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    かけはし2016.年3月7日号

戦争法廃止・安倍政権打倒!


国政選挙での「野党共闘」について

安倍政権を打倒する共同闘争の強化を

労働者・民衆の力を結集させよう

(1)


 二月一九日、野党五党(民主党、共産党、維新の党、社民党、生活の党と山本太郎と仲間たち)の党首は国会内で会談し、戦争法廃止法案を国会に提出することを確認するとともに、五野党として@安保法制の廃止と集団的自衛権行使容認の閣議決定撤回を共通の目標とするA安倍政権の打倒を目指すB国政選挙で現与党およびその補完勢力を少数に追い込むC国会における対応や国政選挙などあらゆる場面でできる限りの協力を行う、という四点を確認した。
 この五野党党首による戦争法廃止法案提出・安倍政権打倒・選挙協力の合意は、本紙前号でも紹介したように、二月一九日の「総がかり行動」国会前集会の場で報告されて大きな拍手に包まれた。翌二月二〇日、東京で開かれた社民党大会では五野党の党首がそろって出席し、エールを交換するというかつてない場面が作りだされた。ちなみに共産党の代表があいさつしたのは社会党、社民党を通して初めての出来事だという。
 二月二二日、日本共産党の全国都道府県委員長・参院選候補者会議では、共産党の志位委員長が、同党が提起した「国民連合政府」構想については、いったん「横において」、「まず選挙協力の協議に入るという判断をし」、「参議院選挙区の一人区の候補者調整にあたっては、安保法制=戦争法の廃止、立憲主義の回復という大義のために、わが党としては思い切った対応を行う」と語った。つまり一人区では共産党は党公認候補を取り下げ、他党の候補、あるいは野党が共同で支持する無所属候補を支援する、ということだ。
 その考え方は、衆院の小選挙区においても異なった形で適用されることになる。志位委員長は衆院選小選挙区での選挙協力は「直近の国政選挙の比例代表選挙の野党各党の得票を基準にした、『ギブ・アンド・テイク』を原則として推進する」と語っている。
 すなわち直近の国政選挙での比例代表制の獲得票数に応じて各党の小選挙区候補者の数を割り振り、その候補者については全野党が共同で支援するというやり方だ。しかしこれには相当の困難が伴うことは明らかである。共産党は四月二四日投票の北海道五区補欠選挙で、昨年末の段階で党公認候補の出馬を取り下げたが、同日に行われる京都三区の補欠選挙では、取り下げる動きを見せていない。

(2)

 われわれは、戦争法廃止・安倍政権打倒のためのこの選挙協力を基本的に支持するべきだと考える。この選挙協力方式は、決して議会内野党の政治的思惑によって成立したものではない。明らかに昨年の戦争法案阻止のための国会行動に連日詰めかけた、数万人から一〇万人に達する人びとの「安倍を倒せ!」「野党は共闘!」という叫び、「民主主義って何だ? これだ!」のコールに示される、闘いの息吹が生み出したものだからである。
そして共産党が重要な役割を果たした、「戦争法廃止」の野党間選挙協力が、きわめてこわれやすいものであることを自覚し、この共同戦線を破壊するさまざまな目論見から、この枠組みを防衛する必要がある、とわれわれは考える。
おそらく共産党の内部でも、七月参院選に向けた「思い切った対応」、すなわち一人区での候補取り下げについては相当の抵抗があったのではないだろうか。たとえば日経新聞が二月一二日の紙面で「共産、候補取り下げ柔軟に」との見出しの下に@共産党幹部が二月一一日までに他の野党幹部に、安保法廃案の共同提出ができれば「廃止法案を大義に選挙協力も柔軟にできる」と述べたと書き、A「党中央委員会は各県の委員長に(候補者の)取り下げもありうるとの方針を通知した」と書いているのは事実無根、とする記事が二月一三日付「赤旗」に掲載されている。
同「赤旗」記事は、この日経報道が「事実無根」であるとの記者会見を小池晃政策委員長が行ったこと、植木俊雄共産党広報部長が日経新聞社を訪れ、抗議し訂正を求めたことを報じているのである。しかしその日経記事の内容は、数日後現実になった。これは私の推測だが、党内で最終的な意思一致がとれていない重要課題に関して、ある幹部が漏らしてしまった、ということではないだろうか。
あらためて確認しよう。戦争法=安保法制成立後も続けられた「総がかり行動」、そして「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」などを中心にした「野党共闘」を求める運動は、二〇〇〇万人署名、国会前「一九日行動」、シンポジウムや大衆集会などなどの形で、繰り広げられている。これは六〇年安保闘争の後ではではなかったことだった。
戦争法成立後も持続して作りだされているさまざまな創意に満ちた人びとのイニシアティブこそが、確実に野党を動かし、与党に近い議員を抱えた民主党や維新の党をも「戦争法廃止・安倍内閣打倒」の陣営につなぎ止めている要因なのだ。

