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    かけはし2016.年11月21日号

TPPの息の根を止めろ!


11.10

衆院採決を許さない!

生命を奪う新自由主義ゴメンだ

会期延長許さずTPP絶対阻止へ


強硬策に打って
出た安倍内閣
一一月九日、アメリカ大統領選で、TPPから離脱すると表明しているトランプが当選した。そして、一一月九日の記者会見で、米上院共和党トップのマコネル院内総務はTPPについて「年末の議会で採決することはない」と述べた。オバマ大統領が来年一月までの任期中に、TPP発効に必要な議会の承認を得るのは非常に難しくなった。
こうしたTPP条約が発効できない新たな状況があるにもかかわらず、安倍政権は「日本こそが自由貿易を引っ張っていく」として、TPPの発効に向けて国会承認を得るための強硬策に打って出た。
一一月一〇日午後、政府与党は衆院本会議を開き、TPP衆院通過を強行しようとした。それに対して、野党は山本農水相の不信任決議案を提出し徹底抗戦したが不信任案が否決され、TPP承認が与党と維新の党などによって可決され、衆院を通過した。
先の参院選で東北や北海道などで、TPPで農業が破壊される農民たちなど多くの人々が自民党に反対する投票をした。さらに、食の安全や薬、皆保険、雇用のあり方まで変えてしまう自由貿易協定なのに、協定の審議の過程は黒塗りで誰にも知らされないままになっている、ISDS条項によって民間企業が国を訴え損害賠償を求められる。条約はいったん締結されれば国内法より上なので変更できないことなど、TPPが発効すれば「国民」の生活を極めて深刻に破壊するものなのに、十分な審議もしていない。自民党が野党の時、TPP絶対反対を公約としていた。TPP批准を許さない闘いは全国で展開されてきた。

山本農水相は
直ちにやめろ
TPPを批准させない!全国共同行動は連日にわたり、国会前で抗議行動を繰り広げた。一一月一〇日正午から衆院通過の五時過ぎまで、寒さに震えながら座り込み、激励・抗議の行動を貫徹した。「強行採決絶対反対 TPPの採決させない 断固反対 公約守れ ウソをつくな 山本やめろ 大臣やめろ」とラップ調の訴えを国会に向けてたたきつけた。
足立区で学童保育・児童館に勤めている人は「国産の野菜・着色のないものを選んできた。しかし、TPPが通れば食料自給率が三九%から一六%に下がる。安心・安全なものを提供したい。国民皆保険も、米国では保険会社に入っている人が指定された病院しか使えない。アメリカ・多国籍企業に支配されてしまう」と批判した。
平和フォーラムの市村さんは「トランプは基地負担を基地がある国に、核兵器を自前で持ったらと主張している。これをチャンスととらえ、基地はアメリカに持って帰ってもらおう。核の廃絶を。週刊文春で山本農水相の金銭スキャンダルが報じられている。山本の出身の高知県の建設会社が談合を行い、七〇億円の罰金を支払った。この会社が山本の土地を四〇〇〇万円で買っていた。これは政治献金とみなされている。スキャンダルは失言だけではない。こうした大臣は辞めてもらうしかない」と訴えた。

労働者・農民・
市民は認めない
長い時間、フリートークと国会に向けたシュプレヒコールを繰り返した。ちょうど午後五時過ぎに不信任案が否決され、次に与党と維新の党などの賛成多数の起立でTPPが承認されてしまった。
共産党衆院・参院議員六、七人が駆けつけ、抗議のアピールを行った。
斉藤和子さん(衆院議員、共産党)は「TPPは絶対に葬りさろう。自由貿易万能論反対」と訴え、山添拓さん(参院議員、共産党)は「情報隠しがあり、通常国会で批准させられなかった。これは反対世論の高まりだ。参院で廃案を」と話した。
山田正彦さん(元農水相)が「一〇月二八日から二週間連日の行動でここまで採決を伸ばさせた。参院で法案の中身をしっかり審議して、承認させることがあってはならない。通過されて悔しい思いをしている。アメリカでトランプが大統領になったので批准できない。これからもがんばろう」とまとめのあいさつを行った。連日行動を闘ってきた仲間たちは「法案を差し戻せ、絶対に許さない。TPPを認めない」と大声で国会に向けて叫んだ。
条約批准には三〇日ルールがあり参議院で通過しなくても、一二月一〇日には批准が成立する。しかし、国会会期が一一月三〇日なので政府与党は会期延長をせざるをえない状況に追い込まれている。会期延長をさせず、TPP絶対阻止を。          (M)

