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    かけはし2016.年9月26日号

裁判長、三権分立投げ捨て国に丸々追随


沖縄報告 9月18日

辺野古埋立てめぐる訴訟の不当判決に

より大きな結束で闘いやり抜く

怒りと決意の声次々

沖縄 K・S

9・16違法確認訴訟判決

国主張丸写し判決に抗議の嵐

裁判所前集会に1500人

 判決が下された。国の言い分を丸写しし、沖縄県の主張、度重なる新基地NO!の県民の民意を一顧だにしない最悪の判決だ。
判決の主文は@沖縄県が国交相の是正の指示にたいし埋め立て承認取り消し処分を取り消さないのは違法であることを確認する、A訴訟費用は県負担、というものである。「三権分立」というのは学校の教科書の中にだけある絵に描いた餅、行政を補完する機関に過ぎない裁判所の実態を明らかにした。判決の骨子および判決の要旨は、国に追随する裁判長の独断に満ちたものだった。
判決は、「普天間の移設先は辺野古が唯一」「沖縄の海兵隊を県外移転できないという国の判断は正しい」「国の国防・外交上の判断に地方自治体は従うべき」「埋め立て面積は普天間の半分以下なので沖縄の負担軽減になり、自治権侵害に当たらない」「係争委は真摯な協議を求めたが意味のないことだった」「新基地建設ができなければ普天間は固定化する」「係争委決定に対し県が高裁に提訴しなかったのは違法」など、政府の主張を全面的に代弁した。
法廷と並行して午後二時から開催された裁判所前の集会では抗議と非難の声が噴き上がった。

考えられる中で最悪のもの

竹下弁護士

 竹下勇夫弁護士の「残念な判決だ。詳細な検討はこれからだが、考えられる中で最悪の判決だ。上告する。通常の裁判と違って一〇日以内に判断しないといけないので、今からすぐに知事と相談する」との弁護団の報告に大きな激励の拍手があがった。
ヘリ基地反対協の安次富浩さん「和解案で協議せよと言っておきながら、国に従えとは矛盾している。沖縄の未来のため最後まで闘おう」。
照屋寛徳衆議院議員、「あまりにもひどい判決だ。怒りをもって糾弾する。裁判所には失望するが、闘いには失望していない。もともと新基地建設問題は司法の場で決着するものではない。裁かれるべきは翁長知事でなく国なのだ」。
赤嶺政賢衆議院議員、「民意無視の不当判決に大きな怒りを覚える。弁護団と県民が一体となって上告審を闘おう。高江での超法規的な状況があらわすように、この国がもはや法治国家でないことが証明された」。
玉城デニー衆議院議員、「結果に従うかなどと知事に問うような偏った訴訟指揮だった。その不公正さがそのまま判決に出た。私たちの大義はこの国の裁判では裁けない。いま声を挙げなければ将来後悔する」。
仲里利信衆議院議員、「国防と外交は国が決める?普天間の危険性除去?平気でウソをつく国にそんなことが言えるのか!ウチナーンチュよ目を覚ませ。上告して負けたとしても戦争につながる基地は絶対に造らせない」。
糸数慶子参議院議員、「民意を踏みにじる不当判決に心の底から怒りが沸いてくる。しかし辺野古で二〇年、高江で一〇年頑張ってきた沖縄の民意は揺るがない。裁かれるべきは民意を踏みにじる国だ」。
伊波洋一参議院議員、「知事の埋め立て承認取り消しは県民の希望だ。普天間の危険性はもともとオスプレイ押しつけなど米軍の言いなりになる日本政府が作ったものだ。国側に普天間の危険性放置など言う資格などない。日本政府の攻撃をはねのけて頑張ろう」。
瑞慶覧功県議、「不当判決、がってぃんならん。子孫の未来をかけてこの国の不当性を内外に訴えていこう」。
山内末子県議、「辺野古・高江に基地は絶対造らせない。オール沖縄会議は21日6時半から県庁前県民広場で抗議集会を開く。さらに多くの結集で闘い抜こう」。
最後の団結ガンバローはシールズ琉球の玉城愛さん。「この国の民主主義は、安保条約の観点でしか沖縄を見ることができない。なんとかわいそうな政府だろうか。沖縄の民意を全うするためにみんなで団結してガンバロー!」。

