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    かけはし2016.年12月19日号

命と暮らしを守る闘いを


TPP協定批准・関連法案採決糾弾

命と暮らしを守る闘いを

多国籍企業の思い通りにさせない

12.9

参院での強行採決を許さない

闘いはこれからも続く

発効は不可能、踏ん張りどころだ

 一二月九日午後二時一二分、自民・公明・維新などによって、TPP協定批准の参院本会議での採決が行われ成立した。そして、続いて関連法も採決成立した。TPPは多国籍企業の利益のための貿易協定で、命と暮らしが脅かされる。しかし、アメリカのトランプ次期大統領がTPP協定を批准しないことを明言しているので、TPPは発効しない。
当時の菅民主党政権がTPPに参加すると発表した二〇一〇年から反対運動を続けてきた「TPPを批准させない!全国共同行動」は午前一〇時から、参議院議員会館前で、成立阻止へのアピール行動を行った。和歌山の農協労連。「農協がつぶされ、農地が企業に奪われるとTPPを批判してきたが農業だけの問題ではなく、この国の仕組みを変えていくのに重点があった。運動を広げ、あきらめないで地域で助けあっていく」。
北海道食の連絡会。「北海道で公聴会があった。与党が推薦した証人は食の安全や医療問題には一切触れず、だれもTPP賛成とは言わなかった。これからも暮らしを守るためにがんばる」。 
内田聖子さん(アジア太平洋資料センター事務局長)は「まだ批准していないのに、一兆円以上の予算を使っている。こんな国は他にない。例えば、農業対策費とか中小企業が海外に出ていくようにとセミナーや相談窓口をつくった。しかし、トランプの勝利が明らかになり、最近では誰もセミナーに行っていない。誰のためにも何の役にもたたない。税金がどぶに捨てられている」とTPP推進を批判した。篠原孝さん(民進党、衆院議員)が衆院での与党の中身を明らかにしない審議姿勢を批判した。

闘いはまだ
これからだ
採決に向けた討論が始まったと報告されると、コールを行う。「廃案めざして、野党はガンバレ、ガンバレ。農業つぶすな、廃案めざせ。子どもを守れ、雇用を守れ」。
和田聖仁さん(TPPに反対する弁護士ネット事務局長)は「私はカジノ法問題の担当もしている。安倍首相の答弁は目茶苦茶でウソだらけだ」と批判した。
「トランプが撤退を言い、クリントンが反対していた。これは米国世論が圧倒的に反対していたからだ。世界的にもグローバリゼーションに反対する運動が盛り上がっている。こうした流れが事態を動かしたのだ。日本の国会で批准してもTPPは発効しない。これからは二国間協議が行われるだろう。その時アメリカ第一主義でアメリカの要求を通すように圧力をかけてくるだろう。安倍政権がこれに応えないようにさせよう。EUはTPPを基準にすると言っている。今後も運動は続く」と、事務局から発言があった。連続運動の中心を担っている山田正彦さん(元農水相、弁護士)は「これからも運動を」と語った。
投票が始まった。山本太郎さん(自由党)と森ゆう子さんが投票に対して牛歩を始めたと報告があり、「牛歩だ、牛歩だ、山本太郎、森ゆう子、いけいけ山本太郎、採決やめろ」のコールで応援する。結局、議長が二分以内での投票を示し、採決・可決された。

連帯・共同を
さらに強めて
採決・可決を糾弾するコールが国会にぶつけられた。この後、本会議を終えた共産党の議員団が続々と駆けつけ、抗議集会を行った。紙智子さん(共産党、参議院議員)は「本会議で採決を強行した。満身の怒りを込めて抗議する。三〇日ルールを押しつけ成立を図った。私たちはいろんな分野で質問してきた。TPPは発効しない。闘いはこれからだ」と訴えた。共産党議員団の発言の後、徳永エリさん(民進党、北海道選出参院議員)は「農業がつぶされ、地域が壊されるTPPは許さない。これからTPP水準で自由貿易協定が進められる。これを許さない闘いを」と力強く抗議した。
醍醐聡さん(TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会よびかけ人)、農民連青年部が採決を批判した。最後に、事務局より「二〇一〇年からTPP反対運動を始めた。この運動で育てたことを大事にしよう。協同の力、連帯の力で政治を変えていこう」と締めくくった。(M)

声明

TPP協定批准・関連法案強行
に、 断固として抗議する

2016年12月9日/TPPを批准させない!全国共同行動


政府与党は、12月9日、圧倒的多数が今国会での批准に反対している世論を無視して、ルール破りの異常な国会運営を繰り返し、TPP(環太平洋連携協定)の批准と関連法案の成立を強行した。断固抗議するものである。

