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    かけはし2016.年11月7日号

改憲・海外派兵を止めよう


10.19

総がかり国会行動に八〇〇〇人

沖縄と共にSTOP!安倍

南スーダンPKO、TPP強行やめろ


自衛隊は戦場に
行ってはならぬ
一〇月一九日、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会は、毎月「19日」行動として「安倍政権の暴走止めよう!自衛隊は戦地に行くな!国会議員会館前行動」を午後六時半から行った。この日の行動には八〇〇〇人もの労働者・学生・市民が国会を取り巻いた。
「戦闘地帯」と化していることが明白な南スーダンについて、安倍政権は「武力衝突が起きているものの、戦闘状態とは言えない」と詭弁を弄し、何がなんでも陸上自衛隊を一一月にも現地に派兵し、昨年九月に強行成立させた戦争法を発動させる既成事実を作り上げようとしている。しかし「朝日新聞」一〇月二一日夕刊のトップ記事にもあるように、南スーダンのマシャル前副大統領は「七月の武力衝突で和平合意と統一政権は崩壊したと考えている」と述べており、PKO参加五原則はいずれも崩壊していることは明らかなのだ。

今こそ野党と
市民の共闘へ
この日の集会には、「南スーダンPKO派兵」に反対するとともに、TPPの批准や沖縄・高江での山城博治・沖縄平和センター議長の逮捕、そして抗議する県民に「土人」などという差別発言を発した警察権力への怒りがみなぎっていた。同時に、一〇月一六日投票の新潟県知事選で、柏崎刈羽原発の再稼働に反対する米山候補が野党共闘を背景に当初の予想に反して、六万三〇〇〇票の大差で自公が推す原発推進候補に圧勝したことで、闘いへの自信を駆り立てたことも、この日の結集の要因だったことは間違いない。
集会では、民進党副代表の近藤昭一衆院議員、共産党国会対策委員長の穀田慶二衆院議員、社民党副代表の福島みずほ参院議員、「沖縄の風」の糸数慶子参院議員が次々に発言した。発言した各議員は、とりわけ新潟県知事選での米山候補の勝利をバネに「野党共闘」をさらに推進する、と訴えた。さらに沖縄の闘いに対する差別的弾圧・暴言や、PKO五原則を踏みにじって戦争法の既成事実としての実績を積み上げるためだけの南スーダン派兵を厳しく批判した。
戦争させない一〇〇〇人委員会の内田雅敏さん(弁護士)は、中国の南シナ海などでの大国主義的対応を批判するとともに、民衆自身の相互協力による平和への道を強調。総がかり行動実行委員会の高田健さんは、新潟県知事選の勝利を教訓にしながら、野党がさらに互いに共闘して闘えば勝利の道が明らかになる、と強調した。

共同の領域を
広げて闘おう
さらにTPP阻止国民会議代表の山田雅彦さんが、TPP批准採決が一〇月二八日にも強行されるかもしれない、と訴え、「日本だけがTPP批准に前のめりになっている。二八日に国会前座り込みを!」と呼びかけた。
沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックの木村辰彦さんは、高江のヘリパッド基地建設強行のための資材搬入を陸自・空自のヘリが行っている違法性を厳しく批判するとともに、沖縄の人びとへの「本土」機動隊による差別暴言を怒りをこめて糾弾した。またJVC(日本国際ボランティアセンター)の谷山博史さんは、南スーダンへの自衛隊派兵が紛争解決にとって「百害あって一利なし」でしかないことを訴えた。
集会では、一〇月三〇日の自衛隊南スーダンPKO派兵反対青森現地集会への結集、「沖縄県民の民意尊重と、基地の押し付け撤回を求める全国統一署名」を推進する運動が呼びかけられた。「野党と市民の協力」をさらに発展させ、安倍政権の改憲への野望を葬り去ろう。沖縄の闘い、戦争法発動阻止、TPPや貧困・格差に対決する運動の共同の力で安倍政権の改憲戦略を止めよう!    (K)

10.23

自衛隊中央観閲式反対!

