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    かけはし2016.年8月1日号

民主戦線を組織し、社会的反対派の構築を


トルコ

軍とエルドアンのクーデター反対

覇権維持のための選挙結果の清算を許すな

イエニヨル


 以下の声明はソーシャリスト・デモクラシ・イジン・イエニヨル――第四インターナショナルトルコ支部――から、七月一五日のクーデター企図の後出された。

トルコ社会の分
断が背景に存在
われわれはこれまで、あらゆる不確実性、ためらい、反対側の対抗行動、そして残忍さを伴ったものとして、七月一五日夜のクーデターの進展を時々刻々と目撃してきた。この流血の夜は、兵士と警察の衝突、テレビ局の占拠、虐殺された市民とリンチを受ける兵士という諸々のイメージ、そして頂点としての国会議事堂爆撃をもって思い出されることになるだろうが、AKP(公正発展党、現トルコ政権党)とギュレン運動が協力して作り上げた国家内部における、古くからのパートナー間に起きている権力闘争では最後の光景の一つとして現れている。
エルドアン政権が二〇一五年六月七日の選挙(AKPが議会過半数を失い、HDP〈人民民主主義党〉が、クルド人以外にエルドアン政権に反対する人びと多数を引きつけ得票率一〇%の制限を超え、はじめて議会進出を果たした:訳者)以後彼の覇権維持を目的に、ためらうことなく混乱と内戦的空気に訴えていることを基礎に置けば、極めて短期のクーデター企図鎮圧、および再び元気づいたイメージの下での政府メンバーメディア再出現の後では、このクーデターのもくろみはエルドアンの独裁の渇望を現実化するべく仕組まれた、といった数多くの陰謀がらみの評価が、幅広い反響を得ることになった。
しかし政権が最新の選挙(前記六月七日の結果を清算するために、ある種内戦的空気を煽りながらエルドアンが強行した:訳者)でほぼ五〇%の得票率で固められたという環境の下では、より筋の通った解釈は以下のようなことだ。つまり、大規模な解任作戦に直面したギュレン支持者、またそれらと協調していた軍隊内のいくつかの部分が、大慌てでクーデター計画を前倒しした、ということだ。
諸々の動機、この運動の発案者、また情報機関がもっている情報のレベルに関し詳細な情報を得るには待つ必要があるとはいえ、明らかなことは、この進行がもたらすと予想される客観的な結果が、エルドアン政権のイスラム独裁制の打ち固めになる、ということだ。
国家機構内では新たな、また最後の粛清が予想されるという事実の最初の兆候は、七月一六日朝の、判事と検事内部の数千人に及ぶ解任、および高位の司法機関内部での数々の拘留だ。この日はまさに、政権支持者が「アラー・アクバル」(アラーは偉大)「レセプ・タイップ・エルドアン」「われわれは私刑を欲する」といったスローガンの下に民主主義を救い出したその翌日なのだ。
クーデターに対決し政権を守れと人びとを街頭にせき立てるために、国家諸機構とあらゆるモスクから行われた呼びかけが、シリア人住民に対する攻撃とアレヴィ居住地区内の緊張に転じたという事実がはっきり示していることは、トルコ社会内部の多次元的分極化がある種危険なレベルにまで、どれほどはびこって広がっているか、だ。

 

すべての独裁に
対決する戦線を
そしてわれわれには全く疑いがないこととして、学者、ジャーナリスト、公務労働者、クルド活動家また社会主義者を親クーデター派と言明し、反政権のあらゆる言動をテロリズムと関連させることにより彼らの逮捕を執行したエルドアンの大統領宮と政府は、七月一五日のクーデター企図を、政権反対派すべてに対するより過酷な攻撃の正当化として利用するだろう。
そして中期的には、われわれには確信できることだが、七月一五日のもくろみは、基盤、スタッフまた軍外部の支援を欠いた失敗したクーデター企図としてではなく、戦車によじ登った民衆が成功し止めた反乱として、エルドアン体制の創出神話の最初となり、歴史を作るだろう。
急進左翼組織のすべて、そして議会に代表をもつ政党すべては、クーデターに反対すると言明した。まず始めに諸々の自由と民主的諸権利を凍結する軍事介入からは労働者と被抑圧民衆が得ることのできるものなど一つもない、ということをわれわれの意識にとどめつつ、クーデターに対決する立場を取ることは、われわれにとっても原則的な任務だ。しかしわれわれはそれに加えて、大統領宮のクーデターにも反対し今後も反対する、ということを宣言する。大統領は、その覇権維持のために選挙結果を清算し、民族主義者の票を獲得するためにクルディスタンを打ち壊し、それらを「国民の脅威」と宣告することで大衆ストライキを禁止し、代表権を得るクルド民衆の権利を葬ろうと全力を挙げたのだ。
AKPがその中で政治を罠にかけた「クーデターかエルドアンか」という二律背反から免れることのできない反クーデターの立場は、政権の掌中で踊ることになるだろう。この政権は、クーデターの企図だけではなく、あらゆる反政権派をも「国民の意思」を代表して血なまぐさく抑圧し、七月一五日におけるその活動をわれわれが見た、イスラム・ファシズム諸勢力をためらうことなく利用するだろう。
クーデターをおかげとしたみずからの犠牲者化を通して、労働者、民族的―宗教的マイノリティ、女性、LGBT諸個人、さらに反政府派諸層に敵対して、政治、司法、軍、経済といった諸空間で絶対的権力を追求する独裁体制の攻撃に対しバリケードを築く方法は、現存する民主主義と平和の諸勢力の統一された戦線を構築することだ。イスラム・資本主義の権力ブロック、また血なまぐさい軍事独裁の可能性、この両者を永遠に歴史のくずかごに投げ込む方法は、今まで無視されてきた方法、つまり、その心臓部としての労働者と共に下から社会的反対派を辛抱強く作り上げることだ。
道は暗い。希望と抵抗をわれわれの明かりにしよう! (「インターナショナルビューポイント」二〇一六年七月号)

