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    かけはし2016.年4月4日号

大幅賃上げ!非正規均等待遇を


3.23〜24

郵政産業ユニオンがストライキ

熱気にあふれる本社前集会

全国23拠点で「総がかり」の闘い


不当なゼロ回答
に怒りがつのる
三月二三日と二四日、郵政産業労働者ユニオンは全国二三拠点で、八六人が春闘統一ストライキに決起した。二三日には盛岡から長崎にいたる全国で、そして二四日には千葉中央でストライキが打ち抜かれた。八六人という数はこれまで最大であり、スト権投票の結果も七五%を超える支持で前年を上回るものだった。三月二三日、午前一一時一五分から東京・霞ヶ関の日本郵政本社前には二〇〇人が結集しストライキ突入集会が行われた。
集会で発言に立った日巻直映委員長は、「月給二万円以上、時給二〇〇円以上の賃金引き上げ、非正規社員の均等待遇実現と正社員化、大幅な増員」を要求して二月一〇日以後、八回の交渉を行ってきたことを報告した。しかし経営側の回答は、正社員のベースアップはゼロ、時給の引き上げもなし、均等待遇要求も「経営環境が悪い」ので不可能という、著しく不誠実な要求だった、と日巻委員長は怒りを込めてストに至る経過を訴えた。

闘ってこそ道
が開かれる!
連帯のあいさつの最初は、全労連の井上久事務局長。井上さんは日本郵政の回答が「ベア」ではなく「一時金の特別加算」というふざけたものだったことに怒りを燃やし、「今や日本経済の状況からしても賃上げは待ったなしだ。人手不足の深刻化によって経営者の側にも五ケタアップに応じるなど変化が現れている」と語るとともに「戦争法廃止をめざす闘いなど、新しい運動のうねりが高まっている。二〇〇〇万人署名をやりぬこう。アメリカの時給一五ドル運動に学んで闘おう」と訴えた。
続いて全労協の金澤議長が発言。金澤さんは「大手企業の一斉回答が出たが、昨年を大幅に下回っている。要求を取り下げて闘いもしない資本の手先となった労組などいらない」と批判し、闘わずしての「一発回答」ではなく自らと全労働者の生活改善のために闘おうとあいさつした。
JAL争議団の内田妙子さんは「日航は二〇四〇億円の最高利益を挙げた。その中で、契約社員制度が導入されてから二一年の闘いで、客室乗務員全員の正社員化を勝ち取った。私たちの解雇争議も六年目に入った。ILO勧告に基づき、一日も早い職場復帰をかちとる」と決意を述べた。
なのはなユニオンの鴨桃代委員長は、千葉県の内陸バスで契約社員が労組を結成したことを報告。「労契法二〇条(有期契約を理由とした不合理な労働条件の禁止)を使わないでどうするのか!」と一段と声を大きくして訴えた。

非正規労働者
がストの主役
続いてストライキ闘争報告を中村書記長が行った。中村さんは七五・三六%の賛成でスト権を確立したことを報告し、ストライキに入った八六人のうち二八人が非正規労働者だったと述べた。「女も男も、正規も非正規も、総がかりのストライキだ」と中村さんは特徴づけた。
決意表明は銀座支部、晴海支部、千葉支部が行った。銀座支部では九人、晴海支部では二人が三〇分から三時間の時限ストを行った。二四日にストに入る千葉中央局では、午前四時から六時まで非正規の仲間八人が、午前八時半から九時半まで日勤の労働者一人がストライキを打ち抜く。その中ではアルバイト(一二〇〇円)よりも長期非正規の労働者(八五〇円)の方が時給が少ない、という実態が報告された。
集会の最後に日本郵政本社に向けて「人を増やせ」「賃金上げろ」のシュプレヒコールとともに「戦争法廃止」の声が鳴り響いた。(K)

3.23

雇用共同アクションが国会前行動

労働時間規制強化こそ必要

人を殺す「規制緩和」に立ち向かおう


残業代ゼロ・
解雇自由化ノー
三月二三日午後一二時一五分から雇用共同アクションは、衆院第二議員会館前で国会前行動を行った。安倍政権が固執する労働規制解体を社会の総反攻ではね返すことをめざし、共同を広げながら労働者自ら声を上げ、率先して途切れることなく行動に移していこうと呼びかけられた。
二月一〇日に続く今年の第二弾。さらに四月、五月と重ねられる予定だ。今年夏の参院選を控えこの悪辣なもくろみを水面下に隠そうとの動きも見える中、その時にこそ労働者の側からこの問題を表に引きずり出し、民衆の攻勢的な決起につなげようとの思いが込められている。昼の行動だが、この日も呼びかけに応え多くの労働組合から八〇人がかけつけ、残業代ゼロ許さない、解雇自由化潰す、との決意を国会に突き付け、集会後には多くのグループに分かれ同趣旨の議員要請が行われた。

