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    かけはし2016.年12月12日号

下からの深い変革の道開かれた


メキシコ

CNIとEZLNの声明を受けて

合流へ率直な討論を

メキシコPRT



 労働者革命党(PRT)は、CNIのスポークスパーソンを務める先住民女性を立てた二〇一八年大統領選への参加の可能性に関する諮問の開始についての、全国先住民会議(CNI)およびサパティスタ民族解放軍(EZLN)による公表を歓迎し敬意を込めてあいさつを送る。

時に見合った
イニシアチブ


この政治的イニシアチブはPRTから見て、構造的反改良に表現されている資本主義の動力に抵抗している底辺にある者たちのための、組織化と闘争のオルタナティブを提供することができるものだ。ちなみに先の反改良は、資本主義の論理にしたがって、コストを最小化し利益を最大化しようと追求する国家テロリズムと体系的暴力という形で、われわれの国の生物文化的な富を破壊する環境殺しの巨大プロジェクトの中で、共有されたもの、公的なもの、さらに勤労民衆の諸権利をも譲り渡すものだ。
暴力のスパイラルを止めることができない国、民衆に対する支配的カーストの冷笑と嘲りがさらにもっと警報を発するレベルに達している国、帝国主義の利益を利する諸領域と諸資源を強奪する巨大プロジェクトが国家権力によって駆動され維持されている国、この国の中で、政府あるいは議会(社会的統制の外にあり、社会に敵対するように変じた国家)への抵抗は、CNIの声明が強調したように、より大きな国民的妥当性を得ている。
このすべてを前に、抵抗のために組織することだけではなく、勝利のために闘うことも、今や急を要し、そうする可能性は、全国的に組織された一つの政治勢力をもつことによって与えられる。一つの政治的変化があるのか否かに関する論争を超えて、サパティスタのイニシアチブは大統領後継者に関する政治的座標を変えている。政治の将棋盤は、この分野でこれまで不在であった、また招かれてはいない一勢力が飛び出す可能性によってかき乱されている。この勢力が、システムに挑む先住民運動の強さだけではなく、反資本主義左翼それ自身をも表現しているからだ。

反資本主義派の
幅広い合流必要


われわれは、この重要な政治的イニシアチブによって、対話を通じて多様性の中の統一を築くことのできる、幅広い反資本主義派の合流の可能性を前にしている。この国が必要としている底深い変革は、合同した努力に加えて、すべてを下から変革するための戦略的シナリオに関する率直かつ開かれた討論を求めている。それゆえCNI協議会が採択したイニシアチブは、都市と地方双方で多くの闘争に参加してもいる反資本主義左翼の全体に向けた、統一の呼びかけで完結することになると思われる。
その呼びかけは先住民衆内部で、また教員の運動や、EMS(メキシコ電力労組)の電力労働者と「民衆と労働者の政治組織(OPT)」に向けた彼らの提案のような、労組組織を含む、労働者階級とその闘争組織でも、労働者の運動や資本主義の残酷さに抵抗している他の諸運動の中でも必要だろう。そして後者の運動としては、女性殺人に対決する闘争、女性の権利を求める闘争(それは、女性の先住民候補者をもって極めて十分に代表される可能性があると思われる)、そして一般的に、処刑と行方不明という恐るべき余波を残している国家の暴力に反対する闘争などがあげられる。明らかなことだがその中には、アヨツィナパの学生、そして四三人のための「彼らは生きている、彼らを生きて取り戻せ」の闘争との連帯も含まれる(訳注一)。
もっとも首尾一貫した反資本主義的統一のためには確実に、対話と友愛的な論争が必要になるだろう。しかし、このイニシアチブを軸に幕を開けることになった論争は、中傷と決めつけ的排除を引き起こしてはならない。そうしたことは、反資本主義左翼の自立的立候補は右翼(「メキシコのための協定」参加諸政党?)のゲームを助ける、あるいはそれは左翼票を割り、反Morena(国民刷新運動、後述のオブラドールが主導し、彼の大統領選出をめざす政治運動:訳者)策動だ、と語ることが意図するものだ。