10.29

TPP批准阻止緊急行動

大企業のために生活壊すな

トラクター・むしろ旗先頭に

 【大阪】国会の特別委員会の動きを見ていると、今にも決まりそうな雲行きだが、大阪市の靱公園で一〇月二九日、TPPの国会批准を阻止する緊急行動が開かれた。
集会は、武田かおりさん(AMネット事務局長)の司会で始まった。主催者団体の発言は、農業を守れ!と渡邊泰隆さん(全日農京都府連合会会長)。食の安全を守れ!と大川智恵子さん(NPO自然派食育・きちんときほん代表)、飯田秀男(全大阪消費者団体連絡会事務局長)。皆保険制度を壊すな!と川田研さん(大阪府保険医協会事務局次長)。大阪市の水道民営化反対!と塚本法章さん(水政策研究所)。労働基準法改悪反対!と西山直洋さん(全日建連帯労組関西地本書記長)だった。
 ここでは、渡邊泰隆さんのアピールを紹介する。
 「日本がTPPに参加をすれば、農林業の崩壊はもとより、畜産・酪農にも大きな影響を及ぼす。農業の持つ環境・国土保全といった多様な要素が損なわれる恐れがある。TPPといえば農業問題だけだと思っている人が多いのではないか。一般国民にとって重要な問題が多く含まれている。遺伝子組み換え作物やその表示、狂牛病などの規制が解除されると、食の安全が脅かされる。医療や国民皆保険制度、金融問題や労働問題、公共事業なども含まれており、それらの規制が解除されると、外国の多国籍資本が介入してきて、日本の国のありようが根底から覆される。日本は国民皆保険制度によって薬や医療が守られているが、これらが壊されると、病気になってもお金持ちしか医療を受けられない事態にもなりかねない。子どもたちの食の安全も脅かされる。外国からの労働者の参入で、日本の労働者の失業率が上がる恐れもあるし、地方自治体の公共事業にも多国籍企業が参入してくると、中小企業が倒産し、地方経済が回らなくなる。また、参入してきた多国籍企業は利益が予想ほどではないと様々な規制が原因だとして、ISDS条項に基づいて自治体や国を訴えることができる。国家主権より企業利益が優先するということが起こりうる」。
 「安倍自民党は、三年前の選挙で、TPP断固反対と言っていたのに、選挙が終わるとその公約を破棄して、TPP参加の表明をした。TPPに限っては、米国大統領選の二人の候補者ともTPPに反対しているのに、米国に追随してきた安倍政権はTPP批准を急いでいる。何とも不思議でならない。政府や大手マスコミがTPPの本質を覆い隠し、正確な情報を伝えないという姿勢には、憤りを感じるし、断固糾弾しなければならない。安倍総理は裏ではマスコミ操作をし、自分の都合の悪いことは隠し、批判をする人たちは排除し、数の力を背景に数々の暴挙を行ってきた。特定秘密保護法や安保関連法の強行可決をしたが、TPP批准もこの臨時国会で強行採決しようとしている。なんとしても阻止しなければならない。全日農は先頭になって闘う」、と決意表明した。

さらに闘いを
拡大しよう!
また、政党関係では、辰巳コータロー参議院議員(共産党)、渡辺義彦元衆議院議員(自由党)山本太郎参議院議員(自由党)、服部良一元衆議院議員(社民党)が発言し、辻元清美衆議院議員(民進党)のメッセージが代読された。
決議文の提案と採択のあと、最後に、一一月二日に批准阻止の街頭情宣をすること、署名をさらに集めることの行動提起があった。
集会後、トラクターとむしろ旗を先頭に、難波までデモ行進を行った。
(T・T)

