もどる

    かけはし2016.年4月11日号

一体となって活動する時だ


シリア

地域の民衆の解放に向け

シリア・イラン社会主義者連合への協力を

 以下は、シリアの反政府派ウェブサイト「フリーダム・フォーエヴァー」に掲載されたアピール。イランとシリアの社会主義者が共同してウェブサイトを開設することを公表し、多くの人々に協力を要請している。(「かけはし」編集部)


大国の今の画策
は解決ではない
民主主義と人権を求めた民衆的なシリア革命の始まりから五年、シリアの革命的な人びとは、一方におけるアサド政権、その宗派的民兵を伴ったイラン政権、そしてロシアの空爆と軍事支援、および他方におけるウルトラテロリストのISISやサラフィスト―ジハーディスト諸組織、こうした組になった軍事力を通して、多数が殺害された。それにもかかわらず、三月初めのアサド政権とロシアによる空爆の部分的縮小は、イドリブでの以下の「われわれの平和的な革命は、アサド政権を倒し、シリア中すべてに正義を迫るまで今なお進行中」などの旗を掲げた、国中における民主的反政府派の大衆的抗議の即時的復活に導いた。
ほとんどがスンニのアラブシリア人のほぼ五〇万人が、主としてアサド政権によってこれまでに殺害された。住民は、日々悪化を続ける状況を前にしている。ロシアの空襲、ヒズボラ、そしてイランが支援する地上軍は、米国、ロシア、中国、フランス、英国が支えた二〇一五年一二月一八日の国連安保理決議と並んで、アサド政権に完全に新たな命を与えることになった。
同時に、サウジの専制王政とイラン政権は、宗教的宗派主義の炎を煽ることによって、この地域に対する支配のための彼らの競争を強め続けている。トルコ政府は同様に、北部シリアとトルコのクルドに対する抑圧と攻撃を強化し、また地域における宗教的宗派主義の助長で一つの役割を演じてもいる。レセプ・タイップ・エルドアン大統領は、「効率性」の一モデルとしてヒトラーの「総統システム」を賞讃した。
国内の八〇〇万人以上の難民、そして国外の四〇〇万人以上の難民によるシリア難民危機は、パレスチナ人のアル―ナクバ(イスラエル建国によるパレスチナ人の追放)のはるかに大きな改訂版となっている。EUは難民割り当てを設定しつつ、その門を閉じ、三〇億ユーロと将来のEUメンバー国に可能性を与えることと引き換えにトルコがもっと多くの難民を受け持つということを基礎に、トルコとの協定を結んだ。明らかなことだがこれは解決ではない。トルコも、中東地域のいかなる他の国も、一二〇〇万人以上の難民を認め、彼らにまともな暮らしを与える意志はない。
われわれは、シリア人社会主義者そしてイラン人社会主義者として、この非人間性に反対し、真の解決を見出すための立場をとることでわれわれに加わるようみなさんに訴える。

シリア革命とク
ルド解放は一体
すなわち第一にわれわれは、アサド政権が二つの悪のよりマシなものであるという、そしてこの政権の安定化がシリアの戦争を終わらせる、あるいはISや他のジハーディストの台頭を停止させる、という神話の受け入れを拒絶する。それとは逆に、アサド政権は今や五〇万人と見積もられている死の多数に対し責任がある。シリア革命に一体化された民主諸勢力のこの政権による破壊こそが、ISIS並びに他のサラフィスト―ジハーディスト諸グループにとっての肥沃な土壌をつくり出したのだ。
第二に、アサド政権とISIS両者とも、資本主義、レイシズム、そして女性蔑視の政府であるという事実を前提とすれば、中東に存在している階級的/エスニック的/宗教的分断とジェンダー差別に取り組むことなしには、彼らに対する実現可能なオルタナティブは何も形成され得ない。
第三に、われわれは、イラク、シリア、トルコ、イランにおける自己決定を求めるクルドの闘争、およびクルド民族解放運動に対する支持という原則的立場を強調するが、その中で、シリアのクルド民衆の自己決定を求める闘争をシリア革命の力学から切り離す、そうした左翼の多くに異議を挟むこともまた必要だと考える。ロジャヴァにおける自治的な諸県が存在するにいたることを可能としたものこそ、二〇一一年のシリア革命だったのだ。シリアの革命なしには民主的なロジャヴァはまったくあり得ない。
シリアクルド人民主統一党(PYD)シリア政府、そしてロシア空軍間の調整と協力に関する最新の証拠は、警戒警報となるものであり、クルド人にとって良い前兆ではない。クルド民衆の自由と解放は、この地域の民衆の自由と解放に結びついている。

