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    かけはし2017.年1月30日号

山城さんら3人を即時釈放せよ


沖縄報告:1月22日

逮捕・起訴・長期勾留は国家権力の人権侵害

1・17那覇地裁に39826筆の署名提出

沖縄K・S


 一月一六、一七日の両日、那覇地裁前で、三カ月を越える不法勾留が続く山城博治平和運動センター議長ら三人の即時釈放を求める緊急行動が行われた。一六日昼は、「基地の県内移設に反対する県民会議」主催の集会に四〇〇人が集まり、「不当な勾留を許さない」「仲間を返せ」と訴えた。
 翌一七日午後には、県内で年明けから始まった釈放要求署名運動で集まった三九八二六筆の署名を那覇地裁に提出した。結集した二〇〇人が見守る中、山内徳信元参院議員、仲宗根勇元裁判官など六人が署名用紙の束を持ち裁判所の窓口に向かった。(これとは別に、鎌田慧さんや落合恵子さんたちが呼びかけた国内外の署名一八二〇四筆が一月二〇日、那覇地裁に提出された)。山城さんの家族は、家族とも接見禁止が続くことに「弁護士を介してしか様子を知ることができない歯がゆさを感じながら日々過ごしている」「一日も早く帰ってくることを皆さんと共に待ちたい」と述べている。ガン治療中の山城さんは体調も万全ではない。長期勾留・接見禁止は拷問に等しい。検察・裁判所の官僚たちは冷酷な人々だ。
 山城さんは、昨年一〇月一七日の高江での有刺鉄線切断の「器物損壊」、八月二五日のN1裏での「傷害」「公務執行妨害」、昨年一月末の辺野古ゲート前のブロック積みの「威力業務妨害」の三件の容疑で起訴された。いずれも現行犯逮捕ではなく、事後逮捕・起訴である。警察官も多数配置された抗議運動の現場で、その場では何も問題にならなかった行為が事後になって「犯罪」に仕立て上げられ逮捕・起訴されたのだ。周知のように、山城さんは沖縄平和運動センター議長として類なき指導性を発揮し続けた反基地闘争の現場のリーダーである。沖縄反基地闘争の人格的代表だといってよい。安倍官邸が「罪」と見なしたのは、新基地建設という国策に果敢に抗議し続けたこと、また抗議し続けるであろうことである。警察国家そのものだ。逮捕・起訴の口実とされた個々の行為は長期勾留を続けるための口実に過ぎない。山城さんたちに対する逮捕・起訴・長期勾留は人権無視の権力犯罪だ。

裁判所は不当な長期勾留を認めるな

メディアは人権無視の実態を報道せよ

 不法な長期勾留は日本が一九七九年に批准した国際人権規約違反である。しかも問題は裁判所が行政の追認機関になってしまっていることだ。検察の不当な勾留請求を拒否できない裁判所は政府の行政機関にすぎない。法の番人たるべきことを止めた裁判官たちはもったいぶって法衣を着けることなどやめたらどうか。さらに、大問題はメディアが国家による人権侵害と裁判所の行政追随を問題にせず見過ごしていることだ。現に目の前で進行している沖縄での深刻な人権侵害にメディアはどうして沈黙しているのか。長期勾留をまともに報道したのは『日刊ゲンダイ』一月一二日夕刊の「沖縄反基地のカリスマリーダー長期勾留の異常事態」「軽微な容疑で逮捕繰り返す」「あからさまな反対運動潰し」の記事のみだ。メディアに関わる人たち、何を恐れているのか。報道せよ。
「国境なき記者団」が発表した二〇一六年の日本の報道の自由度が前年の六一位からさらに下がって七二位になった。日本がますます誇れない国になって行く。声をあげよう。安倍官邸・検察は卑劣な真似を止めて、山城さんたち三人をすぐに釈放せよ。裁判所は人権無視の不法な勾留を認めるな。メディアは報道せよ。