闘争の先延ばし
と逆の方向提示


特に、左翼の唯一の代表と想定されるべきと主張してきた制度的左翼のスポークスパーソンから行われる、この無礼は新しいものではない。以前PRD(民主革命党)は「左翼」であると主張した。今Morenaが、PRDは左翼ではなく、彼らこそが本当の左翼だ、と語っている。二〇〇六年にPRDの大統領候補者だったロペス・オブラドール(元メキシコシティー市長、二〇〇六年の大統領選では大接戦を演じ、敗北は不正工作によると主張、抗議運動を組織した:訳者)は、「他のキャンペーン」(サパティスタが組織した:訳者)を右翼と連携していると責めた。
二〇一五年には、新自由主義の権力と「メキシコのための協定」にはらまれた構造改革に反対して闘っている運動部分は、Morenaには投票せず、教員たちのように、棄権かボイコットを呼びかけた。そしてオブラドールは再度、PRI(制度的革命党、メキシコの現与党)に連携するものだとして、教員の運動を侮辱した。しかしPRIは当時、運動に対する酷い抑圧を始めていたのだ。理解されなければならないこととして、反資本主義左翼、また一般に新自由主義反対闘争の諸運動は、制度的左翼によって代表されているわけではない。
ここ何週間かオブラドールは、九月一五日の抗議行動に関し、「ペニャ(現大統領)出ていけ」のスローガンにさえ反対し、われわれは瓦礫化した政府などほしくはないと語り、二〇一八年の大統領選をすべての闘争に優先させるよう提案した。われわれは逆にCNIの独立立候補提案を、新自由主義寡頭支配層の権力に反対する運動の組織化として、二〇一八年の選挙を闘いに優先させるのではなく、闘争と組織化のキャンペーンとして理解している。
しかしAMLO(オブラドールのこと、彼の正式の名前の頭文字略称:訳者)とMorenaの提案は異なるものだ。ペニャ・ニエトの移行内閣は、「平和的」移行を確実にするために提案され、それゆえ政権の犯罪に対する恩赦を求めている。それは、移行内閣、つまりある種の和解政府下での二〇一八年の投票まで闘いを延期するために提案されている。現実には今は、投票のあり方を確定する時ではなく、「ペニャ出ていけ」の論理の枠内における闘いを含め、寡頭支配層の権力とその新自由主義の設定課題に対決して闘いを継続する時なのだ。
しかし同時に、登録があろうが、法が求める登録がなかろうが、独立したキャンペーンに一体となると思われる、そうした戦略的展望を議論することは可能だ。対照的にAMLOの提案は、先頃ソノラ州で示されたように、資本主義の論理をそっくりそのまま維持している。その州では、外国鉱山企業の採掘による強奪を前にした彼の提案は、企業が単に税を払うということだけだったのだ。

体制への疑問
候補者が象徴


このタイプの立候補は、われわれが何年か前、この国の歴史上初めての女性大統領候補者であったロサリオ・イバラ(訳注二)をもって経験したように(一九八二年の彼女のモットーは、まさに「底辺にある者たちとともに立ち上がる」だった)、下からの闘争と組織化への呼びかけだ。しかしそれはまた、わが国を独立、平等の、さらに多文化的かつ搾取、支配、抑圧から自由な国にすることに向けた、すなわち反資本主義の論理における変革のために、今日闘争中である者たちの統一を求める呼びかけでもなければならない。
CNIとEZLNの公表が立候補は先住民女性によって率いられると強調していることは、特別の重要性をもっている。これは、権威主義、家父長制、ホモ嫌悪に基礎を置く体制、、その上にレイシズム的基礎と差違を認めない基礎に立つ体制を問題にする。そしてこの疑問突き付けは、女性が家族内や職場や社会で家父長的抑圧に苦しんでいるだけではなく、彼女たちの諸権利への攻撃、またそのもっとも非人間的なものが女性殺人である、暴力のもっとも深刻な波に苦しんでいる時にあって、さらにもっと大きな意味をもっている。
PRTから見てこの型の候補者は、自治権を求めて今も闘争中の、しかし全民族領域を貫いて強要されつつある諸資源、諸領域、文化のあらゆる強奪計画に直面している、そうした先住民の主な闘争にとって一つの象徴となると思われる。それはさらに、家父長的侮蔑と暴力に反対して、今日「もうたくさんだ!」との叫びを上げている女性たちにとっても象徴であるだろう。
政治が権威主義、家父長制、またホモ嫌悪という基礎の上に構築されている時、諸々の危機の矢面に立たされている人々を可視化することは、権威主義であることに加えて家父長主義でもある体制の基礎に疑問を突き付ける一つの道でもある。
それは、教員たちの闘争との統一を表す象徴、また全労働者の尊厳と闘争を表す象徴ともなるだろう。先住民女性の立候補は、若者たちにとっての象徴、そして価値が生命や尊厳ではなく、より多くのマネーをつくることだけであるシステムによって、否認され、抑圧され、排除されたすべての人々にとっての象徴となるだろう。
われわれは、この可能性は、対話を通して多様性の中で統一を築くことが可能な、幅広い反資本主義派の合流に道を開いた、と言う。そこには、権力のための闘争を提起している反資本主義派とそのような提起はしていない反資本主義派間の合流も含まれる。この国に必要な底深い変革は、合同の努力に加えて、基礎から、下からあらゆるものを変革するための、戦略的なシナリオに関する率直かつ開かれた討論を求めている。 