三カ国語ウェブ
サイトに合流を
シリアとイランの社会主義者にとって、階級的偏見、ジェンダーの偏見、エスニック的偏見、宗教的偏見に挑み、女性、労働者、クルド人やパレスチナ人のような抑圧された国民、抑圧されたエスニックや宗教的少数派、そして性的少数者、これらの闘争に関して話すために一体となって活動するときだ。今こそわれわれにとっては、地域のまた世界的な資本主義―帝国主義の諸大国に反対する人間解放の構想としてだけではなく、以前のスターリニストのソ連邦や毛沢東主義の中国で自らを共産主義と呼んだ全体主義体制から区別された肯定的な構想としても、社会主義をあらためて訴えるときだ。
われわれはこの目的に向けて、「シリア人・イラン人社会主義者連合」という今始まろうとしている三カ国語(アラビア語、ペルシャ語、英語)ウェブサイトで協力することによって、われわれに加わることをみなさんに求めている。われわれの目標は、いくつかの極めて特定された問題に取り組むことを基礎として、論述を通じ、また会合などの共同活動を通じ、その双方の形で、シリア人社会主義者とイラン人社会主義者間の連帯を推し進めることだ。上に触れた問題は以下のようなものだ。

 われわれはいかにすれば、地域での憎悪を助長しているシーア、スンニの偏見に挑むことができるか? アサド政権に対するイランとロシアの支援が終わった場合、シリアでは何が起こるのだろうか? 自己決定を求めているクルド人や他の民族がもつ諸々の批判/懸念に、シリア人社会主義者とイラン人社会主義者はどのように回答することになるだろうか? 両者は、連邦主義は始まりとなる解決になり得る、と考えるのか? 問題が階級的諸闘争やジェンダーの諸闘争となる場合、みなさんの社会的公正についての見方はどのようなものだろうか? みなさんにとって社会主義とは何を意味するのか、またみなさんは、スターリニズムのソ連邦や毛沢東主義の中国に存在した全体主義的体制から社会主義をどう区別しているのか? アサド政権および同様にISISと他のジハーディスト諸勢力に対するわれわれの反対を表し、シリアの民主的反政府派との連帯に取り組む点でわれわれを助ける目的で、シリア人とイラン人の社会主義者の適切な共同行動について、あなたはどのようなものを提案するか?

 あなたがこの努力に参加したいと思うのであれば、是非われわれに連絡を願う。
info@
alliannceofmesocialist.org
二〇一六年三月一五日
(以下に、北米と欧州在住の一三人と一組織の賛同署名。「シリア・フリーダム・フォーエヴァー」より)(「インターナショナルビューポイント」二〇一六年三月号)  

パキスタン

声明:極右のさらなる襲撃について

平和・公正・平等掲げ団結を

2016年3月28日
アワミ労働者党(AWP)

 三月二七日、パキスタン北東部に位置する同国第二の都市ラホールの公園で、おもにキリスト教徒を狙ったとされる爆弾テロが発生し、七二人以上が殺害された。イスラム主義武装組織であるパキスタン・タリバン運動の犯行と見られる。アワミ労働者党のファルーク・タリク書記長は同党の名において、このテロ攻撃を糾弾する声明を発表した。(本紙編集部)

