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    かけはし2016.年8月15日号

辺野古新基地建設を絶対に認めない


沖縄報告:8月7日

8・5「違法確認訴訟」第1回口頭弁論

沖縄 K・S

8.5

オール沖縄会議の裁判所
前集会に1500人

金秀グループ会長が主催者あいさつ

 翁長知事の埋め立て承認取り消しに対して、国交相が「是正の指示」を出し取り下げるよう求めたが沖縄県がそれに従わないのは違法だとして、国が沖縄県を訴えた「違法確認訴訟」の第1回口頭弁論が八月五日午後、福岡高裁那覇支部で開かれた。裁判に先立ち、裁判所前の城岳公園で、「辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議」主催の集会が開かれ、1500人が結集した。
 はじめに主催者を代表して、オール沖縄会議の呉屋守将共同代表(金秀グループ会長)があいさつした。「昨日菅が何と言ったか。振興予算と基地容認とのリンク論を打ち上げた。パンドラの箱を開けた。振興予算は法律に基づいて支出されている。安倍からもらっているわけではない。勘違いされたら困る。経済界もみんなと一緒に勝利するまで頑張る決意だ」。
 そして、沖縄選挙区選出の衆参両院国会議員の発言が続いた。
 照屋寛徳さん「ハイサイ。翁長知事の埋め立て承認取り消しは一点の誤りもない。裁かれるべきは国だ。政府がリンク論を騒ぎ立てるなら沖縄は、金は要らない、その代わりすべての基地を撤去せよ、と強く求める。翁長知事をみんなで支え、裁判に勝利しよう」。
 赤嶺政賢さん「安倍内閣はまだ懲りていないようだ。沖縄の歴史の教訓は、弾圧は団結を強めるということだ。全県民、全国民が団結して安倍を追い詰めていこう」。
 玉城デニーさん「昨日超党派の国会議員で、辺野古、高江を訪問して来た。知事を最後まで支えて勝ち抜こう」。
 仲里利信さん「安倍と仲井真の三〇〇〇億円が一人歩きしている。沖縄が三〇〇〇億円余計にもらっているというデマがまかり通っている。教科書にも書かれるほどだ。だが、ウチナーンチュだましは通用しない。我われの闘いは武器を持たないが、空手がある、心がある。翁長知事を支える一〇万人集会をやろう」。
 糸数慶子さん「伊波洋一さんと一緒に、院内会派『沖縄の風』を結成した。これからの闘いは国内世論、海外の支援を掘り起こしていくことが大事だ。世界に発信していこう。決して屈しない闘いを最後まで続けよう」。
 伊波洋一さん「参院の外交防衛委員会に籍を得た。しっかり取り組んでいきたい。基地をつくらさず自然を守り抜こう。沖縄には自己決定権がある」。
 そのあと、各団体の発言が続いた。
 県議会会派「おきなわ」の瑞慶覧功さん「参院選で圧倒的な沖縄の民意が示された。にもかかわらず基地建設を強行するのは権力の蛮行だ。翁長知事が言っているように、辺野古の問題は沖縄だけの問題ではない。日本の自治、民主主義の問題だ。日本政府がどうしようもなければ、沖縄は独立も視野に闘わなければならない」。
 ヘリ基地反対協の安次富浩さん「普天間基地の危険性の除去を言うなら、今すぐ閉鎖すべきだ」。
 近藤昭一衆院議員(民進党)「阿部知子議員と共に参加している。すべての人が沖縄で起こっていることに関心を持ち立ち上がらなければならない。参院選後から沖縄で暴挙が始まっている。法の無視が横行しなんでもありになっている。この状況を変えるために力を合わせよう」。
 福島瑞穂参院議員(社民党)「先月二六、七日高江に行ってきた。県道の上にあるものを防衛局がどうして勝手に撤去できるのか。緊急措置法の先取りだ。戒厳令に他ならない。先日国会で高江集会をし、三五〇人集まった。国会でこんなに集まったのは初めてだ。頑張る」。
 引き続き、翁長知事と弁護団が登場し、まず弁護団を代表して竹下弁護士が発言した。竹下弁護士は「違法確認訴訟という聞きなれない名前の裁判だが、おそらくこれが最後の裁判になるだろう。国と地方公共団体が対等であるにもかかわらず政府国交相が違法な介入をした。悪い前例にならないよう全力を尽くす」と述べた後、七人の弁護士を一人ひとり紹介した。
 翁長知事「国の大きな壁があるが、私たちには正義がある、民意がある。どうしても負けるわけにはいかない。辺野古新基地は造らせない、造れない。昨年の苦しさに比べたら、今の状況はなんでもない。世界が見ている。後の世代の人々が、あの時の人たちが頑張ってくれたから基地のない平和な世の中ができた、と言われるように全力を尽くそう」。
 最後に手をつなぎ高く上げる方式の頑張ろう三唱で集会を締めくくった。

