新しく跳躍できる機会を迎えたのだ。出所直後、息をつく間もなく、民主労総の企画局長に復帰して活動中の朴俊宣同志に「変革政治」が会った。

まだ同志が刑務所内に


Q 拘束されたのが去る2015年12月24日だと承知していますが、まる1年ぶりに外の世界に出ましたね。少し遅い気もしますが、出所した感想から聞きたいです。

A 心配してくださった同志たち。おかげさまで元気に出所しました。まだ、ハン・サンギュン委員長をはじめ、闘争した同志たちが刑務所の中にいるから気持ちは楽ではないですね。監獄で毎週土曜日、ろうそく集会に今日はどれほど集まったのだろうか、行ってみたいという考えが常にありましたが、今は、同志とともに出席することができるからうれしいです。

勘を取り戻しているところ


Q これまで収監生活はいかがでしたか?

A どうしても労働運動をすると慢性疲労に悩まされて、中では規則的な生活でむしろもっと健康になったようです。これまで見ていなかった本も読んで2015年闘争も振り返ることができた時間でした。ハン・サンギュン委員長に対する重刑判決の知らせに接して眠れなかったけど、それでも2015年1年間、民主労総が労働改悪を防ぐために最善を尽くしたという考えで懲役生活をしました。

Q 出所するやいなや目が回るほど忙しい日々ですか? 最近どうすごしていますか?

A 2週間ほど休暇を取っており、民主労総企画室の発令を受けて出勤し始めました。まだそんなに忙しいわけではないです。同志たちに会って、これまで進められた事業、今後進める事業がどのように議論されているかを聞いて勘を再びとりもどしているところです。もちろん、朴槿恵政権退陣と弊害清算闘争が進行中であり、早期の大統領選挙と2017年の民主労総の運動がお互いに連結されている情勢なので闘争や事業がひっきりなしに殺到していてついていくのに大変なこともあります。すぐに適応すると思います。

財閥に対する怒りは階級的課題


Q 監獄の中でも消息に接したでしょうが、政権退陣運動が全国民的な支持と参加の中で非常に活発に展開中です。1年あまり先立ち、民主労総をはじめとする労働者、民衆運動陣営が孤軍奮闘した過程は退陣運動が今の巨大な規模に成長するまで、大切な火種の役割をしました。2015年、民衆総決起で先頭に立っていたという理由で逮捕された当事者として現情勢をどう見ていますか?

A パク・クネゲートが起こってから監獄の中でも情勢に追いつこうと努力しましたが出所して直面する現実ははるかに豊かでもあり複雑だという気がします。パク・クネ政権に対する怒りとともに、その根本にある本当に住みにくい苦痛と不満が破裂し出ていると思います。失業率は持続的に増加しており、青年たちは仕事がなくて「ヘルチョソン」(地獄の朝鮮)という言葉を述べているじゃないですか。九宜(クイ)駅死亡災害を通じても明らかになったように、非正規職労働者たちの苦痛に対して本当に多くの人たちが共感しています。まさに自分の問題だからでしょう。セウォル号惨事と加湿器殺菌剤事件などで確認された企業の貪欲さが大衆の憤怒を引き起こしたと思います。そのパク・クネゲートで国民の老後まで盗んだ共犯がまさに財閥ということも暴露され、財閥に対する怒りが出始めたじゃないですか。まだ初歩的だが、直感的に多くの人たちが階級的な問題について関心を表明しています。労働運動陣営が階級対階級の闘争を作り出さなければならない課題を抱えていると思います。

パク政権打倒・財閥の解体を


Q 政権退陣運動の驚くべき躍動性に霊感と自信を得た組織労働者たちにも今年に民衆総決起は新しい前進の機会になると思います。2017年、民衆総決起を民主労総はどうやって組織して闘争しなければならないでしょうか。