犠牲者ヘの言葉
すら失う悲しさ

 ここ何年もの間、アワミ労働者党は数多くの襲撃事件を悼み、非難してきた。本日われわれは、新たな襲撃を非難し、悲嘆にくれながら座り込んでいる。
昨日(三月二七日)、ラホールのグルシャン・エ・バグで、自爆テロによって七二人以上の女性、子ども、男性が殺され、二〇〇人以上が負傷した。金持ちたちが家族を守るために私的なセキュリティーをあがなう余裕がある町や国では、彼らは家族を守るためにガードされた家の安楽さから離れて、日曜日のピクニックに出かける必要などない。
グルシャン・エ・バグは、金持ち以外のわれわれのための庭だった(訳注:爆弾テロが起きたのはラホールの庶民が憩う公園)。この場所は、私的なセキュリティーというぜいたくの余裕などない、われわれのための場所である。そしてそこは、労働者階級や中産階級の家族たち――われわれの子ども、パートナー、両親、祖父母――を連れて、オープンに笑い、愛する場所だった。昨夜、われわれの娘、息子たちが命を失い、実に多くの私たちの愛する人たちの生が奪われた。母と父、姉妹や兄弟、娘、息子を失ってしまった人びとの暗い喪失感に対して語りかける言葉もない。亡くなり、負傷した人びとのためにわれわれの心は泣いている。
PMLN(訳注:ムスリム連盟ナワーズ・シャリフ派、現政権与党)は、この火がPMLNの支配するラホールにも広がるという事実を理解しなければならない。

ラディカルな変革
へ力合わせ決起を


アワミ労働者党は、ショックを受けた人びとすべての団結と、この攻撃に対する糾弾を呼びかける。なによりもイスラム主義極右勢力の政治と結びつけられた二万人以上の男たちが、われわれとわれわれが永遠に愛する人びとの生活を変えろという脅しを持って、首都に襲撃をかけてきたからこそ、この団結がなおさら重要なのである。かれらはシャリア法の強制、冒涜禁止法の完全な実施、冒涜法を犯したアシア・ビビなどの絞首刑、アフマディー派ムスリム(訳注:一九世紀後半にインド・パンジャブ州出身のミルザー・グラーム・アフマドが起こしたイスラム教改革派の教団)と非信徒の国家の役職からの追放などなどの要求を掲げている。
国家と軍が、国内でまた国外で、かれらの個人的・政治的目的に奉仕させるために数十年間にわたってイスラム主義勢力を育成していくのを、われわれは横目で見てきた。国家と軍隊が一貫して「外国勢力」――RAW(インドの諜報機関)、CIA、モサド(イスラエルの諜報機関)――を非難し、わが民衆自身に銃を向け、かれらが作りだした諸問題を貧しい人びとや、抵抗力を奪われた人びと――パシュトゥン人、バローチ人、シンド人、パンジャブ人、シラキ人などそれぞれの――のせいにするのを傍観してきた。国家と軍隊は、かれらが長年にわたって作りだし、育成してきたイスラム主義勢力と自分たちとは別ものだと装いながら、暴力のサイクルをさらに培養していく口実にこの襲撃を利用するだろう。そんなことは間違いである。
軍部当局、かれらの傭兵たち、極右諸政党が、この問題をわれわれの愛する人びとや全体としての大衆の安全の問題として定義し、その方向に駆り立てることをわれわれは許すことができない。暴力に満ちたわれわれの過去の廃墟から、ラディカルな平和と平等の新しい物語を刻んでいくべき時である。
すべての進歩的、非宗教的、民主主義的勢力は、すべての人びとにとってのラディカルな平和・公正・平等の旗の下に、共に決起しよう。

ファルーク・タリク/アワミ労働者党書記長


もどる

Back