フランス

「ニースでの虐殺」に対する声明

治安強化だけでは解決されない

2016年7月15日 NPA

 以下の声明は、反資本主義新党(NPA)から二〇一六年七月一五日に出された。
 NPAは、ニースで今夜犯された虐殺の犠牲者と彼らの家族たちに対する全面的な連帯を表明する。再び、苦しみの対象とされているのは、関わりのない犯罪に対しスケープゴートにされた、無実の犠牲者である男、女、子どもたちだ。この見苦しい暴力は、憎悪と怖れをまき散らすことにより、テロと暴力の不可逆的なスパイラルをつくり出しつつある。
 われわれの政府の想像能力の中にある唯一の対応は、治安諸方策の強硬化だけだ。すなわち、非常事態宣言の三カ月延長がそれであり(その後共和党の要求に妥協し六カ月延長にされた:訳者)、もちろんそれは早くから実行されてきたものだが、それでも何ものも阻止することはなかったのだ。その唯一の目的は、エルコムリ法と反労働者法に反対して決起している者たちに対し利用されている警察の圧力を高めることだった。こうしたすべてにもかかわらず、マヌエル・ヴァルス首相は、厚かましくも「国民の団結」を求めている。
 フランソワ・オランド大統領は、予備役の軍人の動員とシリアでの戦争のエスカレーションを欲している。しかし、社会的で政治的な混沌を大々的に生み出しつつあるものこそ、アフガニスタン、イラク、シリア、アフリカでの戦争に刻まれた残酷さ、その上にイスラム国が成長した悲惨ではないのか? これらの戦争が殺人者たちを、彼らのこの世の終わり的、かつ血なまぐさい思想に命を吹き込みつつ、動き出させてきたのではないのか?
 今回の最新の攻撃は、反移民、反難民、反ムスリム、レイシズム、民族主義、また外国人排斥、というありとあらゆる種類の言説の正当化に利用されるだろう。NPAはこれと対決して立ち上がり、何よりもまず難民たちに対する、そして帝国主義戦争に対する国際主義的な回答を提唱し続けるだろう。われわれは、資本主義が生み出している残忍さから解放され、連帯を基礎とする進歩的な世界に向けて、わが民衆に決起を呼びかけ続けるだろう。(「インターナショナルビューポイント」二〇一六年七月号) 

コラム

憎っくき胆石

 ショックだった。昨年エコー検査で見つかった胆石は、今年の検査では倍の大きさにまで成長していた。一〇ミリから一八ミリへ。ちょうどパチンコ玉からビー玉くらいになっていたのだ。私に恐怖感を植えつけるには十分だった。倍々ゲームで大きくなるかもしれない。さらに前立腺肥大のオマケまでついてきた。
 折しも、この参議院選挙で改憲勢力は三分の二以上を確保してしまった。猛暑を予感させる暑さの中でセミが一斉に鳴き始め、テレビの音声まで聞き取りにくくなってきた。イライラが募る一方である。「やかましい」思わず怒鳴ってしまった。
 「やがて死ぬけしきはみえず蝉の声」(芭蕉)
 サイレントストーン。私の胆石の呼び名だ。私が持っているのは胆嚢結石で、無症状であることを意味している。検査で胆嚢の様子が十分わかり、胆嚢癌の疑いがない場合は積極的な治療の対象にはならない。年一〜二回のエコー検査による経過観察で良いとされている。
 だがこれが曲者なのだ。私は慢性的な腰痛持ちなのだが、ちょっと腰が痛んでも胆石の痛みが出たのではないかと冷や汗がでる。激痛になるという。今や心落ち着いた日々を送れなくなりつつあると言っても過言ではない。
 日本人の一〇人に一人は胆石を持っていると言われている。約八割が胆嚢結石、約二割が胆管結石だそうだ。さらにその約八割がサイレントストーンなのだそうだ。一生サイレントストーンのままの人の方が多いと医者は慰めてくれるが。胆嚢結石は痛む場合、胆管結石は無症状でも治療の必要がある。
 さらに、サイレントストーンでも@胆嚢の壁が厚くなっているA胆嚢が萎縮しているB胆嚢内の大きな石や多数の石のためエコー検査で胆嚢の壁を正確に評価出来ないC胆嚢の壁が全体的に石灰化している、等の場合には治療の対象となるとされている。
 胆石はその成分によって、大きくはコレステロール系結石、色素系結石(ビリルビンカルシウム系結石、黒色石)に分類される。七割がコレステロール系、三割が色素系である。日本人の食生活の欧米化に伴って、コレステロール系が増加しつつあるそうだ。
 このことは日々の食生活にそれなりに関わってくるのである。もちろんコレステロールが多く含まれる食物は極力避けたほうが良いのは言うまでもない。
 踏んだり蹴ったりである。あまりの暑さに喫茶店に駆け込んだ。汗を拭きながら病院で貰った腫瘍マーカーを含んだ血液検査の結果を見ている時に、メガネが落ちた。椅子の金具の上だ。メガネはガラスレンズなので最悪の結果になった。低額の年金生活者である今の私には新しいメガネを買う余力はない。やむを得ず旧いレンズを使いフレームを新しくすることにした。多少見え方が悪いがしかたがない。いったいこの私が何をしたと言うのだ。 (灘)


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