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    かけはし2016.年3月7日号

3・12「原発のない福島を!県民集会」へ


福島原発事故から5年

再稼働阻止!原発のない社会をめざそう


五回目の「原発のない福島を!県民大集会」が三月一二日(土)正午から郡山市開成山陸上競技場で開かれる。集会では、帰還困難区域から浪江町津島原発被害賠償原告団、大熊町民、高校生平和大使、ストップ川内原発!川内原発増設反対鹿児島県共闘会議の各代表、そして、さようなら原発一〇〇〇万人アクション呼びかけ人の鎌田慧さんなどが発言する。集会後は四年ぶりにデモ行進が行われる。午前中には「原発災害から五年、福島の歩み、そして未来」と題してシンポジウムが開かれる。三・一一後、双葉郡の現状を撮り続けてきた写真家の飛田晋秀さんやJA及び自然エネルギー団体代表が自らのとりくみを報告する(事前申込み要、実行委HPから)。集会規模は六〇〇〇人。分断と被害者切り捨てを許さないために、集会に結集するとともに、被災地の現実を見、被害者の声・思いに耳を傾け、共有することを訴える。

原発事故
は進行中
爆発から五年を経過しようとしている今もなお、政府の原子力緊急事態宣言は解除されていない。事故機からは今も大量の放射能が放出されており、溶け落ちた核燃料デブリの所在は不明で取り出す見通しはない。
海側遮水壁の完成でかえって汚染水が増え、数百億円をかけた凍土遮水壁も稼働せず、貯蔵タンクは増え、海洋汚染も続いている。1・2号機の排気筒(鉄骨一二〇メートル)は、高さ約六六メートル付近の接合部で、支柱の破断が5ヵ所、変形が三カ所、主柱などに鋼材が腐食したとみられる変色が複数確認されている。
排気筒の下は、致死量を超える毎時二五シーベルトもの高線量地点があり、依然として立ち入り禁止区域として危険な環境にある。 排気筒が倒壊すれば、排気筒の下部に蓄積された放射性物質が飛散するばかりか、メルトダウンが最も進んだ二号機の建屋が一部でも破損すれば、建屋内に滞留している大量の放射性物質のダストが、近隣に大量の放射性物質のプルームとして流れ出す危険性が指摘されている。除染廃棄物の入った一〇〇〇万袋近くのフレコンバックは各地に山積みまたは埋蔵され、最終的には二二〇〇万袋になる予定だ。
中間貯蔵施設は建設のめどが立っておらず、環境省は搬入の工程を示せずにいる。経年劣化により飛散や漏れによる再汚染が懸念される。これに加えて環境省は、生活圏から二〇メートルの範囲と日常的に人の出入りがある場所を除き大半の森林では原則として除染しない方針を昨年末に示した。
水源のある阿武隈山地の汚染は放置されることになる。除染によって部分的に放射線量が下がっても、山野に親しむ暮らし、農林漁業を営む生活を取り戻すことはできない。連日八〇〇〇人が従事する事故収束作業の現場では、労災死亡事故が相次ぎ、熟練労働者が離脱するなど、多重労務構造下での厳しい被曝労働という労働環境にある。

県民分断・切
り捨て許さず
除染の基準、年間被ばく量一ミリシーベルトを「反放射能派が...騒いだ中で何の科学的根拠もなく時の環境大臣が決めた…帰れるはずの所にいまだに帰れない人がいる」との丸川環境相の発言こそ、二〇_シーベルト基準で帰還・復興を押し進めようとする安倍政権の本音を表している。
政府は「避難指示解除準備区域」と「居住制限区域」に対する避難指示及び区域外避難者の住宅支援を 二〇一七年三月までに解除し、東電の賠償は一八 年 三月末で終了する方針だ。しかし国の説明会では、大半の住民が解除に反対、避難指示区域が解除されても避難継続を希望者は多く、すでに解除された楢葉町でも帰還者は四%に過ぎない。南相馬市では小高区など居住制限、避難解除準備区域住民が本年四月解除の延期を求め、学校再開は未定となるなど国の方針に反旗が翻っている。県の調査では、借り上げ住宅制度を利用している避難者は六割に上り、応急仮設住宅の入居期間延長を求める意見が多い。放射線管理区域レベル前後の汚染地域に、また今線量が低くても収束には程遠い原発の近くに帰りたいと思う人が少ないのは当然のことだ。国や県当局、経済界、地元新聞、原発推進勢力が、避難者を「支援慣れ」とあげつらい「自立せよ」と攻撃し、無理を承知で「早期帰還」「被曝受容」を強要することを許してはならない。
私たちは、福島原発告訴団が隠された事実を粘り強く掘り起こして東電幹部の強制起訴を実現したように事故と汚染の現況及び影響、被災地の実態を明らかにし、被害者が団結してたたかいを前進させ、原子力ムラに罪を償わせ、再稼働阻止、原発のない社会をめざして進もう。全国の反原発・脱原発の勢力が三・一二福島県民集会に結集し、闘いの前進を誓い合うことを呼びかける。 
(世田 達)