長い闘い、信念もちやり抜く

翁長知事会見


裁判後の記者会見で翁長知事は、「たいへんあ然としている。地方自治、民主主義や三権分立の意味でも相当な禍根を残すものではないかと思う。こういった一方的な内容の場合には、県民のより大きい反発と結束がこれから出てくるのではないか。埋め立て承認取り消しは、公有水面埋立法が求める要件を丁寧に検証した上で行ったものであり、国土交通大臣から是正の指示を受けるいわれは全くない。後々長い長い闘いになるかと思う。私自身は新辺野古基地は絶対造らせないという信念をもってこれからも頑張っていきたい」と述べた。
翁長知事が述べたように、不当判決に対する県民の反発が高まり、新基地NO!を求める県民の結束はいっそう強まるだろう。今回の高裁判決は、日本政府と沖縄県との闘いに終止符を打つものになるどころか、日本政府の中央権力と沖縄県の地方行政権力とのいっそう熾烈な攻防の幕開けとなるだけである。今後上告の手続きが進み、早ければ年内にも最高裁の判決が出ることが予想されるが、最高裁の判決は埋め立て承認取り消しに対する法的決着をつけるだけだ。沖縄県と名護市が持つ埋め立てに関する行政権限は数多い。何より屈しない現地闘争と広範な闘う民意は変わることがない。日本政府と日本の政治機構に対する幻想を捨てて新基地NO!沖縄の自己決定権を求める闘いはいよいよ本物の強靭さを身に着けていくのだ。

9・17第5回集中行動に三〇〇人

N1ゲート前に完全ピケットライン

防衛局工事諦める


第五回集中行動日の九月一七日はN1ゲート前で展開された。早朝からN1ゲート前の県道七〇号線道路片側に乗用車をギッシリと並べ、ゲート入り口付近に座り込んで、工事車両と作業員の進入を阻止する行動を終日展開した。N1ゲート前にピケラインを張るのは、七・二二のテント・車両の強制撤去以来はじめての快挙だ。平和市民連絡会の大型バスをはじめ、うるま市島ぐるみ、那覇島ぐるみ、沖縄市島ぐるみなど全県各地から集まった参加者は徐々に増え続け、三〇〇人に達した。防衛局は工事を諦め、工事車両・作業員の動きはなかった。
早朝から午後三時までのゲート前集会は、山城博治さんの司会で、報告、アピール、歌、パフォーマンス、シュプレヒコール、デモと多彩に進められた。

工事施工と警備
無法化の限りに
平和市民連絡会の北上田毅さんは、QABテレビで放映されたN1ヘリパッド建設現場の映像を紹介しながら、「現在工事は、N1の二カ所のオスプレイパッドのうち、一カ所で森林の伐採が行われている状態だ。H、G地区はまだ手が付けられていない。工事は遅れている。これは我々のゲート前阻止行動の成果だ。陸自ヘリの投入は前代未聞、政府防衛局の焦りに他ならない。工事に必要とされる砕石の総量は大型ダンプに換算して約一三〇〇台だが、まだ四〇〇台分程度しか搬入されていない。来年1月までにできるようなものでは全くない」と述べた。
そして、「先日琉球新報の報道にあったように、防衛局は、当初の工事用モノレール計画を投げ捨て、幅四m、長さ一・二〜一・五kmの工事用道路をつくろうと、県に届けもせず森の伐採を始めている。やんばるの森がズタズタにされている。赤土防止条例をもとに県は立ち入りを強く求め、毅然として工事を止めるべきだ。ゲート前行動はますます重要になっている」とアピールした。
県外からの五〇〇人に上る警察機動隊の導入について、北上田さんは「県公安委員会の援助要請は手続きの問題がある。要請文書が出された七月一二日に県公安委員会は会議をしていない。にもかかわらず、すでに前日の一一日に警察庁から全国各地の県警本部に沖縄県から支援要請があるので準備するようにとの指示が下っている。国主導、県の後追いの機動隊投入に、燃料代、高速道路代、修理代などは県が出すことになっている。こんな理不尽なことがまかり通っているのだ。住民監査請求をやる。沖縄から県外機動隊を撤退させる。皆さんも請求人になってほしい。また、機動隊を出している六カ所の都府県でも東京、福岡で、情報公開、住民監査の動きが進んでいる」と報告した。

超法規の連発は
戒厳令先取りだ
社民党参議院議員の福島瑞穂さんは「民主主義がない。内閣がなんだってやれる。戒厳令の先取りだ。本土からの機動隊、沖縄の人たちを苦しめないでほしい。職員を全国から派遣している防衛省は女性殺人事件をダシに使うな。陸自ヘリの投入は違法だ。自衛隊は法律に明記されていること、列記されていることしかできない。高江の工事は違法だらけだ。機動隊のみなさん、警備員のみなさん、違法行為に加担してはいけない」と訴えた。

全国各地からの
参加者も声次々
県議会与党会派、宜野湾市・中城村などの市町村議員のほか、日本の各地から駆け付けた参加者も前に立ちそれぞれ挨拶した。高江をまもれ名古屋アクション、小松市から高江は初めてという人、辺野古アクション福岡、機動隊の暴力で手に一四針を縫うけがを負った大分の人、神奈川の大学一年生、横浜や東京からの初めての参加者、などなど。鹿児島県屋久島からの参加者は、一六日の裁判所前の集会に参加し、県敗訴の判決に「本当に悔しかった」と涙を見せた。
午後三時過ぎゲート前から名護署に移動し、不当逮捕糾弾、即時釈放を訴えた。夕刻、二日前県道七〇号線上で道路往来妨害で逮捕された二人と辺野古で黄色いラインを越えて基地内に進入したとして拘束されていた一人の釈放を勝ち取った。