1.14

辺野古現地行動

キャンプ・シュワブゲート前に200人
カヌー11隻、抗議船4隻海上行動

 週末の一四日もゲート前および海上で抗議行動が行われた。防衛局はキャンプ・シュワブの浜から突起物のついたフロートを海上に張り出し、海中のコンクリートブロックにワイヤで繋いで支柱を立てロープを通す作業を進めた。大浦湾に「海上フェンス」が部分的に浮かび始めた。グロテスクで、危険極まりない。沖縄の圧倒的な新基地NO!の民意に支えられた海上行動はどんなことがあっても止むことがない。「辺野古が唯一の解決方法」ではなくて、辺野古に基地を造らないことが唯一の解決方法なのだ。
他方、キャンプ・シュワブの資材搬入ゲート前では、統一連の瀬長事務局長の司会で座り込み集会が行われた。はじめにヘリ基地反対協の安次富浩共同代表が「日本の‘脱亜入欧’の姿勢は目に余る。アジア諸国には強硬、米国にはすべてОK。日韓合意で日本が支払ったのはたった一〇億だ。オスプレイ一機いくらするか。一〇〇億以上だ。基地のないアジアを共につくり上げよう」と訴えた。
「沖縄を返せ」「We shall overcome」などを歌い上げた後、平和運動センターの大城悟事務局長は「これまでのような闘いでは工事を止めることができない。非常事態だ。県民総結集で完全にゲート封鎖をしなければならない。今年こそ正念場だ。勾留されている三人の分まで頑張ろう」とアピールした。

南無妙法蓮華経の下、海外から30人

第三ゲートから
「カヌーチーム頑張れ」


続いて、「南無妙法蓮華経」ののぼりの下、アメリカ、イギリスなどから宗派を超えて結集した宗教者、クリスチャン、仏教徒、無宗教者、ネイティブアメリカンの集団三〇人余があいさつに立った。VFP(ベテランズ・フォア・ピース)のメンバーは「今朝は素晴らしい朝だ。基地がなくなればもっと素晴らしい。軍事主義と自由主義経済は失敗し破産した。団結して植民地主義からの解放のために力を合わせよう」と述べた。ネイティブのひとりは「アメリカは四〇〇年にわたって私たちの土地を植民地化してきた。沖縄が戦後七〇年以上アメリカのテロリズムの下にあることを申し訳なく思う。私はみなさんの闘いをアメリカに、先住民に伝える」と語った。二〇代の女性は「基地の中の米兵も同じ人間だ。良心もある。先入観を取り払い言葉で通じ合えれば分かり合える。皆さんの思いを基地の中の人々に伝えることを約束する」と述べた後、歌った。そのあと、集団はのぼりを先頭に高江に向かって行進していった。
島ぐるみ八重瀬、うるま市、宮崎、広島、鳥取、島根などから発言が続いた後、全員で第三ゲートまで行進し、海上作業に対する抗議とカヌー・抗議船に対する激励行動を行なった。第三ゲートからは海上工事の現場と抗議行動の様子が手に取るようによく見える。「海上作業を止めよ」「カヌーチーム頑張れ」と声を張り上げた。そのあと、場所をゲート前テントに移し、座り込み集会を続けた。

1.16

辺野古ゲート前テント

右翼が街宣車3台と40人で妨害行動

 午前中は資材搬入ゲート前で座り込み集会を行ない、アピール、歌、メッセージが続いた。劇団石(トル)を主宰する演劇家で歌手のキムギガンさんは、「人間を返せ」など五曲を熱唱した。(一月二九日には、日本キリスト教団佐敷教会で、キムキガンさんのひとり芝居「想―あの空の下の叫びはこの空の下にもつながっている」が上演される。)
そのあと、那覇地裁前の緊急集会に大半のメンバーが出払った昼前、ゲート前テントに、右翼の街宣車三台とマイクロバスと乗用車に乗った右翼、合わせて四〇人ほどが妨害にやってきた。街宣車は二時間半にわたって路上を行き来しながらマイクで聞くに堪えない悪態をつき、軍歌を流した。マイクロバスから降りた集団はテント前をうろつきながらマイクでがなり立て、歩道脇に立ててある新基地反対ののぼりを抜いたり折ったりの不法行為を繰り返した。テント内の我われは静かに理不尽な嵐が通り過ぎるのを待った。
右翼が引き上げた後、髪を結いながら世界各地を回っている「髪結い夫婦」の二人が米国ネイティブのパイプライン反対運動の現場の様子を、映像を交えながら報告した。