2.19

16けんり春闘第一波東京総行動

大企業本社・経団連を追及

非正規労働者春闘にも挑戦

 二月一九日、16けんり春闘第一波東京総行動が、午前八時四五分からの日本郵政本社に対する非正規労働者六五歳雇い止めへの抗議を皮切りに、午後四時四〇分からのフィリピントヨタ労組弾圧に抗議する対トヨタ本社行動まで、都心一帯を占拠する一二の大企業本社、大銀行本社、中央省庁をつないで終日展開された。
 いずれも、これらの機関が直接、間接に関与して行われた労働者攻撃に反撃し、権利回復を求め立ち上がった労働者を幅広い連帯で包み込んで勝利をつかみ取ろうとする行動だ。しかし同時に、闘いを具体的に見える形で表現し、安倍政権の官製春闘策動に事実上同調する連合により、春闘が連合大手組合の密室談合へと転化され、一般労働者大衆から取り上げられている状況に、何とか風穴を開けたいとの思いが込められた。
 午後一二時一〇分からは、その思いを集中する形で、これらの攻撃の総本山である日本経団連への抗議要請行動に全体が集結、経団連会館前は多くの組合旗で包まれ、一帯に労働者の怒りの抗議が響いた。

生活と権利の
破壊許さない
経団連前集会ではまず、16けんり春闘共同代表の、垣沼陽輔大阪ユニオンネット代表、松本耕三全港湾委員長、金澤壽全労協議長が、長期にわたる労働者の生活破壊とけんり破壊の安倍政権と並ぶ総責任者として、また巨額の利益を上げながら業績を理由とした賃金抑制に固執する社会的責任放棄の指揮者として、日本経団連を厳しく糾弾、非正規の仲間への差別を許さず全労働者の生活できる賃上げめざし、ストライキを中心に連合の闘争自粛を打ち破る断固とした闘いを貫徹する、そして安倍政権の打倒につなげる、と闘いを宣言した。この中では、社会の劣悪化に労働運動の後退が大きな責任を負っていることの自覚に立ち、権利獲得の春闘を追求する必要も強く訴えられた。
この宣言に応え現場からは、全造船関東地協、国労高崎、郵政産業労働者ユニオン、全国一般なんぶ、東京労組フジビグループ分会の各代表が、各々が取り組む具体的な闘いを報告した上で、要求の実現に向け徹底的に闘う決意を表明した。
特に非正規労働者の低処遇の実態、労働契約法一八条(連続五年を超えた就業実態をもつ有期契約労働者に無期雇用転換権が発生)の二〇一八年四月発効をにらんで浮上しようとしている有期雇用労働者の雇い止め問題、さらにそれらを前提として正社員という形式を人質にとって無権利労働を強要される名ばかり正社員の問題、などが具体的に告発された。さらに寸前に起きたスキーバス事故に触れながら、規制緩和と派遣労働に不可分にこびりついた雇用の無責任化にあらためて警鐘が鳴らされ、日本経団連の責任を指弾するとともに、その無責任化をチェックできる労働組合を作り上げよう、との訴えが続いた。
賃上げの問題では、生活できる賃金とは将来計画のできる賃金、今日食いつなぐ賃金ではないことも力説され、安倍の最賃引き上げ論のいかさまさを暴露するわれわれの最賃闘争を作ろう、女性の賃上げは労働組合が取り上げる以外にないことを自覚しよう、との強い訴えも行われた。
昨年を上回る結集を勝ち取った労働者は、戦争法案廃止を含めて共有されたこれらの訴えを力強いシュプレヒコールに乗せて日本経団連に叩き付け、午後の行動へ、さらに夕方からの戦争させない・九条壊すな総がかり行動国会前集会へと向かった。

安倍打倒見すえ
最賃の運動化も
アベノミクスのメッキがはがれ落ちようとしている。労働者民衆の生活と権利の立て直しのために安倍政権と総対決する労働者の闘いが決定的に重要となっている。連合が昨年以上に及び腰となるだけではなく、その上「野党は共闘!」との民衆的要求に対する執拗な妨害に躍起となる醜態をさらしている今、けんり春闘の役割はますます重大となっている。
他方で、全労働者の四割に達した非正規労働者の賃金に事実として大きく関わる最低賃金引き上げが極めて重要な課題となる中、まさに非正規労働者の春闘としてその引き上げに向けた労働組合としてのキャンペーンも具体的に始動している。「最低賃金大幅引き上げキャンペーン」委員会の発足だ。
同委員会は、共通スローガンを「最低賃金時給一五〇〇円をめざして、今すぐどこでも一〇〇〇円」と定め、下町ユニオン、首都圏青年ユニオン、全国一般労組東京南部を連絡先として、所属を問わず単位組合の参加を呼びかけ、二月一五日に正式発足を確認、二月二三日に記者会見を行った(厚労省記者クラブ)。同キャンペーンは二月二七日の新宿アルタ前での街頭キャンペーンを皮切りに、四月の一五ドル最賃を求めた世界的な対ファストフード共同キャンペーンなど、若者を主体としたソーシャルネットワークの積極活用を含めて、非正規労働者、未組織の労働者も集える場の創出という野心的な意気込みの下、一〇月まで多彩な行動を準備しようとしている。 戦争法と改憲に体現された国家の質的転換、そしてそれとメダルの裏表の形で一体化した貧困と社会的疲弊、これに立ち向かいはね返すことができる労働運動が、その意味で労働運動の戦略的立て直しが、切実に問われている。そこへの回答はまだはっきりとした姿は見えていないとしても、戦争法との対決、労働法制をめぐる対決、そして最低賃金をめぐる対決は、少なくともそこに一つの糸口を与えると思われる。
それらの対決を見える形で社会化することが、夏の参院選における安倍との対決に力を与えることも間違いない。先の最賃キャンペーンの節目の行動は、全労協や全国一般全国協の春闘行動にも組み込まれた。今春闘はまさにそれらを見据えた春闘として実現されなければならない。今春闘の中で労働者の闘いを見えるものとして社会に突き出し、安倍打倒に向かう総決起を支える力とするために全力を挙げよう。 (神谷)


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