裁判所は「国の不法な
関与」を退ける判決を下せ


 法廷では、翁長知事が意見陳述を行なった。多見谷寿郎裁判長は、県が申請していた八人の証人申請をすべて却下した。国は一回で結審することを求めていたが、裁判長は、八月一九日の第二回口頭弁論で知事尋問などを行って結審し、九月一六日判決を言い渡すと述べた。
 今回の裁判は「短期間の結審となったことは大変残念」と翁長知事が述べたように、実質的議論の深まりを期待できない裁判になる。裁判の争点は、@前知事の埋め立て承認を法的な瑕疵があるとして翁長知事が取り消したのは適法か、A国と地方の対等をうたう地方自治法からみて国交相のよる是正の指示は違法な関与か、B係争委の審査が「真摯な協議」を求めたのに協議をせずに裁判に訴えた国の対応に問題はないか、等である。
 判決がどういう内容になるか。裁判長は、国と県が「和解」した先の代執行裁判と同じ裁判長である。代執行裁判は国の不法性が明白で国の敗訴が予想されたため、裁判長が和解案を提案し、国も和解に応じた。国は、「和解」により代執行裁判を取り下げたあと、是正の指示↓係争委↓違法確認訴訟と手続きを踏んだので適法だと強弁している。
 彼らが適法を主張するのは法的手続きのプロセスだけである。内容ではない。内容は違法だらけだ。
 翁長知事を先頭に結束を強めよう。沖縄にはもうこれ以上基地はいらない、新しい基地は造らせないという県民と全国の声を大きくし、裁判闘争に勝利しよう。

翁長知事の意見書・結語から

沖縄はアジアの人々との
平和の懸け橋


 私たちが目指すべきは、本来の沖縄のあり方、普遍的なかたちに戻ることです。沖縄は既に観光立県ですが、その前に県民同士で支え合う、助け合う気持ちを取り戻したいと思います。それは沖縄らしい「優しい社会の構築」です。また、今は基地だらけですが、防衛地点ではなく、沖縄がそこにあることによって、日本、韓国、北朝鮮、中国、東南アジアの国々の人々が、平和と安全の中で人間らしい生活ができる。そういう役割を沖縄に担わせてもらいたいのです。
 平和と安定の中にこそ、沖縄の発展があり、日本の発展があるからです。
 その意味では、沖縄の経済がぐんぐんと伸びてきていること、日本経済のフロントランナーになる可能性を大いに秘めていることは、私たちの自信につながっています。
 今日までの長い歴史の中で、ここに至って、やっと沖縄の可能性を十全に発揮できる時代が来ました。
 何百年来アジアと仲良くできた沖縄が日本とアジアの懸け橋になれる、大きな意味で沖縄の自立と、日本という国の中で果たす役割が初めて見えてきたように私は感じています。
 生身の人間である私たちは、場合によっては木の葉のように舞い散るかもしれません。しかし、それでも私たち責任世代は、自分の姿を伝えて、子や孫に勇気と誇りと自信を持ってもらいたいと思います。自分の生まれた故郷で未来の世代が自信をもって生きていけるような素地をつくることが私たちの使命です。
 辺野古の問題は、沖縄県だけの問題ではなく、地方自治の根幹に関わる問題であり、ひいては民主主義の根幹に関わる問題であります。本件のような違法な国の関与により、すべてが国の意向で決められるようになるならば、地方自治は死に、日本の未来に拭いがたい悔恨を残すことになります。
 沖縄の人権、自治、民主主義は、日本国憲法の適用もない米軍施政権下に差し出された厳しい時代の中で、住民運動によって自ら勝ち取ってきた自負があります。自分たちのことを自分たちで決めるという、当たり前のことを諦めさせられるわけにはいきません。
 私は、状況がどんなに難しくても、沖縄県民の願いがある限り、全身全霊をかけて主張し、県民と共に行動していく覚悟です。

8.5

高江N1裏現地集会

座り込みテントを撤去させないぞ!

