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    かけはし2016.年10月24日号

今国会でTPPを批准させない


10.15農民連合など全国から八〇〇〇人が結集

ハゲタカによるハゲタカのための条約だ



百害あって
一利なしが実態
一〇月一五日正午から、東京芝公園23号地で「今国会での拙速な批准は絶対許さない!1万人行動・中央集会」がTPPを批准させない!全国共同行動の呼びかけで開かれ、全国から八〇〇〇人が集まった。会場には以下のような団体の旗が翻った。農民連、全農協労連、農民センター、全国農団労など農民団体。パルシステム、生活クラブ生協などの生協団体。全労連、東京全労協、国労、全水道東水労、全建総連、国公労連、全建総連、JR総連など労働組合。
集会前段に歌手のえみむめもと制服向上委員会が歌でTPP反対を訴えた。続いて本集会に移った。山根香織さん(主婦連合会参与)が開会のあいさつを行った。
「政府は今月中の衆院通過を狙っている。TPPは一四兆円の経済効果があるとか、日本が締結し米国を引っ張っていくとか、信じられない言葉が政府からあがっている。農水産業の聖域をまもれないことがはっきりしてきている。残された関税の撤廃、食の安全・安心問題など危険な内容であふれている。国民軽視で大企業や投資家優先の協定だ。決まってしまえば後戻りできない。国会批准阻止のために全国で行動が行われている」。
次に、国会議員がかけつけ、連帯のあいさつをした。福島みずほさん(社民党)。「昨日から衆院で審議が始まった。TPPは@農業・酪農を壊すA食の安心・安全の問題。遺伝子組み換え、原産地を表示しなくてもよいB薬の安全問題、国民皆保険を壊す、ものだ。TPPは強欲資本主義のためであり、人々のためにならない。ISD条項によって、企業からしか提訴できない、それによって政府が多額の損害賠償金を払わされる。TPPは百害あって一利なし。米国大統領候補の二人も反対している。どんなことがあっても承認させない」。
小池晃さん(共産党)。「@多国籍企業のために関税をなくしてしまう。医療、食の安全、ISD条項。これは亡国の条約だ。A条約の内容を明らかにしていない。国会決議を踏みにじっている。国産米に影響を与えないと言っていたが嘘だ。米国大統領候補二人も国内の雇用・産業が壊されるから反対している」。山本太郎さん(自由党)が「英文で六三〇〇頁もある条約は三分の一しか訳されていない。どんなやりとりをしていたのか情報公開したら、すべて黒塗りで出されてきた。こんなひどい状況を多くの人に知らせ阻止しよう」と話した。民進党の国会議員は参加せずにメッセージが紹介された。

オーストラリアは
ISD条項を禁止
全国から参加した仲間たちが訴えた。Anti-TPP Hokkaido(北海道の青年)。「デモや講演会をやり反対を訴えている。台風で被害を受けた。その上TPPが通れば死刑宣告を受けると同じだ。ベトナムの労働者の賃金が下げられる。ブラック企業が増えるなど、すべての労働者の安全を守ろう」。
石田正昭さん(日本協同組合学会会長、龍谷大学教授)。「批准のやり方に賛成できないという総会決議をあげた。学会がこうした行動をすることは異例のことだ。@暮らし、命をおびやかすA協同組合の組織・経営に脅威を与えるB日本が加害者になって途上国の人々を脅かすから、TPPに反対だ。さらに、アベノミクスに反対しなければならない。@財政出動ATPPは年金、健康保険へ民間投資の拡大をすることだ。これは生活を脅かす」。
ママデモ(三鷹)。「オーストラリア上院で、『ISD条項を禁止する』ことを通した。日本の三三県の一一一六人の地方議員にメールしてTPP反対行動に参加してほしいと訴えたが八人しか賛同の返信がなかった。これを一〇〇人以上に増やしたい」。高田健さん(総がかり実行委)。「安倍首相は参院選で全国一〇〇カ所の演説で憲法改正を一度も言わなかったのに、憲法改正をやろうとしている。一一月南スーダンへ自衛隊を派遣し、駆けつけ警護をしようとしている。安倍打倒の共同の闘いを進めよう」。
吉田敏恵さん(岩手県生協連合会専務)。「午前四時発の貸切バスで五〇人が参加している。八月三〇日の台風一〇号で甚大な被害を受けた。一四〇〇億円の被害のうち二割が農水産物だ。しかし、これは再生する。TPPは食料の自給を壊す。七つの農協を訪れ反対の署名してもらった。まだまだあきらめない」。植草一秀さん(オールジャパン平和と共生運営委員)。「ハゲタカによるハゲタカのための条約だ。日本を経済植民地にするための最終兵器だ。何が生じるのか。@日本の農業がハゲタカ農業へA医療、すべての人から富裕層だけのものへB食の安全・安心が壊されるC労働、一億非正規化D農協・生協など共済事業が破壊されるE一〇〇〇兆円の郵貯などがハゲタカに持ち去られるF六三〇〇頁の条約。四年間の秘密の保護。これがステルス爆撃機で、ISDに核弾頭が植えつけられている。断じて許せない」。