A 民主労総は今の代議員大会を控えています。 民主労総が今年どう闘うことができるのかが重要だと思います。民主労総は今年の大統領選挙闘争、上半期の社会的なゼネスト、下半期の闘争を、代議員大会に上程する予定だが、この闘争は、今年一年を貫通する闘争です。パク・クネ積弊を清算する闘争は当然の課題であり、韓国社会で重要な問題である非正規職撤廃、最低賃金1万ウォン、低賃金の問題解決を主要な課題に設定しています。
これは総資本と全体労働者の闘争だと思います。それだけでなく、財閥体制を解体する闘争と社会公共性を強化する闘争、すべての労働者たちが労働3権の保障を受けられるようにする労働法全面改正闘争も作らなければなりません。 民主労総が内部的にはすべての労働者たちの利益に符合するように闘争する予定です。この過程は、労働者の政治勢力化とも緊密に結びついていると思います。
早期の大統領選挙を控えて各政治勢力は、票を得るために全般的に左に動いているが、経済危機の下で資本の理解と正面に配置する内容について保守政界がどんな態度を見せるものかはすぐ明らかになるでしょう。したがって、民主労総は、広場の要求がより拡大されて具体化されることが必要だと判断しています。

Q 3カ月近くろうそく集会が繰り返され、広場の要求も徐々に進化しています。広場に集まった大多数の人たちは「パク・クネ直ちに退陣」を依然として熱望している中、パク・クネ体制が生んだ数多くの積弊の清算と共犯の処罰にも声をあげています。「ハン・サンギュンは無罪だ」「ハン・サンギュンを釈放せよ」という要求も新しい社会を切に願う広場大衆の巨大な叫びとして鳴り響く日がすぐ来るでしょうか?

A ハン・サンギュン委員長が年末に「ハン・サンギュンを釈放しろという掛け声をかけないでほしい」と言いましたが、手紙にも書いた小さいことを求めて大を失わないようにパク・クネ政権を終わらせることに集中しろという趣旨ですね。正当に闘争して監獄に閉じこめられた良心の囚人たちは当然、直ちに釈放されなければなりません。
パク・クネ政権を終わらせることは、労働者の生活を破綻させて破裂しそうなほどに私腹を肥やす資本に対抗する闘争が広場でより大局的に叫ばれるとき可能だと思います。

国家保安法も階級的問題だ

Q 国会の弾劾訴追案可決以後、朴槿恵は、職務停止された状況ですが、黄教安(ファン・ギョアン)権限代行体制は「パク・クネのないパク・クネの政権」の中断のない持続を強行しています。最近では、公安当局が進歩的思想を普及する電子図書館である「労働者の本」の代表であり、鉄道労働者、李晋暎(イ・ジンヨン)同志を国家保安法の鎖で縛り付けたりしました。
ろうそく政局が続いた時点で時代錯誤的な公安弾圧をほしいままにする支配勢力の反撃は実にとんでもないことなんです。国家保安法も、必ず清算しなければならない積弊ではないでしょうか。

A 私が国家保安法違反で裁判を受けて確定判決は受けてからもう2年が過ぎたんです。 社会主義労働者連合事件当時、検事が求刑しながらも、「現在、彼らが少数だと言っても、経済危機の下で労働者たちの不満が拡大されれば、社会主義者らは危険な勢力になるだろう。それで今すぐ少数だとしても、彼らを処罰しなければならない」と述べたことがまだ記憶に生々しく残っていますね。
検事の言葉を聞きながらこの体制がどれほど労働者らに苦痛を与えてくれるか、公安検事自ら述べていると思いました。イ・ジンヨン同志に対する拘束はろうそく闘争を支配階級が考える範囲内でのみ許容するということだと考えます。
李在鎔(イ・ジェヨン)に対する拘束令状の棄却も支配階級のこのような態度が如実に現われました。経営権継承のために国民の老後のための国民年金に数千億ウォンの損失を負わせた者を拘束しなければ、いったい誰が監獄に行かなければならないですか? 今のような情勢でも資本家らは支配体制の秩序、安定を図るために全力をつぎ込んでいます。国家保安法問題は、政治思想の自由に関する問題でもありますがさらに重要なのは階級的な問題だと思います。