二〇一六年一〇月一八日、メキシコシティー。

▼PRTは第四インターナショナルメキシコ支部。(「インターナショナルビューポイント」二〇一六年一一月号)
訳注一)二〇一四年九月二六日に、メキシコ南部のアヨツィナパ近郊で当地の師範学校学生四三人が行方不明になる事件が起き、全国的衝撃を巻き起こした。この学生たちは約一〇〇人で、近郊のルグラ市で計画された、一九六八年のメキシコシティーにおける学生虐殺を追悼する行進参加のため移動中だった。政府の調査によれば、ルグラ市長がこの学生の逮捕を当地の警察に命令し、その中で六人が殺害され、多数が負傷、四三人は麻薬組織に引き渡された。この事件は政府組織と麻薬組織の癒着をも明らかにしている。
訳注二)イバラは労働党の候補者として立候補した。労働党は毛派を起源とするが、その後PRD、さらにMorenaとの共同へと歩を進めた。 

西パプア

民衆の自決権防衛のため連帯を

インドネシア政府は抑圧やめよ

2016年12月1日

 以下に連名した組織は、西パプア民衆の自決権のための闘いに連帯を表明する。

パプアの独立の
伝統継ぐ闘争


 一二月一日は、パプアの人びとにとって独立記念日である。一九六一年のこの日、それまでインドネシアに併合されていたパプアの人びとは、「明けの明星(モーニングスター)」の旗を掲げた。この旗は多くのパプア人にとって「自由西パプア」の願いを象徴するものだった。しかし西パプアで「明けの明星」旗を掲げることは依然として非合法であり、そうした行為をした人びとは、当局による逮捕・起訴に直面する可能性があった。
 今年の一二月一日、西パプアの人びとは大衆的結集を通じて、自決権のための闘いのこの伝統を継続するだろう。西パプアの闘いに関わっているインドネシアの民衆は、結集して連帯を表明するだろう。西パプアの自決を支持するために、インドネシアでは全国規模の同時行動が行われるだろう。

軍部と警察が
今も抑圧継続


 スハルト独裁体制の下で一九六九年に行われた、不自由きわまる「自由選択条例」国民投票によって、およそ五〇万人の西パプア民衆が自己統治のための闘いの中で殺害された。西パプアの民衆は、数十年にわたって残虐な弾圧と恐怖の文化に耐えてきた。インドネシアの軍部と警察は、人種的感情を喚起しつつ、パプアの人びとに系統的な弾圧を行ってきた。
 現在にいたるまで、西パプアの人びとは、インドネシア政府によって拡大されている威嚇、弾圧、残虐行為に直面し続けている。今年だけでも、自決と独立住民投票の要求を声にしただけで幾千人もの人びとが逮捕されている。
 したがってわれわれはインドネシア政府に対して以下の要求を行う。

1 西パプア民衆が、住民投票で西パプアの将来を決定する権利をふくむ、自己決定の権利を尊重せよ。
2 自己決定の要求を声に出した民衆への弾圧をやめろ。
3 言論の自由、表現の自由、結社の自由、思想の自由を西パプアの民衆に。
4 無料の教育、全般的医療保障、安価な公共交通を提供し、西パプアの人びとの生活を改善せよ。
5 インドネシア軍と警察による西パプアの民衆への人種差別的政策をやめろ。

 われわれは西パプアの民主主義的闘いの過程への、あらゆる形での帝国主義の介入を拒否する。西パプア民衆の自決へのわれわれの連帯は、西パプアの土地を奪い植民地化するやり方を支持する帝国主義と国際的な企業に対する闘いの一部である。
われわれは全世界の人びとに対して、パプアの自己決定の闘いへの連帯を進める活動を強化するよう訴える。

署名

マレーシア社会党(PSM、マレーシア)、
ジャリンガン・ラクヤト・テルティンダス(JERIT、マレーシア)
ソリダリテ・アナク・ムダ(SAMM、マレーシア)
アワミ労働者党(パキスタン)
人民解放党(PPR、インドネシア)
民族解放闘争学生センター(PEMBEBASAN、インドネシア)
セダネ労働資料センター(LIPS、インドネシア)
ペサト・ペルジュアンガン・ラクヤト・インドネシア(PPRI、インドネシア)
ペルクムプラン・ソリダリタス(インドネシア)
リングカ・スタディ・ソシアリス(インドネシア)
社会主義連盟(オーストラリア)
反資本主義新党(NPA、フランス)
第四インターナショナル
(「インターナショナルビューポイント」二〇一六年一二月号)




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