強制撤去に反対し一〇〇〇人が結集


 八月五日夕方、高江のオスプレイパッド建設予定地に通ずるN1裏出入り口前で、「ヘリパッド建設工事阻止高江現地集会」が開かれ、沖縄各地、全国各地から一〇〇〇人が緊急に結集した。主催は基地の県内移設に反対する県民会議、ヘリパッドいらない住民の会、高江現地行動連絡会の三者。新川ダム周辺やN1裏出入り口付近の道路は、防衛局による座り込みテント・車両の撤去を阻止しようと集まった参加者の車で数百m以上にわたって埋めつくされた。
 集会ではまず、「今こそ立ち上がろう」の歌を全員で歌い、山城博治平和運動センター議長が「一〇年間頑張ってきた。その力がいよいよ試される闘いの時がやってきた。絶対にゲートを開けさせない、工事を止める。力を合わせてこの森を守ろう」と檄を飛ばした。そして、集会には、辺野古の島袋文子さん、国会から赤嶺政賢、福島瑞穂、糸数慶子の三人の衆参議員が参加していることを紹介した。
 主催者のあいさつに立った、統一連の中村司代表は「一九六一年、本土で富士演習場に対する反対運動が盛り上がり、当時の日本政府は基地の撤去を要請、沖縄の西表島への基地建設を当時の沖縄の高等弁務官・キャラウェイに打診したが、キャラウェイは沖縄でのこれ以上の基地建設はNO!と拒否した。安倍はキャラウェイ以下だ。新基地を止め、沖縄から基地をなくして行こう」と述べた。
 平和市民連絡会の高里鈴代さん「オスプレイはSACOの時にはなかった。政府が隠していた。周辺村長が受け入れてから後出しした。県民を愚弄するものだ」。
 平和運動センターの大城悟さん「負担軽減という言葉で基地を押し付けてくる政府の攻撃をはねのけよう。先日のN1ゲート前の攻防では、非常に悔しい、悲しい思いをした。全国で連帯の動きが広がっている。やんばるの森を守っていこう。県民の力、国民の力を政府にぶつけてこの国の未来を切り開いていこう」。
 住民の会の儀保昇さん「住民は誰一人ヘリパッドに賛成していない。皆さんの力を貸してください。森を守ろう」。
 現地行動連絡会の間島孝彦さん「たくさん集まってくれて本当に有り難い。今日はこの一〇年間関わった人々がみんな来てくれた。この力で工事を止める」。
 そのあと、全国各地から二〇〇〜三〇〇人参加していることが報告され、京都、大阪、東京など各地の若者があいさつに立った。
 続いて三人の国会議員が発言した。
 赤嶺政賢さん「一九五〇年代、米軍は北部訓練場で実弾訓練をしようとしたが、やんばるの人々は反対し森を守った。北部訓練場の返還について海兵隊は要らないから返すといっている。オスプレイパッド六か所の建設は負担増大に他ならない。県民をごまかすな。N1のテント強制撤去の根拠について、防衛省は答えられない。一週間後出してきたのが防衛省設置法。これは防衛省の仕事をあれこれ記しているだけで、テント撤去の理由があるわけがない。N1裏のテントを守りぬき、やんばるの人々の生活を守ろう」。
 糸数慶子さん「七月一〇日の参議院選挙で、現職の沖縄担当大臣をノックアウト、伊波さんが当選した。ところが政府は翌日から、有無を言わせぬヘリパッド建設の強行。民意はいったい何なのか。沖縄だけどうしてこんな不当な扱いを受けるのか。力を合わせ、森を守り、生活を守ろう」。
 福島瑞穂さん「長年闘ってこられたみなさんに心から敬意を表する。明日は山本太郎さんも来る予定だ。国会の仲間たちと沖縄で会うことができうれしい。二二日のN1の攻防の際にはいることができず申し訳なかった。沖縄の問題は全国の問題。これほど弾圧されているところはない。またこれほど頑張っているところはない。辺野古・高江は日本の民主主義の最前線だ。やれる限りやり抜く」。
 集会終了間際、にわか雨が降りはじめた。参加者の半分ほどは、翌日未明に予想される防衛局の強制撤去の動きに備えて、座り込みテントと周辺の車両に泊まり込んだ。テントの中は数百人の人で埋まり、防衛局・機動隊との対決を控えた緊張感の中で、交流の輪があちこちに咲いた。
 真っ暗なやんばるの森の夜空は満天の星、星、星。星ってこんなに数が多くて明るかったのか。夜空を通してまた一つやんばるの森の魅力を体感した。
 夜が明け始めるとともに三々五々テント前に集まってきた人々。六日午前六時過ぎから早朝集会が始まった。防衛局の強制撤去の動きがないようだと判断される中、七日夕方再度結集し翌八日の動きに備えるという新たな行動提起が行われた。
 そのままテントに居残る人たちも多い。七日午後六時の集会には約三〇〇人が集まり、テントや車中に泊まり込んで、防衛局・警察による座り込みテント強制撤去の動きに備えた。
 他方、県道七〇号に面したN1ゲートからの大型ダンプによる土砂の搬入と旧林道の資材搬入道路としての整備は急ピッチで進められている。県道七〇号に面したN1ゲート前は本土からの警察機動隊五〇〇人と沖縄県警があたかも戒厳令のような制圧下においている。土砂搬入のダンプ二台を間に挟んで前後をそれぞれ三〜四台の警察車両で固めた車列が通るたびに、県道七〇号線は封鎖され、抗議の人々一人に三人の機動隊員がピッタリとついて規制するのが常態化している。文字通り警察国家だ。将来の話ではない。今現在のことだ。高江は人権も民主主義もない国家による不法地帯となっている。
 全県から、全国から、高江に駆け付けよう。高江は毎日が闘いだ。高江を救え。警察支配を打ち破ろう。人権と自治と民主主義を取り戻そう。


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