Q 最後に「変革政治」読者に一言お願いします。

A もう3カ月間広場でろうそくが燃えています。支配階級の貪欲さが世の中を台無しにしたが、これを止められる力は権力の真の主人である我々自身にあるという事実が日々生き生きと証明されている最近でもあります。大変で難しいけど、生涯二度とない大切な機会であるという気持ちで全力尽くして闘ったらと思います。
(社会変革労働者党=「変革政治」より)

コラム

「築地移転の闇をひらく」

 『築地移転の闇をひらく』は、昨年の一二月二六日に大月書店から出された本の題名だ。著者は中澤誠さん、水谷和子さん、宇都宮健児さん。中澤さんは水産仲卸の従業員で個人加盟の東京中央市場労働組合委員長、水谷さんは一級建築士で、二〇〇九年から築地市場移転問題裁判の原告、宇都宮さんは弁護士で、元都知事候補。早くから築地移転に反対して運動を繰り広げた方々だ。東京都と東京ガスなどの初めから汚染地の豊洲移転ありきの裏側を暴いている。
 築地移転の話が最初に出されたのは青島都政の時代。業者の同意がなければ出来ないとされ、業界最大手の水産仲卸の東京魚市場卸協同組合(東卸)が一九九八年一一月に全組合員投票を行った。結果は四九五票対三七六票で豊洲移転は否決された。これで豊洲移転はなくなったはずだった。しかし、一九九九年四月石原慎太郎が都知事に初当選。ここから豊洲移転が本格的に動き出した。その後、東卸では代議委員会である「総代会」で否決をひっくり返して、移転賛成を決めた。
 豊洲の東京ガスの跡地には大量のベンゼン、シアン化合物、ヒ素が残されていた。こんな汚染地を普通なら誰も買わない。東京ガスは一〇〇億円をかけて汚染対策工事を二〇〇七年に終えた。二〇〇七年には水産仲卸を中心に反対デモが繰り広げられ、大きな問題となっていた。しかし大量の汚染残地が残されていたことを都は知りながら公表しなかった。その後、都は何と八六〇億円もかけて追加対策工事を行わざるをえなかった。
 それでも東京都は汚染地の上に盛土をするから安全とウソをつき、その実地下に空洞を作っていた。そこから汚染物質が発見され、昨年一一月七日の完成した豊洲移転を延期せざるを得なかった。直接の汚染対策費、建設費などで六〇〇〇億円がかかっている。舛添前知事が不祥事でやめなかったら、すべてに蓋がされて「闇は闇のままであったろう」。
 そして、衝撃的であったのは一月一七日に、小池都知事のプロジェクトチームによって行われた豊洲新市場の土壌汚染調査によって、なんと、環境基準の七九倍のベンゼン、さらに今まで一度も検出されなかった有害物質のシアン化合物が検出され、ヒ素も環境基準を超えていた。さらに豊洲市場が開場した場合、収入から経費を引いた損益は年間一〇〇億円規模の赤字になることが都の試算(1月24日)で明らかになった。
 中澤さんによると、豊洲は維持費が高すぎると昨年一〇月末で店を閉めた人は一〇数人だったが、本当に移転となれば一〇〇人を超えるだろうと書いている。
 一月三一日の東卸の理事長選で、豊洲移転に慎重派の早山豊さんが二九人の理事のうち二二人の賛成を得て新理事長に就任した。
 世界に誇る築地ブランドを守ってきた水産仲卸の人たちやこの一帯で働く人々たちの声を無視し、情報を隠し続け、初めから汚染地・東京ガス跡地を利用することを決めてうごめいた、石原元都知事そしてそれを支えた官僚たち、豊洲移転で莫大なもうけを得た大手ゼネコン。
 都議会の百条委員会を開き、石原元都知事をはじめ責任追及をしっかりやり、かかった費用について弁済させるべきだ。豊洲への築地移転は中止だ。豊洲移転問題は東京オリンピック招致と対になっている。この両方の巨大利権の動きを暴かなければならない。  (滝)


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