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    かけはし2016.年3月28日号

差別をやめろ!首きるな


3.6

マーチ・イン・マーチ2016

移住労働者の権利確立へ

沿道から拍手を送る人も


 三月六日午後、マーチ・イン・マーチ2016が行われ、軽快なリズムのドラムを伴ったサンバ隊が先導する、移住労働者と日本人労働者の隊列がJR御徒町駅周辺をデモ行進、移住労働者の権利確立を声高らかに訴えた。周辺は名高い買い物スポット、日曜日午後とあいまって外国からの買い物客も交え大混雑した沿道からは、「差別をヤメロ」「首切りするな」とコールしながら進むデモ隊に並々ならぬ関心が寄せられた。スマートフォンのレンズが次々に向けられ、拍手を送る人も。
 マーチ・イン・マーチは、日本社会を支えるなくてはならない働き手として組み込まれた移住労働者たちが、低劣で差別的な処遇に怒りを込めて立ち上がり、春闘の中に自ら作り上げた行動。今では、日本人労働者との連帯した行動として、けんり春闘の重要な行動となっている。
 この日も行動は例年通り、同マーチ実行委員会主催の下、コンサート集会とデモの二部構成で設定され、午後一時からの上野公園水上音楽堂を会場としたコンサート集会から始まった。様々な国から来ている移住労働者が手作りで準備した出し物と日本人ユニットの出し物、そして間に挟まれたスピーチが混在したこの企画は移住労働者たちにとって、ある種の文化祭的雰囲気の中で、互いの交流のネットワークを広げる機会となっているが、それだけではなくひとつの楽しみともなっている。

多彩な音楽の
共演で盛り上げ
16けんり春闘実行委員会共同代表の金澤壽全労協議長の、移住労働者を安上がり労働力として利用しようとする日本のあり方を批判し、力を合わせ安心して暮らせる社会を共に作ろう、と訴えた主催者あいさつから始まった今回は、神奈川シティユニオン組合員による歌曲、日本音楽協議会東京支部によるバンド演奏、APFS労組のビルマ人組合員による少数民族舞踊、社会派流しを自称するジョニーHさんによるプロテストソング、川崎を拠点に活動する移住女性と子どもたち支援団体のカラカサンによるハワイアンダンス、ルーツ音楽探究バンドであるバラッドショットによる迫力あるロック(に聞こえた?)、セネガル出身の全統一労組組合員によるアフリカンドラムが次々と披露され、会場は大いに湧いた。
そして移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)の山岸さん、JAL原告団の高橋さん、朝鮮高校で学ぶ権利を求めて運動している申嘉美さんがスピーチ。山岸さんは、世界から現代の奴隷労働と厳しく批判されている技能実習制度のオリンピックを格好の口実にした拡大、特区を利用した家事労働への移住労働者利用、また介護労働への安易な移住労働者導入など、移住労働者の安上がり労働力としての位置づけを変えようとしない安倍政権を厳しく批判、日本を移住労働者を移民として受け入れる社会に変えること、特に技能実習制度拡大の阻止を訴え、合わせてヘイトスピーチを禁止する法の成立に向け力を傾けていると語った。

集会後、上野の
街へデモ行進
高橋さんは、最高裁判決で不当解雇撤回の要求は否認されたが、ILO三次勧告をも活用して会社と直接対決する闘いを進めていると現状を報告、さまざまなトラブルが頻発する安全の空洞化を止めることを含め、全労働者の雇用環境を変えるために大きな連帯で闘う、と決意を述べた。
申さんは、朝鮮高校を教科書無償化の対象から外したことを、朝鮮高校を学校として認めずつぶそうとしてきた歴史的流れと切り離せないと厳しく批判、これに対し高校生を原告に裁判を闘っている、子どもたちに学ぶ権利と喜びを何としても取り戻したいと決意を語った。また、この日午後三時から銀座でヘイトデモが予告されている、そこでは日本の恩恵を受けながら権利を主張することにこれ以上がまんできない、などと書き込まれていると紹介し、恩恵などどこにあったのかと怒りを込めてその悪辣さを糾弾、架け橋になりたいと語る朝鮮高校の子どもたちにどんな未来を与えることができるのか共に考えてほしい、と訴えた。
コンサート集会の締めくくりはこれも今では定番となったABCジャパンによる「サンバを踊ろう」。ドラムのリズムと羽根飾りをつけた踊り手に促されて、参加者たちもステップに挑戦。全体はそのままデモに向け隊列を整え、遅れてかけつけた参加者を加えて、賑わう上野の街へのデモに繰り出した。   (神谷)

3.12

愛知で学習会を開始

G7伊勢志摩サミットとは?