10.29

塩川喜信さんを追悼する会

不正への怒り、変革への思い

遺族と共に志を引き継ぐ

 さる七月三〇日に日本医大永山病院で間質性肺炎のため八一歳で亡くなった塩川喜信さんを追悼する会が、一〇月二九日午後二時から東京・駿河台の明治大学研究棟で開催された。
 塩川さんは、一九五八年から五九年にかけて全学連委員長として勤評反対闘争などの戦闘的大衆運動の先頭に立つとともに、日本革命的共産主義者同盟の創生期のメンバーとしてトロツキスト運動の中心的役割を果たした。塩川さんは一九六八年以後の東大闘争においても助手共闘のメンバー、さらには農学部の臨職解雇撤回闘争の先頭に立って闘った。塩川さんはその後、一九八〇年以後のポーランド資料センターの活動を担い、また一九九〇年のトロツキー死後五〇年国際シンポジウムの代表としてシンポを成功させるとともに、その後に設立されたトロツキー研究会の代表を引き受けていただいた。
 塩川さんは、多くの学者・活動家が参加した「フォーラム90’s」の事務局長も引き受けていただき、ソ連・東欧の「社会主義」崩壊以後の変革のための理論的・実践的指針を共同で探っていくための努力を続けた。最近では、幾度ものガン手術を乗り越えて、伊達判決を生かす会、9条改憲阻止の会、ちきゅう座の活動でも積極的な役割を果たした。八〇歳を超えても、彼の社会変革への闘志は衰えることはなかった。

共に「金婚式」を
迎えたかった
追悼する会では、塩川さんの遺族(ご遺族でお連れ合いの啓子さん、息子さんの剛志さん、浩志さん、娘さんの朋子さん、祐子さん)と、塩川さんの友人、仲間たち一三〇人が集まって、塩川さんとの別れを行った。
島田清作さん(伊達判決を生かす会、元立川市議)と会澤清さん(ちきゅう座)が司会した追悼する会の第一部では。最初に、病気のためこの日の集会に参加できなかった土屋源太郎さん(一九五七年砂川基地刑特法違反事件被告、伊達判決を生かす会共同代表、塩川全学連委員長時代の全学連書記長)からの追悼文が吉沢弘久さん(伊達判決を生かす会、自治労退職者の会、塩川委員長時代の都学蓮中執)によって読み上げられた。
続いて故塩川喜信さんのお連れ合いである啓子さんから遺族あいさつ。啓子さんは二〇一七年三月が二人の「金婚式」であることを紹介し、「なんとか一緒に金婚式を迎えたかった」と述べるとともに、夫の誠実な人柄、家族思いの人であったことなどを心をこめて語った。
塩川さんの生涯がパワーポイントで映し出された後、鬼塚豊吉さん(法政大名誉教授、塩川さんの全学連時代からの盟友)、山本義隆さん(元東大全共闘議長)、天野恵一さん(反天皇制運動連絡会、ピープルズ・プラン研究所)、江田忠雄さん(9条改憲阻止の会)、池田祥子さん(子ども教育宝仙大学元学長)などからの発言が続いた。

つねに新鮮な
感性を磨いて
第二部は、飲食を交えての「お別れ会」。最初に元東大教授で、一九六八〜六九年東大闘争を「造反教官」として共に闘った折原浩さん、一九六〇年安保闘争当時の社学同委員長だった篠原浩一郎さんがあいさつ。
友人・知人からのスピーチでは、白川真澄さん(ピープルズ・プラン研究所)、酒井与七さん(新時代社)などからのあいさつが続いた。「まっぺん」さんのクラリネットと柘植洋三さんの歌唱指導による「インターナショナル」「鐘が鳴れば」などの合唱も行われた。
最後に「偲ぶ会」集会へのお礼が、故塩川喜信さんの長男・塩川浩志さんから行われた。幾度ものガン手術を乗り越え、亡くなるまで精力的に、さまざまな政治的・社会的闘いを、つねに新鮮な感度と情熱を持って闘い、家族にも誠実な態度で接した塩川さんの人格がにじみでた「偲ぶ会」となった。     (K)

 

 


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