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    かけはし2016.年8月15日号

辺野古の海を壊すな!


7.31

辺野古・全国交流集会に六〇〇人

環境・自治・民主主義を

職場・地域から沖縄とつながろう

 七月三一日、止めよう!辺野古埋立て国会包囲実行委員会が主催して、「辺野古新基地建設断念を求める全国交流集会」が行われた。集会は午前中に全電通会館と連合会舘で@職場・地域からの闘いの報告と交流A「どの故郷にも戦争に使う土砂は一粒もない」〜辺野古土砂搬出反対全国連絡協B地方自治――私たちの町から沖縄につながるC環境破壊を許さない、が行われた。
午後の全体集会は、約五時間にわたり、四つの講演(@辺野古をめぐる米国の動向:高野孟さん、A辺野古と地方自治:白藤博行さん、B公有水面埋め立て承認の誤り:桜井国俊さん、C沖縄からの訴え:仲村善幸さん、伊波洋一さん)と二つの特別報告(岩国:新田秀樹さん、土砂搬出の闘い:阿部悦子さん)というぎっしり詰まった内容の集会。
午前中の各分科会は、準備していた資料では間に合わない数の参加者で、あわててコピーし、また午後の全体会の会場となった全電通会館ホールにも会場に入りきれないほどの六〇〇人以上が参加した。参院選沖縄選挙区の伊波圧勝直後から始まった高江での攻撃や、辺野古埋立て承認取り消しの違法確認訴訟提訴という、安倍政権の暴挙への怒りが、この結集に少なからず反映していると思われる。

辺野古への土砂
搬出に反対する
私は午前中、辺野古土砂搬出反対全国連絡協が担当する分科会「辺野古埋立土砂をめぐって何が起きているのか」に参加。
最初に安部真理子さん(日本自然保護協会・自然保護室主任)が「生物多様性豊かな、辺野古・大浦湾と埋め立て問題」というテーマで報告。辺野古・大浦湾はさまざまなタイプの異なる環境と地形が存在し、生物多様性の宝庫であり、今後もユニークな生活史を持つ生物が発見される可能性が高い、と指摘。その中で、埋立土砂が環境アセスメントの対象にならず、公有水面埋立手続きの段階になってはじめて、土砂の調達先が明らかにされる問題性を批判した。
前愛媛県議の阿部悦子さん(辺野古土砂搬出反対全国連絡会全国連絡協共同代表)は、「どの故郷にも戦争に使う土砂は一粒もない」と題して報告。
阿部さんは、二〇一三年三月に辺野古の埋め立てに使う土砂を瀬戸内海から運ぶという報道に驚き、二〇一五年五月に五県の七団体で「辺野古土砂搬出反対全国連絡協」を結成、一年後の今年四月には一二県一八団体に広がったことを報告。この土砂搬入が、搬入先の辺野古・大浦湾だけではなく、搬出元のサンゴ礁の破壊・砂浜の流出という自然破壊をもたらしていることを奄美大島の例などを通して報告。そこから門司の採石場、天草の御所浦、長崎・五島、瀬戸内海の小豆島、鹿児島県南大隅町、奄美の徳之島などで地元の自然、海を破壊しながら、石を切り出し、土を削って辺野古新基地建設のために搬出し、また辺野古の海を破壊するというサイクルが繰り返されている。そこは過疎・貧困化が生み出す矛盾が浮かび上がってくる。
阿部さんは、これらの土砂・採石搬出地域をつなぎ、さらに三重県津市のJFEエンジニアリング(旧日本鋼管造船所)で辺野古基地の土台となる巨大なケーソン製造に反対する現地の運動とも結び付くことができたことを報告した。

生物多様性を
焦点に据えて
続いて湯浅一郎さんが(辺野古土砂搬出反対全国連絡協顧問/ピースデポ副代表)が「今後の闘いの方向」について提起。
湯浅さんは、「生物多様性保全国家戦略」に定められている「生物多様性四つの危機」の@「開発など人間活動による危機」、B「外来種など人間により持ち込まれたものによる危機」という認識を共有し、政府自ら「外来種の持ち込みによる生態系撹乱」という危機を作り出してはならない、という主張を明確にさせることが必要と訴えた。また衆院沖縄・北方問題特別委員会での答弁「沖縄防衛局が、責任を持って、土砂提供業者に調査させる」「環境監視委員会の専門委員会が指導、助言する」という答弁を守らせることが必要、と強調した。
最後に現場からの報告として八記久美子さん(「辺野古埋め立て土砂搬出反対」北九州協議会事務局長)、柴田天津雄さん(辺野古のケーソンをつくらせない三重県民の会代表)、若槻武行さん(反辺野古土砂搬出・首都圏グループ代表)が発言し、質疑応答を行った。

日米中の軍事的
駆け引きに迫る
午後からは全電通会館に場所を移して全体集会。
高野孟さん(ザ・ジャーナル主幹)は「辺野古をめぐる米中日の軍事的駆け引きの虚実」というテーマで報告。
高野さんは、演出された東シナ海、南シナ海の「領土」をめぐる「一触即発の軍事的緊張の拡大」という報道、宣伝の虚偽について説明し、この誇張された危機を通じて米日の軍事的一体化・戦争法を正当化しようという政府の動きを批判した。
白藤博行さん(専修大学教授)は「辺野古と地方自治」というテーマで報告。戦後憲法は「非軍事化・民主化」の要の位置を占めるものとして「地方自治」を置いたことを改めて強調し、この間の辺野古基地建設強行をめぐる国による一連の沖縄県に対する訴訟は、根本的に憲法の原理に反するものであることを明らかにしていった。
休憩をはさんで特別報告として、新田秀樹さん(ピースリンク広島・呉・岩国世話人)が「米軍にとって使いやすい基地」としての岩国基地強化の現状を報告。米軍艦載機五九機を含めて米軍機一三〇機、自衛隊機をふくめて一六〇機が基地として使う、岩国の現状の中で、岩国市民の間には年間二〇億円となる「米軍再編交付金」が支払われることで「基地があってよかった」という声もある現実を紹介。空母艦載機の配備によって岩国が米海軍基地あってこその町になっている現実を訴えた。

現場での攻防
に勝ちぬこう
講演の三つめは桜井国俊さん(沖縄大名誉教授、沖縄環境ネットワーク世話人)の「公有水面埋め立て承認の誤り」。
桜井さんは政府の「辺野古埋立て理由書」が述べ立てている@抑止力論A地理的優位性論B一体的運用論を詳細に批判した。そして「辺野古でなければならないことの論証が全くないこと。森本敏元防衛相の退任のあいさつでも「辺野古である軍事的必然性はない」と認めていること、むしろ辺野古に基地を作ることによる不利益は、自然の破壊などを含めて明らかである、と強調した。
講演の四つ目は仲村善幸さん(名護市議、ヘリ基地反対協事務局長)の辺野古、高江報告と、七月参議院選で現職閣僚(沖縄・北方担当相)の島尻安伊子に圧勝して初当選した伊波洋一さんから。伊波さんは「普天間の危険性について日本政府は強調しているが、その危険性を作り出したのは日米両政府であり、危険性を容認し続けてきたのは日本政府だった」と語り、日本政府は「沖縄米軍基地の中にいる」と指摘した。
最後に、一坪反戦地主会関東ブロックの大仲尊さんが、土砂問題、高江ヘリパッド、キャンプシュワブ工事再開など、当面する闘いの課題を呼びかけた。(K)



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