女性差別撤廃へ
強力な行動を
集会は、野村幸裕全労連副議長、柚木康子全労協常任幹事からの主催者を代表する発言で始まった。野村さんは、街頭宣伝に注視する人が多くなったと手応えを語りつつ、時間規制の強化を求める闘いを国民的広がりにする時だ、軍事経済化の動きに仕事の変質への不安も表れている、それも含めて労働法制改悪反対の大きな闘いをめざそうと呼びかけた。
柚木さんは、ジュネーブで行われた女性差別撤廃委員会審議に合わせた現地でのNGOアクションに参加して感じたことを特に報告。世界の審議委員が日本で差別撤回が進まないことにいらだちを隠さず、審議では日本のNGOの報告が相当に反映され、差別是正への勧告が盛り込まれたことを明らかにし、それをもテコに女性差別撤廃を強力に求めよう、と訴えた。ちなみに、この審議で日本政府団の団長になったのは男、いわゆる「慰安婦」問題で日本の言い訳を述べるためだけに来たのは明け透けであり、そのことも女性差別撤廃に対する日本政府の不誠実さをむしろ露呈させるものになっていた、と紹介された。
途中社民党の福島みずほ参院議員も発言した。安倍首相が突然言い出した「同一労働同一賃金」について、その真の意味をはっきりさせようと参院で追及したがはっきりしていない、まがいものはだめだとはっきり突き付けよう、労働基準法改悪案を内外の力で廃案に持ち込む、と決意を述べた。
参加団体からは六団体の代表が発言。初歩的な労働基準法違反が多い労働相談事例の紹介、裁判後の金銭支払いを口実に団交を拒否するという、金銭解雇制度先取りのような解雇攻撃が出ているとの報告、そして直前に起きたトラックの悲惨な追突事故などを交え、労働者の権利保護の確立、時間規制の厳格化を、との訴えがこもごも強力になされた。たとえば、長野で起きたバス事故と労働時間規制について国会で追及された塩崎厚労相は、今もって労使自治などと寝ぼけた答弁をしていると、怒りを込めて報告された。

悲惨な交通事故
原因に迫る闘い
発言でも具体的に触れられたが、ブラック企業と言われる、労働者の人間的尊厳を歯牙にもかけない経営が横行し、バスやトラック輸送で悲惨な事故が相次いでいる現実は、労働者の権利保護の充実、労働時間規制の抜本的厳格化こそがむしろ緊急に必須であることを告げている。すでに上程済である労働時間規制外しを狙う労働基準法改悪案について参院選後への審議先送りがささやかれているが、それ自体安倍政権のもくろみがいかに社会的大義のないものであるかを如実に明かすものと言える。今こそ、労働の規制強化を、の声を強力に突き出し、安倍政権のもくろみを完全に葬る水路を広げよう。なお、雇用共同アクションは次回の国会前行動を四月一三日に予定している。(神谷) 

コラム

花と人間、そしてテロ・戦争

 先週桜の開花が西日本から届き東海から関東に進んでいる。この時期になると様々な花が一斉に開花する。
 先週、田舎に帰省した時、家の周りの樹木に花がいっぱい咲いていた。椿、ぼけ、桃、木蓮、こぶしなど。亡くなった父が長年にわたって買い集め植えたものだ。屋敷周りの田畑をつぶして植木でいっぱいにした。それぞれかなりの数になる。父が病気になって以降一〇年この方、手入れをしていないので、木が痛み枯れるものが出てきた。私は樹木を剪定したり、病虫害から守ってやる術を知らないので、「困った」と思いながら、そのままにするしかない。
 最初に気づいたのが桜。台風などの強風によって根元から倒れた。川津桜に「楊貴妃」。今回は枝垂れ桜が枯れ始めている。桃も幹がボロボロになって枯れるものが出ている。
 沖縄の久米島では白い桜のクメサクラが咲き、毎年桜祭りが島をあげて行われている。この桜は全国に普及しているソメイヨシノなどと違い、独自に進化したものらしい。その保存のために島民たちが毎年挿し木をして殖やすように大事に守り育てているという。
 裸子植物(アカマツ、クロマツ、スギ、ヒノキなどの針葉樹)から花や果実をつける被子植物ができたのが一億二千万年前。裸子植物が八〇〇種類なのに、被子植物は二五万種以上。子孫を残すため繁殖の手段として花粉を運び受精するために、鳥や昆虫をさそうためにいろんな色や形の花をつける。
 人間が花を美しいと感じるようになったのはいつ頃なのだろうか。ネアンデルタール人の埋葬された場所に花が置かれていたという文章を読んだことがある。人間の美的感覚、愛情などが生まれたのと人間と花が共生していくのは同じであったろう。人間は花に魅せられると穏やかで優しくなる。
 花の美しさに癒されて田舎を後にしたが、そんな気分をぶち壊すできごとが立て続けに起きた。内閣法制局長官が「わが国に対して敵からの攻撃があった場合、核兵器を使うこともできる」と見解を明らかにした。歴代保守自民党政権でさえ、非核三原則を打ち出し、核兵器の保有・使用・持ち込みを認めていないのに「法の番人」が言ってのけたのだ。現憲法の平和主義を根底から否定するものであり、安倍政権の進める「戦争のできる国」をより一歩進めるもので、断じて許せない。さらに、三月二二日にブリュッセルで起きたIS支持者と見られる者たちによる無差別爆弾テロ事件だ。
 無辜の民を無差別大量に殺し、たくさんの障害者を生み出し、一生苦しめる自爆テロ。日本の特攻隊攻撃がそうであったように、そうした戦術は人の命を軽視し、人類の未来に対する破壊だ。ナチス批判のビラを配った学生たちの行動(後に処刑された)は白バラ運動と呼ばれた。スペインの広場占拠運動の時、出動した機動隊にバラを捧げて非暴力の抵抗をした。この経験を生かさなければならない。    (滝)


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