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    かけはし2016.年9月5日号

戦争賛美の靖国神社を許すな


8.13

「2016 平和の灯を! ヤスクニの闇へ」

天皇主義右翼がデモに挑発・妨害

海外派兵はかならず「戦死者」が出る



11月の南スーダ
ン派兵を許すな

八月一三日、「2016 平和の灯を!ヤスクニの闇へ キャンドル行動―戦争法の時代と東アジア」(主催:実行委員会)が韓国YMCA・スペースYで行われ、三五〇人が参加した。
キャンドル行動実は、二〇〇六年に結成し、「@靖国神社の歴史認識が、再び戦争のできる国へと右旋回する日本の現状と直結している。 A韓国・台湾・沖縄・日本の遺族に断りもなく合祀していることは許さない。 B首相の靖国参拝は憲法が定めた政教分離原則に違反する。 これらの点を『ヤスクニの闇』として切り結ぶ共同行動に取り組みます」を確認し、これまで毎年夏に「一人一人がキャンドルの灯をともし、ヤスクニに象徴される日本の闇を照らしながら、 日本・アジア、そして世界の平和実現のために行動してきた」。共同代表は、今村嗣夫、内田雅敏、金城実、東海林勤、菅原龍憲、鈴木伶子、辻子実、徐勝、新倉修、服部良一、高金素梅、蕭惠美、史亞山、陳政宗、李海学、李錫兌、李熙子の各氏。
安倍政権は、一一月に陸上自衛隊を南スーダンに国連平和維持活動(PKO)として派兵する。三月に戦争法施行を強行し、交代部隊に「駆けつけ警護」と、他国軍と共同で拠点を守る「宿営地の共同防護」の任務を付与し、「人を殺し、殺される」軍隊の構築に向けて派遣準備命令を出し、訓練を開始する。改憲を射程にして沖縄・辺野古新基地と高江ヘリパッド建設反対運動に弾圧し、グローバル戦争の参戦化にむけて日米安保体制のレベルアップに着手している。
この事態に対して実行委は、「『戦死者』が出る可能性も排除できません。その時に、必ず、『戦死者』の追悼、顕彰を許し、さらに自衛隊の『海外任務』拡大への道を歩ませるか、それとも、自衛隊にそのような任務を強いた責任を追及し、戦争法発動に対する批判世論を形成するのか、が問われてきます」と設定し、戦争賛美の靖国神社の利用を許さず、改憲と戦争反対運動の強化にむけて集会とデモを行った。
開催あいさつが今村嗣夫さんから行われ、「自衛官や予備自衛官が戦死した場合の処遇はどうするか、ヤスクニに合祀するのか―それは法律で定まっていない。しかし、安倍首相や靖国神社を参拝する国会議員たちは、今後、相当の時間をかけて、これまでの九条の平和主義の精神を立て直し、戦争のできる国の国民にすることにある。平和憲法改正を目指す権力に、とことん抵抗するキャンドル行動を力強く推し進めよう」と訴えた。

