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    かけはし2016.年9月19日号

週2回の集中行動日は工事を完全阻止


沖縄報告:(9月7日〜10日)

カネにあかしてロシア製ヘリを導入

沖縄 K・S

9.10

第3回集中行動日に300人

高江の各所にピケットライン

工事車輌、作業員の進入阻止に成功


  第三回集中行動日の九月一〇日は早朝から三〇〇人以上が結集し、N1ゲート前、N1南の高江橋、N1北の国頭村安波、H地区ゲート前など、高江周辺の各地でピケットラインを張り、工事車両や作業員の立ち入りを阻止する行動が展開された。平和市民連絡会と那覇島ぐるみはそれぞれ五〇人乗りと二五人乗りのバスを出して参加した。

200人が高江
に阻止線をはる


 N1ゲート前の座り込みテントには「ヘリパッドいらない住民の会」をはじめとしたメンバーが張り付き、防衛局や警備のアルソック、警察機動隊の動きを常時監視した。
 N1ゲートと北部訓練場メインゲートとの中間地点にあたる高江橋は二〇〇人をこえる人々によって完全に制圧された。国会議員の赤嶺さん、県議会与党会派の面々、宜野湾市をはじめなじみの市町村議員たちもいる。辺野古から島袋文子オバアも車いすに乗って駆け付けた。高江橋は、砂利や重機を積んだ工事車両が南からN1ゲートに至るには必ず通らなければならない交通上の要衝だ。朝六時前から人々が駆け付けはじめた高江橋の両側は参加者の車両ですき間なくギッシリと埋め尽くされ、黄色いセンターラインをはさんで車一台通過することのできる空間が確保された。万が一警察機動隊の排除行動が始まれば、車両をハの字型や川の字型に移動しその間にスクラムを組んで座り込んで警察車両や工事車両の通行を阻む臨戦態勢である。
 沖縄の闘いは武器を持たない非暴力の行動だ。体を張って身を挺して最大限の意思表示をし続ける沖縄の闘いにおいて、力は数だ。七時過ぎには二〇〇人をこえた参加者と数十台の車両に、警察機動隊は強制排除を諦めただ見ているだけだった。

N1北の安波
H地区でも阻止線


 N1ゲートから北数キロの県道上でも早朝から、数十台の車両と人々とで警察機動隊の車列に対するピケットラインの行動がくりかえし展開された。車と座り込みでの果敢な阻止行動が午前中いっぱい続けられ、「なにわ」「和泉」「川崎」「練馬」などのナンバープレートを付けたボンゴ車とカマボコ合わせて一〇台以上の警察車両がN1ゲートに向かうことができたのは正午をはるかに過ぎていた。
 N1裏の座り込みテントに至るH地区ゲート前の村道上でも朝から強力なピケットラインが張られた。二台の警察ボンゴ車が阻止線の前で停止させられた。車両から降りてきたのは千葉県警。機動隊員はリュックを背負い運動靴を手にしている。森の中に入るのは明らかだ。「中にいる千葉県警の交代要員だから通して欲しい」と訴えるが、我々は通さない。「交代要員というなら中からこの場に出てきた機動隊員と同じ数だけ通ることを認める。ゲートからここに出てきなさい」と主張する我々との対峙が続く。三〇分後機動隊員九人がゲートから出てきたので、同じ数の交代要員が通行することを認めたが、どういうわけか、八人しか入らなかった。
 この日、国頭村の採石場を含めて、N1ゲート周辺の各地点で、工事車両と作業員の動きは全くなかった。防衛局は数百人が集まる集中行動日の工事強行をはじめから避けたのだ。