(3)

 筆者は本紙の昨年一〇月二五日号、一一月二日号に二回に分けて掲載した「戦争法廃止・安倍内閣打倒へ」と題した論文の中で、共産党の志位委員長が外国特派員協会で行った会見で「国民連合政府が実現すれば、日米安保条約の枠組みで対応する」「急迫不正の攻撃がなされた場合には自衛隊で対応する」と答えたことにも関連させて次のように書いた。
「この『国民連合政府』構想を実践するためには、二〇一六年参院選の一人区では共産党はほぼすべてにおいて民主党候補を支持するという方針にならざるをえないだろう。そして参院選で与野党逆転を実現し、衆院解散に追い込んだ際には、同様にほぼすべての小選挙区で民主党候補を支持するということになるのであろう」(本紙二〇一五年一一月二日)。
「国民連合政府構想」はとりあえず「脇に置かれる」ことになったが、全体としての政治的枠組みは、そこで書いたことと大筋の違いはない。そして、「野党共闘」による「戦争法廃止・立憲主義回復」を実現する政府という基軸が、安倍政権との対決の中に据えられている点において、それは重要な進歩的意味を持っている。しかし同時に、民主党と維新の党の合同問題の帰趨は、きわめて危うい「野党共闘」の枠組みを破壊しかねない要因になりうる。
筆者はこの論文の中でさらに次のように書いた。
「こうした戦争法廃止の野党連合政権実現のためには、七月〜九月の国会行動を引き次ぐ共同行動が必要である。とりわけ沖縄・辺野古新基地建設阻止、原発再稼働反対、さらに労働法制改悪や福祉切り捨てに抗して、労働者市民の生活と権利、いのちを守る闘いが安倍政権を追い詰めていくことが絶対に必要であることを忘れてはならない。/こうした一つ一つの闘いの『総がかり』での取り組み、そしてその連携の強化によってこそ、『課題限定』連合政権構想も現実のものとなる」。
われわれは、この出発点を防衛しながら、今日の資本主義のグローバルな危機に立ち向かう新しい闘争の地平を切り開いていかなければならない。こうした複合的な闘いを追求することによってのみ左翼の新しい再生を手繰り寄せることができるのである。(2月24日/平井純一)

2.26

「野党共闘で戦争法廃止へ」集会

9条改憲にNO!を

各野党代表が参加しあいさつ

 二月二六日、安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合と戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会の共催で「野党共闘で戦争法廃止へ!2・26集会」がなかのZEROで行われ、八〇〇人が参加した。
 市民連合は、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会 /安全保障関連法に反対する学者の会 /安保関連法に反対するママの会 / 立憲デモクラシーの会 /SEALDsの呼びかけによって二〇一五年一二月に発足し、「2000万人戦争法の廃止を求める統一署名の取り組みをベースにして「@安全保障関連法の廃止A立憲主義の回復(集団的自衛権行使容認の閣議決定の撤回を含む)B個人の尊厳を擁護する政治―これらを実現するための十全な『野党共闘』を促すとともに、候補者の推薦や支援を積極的に行う」ことを指針にしている。
 民主党、共産党、社民党、維新の党、生活の党は、市民連合など戦争法廃止を目指す全国運動のうねりによって二月一九日、戦争法廃止法案を共同提出し、戦争法廃止、安倍政権打倒に向けた野党共闘を押し進めていくことを確認した。二四日には、五野党協議が行われ、参院選の一人区での候補者調整とともにアベノミクスの評価、消費税増税、環太平洋連携協定(TPP)、沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設などの問題についても一致点を追求していくことになった。二・二六集会は、市民と野党の参院選挙に向けたスタートに踏み出す意志一致の集会となった。