安倍政権はなぜ
批准をいそぐのか
福島農民連。「10・7怒りの軽トラパレードをトラクター三台、軽トラ二〇台で本宮駅から二本松市に向けて行った。原発事故とTPPで二重に苦しめられている。安倍打倒しかない」。内田聖子さん(アジア太平洋資料センター)。「条約内容を翻訳し、読み解きブックレットを作った。国会答弁を見ているとすべて無視していたので怒りがこみ上げた。海外の状況。米国。議会で承認されないように運動している。雇用の問題、ISD条項で主権が脅かされる。日本やオーストラリアの企業から米国政府が訴えられる。カナダ、オーストラリアでは説明会やパブリックコメントが行われているのに、日本ではただの一度も説明会も開いていないし、パブリックコメントもとっていない。民主主義の観点からも異常だ」。
海外からのメッセージが紹介され、集会アピールを採択した。最後に山田正彦さん(弁護士・元農林水相)が「米国に行き、多くの議員や労働組合、環境団体らと話し合った。米国で批准されないものをなぜ日本は急ぐのか分からないと言われた。TPPは米国多国籍企業・軍産企業の世界支配が狙いだ。強行採決させてはならない」と閉会のあいさつを行い、トラクター、軽トラを先頭にして都心をデモ行進した。臨時国会での最大の課題、TPP批准を阻止しよう。   (M)

10.9緊急! 希望政策フォーラム

築地から東京が変わる

「希望のまち東京をつくる会」

 一〇月九日、東京の文京区民センターで希望のまち東京をつくる会と東京政策調査会(準備会)が主催した、「緊急!希望政策フォーラム 築地から東京がかわる」が行われた。「築地市場の豊洲移転」をめぐって現れた問題点は何かをあらためて突きだしていくためのフォーラムだった。
 最初に、二度にわたって都知事選に立候補し、東京都政の問題点を明らかにしてきた宇都宮健児さんがあいさつ。
 「『希望のまち東京をつくる会』では築地市場の移転問題に関して一〇項目の要望を提示してきた。小池知事は築地市場の移転については『延期』の態度を明らかにした。築地市場の移転問題に、都政の問題点、都庁の隠ぺい体質が集中的に現れている。石原元知事は『自分はだまされていた』『都庁は伏魔殿』などと他人事のように言い訳しているが、伏魔殿にしたのは誰なのか。住民・労働者の暮らしと安全を無視してきたことが、この問題に現れている」と訴えた。
 宇都宮さんはさらに「築地市場を守る一〇年以上の闘いが、問題点を明らかにしてきた。あきらめないことが重要だ。引き続き都政を監視し、都民の手に都政を取り戻そう」と訴えた。

業者アンケート
移転撤回が多数
次に基調報告を全労連・全国一般東京地本東京市場労働組合の中澤誠委員長が行った。中澤さんは「築地市場から東京都政の問題点を観る」という立場から、豊洲新市場の基本設計、図面、建物などがすべて隠され、豊洲新市場の中に入ったのはようやく八月になってから、という対応を厳しく批判。この間、中澤さんたちは市場移転問題について二月に公開質問状を提出、四月には業者へのアンケート調査も行った。そのアンケートによれば移転スケジュールの撤回・延期が八四・二%、移転凍結が七八・一%、築地で営業したいが八二・九%だったという。
五月には農林水産省宛の請願署名(水産仲卸五八六中三一一筆の過半数)が提出され、同一九日には、守ろう!築地市場実行委員会と「築地市場有志の会」が共催するかたちで「緊急シンポジウムin築地市場」が開催されるなど、都知事選を前にして反対の気運が盛り上がっていった。現実には誰が都知事になっても一一月移転は難しかった、と中澤さんは説明した。豊洲移転については、ほとんどの関係者が反対しており、民主主義に反する移転計画の破綻は、見えていたことだと中澤さんは語った。

環境基準の 倍
を超えるヒ素
豊洲用地は、ベンゼン(環境基準の四万三〇〇〇倍)、シアン(同九三〇倍)、ヒ素、鉛、六価クロム、カドミウムなどによって汚染されている。汚染原因者の東京ガスは、土壌汚染対策工事を行ったものの、東京都による再調査では日本で最大規模・最高濃度の土壌汚染区域のままである。汚染の深度調査は不十分であり、環境基準の一〇倍を超えるヒ素が取り残され、「三・一一」では汚染地下水があふれ出したが、「専門家」が「目視」で安全を確認したというデタラメさだった。
中澤さんは、そもそも築地市場の豊洲移転計画自体が、築地の移転が必要だったからではなく、誰も使わない汚染にまみれた豊洲の「空き地」問題を解決する手段だったのではないか、と問いかけた。最後に中澤さんは「一日も早く移転禁止の決断を」「築地市場と豊洲の同時再生を」と呼びかけた。

汚染の土地処分
築地の豊洲移転
次に水谷和子さん(一級建築士、豊洲移転に一貫して反対してきた)が汚染地下水が表面に出ている危険な状況、ガスの広がりについて説明し、「築地市場の側が豊洲を必要としていたわけではなく、汚染にまみれた豊洲再開発のためにこそ築地市場移転が構想された」と語った後、中澤さん、水谷さん、宇都宮さんの間でパネルディスカッションが行われた。
宇都宮さんは、「築地市場の豊洲移転を立案したのは東京都であり、豊洲・築地の再開発によって大きな利益を受ける東京電力、東京ガスなどの事業体が築地市場の移転を引っ張っていった。東京ガスは一七八億円の投資で跡地を一八九〇億円で売ることができた。それを示唆したのが東京都環境局だ」と指摘した。
さらに宇都宮さんは「土壌汚染対策費のほとんどは都が負担し、東京ガスの負担は一割程度だった」と明らかにし、一九九九年に表面化したこの計画に乗ったのが石原であり、浜渦(石原の特設秘書、後に副知事)だった、と述べた。
水谷さんは、「豊洲を安全にすることは不可能であり、小池知事が『安全宣言』をすることも不可能だ。築地の再整備の『再評価』が必要となる」と語った。
シンポジウムの最後に、内田聖子さんが「希望のまち東京をつくる会」への参加を呼びかけ、豊洲移転に異議を突きつける運動と世論を広げるよう訴えた。(K)



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