活発な議論と行動への意見交換

 【愛知】三月一二日(土)、元自衛隊イラク派兵差止訴訟代表の池住義憲さん(以下、「講師」という)を講師にむかえ、学習会「G7伊勢志摩サミットとは何か」(ATTAC東海、不戦へのネットワークの共催)が名古屋のウィルあいち(愛知県女性総合センター)で開催された。土曜の夜の時間にもかかわらず、三六人が各地から参加した。講義では「サミット」のこれまでの経緯、「G7伊勢志摩サミット」の概要、平和の視点からみた「G7伊勢志摩サミット」の問題点、経済と軍事の両方の視点からグローバリゼーション等がわかりやすく説明された。「グローバリゼーションとは」等の資料も配布され、講義の途中で質問をする熱心な参加者もいた。

グローバリゼー
ションとは何か
講師は、グローバリゼーション(地球化)についてまず、もの(商品、製品)、金(金融、投資、株式)、ひと(労働力、労働者)、情報、技術、サービス、システムというものが国境を越えて、自由に行き来でき、自由に移動できるようにすること、と定義した。講師はまた、私たちの身近にあるありとあらゆるものが国境を越えて行き来する今日の現実がグローバリゼーションとし、国家が介入しない市場の原理に基づいた自由市場経済の世界的拡大のなかで、その背景となる新自由主義をリードしているのが「G7伊勢志摩サミット」である、と述べた。また、国境を越えたものの自由な行き来を促進するものが関税障壁の撤廃であり、世界的規模で非関税障壁を促進するものが新自由主義である、と強調した。
講師は続けて、力の強いもの、お金のあるもの、販売力、宣伝力のあるものが世界を凌駕していく世界共通化の考え方、基準に警鐘を鳴らした。
グローバリゼーションの促進のためには、資源、エネルギーの確保、拡大が必要で、それらの拡大再生産が行われている。結果として、トヨタ自動車のような下請け、孫請けという企業のピラミッド構造が発生する。
また生産物の販売のため、市場の確保・拡大が発生する。TPPの狙いは、アメリカで生産した商品の販売の市場を環太平洋に確保、拡大することにある。その段階の次に来るのは、市場での販売の強化をはかるための、外交的、軍事的、政治的な支配権力の確保・拡大である。講師は、資源の確保、市場の確保、支配の確保・拡大が猛烈な勢いで起こっているなかで、その旗振り役が「G7伊勢志摩サミット」である、と強調した。
「G7」については国際法上、何の根拠も規定もない。「G7」は権限のない、非公式のグループに過ぎない。したがって「G7」で出された決定、声明、表明は、7カ国のなかの仲間内の取り決めに過ぎない。問題なのは、「G7」があたかも「世界政府」のようにふるまい、その決定事項が何の関係のない第三世界にまで実質的に強制力、強い影響を及ぼすことである。

行動に向けて
次回の準備へ
講義の後の質疑応答では、主に愛知、大阪からの参加者から意見、質問が出された。地域に根差した市民の視点、またアジアの労働者と連帯する労働者の視点等から意見、質問が寄せられ、質問者自身の「G7」に対する真剣な姿勢がうかがえた。
次回の学習会はビープルズプラン研究所の小倉利丸さんを講師に招き、五月八日に開催される。学習会のあとはデモも予定されている。
五月八日の学習会、デモも、多様な市民、労働者の視点から「G7サミット」を問う場として、全国からさらに多くの参加者が期待される。 (山本)


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