とめよう南スーダン派兵

朝霞基地に向けてデモ


自衛隊の「国軍」
化を許さない
 一〇月二三日、三年に一度行われる自衛隊中央観閲式に反対して、やめろ!軍事パレード 行くな!南スーダン 自衛隊国軍化を許さない! 10・23朝霞デモが行われた。主催は同実行委員会。
 朝一〇時すぎより朝霞駅南口広場で行われた集会では、初めに主催者代表として東京と埼玉から発言。東京北部の芝崎さんは、二〇一七年朝霞駐屯地に陸自総隊司令部が創設されるなど「国軍化」とも言える自衛隊の再編の中で断固として闘おうと訴えた。埼玉からは市民ジャーナルの小山内さん、「本当に戦争を始めるかもしれないような事態、戦争への道を歩み始めているような事態の中で、野党連合が成立していったように本日は中央公園で反対集会を行っている実行委員会(共産党系)とも連携しながら行われている、社民党系の人も参加している、全国で反戦を闘う人々とも連帯しながら闘おうと発言。
 続いて参加者の発言、例年は基地の反対側で集会を闘っている練馬の仲間から沖縄にも練馬にも基地はいらない一〇・一〇集会実行委員会の仲間が発言、当日は一〇区の補選ということで前段の集会を行い朝霞での集会に合流した、練馬側でも観閲式に向けて自衛隊機が低空飛行で演習を行い、騒音などの被害があったことを報告。
 次に朝霞の田辺市議が「朝霞市でも危機管理官として自衛隊退職者が部長職として役所の中に常駐している。全国の自治体でもそのような状況が進んでいる。」「沖縄を始め全国の人々と共に地道に闘って行きましょう」と発言。
 さらに平和の声入間、立川自衛隊監視テント村、パトリオットはいらない!習志野基地行動実行委員会、一坪反戦地主会関東ブロック、東京北部と沖縄をつなぐ実行委員会。ここで朝霞中央公園での実行委員会からのメッセージが代読され、さらに破防法・組対法に反対する実行委員会、争議団連絡会議・地域共闘交流会、平和運動センターから発言が行われた。
 続いてデモに出発。二〇〇人近い参加者は「自衛隊は南スーダンへ行くな!」「憲法改悪反対!」と声をあげ、旧正門前を通って、和光市駅前まで約三・七キロのデモを闘った。

米軍と一体化
した再編強化
朝霞駐屯地で行われた自衛隊中央観閲式では安倍首相が約四〇〇〇人の自衛隊を閲兵し、安全保障関連法によって日米の「絆はさらに強固なものになった」と発言した。また航空自衛隊のヘリコプターや、戦闘機など多くの航空機と共に米軍のオスプレイも上空を飛行した。かつて墜落事故を起こしたブルーインパルスも基地周辺の上空で曲芸飛行を行った。
朝霞駐屯地には自衛隊の総隊司令部が設置されることになっているが、自衛隊の再編強化は横田基地へのオスプレイ配備など、米軍と一体となって進められている。
第一ヘリコプター団の置かれている陸上自衛隊木更津駐屯地は来年からオスプレイの整備拠点となることになっており、観閲式の翌日には木更津にオスプレイが飛来し、騒音測定などを行うと共に市長らを載せて体験飛行を行った。当日は多くの市民が反対の声をあげた。沖縄の基地負担軽減をうたっているが、何が負担軽減になるのか根拠は不明である。
成田空港へ向かう飛行機の侵入ルートであり、オスプレイは市街地上空を低空を飛行することとなり、危険性も大きい。
戦争法成立以降急速に進められている自衛隊の国軍化の動きに反対する闘いの強化を!。     (板)