闘うスクラムの
強化こそ重要
開会あいさつが山口二郎さん(立憲デモクラシーの会)から行われ、「野党共闘の気運が高まってきたなかで、戦争法廃止と安倍政治NOの動きをどうやって強めていくのか。四月の衆議院補欠選挙、七月の参議院選挙に向けて安倍政治に対抗する力を作っていこう。そのために市民連合は、いろんな動きを行っていきたい。二・二一に高校生グループのT‐ns SOWL(ティーンズソウル)が呼びかけたデモに参加した。展望が開けてくると様々な取り組みも楽しくなってくる。引き続き共に闘っていこう」と発言した。
「野党あいさつ」では小川敏夫参院議員(民主党)、小池晃参院議員(共産党)、初鹿明博衆院議員(維新の党)、又市征治参院議員(社民党)から安倍政権打倒に向けた野党共闘の意義と参院選に向けた闘い、戦争法廃止にむけたスクラム強化などのアピールが行われた。

民主主義の
破壊を許すな
水島朝穂さん(立憲デモクラシーの会)は、「立憲主義の真正の危機に大異を残して大同につくこと」をテーマに次のように講演した。
「二・二六事件(一九三六年)から八〇周年だ。青年将校を操っていたのは軍幹部だった。軍の自作自演によって、翌年に日中戦争に突入していった。軍部が暴走を始めた時、国の形は大きく変わっていくことを体験している。でも今も体験している。二〇一四年一二月中旬、河野克俊統幕長が訪米して、米国の統合参謀本部議長や陸軍、海兵隊のトップ、空軍のナンバー2、海軍の作戦部長、国防副長官らと会談している。河野統幕長はオディエルノ陸軍参謀総長に『安保法制は予定通りか』と聞かれ、『来年夏までに終了するものと考えている』と国会審議を無視して答えている。さらにこの暴走は、現在、戦争法の作戦計画策定に当たり、統合幕僚監部が背広組防衛官僚が中心の内部部局(内局)に権限の大幅移譲を要求している(東京新聞/2・22)。すでに安倍政権は、防衛省設置法改正(一五・三)の閣議決定によって日本型シビリアンコントロールの否定に踏み出していた。戦争法と一緒になって制服組の権限が強化され、政治的軍人も動き出している。これは一種の二・二六状態だ」。
さらに「憲法学界、市民、野党は自衛隊を海外で人殺しをさせない、立憲主義の回復のところで一致している。安倍政権は違憲の集団的自衛権容認を閣議で決定しまった。この流れは、電波停止発言、教育への介入などにわたって民主主義を破壊しようとしている。この流れを止めるためには大異を残して大同につくしかない。大同団結して安倍政権を引きずり倒そう」と強調した。

外国人と共存が
できる日本社会
酒井啓子さん(安全保障関連法に反対する学者の会)が「中東の紛争に日本が何をできるか」をテーマに提起。
冒頭、「イスラム国(IS)、ジハード主義にヨーロッパの若者が合流している。中東紛争の多発に対して義憤にかられて参加する回路を考えていく必要がある。中東情勢は単純な状況ではない」と問いかけて@シリア内戦AイラクへのIS侵攻Bイエメン内戦と周辺国の介入Cリビアの混乱(IS含め各種勢力が群雄割拠と周辺国の介入で統治不能状態)状況、民間人死者と難民問題について検証した。
そのうえで「紛争の停止が求められている。だが各国は『ISをやっつける』と言いながら、ISを利用している。シリア内戦は、関係各国の利害がばらばらだからまとまるわけがない。国家破綻状態をどう解決するかの見通しもない。日本がやるべきことは、加熱した紛争関係国に対して『利益を捨てて静かにしろ。何ができるのか考えよう』と言うべきだ。だが日本は難民受け入れは一四年が五〇〇〇人の申請もあったのに一一人しか受け入れていない。、国際社会に対してまともに発言できる資格さえもない。外国人との共存準備ができていない日本社会を変えていく必要がある。『武力ではない解決法』=憲法九条のことをどれだけアピールしてきたのか。日本の平和を輸出していくことだ」と結論づけた。
続いてSEALDsの諏訪原健さんのアピール、最後に高田健さん(総がかり行動実行委)が行動提起した。        (Y)



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