戦争のできる国
づくり政策反対
シンポジウム「戦争法の時代と東アジア―『戦死者』とヤスクニ―」では、以下のように報告された。
高橋哲哉さん(東京大学)は、「安保法制から安保体制へ 安倍政権下の日本で問われること」というテーマから「安保解消の運動は、沖縄の闘いにおんぶするのではなく、本土でこそ勝負して、決着をつけなればならない。日米安保体制は、朝鮮戦争休戦以来、一貫して朝鮮半島有事に向けた軍事同盟であり、東アジアに対する米軍支配のための体制だ。日本の政治と市民運動は、日本国憲法九条を堅持し、歴史問題・領土問題等の懸案を、徹底して平和的な手段で、粘り強い対話と外交を通して解決するよう努力しなければならない」と強調した。
金敏浮ウん(韓国民族問題研究所責任研究員)は、「揺れ動く東北アジア、米日韓国軍事同盟体制」を提起。とりわけ「靖国問題解決のための一つの実践として国際化戦略」について提示し、「人権というキーワードを中心に、国際的な世論をつくる実践を一緒に行っていこう」と呼びかけた。
新垣毅さん(琉球新報東京支局報道部長)は、「戦争法下の沖縄―踏みにじられる琉球の自己決定権)」というテーマから@沖縄の植民地化と自己決定権A自己決定権と新安保体制B沖縄の論理と東アジアの平和―を報告。
さらに「自ら東アジアの平和構想と基地返還行動計画を策定し、それに伴う国際機関立地などの軍事基地の跡地利用を提起すれば、日本国のみならず、国際社会から理解を得る『道義』は十分ある。それには、自己決定権の拡大が不可欠だ。辺野古新基地建設阻止は、その第一歩だ」と訴えた。
被害者証言では、山本博樹さん(日本)、朴南順さん(韓国)、李熙子さん(韓国)が靖国神社や日本政府を厳しく批判した。
連帯あいさつとして日本軍「慰安婦」問題解決全国行動、戦争をさせない1000人委員会、日本国際ボランティアセンター、沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックからアピール。
コンサートでは、ソン・ビョンヒさん、イ・ジョンヨルさんが熱唱。
閉会あいさつが徐勝さん(共同代表)から行われ、キャンドル行動の成果を確認した。
集会終了後、参加者はキャンドルを持って靖国神社に向けてデモに移った。九段下交差点で「戦争のための靖国神社反対!憲法改悪反対!」のシュプレヒコールを響かせた。
天皇主義右翼は、デモ隊の妨害のために体当たりを繰り返してきた。デモは、挑発に乗らず最後まで整然と行われた。    (Y)

8.9

長崎市民平和集会2016

安保法制撤回―憲法改悪阻止

再度反核運動を発展させよう


爆心地公園で
人間の鎖を展開
 三〇回目の「長崎市民平和集会 2016」が、八月九日午前一〇時から爆心地公園でひらかれた。主催団体の市民運動ネットワーク長崎が主体的に関わる高校生中心の「被爆体験を語り継ぐ会」の取り組みなど、ピースウィークとしての取り組みである。
 主催者あいさつで、舟越耿一さんは「この集会は、市が主催する集会や原水禁大会など公式の集会に出られない人々、出ない人々の参加自由、誰もが主役の集まりである」と独自性を明らかにした後、この取り組みを広島、関西、東京など広く結びつける役割を果たしてくれた進藤狂介さんの死を伝え、哀悼の意を表明した。舟越さんは、「われわれは安倍の戦争する国づくり、安保関連法との闘いに取り組んできたが、参議院選で改憲勢力三分の二を許してしまった。いつアメリカと組んで戦争を始めてもおかしくない状況にある。その原因の一つに反核運動の後退がある。その反省の上に、性根を入れて闘おう」と訴えた。

安倍もオバマも
絶対に謝罪しない

 つづいて、広島での「ヒロシマ平和へのつどい2016」の一連の取り組みを終えて駆け付けた実行委員会の田中利幸さん、久野成章さん、新田さんら四人が発言した。
代表の田中さんはオバマが原爆投下を謝罪しなかったことを強く糺し、「オバマが原爆投下を謝罪しないことと、安倍が日本のアジア侵略戦争を謝罪しないことは深くつながっている。両国の戦争責任と両国政府の謝罪を求めなければならない」と訴え、久野さんは、「オバマが平和公園にいたのは一一分、岩国基地にいたのは一九分、その一九分で米軍兵士達を激励していた」とオバマ訪広の真相を話した。
つい先日まで韓国人を含む人々とピースボートで一緒だった鹿児島大学の木村朗さんは「オバマの訪広の評価については、みなさんと少し見解が違うが、船の中では、オバマが謝罪するのは当然であり、被爆者は日本人だけではないと言われた」と報告した。
関西共同行動から、根本博さん、三橋秀子さん、笹部昌美さん、星川洋史さんの四人と名古屋の松本朗さんが起ち、三橋さんは関西で始めた戦争法違憲訴訟への決意と長崎で始まった被爆者による違憲訴訟への連帯を表明し、松本さんは高江、辺野古でおきている工事強行の暴挙を報告し連帯の必要性を訴えた。
星川さんは「東アジアで政府・権力者たちによって故意に深刻化させられている核を含む政治的・軍事的対立を真に克服できるのは、これに抗する人民の国際連帯である、ナガサキ・ヒロシマの反核運動こそ重要な位置を持っている」と発言した。