10.28

自衛隊派遣差し止め訴訟・提訴

南スーダンPKOに危機感

憲法のタガを外すな

 【大阪】南スーダン国連PKOに参加している自衛隊部隊の交代部隊が一一月に派遣されるという状況を前に、「戦争法」違憲訴訟の会の三四名の原告による派遣差し止め訴訟が一〇月二八日、大阪地裁に提訴された。同会による安保法制違憲の第一次訴訟は、六月八日に大阪地裁に提訴された行政差し止め請求(「戦争法」に基づく自衛隊出動命令の差し止め)と国家賠償請求の訴訟で、原告は七一三名だった。今回は、それに続く提訴である。なお、同会では、駆けつけ警護が閣議決定された後、第二次訴訟が準備されている。
一一月に交代部隊として南スーダンに派遣される部隊は、「戦争法」が施行されて初めて海外派遣されることになり、駆けつけ警護・宿営地の共同防護の任務が付与される。つまり、自己保存型及び武器等防護を超える武器使用を認めたことで、日本国憲法が禁じてきた武力行使に再び踏み切ることになる。それを差し止めるのが訴訟の最大の目的だ。「戦争法」によるこの運用を許すならば、日本国憲法前文・第九条を初めとする憲法のタガがはずれていく一歩になる。記者会見では、一次訴訟での行政差し止め請求と重複していないかとの指摘があったが、一次訴訟は一般的な請求をしているのに対し、今回は具体的に、内戦下の南スーダンで駆けつけ警護の任務が付与され、殺す殺されるという可能性が目前に迫っている状況での緊急提訴である。

なぜ起きる?内
部資料のリーク

 この後質疑応答があったが、二点の報告にとどめたい。
「南スーダン関係では、高級幹部のたった三〇〇人ほどしか見ることができない内部資料がどんどんリークされている。現役だから、相当のリスクを覚悟しないとできない。私(泥)は自衛隊をいかす会の会員だが、ここには元陸将や元海将も参加している。外国のために死ぬことを命令できない、大義がない、という意見が多い」。
先の衆院補選で北海道では野党統一候補が負けたが、その原因は選挙区内の自衛隊員が期日前に与党候補に投票したからだと言われた。でも、自衛隊員は期日前に投票はできない。自衛隊員ではなく、自衛隊関連企業関係者の票ではなかったかと思う。

事前にやる
必要があった
講演の後、冠木弁護士と谷弁護士から訴訟関連の報告があった。
それによると、東京の訴訟ではPKO関係の訴訟はしていない。PKOは国際紛争ではないからということらしいが、まさに国際紛争だ。平和的生存権についてだが、憲法前文と九条で戦争放棄させている。しかし戦争になればすべての人々の平和が脅かされる。だから、戦争は制度的に保障された平和を破ることだ。
安保法制の最初の発動が今回のPKOだ。もし実際には出動されれば、憲法のタガをはずす端緒となる。だから事前にやらなければならなかった。まにあってやれてよかった。(T・T)

泥 憲和さんの講演から

駆けつけ警護は市民を守らない


記者会見の後、会場をエルおおさかに移して、泥憲和さん(元自衛隊員・ホーク地対空ミサイル部隊所属)の講演会が開かれた。以下要旨。

負傷した同僚
は見捨てよ!
自衛隊は国民の命を守るためのもの。安保法が成立してから、自衛隊では死生観の確立が言われている。北海道の第一一旅団司令部では、戦闘中に負傷した同僚は見捨てよ! 銃を守れ、そうすれば自分の銃が壊れた時の代わりに使える、と指導しているそうだ。米国では、負傷兵を助けるのは名誉といわれる。負傷しても助けてくれないような条件で、誰が闘うか。現在、国連PKOは世界で一五カ所あるが、そのうち九カ所が武力行使前提、六カ所が武力行使は前提ではない。南スーダンは前者。日本は、わざわざ武力行使前提のところを選んだ。南スーダンでは、七月に大規模な戦闘が勃発し、市民を除いて双方で一〇〇〇人が死亡した(スーダン・トリビューンによる)。自衛隊宿営地から三キロの地点で爆発があった。政府軍、反政府軍がともに相手に宣戦布告している。
米軍精鋭部隊でも無理だった