この日の工事は
ヘリ1機だけ20分


 午後二時半ごろ、N1ゲートにヘリコプターの轟音が鳴り響いた。伊江島から飛んできたヘリコプターがN1ゲート付近から資材や重機を空輸するのだ。日本で最大の民間運送ヘリで、吊り下げ能力五トンのロシア製だという。よく見ると、ヘリの羽が上下二枚ついている。N1裏テントの存在や東村長の農道使用反対によってH・G地区への資材運搬の地上ルートのめどが立たない中で、政府防衛局は金に糸目をつけず、高価な民間運送ヘリを動員したのである。空輸は五回、時間にして二〇分ほど、この日の唯一の作業だ。空輸作業を手伝ったのは防衛局職員だという。午後三時前にヘリは去っていった。
 工事車両と作業員はどこからも建設現場に入ることができなかった。地上の闘いに限定すれば、我々の完全勝利だ。九月三日の第一回集中行動、九月七日の第二回集中行動に続いて、早朝から数百名を結集する週二回の集中行動日は実質的に工事をストップすることに成功している。

破綻しつつある力ずくのヘリパッド工事推進


 政府防衛局の目論見は来年三月の営巣期の始まりまでに工事を完成させ米海兵隊に引き渡すことだ。当初、N1(A、B)、H、Gの三地区を「環境に配慮して一地区ずつ工事を進めていく。工期は一年一か月」としていたヘリパッド建設計画を沖縄防衛局は七月、「三地区同時に工事を行う。工期は六か月」に変更した。米軍の強い要請があったからだ。そのため、全国から警察機動隊五〇〇人、防衛省職員七〇人を動員し、力ずくで工事を進めてきた。そして二か月。力ずくのヘリパッド工事推進政策はさまざまなほころびを生み出してきた。
 警察機動隊による法的根拠のない県道封鎖、工事作業員の運送や護送、抗議行動メンバーの不当逮捕、防衛局による座り込みテントの不法撤去、立木の不法伐採、ずさん工事による赤土流出とダム汚染、自衛隊による物資空輸の検討、など次々に明らかになる「問題点」。そのたびに反対運動からの反撃と沖縄の新聞・メディアによる報道と社会問題化に直面して、政府防衛局は後退し守勢に陥っている。全国紙はどうして報道しないのか。全国から警察機動隊と防衛省職員を動員して沖縄・高江で行っている不法な国家権力の犯罪をなぜ知らぬふりをするのか。
 全国動員した現場の機動隊にも疲れが見られる。主に年配の人々の身を挺した抗議行動を目の当たりにし「一体沖縄に来て何をしているのか」と疑問を抱く若い機動隊員も少なくないことが見て取れる。おそらく機動隊員にとっても、人権と民主主義、自治を訴える人々の運動に長期間にわたって接し訴えを耳にするのは初めての経験だろう。当初の「お上の立場で、住民を見下したような感がある」現場の機動隊員の対応は今ではあまり見られない。彼らも真剣に運動に向き合わざるを得なくなった。もちろん、敵意むき出しで暴力的に立ち向かってくる警察官もいるが、多くない。長期の機動隊駐留は今後どのような影響を生み出していくだろうか。

力を尽して
高江に結集しよう


 逆に運動は規模とエネルギーを拡大している。那覇から二時間半、高江は遠い。しかも、毎日夜明け前から闘いが始まる。しかし、今、高江現地の闘いは辺野古のキャンプ・シュワブゲート前の闘いに勝るとも劣らない規模の持続性をもって連日展開されている。このエネルギーはどこから湧き出してくるのか。一つは間違いなく、辺野古を闘い抜いぬき「和解による工事中止」に追い込んだ経験、動員されて参加するのではない参加者一人ひとりの自立した信念にあると思う。
 毎日の行動で少しずつ工事を遅らせ、週二回の集中行動日に完全に工事を止める現在の闘争によって、ヘリパッド建設をめぐる力関係は我々に有利になってきている。とりあえず当面、来年三月のやんばるの貴重種の営巣期まで、約五か月半。来年二月末に工事が未完成のままだったら、我々はヘリパッド工事を破綻に追い込む重要な足がかりを手にする。したがって、ヘリパッド建設を中止に追い込むために、毎日1時間でも長く工事を止め、できるだけ工事の進展を遅らせて、工事を絶対に完成させない闘いに全力で集中することが我々の行動目標となる。
 ありったけの力を尽くして高江現地に結集しよう!日本政府の警察権力との攻防の最前線、高江でヘリパッド工事を阻止し、国家権力の警察支配を押し返そう!ここから沖縄と日本の明日が必ず開ける。
【注:現地は毎日動きがある。可能な方は次の二つのブログをフォローして頂きたい。】
チョイさんの沖縄日誌 
http://blog.goo.ne.jp/chuy/e/635c98884fdbf68a9d36a60b938cd5ed
海鳴りの島から
http://blog.goo.ne.jp/awamori777/e/26b5a926e9f19a50a72987f165da5eb5