1.13

平和市民連絡会

辺野古基地建設阻止
の学習討論会に80人が参加


一月一三日、沖縄平和市民連絡会主催の辺野古新基地建設阻止に向けた学習討論会が那覇市内で開かれた。いよいよ日米両政府との熾烈な対決の年を迎える中で、今後どのように闘うべきかを意見交換するために開かれたものである。約八〇人の参加者は報告と議論に集中した。
最初の報告に立った土木技師の北上田毅さんは「辺野古新基地建設事業の現状と今後の課題」と題して、要旨次のように述べた。

北上田さんの報告


今後工事はどのように進められるかというと、海上では、@フロートの張り出し、A海上ボーリング調査の再開、B汚濁防止膜設置のための大型コンクリートブロックの投下、C海上作業ヤード造成のための大量の捨石投下、D護岸(A護岸、中仕切護岸、K九護岸)造成、陸上では、@基地内での生コンプラントの造成、A国道三二九号線を高架で渡る工事用仮設道路の造成、B大浦湾沿岸部での工事用仮設道路の造成、となる。
昨年三・四和解の時点で防衛局は「ボーリング調査全二四か所の内二三か所終了、残る一カ所調査中」としていた。また、ボーリング調査の契約は二件とも「業務内容に従って清算した後、平成二八年三月三一日に業務を終了した」(昨年五月二三日防衛省から阿部知子議員への回答)と述べていた。ところが、新聞報道によると、防衛局は「国内最大級の掘削船を投入して早ければ二月中にもボーリング調査を終わらせる」考えだという。一体誰がボーリング調査を行うのか。またその目的は何か。「昨年までのボーリング調査の不備」か、あるいは「フロートを残すための見せかけ」か。翁長知事は一昨年来「ボーリング調査が終わればフロートを撤去するよう」防衛局に指示していた。
汚濁防止膜(オイルフェンス)設置のための大型コンクリートブロック投下については、ブロックを積んだ台船が一昨年から昨年にかけて大浦湾に六カ月間停泊していたが、何もできず三・四和解で撤収した。防衛局の計画は、五七トン一〇二個、四四トン八六個など計二三六個のブロックを投入するものだったが、大きな批判に直面して「すべて一五トン以下に変更」と表明した。翁長知事は今年一月五日に、「内容が確認されるまで汚濁防止膜用コンクリートブロックを投入しないよう」防衛局に申し入れている。
シュワブ内陸上工事の最大の問題は生コンプラントの造成だ。辺野古埋め立てには重さ二〇トンの消波ブロック五六〇〇〇個が予定される。那覇空港の一五〇〇〇個の四倍弱になる。昨年一二月、県は「隊舎建設工事」を認めたが生コンプラントは拒否した。しかし今後、政府防衛局は最高裁判決を盾に生コンプラントを造ろうとするだろう。
埋め立て工事の着工を阻止するためには「埋立承認の撤回」しかない。その他にも県知事の権限はある。前知事の埋め立て承認にあたっての留意事項であった実施設計の事前協議、三月三一日で切れる岩礁破砕許可の更新、サンゴ移植のための特別採捕許可、設計概要の変更申請、赤土等流失防止条例、土砂規制条例、文化財問題,など、県がYESと言わない限り、辺野古に新基地はできない。

三宅弁護士の報告


三宅俊司弁護士は「埋立承認の撤回」について報告した。「埋立承認の撤回」は「埋立承認に瑕疵はないが、その後、新たな事由が発生した場合」撤回できるとして、@埋立承認に付された条件に反する場合、A承認後新たに埋立を拒否すべき事由の発生した場合、将来に向けて撤回の効力が生じる、とした。「新たな事由として、オスプレイの配備・墜落、防衛局の事前協議拒否などいくつもある。その場合、また従前の繰り返しになるが、撤回を繰り返していけばいい」と語った。
二つの報告のあと、活発な質疑と意見交換が行われた。最後に、翁長知事の訪米前に「埋立承認の撤回」を行うよう求めること、全力で新基地建設を阻止していくこと確認し閉会した。



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