 そもそもTPP協定の内容は、国会決議にも自民党の公約にも反するものであり、国会審議でも政府はまともな情報を開示しないまま、提起されたさまざまな疑問や参考人などの指摘に対しても、根拠も示さず「その懸念はあたらない」を繰り返すだけであった。私たち参加各国の人々の、いのちや暮らし、地域、人権や主権さえも脅かすという、TPPへの懸念は、払拭されるどころか、ますます強まった。

 しかも、次期アメリカ大統領に決まったトランプ氏が、「TPPからの離脱」を宣言し、もはやTPPが発効する見通しが無い中での暴挙である。ニュージーランドを除く参加各国が、承認作業を止めているなかでの国会承認は、無駄だという以上に危険である。二国間協議を主張するトランプ氏に、TPP水準を最低ラインとした協議に応じることを、国会がお墨付きを与えたに等しい。

 私たち「TPPを批准させない!全国共同行動」は、この臨時国会を前に、多様な国民階層を代表する20名のよびかけ人と、これに賛同する270団体及び多数の市民を結集して、「今国会でTPPを批准させない!」を合い言葉に、多様な行動を展開してきた。10月15日には、各地で取り組まれた集会、学習、宣伝行動を土台に、2010年にTPP反対運動が始まって以来最大規模で中央行動を成功させ、緊急に提起した請願署名も70万余に達している。この動きに励まされ、国会最終盤にも全国各地で行動が展開されている。臨時国会開会以来毎週水曜日に国会議員との情報交換を行い連携を強めるとともに、衆参審議最終盤には、連日座り込み行動も展開し、多くの市民も参加した。

 私たちは、今回の暴挙に抗議し、ここまで育んできた共同の広がりを力に、今後始まるであろう日米二国間協議など、多国籍大企業の利益のためにいのちや暮らし、地域を差し出すあらゆる企てにストップをかけるため、奮闘するものである。

11.30

国会の会期延長糾弾

TPP批准・関連法を通すな

国会前で連続行動


トランプは就任
初日に離脱表明
一一月二一日、トランプ次期米大統領は環太平洋パートナーシップ協定(TPP)について、来年一月二〇日の就任初日に「離脱の意思を(参加国に)通知する」との方針を表明した。安倍首相は非公式の安倍・トランプ会談でTPPの成立をトランプ次期大統領に懇願しただろうけれども、この会談の直後にトランプはTPP離脱を表明したのだ。TPPの発効は絶望的になった。
安倍政権は自由貿易を守るために日本で批准し、アメリカを説得するとして、衆院での強行採決に引き続き、参院での成立(あるいは参院で採決できなくても、憲法の規定により一二月九日には自然成立する)のために審議を急いでいる。そのために、会期を一二月一四日まで延長させた。一二月一日以降は、「なんとしても批准を」という政府・与党の思惑からすれば、いつ採決を強行するか分からない、警戒水域に入っている。
TPPを批准させない!全国共同行動は連続した国会前行動を組んでいる。一一月三〇日午後六時半から参院議員会館前で抗議行動を行った。参加者から発言が行われた。田村智子さん(共産党、参院議員)が「国境なき医師団の話によると、アフリカなどでの支援にジェネリック薬品を使っている。これに対してアメリカの製薬会社がこれをつぶそうとしていると報告していた。ISDS条項問題など、アメリカの圧力、主権を売り渡すTPPに反対しよう」と訴えた。

多国籍企業が
薬価を決める
植草一秀さん(オールジャパン平和と共生運営委員)が「年金改悪、カジノ法案と国民を愚弄する国会になっている。安倍政権の暴政は根幹から命と暮らしを破壊する。一億総低層化になるだろう。トランプ次期米大統領はTPP離脱を表明した。TPPは発効しない。二国間協議に行こうとも言われる。それは今のTPPを基準にして進められるだろう」と指摘した。医労連委員長は「保険に入れない人がたくさん出てきて、薬が大きな負担になる。カネがなければ高額な薬が使えない。製薬会社は大儲けしている。そうした多国籍企業によって薬価が決められていく。TPPに断固反対だ」と話した。
農民連青年部は「新潟の山奥でコメ作りをやっている人はTPPが批准され、安いコメが入ってきても自分はやっていけるかもしれないが周りはもたない。一軒だけではできない。対策予算が組まれているので申請したが一〇数件すべて落とされた」と実例を報告した。名古屋からわざわざこの行動に参加した若い女性がTPPの問題点全般にわたってきちんと批判した。
全大阪商団連、ママの会、JR総連、かむろてつさんの発言が続いた。平和フォーラムの市村さんが「TPP反対の署名が二カ月で五五万筆になり、一一月一六日に提出した。今後六五万筆に届くだろう。もうひとふんばりしよう」と訴えた。
山田正彦さん(元農水相)が「TPP絶対反対!TPP絶対反対!」とコール。来週一二月九日、参院本会議での採決もありうるということで、連続した行動を行うことを確認した。(M)


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