9.7

第2回集中行動

前日逮捕の女性を奪還

 午前六時から高江橋に阻止線。終日、一般車両の通行は認めるが、機動隊と工事車両の通行はストップ。N1ゲートの北でも同じようなピケットラインを張り機動隊と工事車両を阻止した。しかし、午後三時ごろ、機動隊に守られて、作業員一〇数人がN1ゲートから入った模様。今や警察機動隊は完全に工事業者の用心棒になってしまっている。
高江橋の阻止線は午後三時過ぎに解除し、名護署へ。前日抗議行動のさなか不当に逮捕された女性の釈放を求めて六〇人余りが名護署に集まった。「日思会」「大日本一誠会」の右翼の街宣車二台が大音量で嫌悪感をもよおすヘイトスピーチを繰り返す中、整然と警察に対する抗議行動を展開した。逮捕された女性は那覇地検に送検されたが、処分保留のまま午後七時過ぎ釈放を勝ち取った。留置場には一泊だった。
名護署近くの海岸べりの空き地で奪還集会が開かれた。釈放された女性は、「本当に不当逮捕だ。急発進や危険運転はしていない。運転席から五人がかりで引きずり出して靴下を脱がし、前と後のポケットをまさぐった神奈川県警、福岡県警、恥を知れ。みなさんの声援が力になった。こんなことではくじけない、ますます頑張る」と述べて、「人間を返せ」の歌を熱唱した。そのあと記念撮影し、全員で「沖縄のみちは沖縄が拓く」を歌い解散した。

9.8

県庁前県民集会

公正な判決を下せ


九月八日夕方、沖縄県庁前広場で、「辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議」主催の「県民の民意を尊重せよ!公正な判決を求める県民集会」が開かれ、一〇〇〇人の県民が結集した。集会には、稲嶺進名護市長、糸数慶子および伊波洋一参議院議員、赤嶺政賢衆議院議員、県議会与党会派の議員などが宣伝カーの上から、九月一六日の判決に向けて、民主主義と地方自治、県民の人権を尊重して公正な判決を求める発言をした。米国から参加したVFP(ヴェテランズ・フォア・ピース)のメンバー六人も横断幕を広げ、辺野古や高江に米軍の新しい基地はいらないとアピールした。
集会の最後に発言した訴訟弁護団の加藤裕弁護士は、「今回の裁判は前例のない裁判だ。過去に判例は何一つない。ある意味で裁判官は自由に判断を下すこともできる。したがってどのような判決になるか予想がつかない。ただ一つ明確にしなければならないことは、判決で何を考慮すべきなのか、何を判断の基準にすべきなのか、ということだ。それは沖縄の民意だ」と述べ、沖縄の地方自治を守る判決が下されるべきことを訴えた。
まさにそうだ。地方自治法、憲法にのっとって公正な判決が下されるなら、翁長知事の埋め立て承認取り消しの合法性、政府による「是正の措置」と「違法確認訴訟提訴の不当性」が明らかにされる筈だ。反対に現在の日本政府が進める政治の流れに裁判官が追随すれば、白を黒と言いくるめる詭弁とこじつけで、政府勝訴の判決を下すだろう。いずれにしても九月一六日の判決日が新たな闘いの出発点となる。
判決当日は裁判所前で県民集会が開催される。最大結集で、沖縄県民の人権と民主主義、沖縄の自治を打ち立てる闘いを前進させよう。


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