反核の輪に
園児も参加 
例年通り、星座保育園の園児が手話付きで「青い空」を合唱した後、原爆殉難者之霊の碑に向かい、一人一人が白い花を捧げた。前日の「被爆体験を語り継ぐ会」の高校生達と共に、星座保育園の園児達の参加は、ヒロシマ・ナガサキの反核運動の未来に明るい灯火となっている。
原爆投下時刻の午前一一時二分、公園にいるすべての人が、それぞれの思いを込めて黙祷し、市民平和集会に参加している人たちを中心に原爆殉難者の碑を人間の鎖で取り囲み、「ピース」「ピース」と何度も声を上げた。
その後被爆者の父のことを語り訴える永嶋絵里子さん、「原発なしで暮らしたい長崎の会」の川原重信さんらの発言があり、最後に実行委員会の山口玲子さんから「平和宣言2016」が読み上げられた。宣言は、参議院選挙後に改憲の動きを具体化させ始めた安倍政権に対する怒りを込めて「『すべての人の命を大切にし戦争をさせない』というひとり一人の思いを、もう一度結集させて、憲法改悪を止めなければならない。安保法制の撤回! 立憲主義の回復! 憲法改悪の阻止! みなさん、声を上げていきましょう!」と結んでいる。       (H) 

8.9

長崎 朝鮮人犠牲者追悼碑前で早朝集会

在朝鮮、韓国人被爆者にも
平等な援護法の適用を!


集会は無宗教
で開催された
 八月九日午前七時三〇分、爆心地公園の原爆落下中心碑から下の川を渡った対岸にある長崎原爆朝鮮人犠牲者追悼碑の前で朝鮮人犠牲者追悼早朝集会が開始された。参加者は二五〇人という。
 昨年のぎっしり詰まった早朝集会からすると少し人数が少ないようだが、その分、落ち着いたしめやかな雰囲気に満ちていた。冒頭に司会者から無宗教で行うことが伝えられた。参加者には仏教の袈裟をかけた韓国の僧侶や、キリスト教徒と思われる人たちもいたが、「黙祷」は「沈黙」と無宗教化して表現された。
 一分間の沈黙の後、最初のあいさつに立った朝鮮総連長崎支部で委員長になったばかりの金鍾大(キム・ジョンデ)さんが「これまでの反省を込めて」と断りながら、追悼集会の前に心を込めて追悼碑の周りを掃除したと話した。つづいて、例年、韓国から高校生など若者を引率して参加している韓国原爆被害者2世の会会長の李太宰(イ・テジェ)さんは安倍政権の在韓、在朝被爆者に対する「被爆者健康手帳申請」「被爆者援護法適用」などでの差別的な対応を批判すると共に、東アジアに危険な緊張をもたらす一連の政策も批判した。李さんは犠牲者に心を込めて、韓国楽器でアリランのうたを奏でた。

参加者全員で
追悼碑に献花
集会の最後は、主催者の長崎在日朝鮮人の人権を守る会代表の高實康稔さんの集会メッセージが本人から読み上げられた。メッセージでは、オバマの広島訪問の際に式典に韓国人被爆者を一人も入れず、韓国人原爆犠牲者慰霊碑にも行かなかった背景には、安倍政権の意思があったはずだと指摘した。メッセージの最後では「被爆者健康手帳の申請には最大限本人の証言を重視して対応すること」「共和国の被爆者に被爆者援護法適用の道を開くこと」「安保関連法の廃止と憲法九条の厳守」「共和国との国交の正常化」の四点を日本政府に要求した。
その後、参加者全員で追悼碑に献花して早朝集会は終わった。     (H)


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