ソマリアPKO
の失敗はなぜ?
駆け付け警護は誰を警護するのか? それは他国の部隊や国連職員であり、市民は含まれていない。市民は守れない、米軍でも無理だった。一九九三年モガディシュの戦闘では、米特殊部隊が孤立した。ソマリアPKO一六〇人の部隊が駆け付け警護に行ったが、死者一九人、負傷者七三人、武装ヘリ二機の破壊、ソマリア側の死者三五〇人で、米軍は翌年撤退。他国のPKO部隊は出動を拒否し翌年撤退した。自衛隊の施設部隊は軽武装だ。相手は、戦車・武装ヘリ・大砲を持っている。自衛隊の携行救急キットは七品目(止血帯、包帯、ガーゼ……)。米軍なら軍用犬でもこの八倍もある。衛生隊員は准看護師の資格しかない。国内が戦場になっている場合を前提にしている。防衛省の有識者会議で問題になったが、携行品を拡充するには一三億円かかるので無理だとのこと。オスプレイ購入に五一六億円なら出すくせに。

スーダン内戦は
なぜ起きたのか
交戦権はないのに殺傷行為をさせられる。自衛隊宿営地に数百人の市民が逃げてきことがあった。後を政府軍が追っかけてきたらどうする? 政府軍と思って撃ったら誤射だった、という場合もある。こういうときは業務過失致死になるのか。イラクでも、突進してくる車を撃ったら、地方から出てきて道に迷った市民だったという事件がある。駆け付け警護のことは、国会でも全く論議されていない。南スーダンの兵士が、レイプさせなかったら地元住民を殺害すると脅して外国人女性をレイプした。救援要請された中国・エチオピア・ネパールの各PKO部隊は要請を拒否した。市民なら人道的観点からは助けられるものなら助けたいが、そんな簡単なものではない。
駆け付け警護とは別の道はあるのか。南スーダンの内戦の原因は石油資源をめぐる対立だ。アフリカの角に湾岸側のジブチには自衛隊基地があり、そこは石油搬出港がある。米国は石油確保戦略に基づき、低強度戦争という軍事戦略をとっている。二〇〇一年のアフガン戦争の不朽の自由作戦がそうだ。米国に敵対する政権をつぶすため、反乱支援をやる。スーダン共和国に対しては、政権と対立する人民解放運動を支援し、アルカイダの核工場がスーダンにあると偽情報を流し、スーダン政府(アラブ系)を孤立させ、南スーダン(アフリカ系)を独立させた。
現在南スーダンには、ウガンダ経由でイスラエル製武器が流入している。国連の報告書で追跡して判明した。国連に一九九一年国連武器管理協約ができた。これは、日本が提案した。日本は当時は武器輸出をしていなかったので、各国から信用されたという。信じられないことだが、日本のような国でもこんなことができた。これを拡大し二〇一四年に武器貿易条約が発行した。武器商人、金融機関、海外不動産などが関与している武器の密輸を取り締まらなくてはならない。

東北大震災と
平和貢献の意味
平和貢献について話す。カブール空港の玄関に、外国の国旗では「日の丸」だけが揚がっている。それは、ペシャワールの会の支援がヒンズークシ山脈の水を引く用水路をつくり、砂漠化した土地を緑の沃野に替えた。工事には村人が立場を超えて共同作業をした。タリバンもアルカイダも支援を余儀なくされた。今はJICAも支援している。「日の丸」掲揚は、アフガニスタン政府がそれに感謝していることの印だという。同じようなことがフィリピンのミンダナオでもある。JICAの支援で学校をたて、宗教の垣根を越えて共同で学校の運営をしている。このような地道な活動がみのって、対立ではなく共感能力が刺激され、数十年も武装闘争をしていた勢力が包括和平協定を締結した。国家の独立などの場合は、武力が必要だとは思うが、今の紛争では、武器はいらない、むしろ諸国民の公正と信義に信頼すると言うことが必要だ。北朝鮮だって、通常戦争では勝てないから核を持っているだけだ。かつて、ワルシャワ条約機構に西欧が勝てないから、米国がパーシング核ミサイルを配備したと同じだ。
仙台に行ったとき、人々が言っていた。東北大震災の時は自衛隊にお世話になった。そのときの若者が所属する東北方面隊がこの度南スーダンに派遣されるというが、行かせたくないと。憲法九条の本当の具体的な話なら、人々は聞いてくれる。



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