9・13高江ヘリパッド建設現場

陸自ヘリが資材空輸

県道70号線またぎ

 日本政府は七月二二日に全国から機動隊五〇〇人と防衛省職員七〇人を動員してN1ゲート前の座り込みテントと車両を強制撤去し金属製のゲートと金網を設置した。以来二カ月近く、防衛局は、N1ゲートから砕石や重機を運び込み、N1地区のヘリパッド建設現場に至る旧林道を改修し大型車両や重機が通行することのできる搬入道路にするための工事を進めてきた。しかし工事は予定通り進行していない。

切羽つまって
まず民間ヘリ
高江の現場では各地で、毎日早朝から工事車両と作業員の現場進入を阻止するピケットラインの行動が展開されており、九月に入ってからは毎週水曜と土曜の二回は集中行動が取り組まれ一日中工事がストップすることも珍しくない。その結果、少しずつ工事の遅れが重なり、防衛局のヘリパッド建設計画に対しボディブローのように打撃を与えている。
工事の遅れに危機感を抱いた政府防衛局は、@作業員を警察車両に乗せて運んだり、機動隊が作業員を囲んで徒歩で護送したりし始めた。全国から動員された警察がやっていることは工事業者の用心棒の仕事だ。AH、G地区へ当初、工事用モノレールを設置し資材を運ぶ計画を明らかにしていたが、現在、不法に森を破壊して工事用道路の建設を進めようとしている、そしてBヘリコプターによる空輸である。
防衛局は九月九日(金)から一〇日(土)、一二日(月)と連続して、N1地区内の作業ヤードから民間ヘリによる空輸を行った。ヘリパッド建設現場は、N1地区の二カ所、H地区、G地区の三地区だが、陸路資材を搬入することができるのはN1地区だけだ。H地区、G地区は亜熱帯の動植物が生息する手つかずのままのやんばるの森のなかにあって、N1オモテからの道路はない。N1ウラの方からは高江の集落を通る東村の村道がH地区付近まで通じているが、東村長が工事車両の通過に反対しており、使えない。切羽詰まった防衛局は「陸がダメなら空がある」とばかり、民間特殊ヘリを動員した。しかしこのヘリには五トンまでという重量制限があり、それ以上の重機は運べない。

基地機能強化の
高江ヘリパッド
そのために政府防衛局は自衛隊を動員した。九月一三日、沖縄近海に停泊中の海上自衛隊の輸送艦「おおすみ」から離陸した陸上自衛隊のCH47ヘリ二機が米海兵隊北部訓練場メインゲートのヘリパッドに降り立ち、トラックやキャタピラー車を吊り下げたまま県道七〇号線を横切って、N1地区、H地区、G地区方面に空輸する作業を六回繰り返した。
稲田防衛相は「民間ヘリで輸送できない重量トラックなどに限り使う」と述べた。政府が根拠とするのは防衛省設置法第四条一九号だ。この法律は旧防衛施設庁から受け継いだ、基地の提供、使用条件の変更、返還に関することなど所管事務を羅列したものにすぎない。どこをどうひっくり返しても自衛隊動員を正当化する文言はない。武力をもつ自衛隊の活動は法律に基づいて厳格に規定されている。政府がまたも違法行為をした。しかも破廉恥なことに、稲田は「沖縄の負担軽減にとって有益」と語る。言葉のごまかしはやめろ。「負担軽減」ではなく「負担増大」だ。

ついに法無視し
自衛隊ヘリ動員
米海兵隊は二〇一三年に太平洋地域の基地運用計画についてまとめた「戦略展望二〇二五」の中で、「最大で約五一%の使用不可能な北部訓練場を日本政府に返還する間に、限られた土地を最大限に活用する訓練場が新たに開発される」とハッキリ述べている。北部訓練場の返還予定地は米軍にとり「使用不可能」で不必要な土地だ。その代り米軍は、オスプレイ訓練のための宇嘉川流域・河口海域と近接ルート上の高江周辺での六カ所のヘリパッドを手に入れる。基地面積は減るが、基地機能は増す。「限られた土地を最大限に活用」して、北部訓練場は陸海空の結合した総合訓練場に強化される。

9.14 第4回集中行動

午前中阻止―
昼過ぎダンプ10台


高江ヘリパッド建設を阻止する闘いは毎日続く。自衛隊ヘリ投入の翌一四日は、第四回目の集中行動日だ。早朝からN1ゲートの南の高江橋、北の国頭村安波に合計二〇〇人以上が結集してピケットラインの行動を展開した結果、警察機動隊に護衛された工事のダンプ一〇台がN1ゲートに進入することができたのは正午を回っていた。この日、午前中の工事を止めるという成果を手にした。高江の闘いの決め手は数だ。ひとりでも多く人々が集まればそれだけ長時間阻止できる。
高江に結集しよう!


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